海苔と卵と朝めし の商品レビュー
老いた親のご飯の準備が嫌になった時に読んだら、「ご飯って美味しく作れるんだ!」って思わせてくれた素敵な本。向田邦子さん、もう鬼籍だけどありがとう感謝してます。
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これはもうタイトル買い。 香ばしい海苔にちょっとお醤油つけてご飯に巻いて食べる朝ごはん、大好きだった。あと母の作った厚くて甘い卵焼きと、欲を言えばお味噌汁。これ以上はない。 そんな日常の食にまつわるお話から、海外旅行先の珍しい料理のお話まで、飽きることなく楽しめた。 あと...
これはもうタイトル買い。 香ばしい海苔にちょっとお醤油つけてご飯に巻いて食べる朝ごはん、大好きだった。あと母の作った厚くて甘い卵焼きと、欲を言えばお味噌汁。これ以上はない。 そんな日常の食にまつわるお話から、海外旅行先の珍しい料理のお話まで、飽きることなく楽しめた。 あと、食卓から垣間見える当時の家族のあり方とかね。 私は、父が苦手で。ほとんど話もできない。理由は明確で。傷つきたくないから。 なんでも自分が正しくて、他人のことを考えた発言など聞いたことがない。母を、唯一上に立てると思い込んで横柄な態度を取る。気に食わなければ怒鳴り散らし、暴力もたまに。自分のことしか考えられないから、自分のやりたいように振る舞うために、本人は意図しなかったとしても「この人は子供なんてほしくなかったのだろう」というメッセージを幼い頃から受け取り、それ故に関わることをやめてしまった。辛くなるだけだから。 この本読んでると、家父長制がまだ色濃く、父親もその影響を受けてるんだろう、と思う。…でもそんなのとっくに分かってた。分からないのは、時が流れ、価値観も変わるのに、なぜ頑なにそこから変わろうとはしなかったのか、ということだ。 もういい歳の親に、変わることは求められない、私が変わらなきゃと、頑張って色々した。でももう、やり尽くした。関わらない(これができないのは母がいるから)か、彼が変わろうとするかのどちらかしか、残されてない。 嫌なのは。関わらずに今生の別れになった時、私が自分を責め続けるであろうということだ。一生。 苦しい。素敵な本なのに、その苦しさを思い出してしまった。
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向田邦子の本、いつか読んでみたいと思っていたので読んでみた。 わたし、食べ物のエッセイの話、すきだし。 けど、思ってたのと違った。 向田邦子、思っていたよりも昔の人だった。 だから、文体や言葉が今では聞き慣れないものが多く、少し難しかった。 でも、エッセイはやっぱり人柄が出て、い...
向田邦子の本、いつか読んでみたいと思っていたので読んでみた。 わたし、食べ物のエッセイの話、すきだし。 けど、思ってたのと違った。 向田邦子、思っていたよりも昔の人だった。 だから、文体や言葉が今では聞き慣れないものが多く、少し難しかった。 でも、エッセイはやっぱり人柄が出て、いいなあ。向田邦子は自分を卑下することで面白おかしく軽快な文章を書く人なんだな、と思った。 日常の食べ物について、こんなに語れるのはすごいと思う。 対してわたしは、食いしん坊だ、食べることが好きだ、と言っておきながら、「おいしい」「おすすめ」以外のボキャブラリーで好きな物を表現出来ない。
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向田邦子の食への執着につい共感してしまい、にやにやしながら読んでいた。 特に「海苔巻の端っこ」の話が好き。南部煎餅のまわりにはみ出した薄いパリパリの部分なんてまさにそうで、あの部分から先に食べてしまう。 高価で手間のかかる料理だけでなく、日常によくある料理への思い出なども綴られて...
向田邦子の食への執着につい共感してしまい、にやにやしながら読んでいた。 特に「海苔巻の端っこ」の話が好き。南部煎餅のまわりにはみ出した薄いパリパリの部分なんてまさにそうで、あの部分から先に食べてしまう。 高価で手間のかかる料理だけでなく、日常によくある料理への思い出なども綴られているから、その庶民的な感覚?に親しみを感じる。 向田邦子の文章を読んでいると、みんなが好まなさそうな変わった食べ物もなんだか魅力的に思えてくる…それはそれでうまいのかも、と。 食への愛を感じるな〜
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あちこちから集めたエッセイを1冊にまとめてある。作者が、媒体の雰囲気によって文章の調子も変えていたということがよく分かった。1編ごとに調子が変わるため、読者としてはタイミングを合わせ損なってつんのめる感じで非常に読み辛い。向田邦子の文章は大好きだけど、このまとめ方はちょっと作者も...
あちこちから集めたエッセイを1冊にまとめてある。作者が、媒体の雰囲気によって文章の調子も変えていたということがよく分かった。1編ごとに調子が変わるため、読者としてはタイミングを合わせ損なってつんのめる感じで非常に読み辛い。向田邦子の文章は大好きだけど、このまとめ方はちょっと作者も心外ではないかと勝手に心配してしまう。 ただ、今まで本になってないエピソードなのか、「えっこんなこともやってたの」という新たな一面が得られてよかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初めて読む向田邦子さんのエッセイ。 とはいえ、あまりに有名すぎて、色々なところで参照されていたり引用されていたりで、初めて読む気がしない。 改めてきちんと読んでみると、なんと読みやすい文なんだ!と驚嘆した。 水のようにするすると読めてしまう。 引っかかるところが全くない。 そして、なんという記憶力の持ち主! 「薩摩揚げ」「お八つの時間」「ゆでたまご」「味醂干し」などは1976〜1977年、邦子さんが45〜46歳の頃に書いたものだと思うが、現在、大体同じ年齢の自分は小学校の頃の思い出をこんなに明確に記憶していない。 というか、友人や学校の記憶はあれど。食べ物の記憶がほとんどない。 なるほど、向田邦子さんはその頃からやはり食べ物に対しての興味が強かったのだ。 そして私は食に興味のない子供だったのだと気付かされた。
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思い出の料理、日々の味など、向田さんが綴る食いしん坊エッセイ。この気取らなさが向田邦子だ。小気味良い
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弁当を使う 一片食(ひとかたけ) 海苔を火取る おこの沙汰(烏滸の沙汰) 最近、使わないけど知っときたい言葉があるなー ざっかけない、は、下町言葉だそうだ お取り寄せ… 『吉野拾遺』、松屋本店の葛 『鶯宿梅』、北九州市小倉のもの 『きっぱん』、沖縄の銘菓。今作ってるのは一...
弁当を使う 一片食(ひとかたけ) 海苔を火取る おこの沙汰(烏滸の沙汰) 最近、使わないけど知っときたい言葉があるなー ざっかけない、は、下町言葉だそうだ お取り寄せ… 『吉野拾遺』、松屋本店の葛 『鶯宿梅』、北九州市小倉のもの 『きっぱん』、沖縄の銘菓。今作ってるのは一軒だけみたい うーん取り寄せたい
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向田邦子が亡くなったのは1981年。僕は16歳だった。台湾での飛行機墜落事故がニュースで報じられたことをよく覚えている。 彼女が描くのはまさに昭和の時代。旅行も好きで海外の記述も多いが、やはり昭和の東京の話が目立つ。 それと心に残るのはやはり戦中のことだ。ご本人も胸を痛めた思...
向田邦子が亡くなったのは1981年。僕は16歳だった。台湾での飛行機墜落事故がニュースで報じられたことをよく覚えている。 彼女が描くのはまさに昭和の時代。旅行も好きで海外の記述も多いが、やはり昭和の東京の話が目立つ。 それと心に残るのはやはり戦中のことだ。ご本人も胸を痛めた思い出のことを何度も書いている。 人形町壽堂という老舗の「黄金芋」という和菓子をよく買いに行くが、これは向田邦子が好んだそうだ。人形町という街そのものの佇まいが、いまだに向田邦子的な風情があり、東京でも最も好きな街である。 バンコクのトンブリという街のことが書かれていて、「丼」の語源ではとのこと。本当かな。
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ジェンダー平等が当たり前になってきた現代では考えられない生活だけど、この時代の女性の奥ゆかしさや丁寧な暮らしにとてつもなく惹かれてしまう。
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