考える日本史 の商品レビュー
歴史とはもちろん、過去を知る学問ではあるだろう。でも来し方を知り、考えることが行く末を思うことにつながるということを深く考えさせてくれた一冊だと思う。面白かったねぇ。歴史って、知識とか教養という面で意味があると、漠然とながらどこかで思っていた気がする。本書を読むと、それをいかに生...
歴史とはもちろん、過去を知る学問ではあるだろう。でも来し方を知り、考えることが行く末を思うことにつながるということを深く考えさせてくれた一冊だと思う。面白かったねぇ。歴史って、知識とか教養という面で意味があると、漠然とながらどこかで思っていた気がする。本書を読むと、それをいかに生かすか、日常の仕事への姿勢を考えるか、大きく助けになる存在であるように感じた。 日本では、知の巨人が生まれなかった、とか、世襲の生ぬるさがあってはいるだろうけれど・・・なんてあたり、いろいろ考えさせられたね。今ある身の回りから、ここまでやったら、もういいだろう、なんてことは通用しないんじゃないか、と思えたね。俺自身、世襲で今の仕事やってるけどさ(苦笑)。ここから先、自分がどこに、どこまで進めるか。考えさせられるだけ、強い刺激になったと思う。
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歴史を学ぶとは、考え続けること。 歴史は繰り返すということで学ぶのではなく、歴史を学ぶことで選択肢を増やすことができる、とハラーリも書いてたと思います。 いい本でした。
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本書は、河出書房新社の藤崎氏から一字の題を出してもらって、著者がほぼ即興で話を展開するやりかた。いわば落語の三題噺のように客席から『お題』を出してもらい、それを取り込んで即席で話を展開するのと同じ手法で、本の編集をしたそうである。 著者曰く、「一つのことをひたすら追い求める、という緊迫感には欠けるが、多方面に茫洋と広がる心地よさは演出できたのではないかと自賛している」 <目次>というか、取り上げたテーマは、 「信」「血」「恨」「法」「貧」「戦」「拠」「三」「知」「異」 上記の言葉をテーマに話が多岐に渡り展開していくのが、これまでにない歴史の切口として面白い。 特に「異」に関しては、著者の主張が熱く繰り広げられる。 異とは外国のことであり、古代~中世においては唐・宋等の中国であり、中世戦国においてはキリスト教の欧州の国々であり、幕末においては黒船、戦後においては米国を中心とする連合国である。 異と接触した時にのみ緊張し改革や革命が起こるが、異との接触をしない合間は、平和な世襲制がはびこった「ナアナア的」な中だるみ状態が続く。 また著者は、異との接触の一例として、中国から科挙を取り入れなかったためエリート官僚が育たないで貴族が官僚を兼ね、それが世襲制に繋がり、現代まで影響していると糾弾する。 面白い話として、哲学者のコジューヴが、パリの高等研究実習院で、「人間の歴史は日本の歴史を見ればわかる」と講義している。 どういう意味かと言うと、日本の歴史を見れば人類の歩みがわかる。なぜかというと、日本は異との戦争がない。つまり侵略されたことがほとんどない。だから「人間が侵略されずに、自然状態のまま進化していくとどうなるか」ということを知るためには、日本の歴史が貴重な例になる。「世界が学ぶべき日本史の価値はそこにある」 ただ、著者は言う。「しかしその反面、激烈な歴史はない。日本では虐殺のようなことは起きず、むしろ貴族社会のように非常にぬるい歴史がある。これは私が繰り返し言ってきたことですが、そのために日本社会では、才能の抜擢があまり見られないで、世襲制が幅を利かせている」と、世襲制には手厳しい。 以前に読んだ丸谷才一と山崎正和との対話した「日本史を読む」では、「日本と中国との関係、というより関係の不在の歴史であった。関係より関係の不在が、より多く日本を作ってきた」とその不在が日本文化の形成に非情に良かったと評価している。 皆さんはどちらの考え方に共鳴しますか?
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漢字一言をテーマに日本史を語る本 知識ではなく、考え方を学べる。 歴史をきちんと科学する姿勢、 わからないことはわからないというところが良い。 とくに戦の章が面白かった。 戦の目的を明らかにすることで、それを達成したら勝ち、そうでなければ負け、ときまる。 戦いにおいては、 個...
漢字一言をテーマに日本史を語る本 知識ではなく、考え方を学べる。 歴史をきちんと科学する姿勢、 わからないことはわからないというところが良い。 とくに戦の章が面白かった。 戦の目的を明らかにすることで、それを達成したら勝ち、そうでなければ負け、ときまる。 戦いにおいては、 個々の力×数 で考えるべきで、安全に勝つにはやはり、数が重要とする。 日本は、大抵生ぬるい、要は外圧がなかったことにより、安定志向となりがちで、世襲になりがち、というあたりも面白かった。
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日本史学の入門書的なものはいろいろ最近出ていますが ちょっと今までのものとは毛色に違ったもので、面白く思いました。 日本の国というものがいつぐらいに固まったのか? 権力の形がみえてきたのがいつごろか? 平安時代や戦国時代の地方政権については幼稚で 発展性のない政権であるとの認識も...
日本史学の入門書的なものはいろいろ最近出ていますが ちょっと今までのものとは毛色に違ったもので、面白く思いました。 日本の国というものがいつぐらいに固まったのか? 権力の形がみえてきたのがいつごろか? 平安時代や戦国時代の地方政権については幼稚で 発展性のない政権であるとの認識も、なんとなくわかる 感じもします。 総体的には面白く読めました
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<目次> はじめに 第1章 信 第2章 血 第3章 恨 第4章 法 第5章 貧 第6章 戦 第7章 拠 第8章 三 第9章 知 第10章 異 おわりに <内容> タイトル通り、ただただ新しい知識を並べた本ではなく、今まである知識に対し、疑問を投げかけ、自らの意見を述べる本。これからの「教育」の「探求」なる授業にもつながる内容。「おわりに」に書いているが、世の人には、「このように考えるのは著者だけで通説と違うから」とか、「この本に書かれたことは既知の事ばかりで、役に立たなかった」とかいう人がいるが、それではない!と書いてある通り、既知の知識を組み合わせているか?がポイントだと思う。この本にもそうした、「目を瞠らされた」内容が多かった。そうした視点をこれから誰かが証明していけばいいのだと思う。
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