考える日本史 の商品レビュー
ある一文字をテーマにとって、著者が歴史で語り尽くすといった形式の一冊です。あちこちに話題が飛び、そのお話が勉強になるものだから、とても楽しい読書体験となりました。
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この本の“はじめに“を読むとこう出ている。「この本は至極まっとうな本である。」まっとうな本とはどういう意味かというと知っている、知らないに基づかない。考える事に立脚している本である、という事であるという。インターネットがこれだけ発達したおかげで知っている、知らないはあまり問題にな...
この本の“はじめに“を読むとこう出ている。「この本は至極まっとうな本である。」まっとうな本とはどういう意味かというと知っている、知らないに基づかない。考える事に立脚している本である、という事であるという。インターネットがこれだけ発達したおかげで知っている、知らないはあまり問題にならなくなった。知らないことがあればネットや本で調べればいいのである。しかし、「考える」事はこうはいかない。むしろ「考える」事の前段階として調べる事があるのだ。作者は中高の日本史の授業が暗記一辺倒になっていて、入学試験も知っている、知らないを試す問題が多すぎる、という。そうじゃなくて、授業では教科書に書いてある事を基に「なぜ」そのようになったのかという事を考え、考える事をいろいろな方面に展開してはじめて、日本史は学ぶに足る学問になるだろう、と主張する。この本はマニアックな日本史の知識はあまり出てこない。むしろ限られた情報の中から考えを進めていき、まとめていく事を重要視した本であると感じた。詳細→ https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou28107.html
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うーん、今まで信じてきた歴史が、実は違った…なんて。 よくあることですけど。 既に起こったことなのに、後世の研究で過去が変わるということが面白い。 今年の大河、どうなるんでしょう。
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実証的な歴史の専門家が、たまには自分の思ったことを好きなように喋りたい、ということでできた本なのだろう。様々な角度から歴史を見直してみることの面白さが味わえる。ただこうした本の性質上、ずいぶん脇の甘い発言も多い印象。
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最近になって日本史を面白く解説してくれている素晴らしい本に出合いました。最近老眼が進んでしまい、近くの文字を見るのが辛くなってきましたので、読書をするにも本を選ぶようになりました。 そんな私が、この本の著者である本郷氏の本は幅広く読んでみたいと思っています。これで彼の著者のレビ...
最近になって日本史を面白く解説してくれている素晴らしい本に出合いました。最近老眼が進んでしまい、近くの文字を見るのが辛くなってきましたので、読書をするにも本を選ぶようになりました。 そんな私が、この本の著者である本郷氏の本は幅広く読んでみたいと思っています。これで彼の著者のレビューは6冊目となりますが、まだ読み放しの本も数冊ありますので、近日中に書き上げたいと思います。 以下は気になったポイントです。 ・同盟とは破られるために結ぶようなものであった、そうしたなかなので、信長と家康の同盟が破られることなく続いたことは非常に稀といえる(p26) ・藤原氏は、娘を天皇の家に送り込み、天皇の母方の祖父・叔父として、摂政・関白となる。院政は、天皇の父方の祖父・父親が上皇となって権力を掌握しようとする(p38) ・日本は地位に権限もともなわなければ、責任もとのなわれない国と言える。これが日本が戦後に軍事裁判で天皇の退位・財産没収がなかったことにつながる(p40) ・一般の庶民が抵抗する事態としては、一向宗による宗教戦争の形を借りて現れた、武士たちの支配を受け付けず庶民たちは自立を目指した。一向宗は現在でいうところの「平等」に一番近い概念を持っていた(p50) ・応仁の乱が行われていた1479年(室町・文明11年)、密懐法(びっかいほう)によれば、間男は殺しても罪にならない、という画期的は法律が下っている。前提は、自分の妻をてにかけた上というもの。間男を殺しても妻の敵討ちにあたり、慣習法的に正当理由が認められるというもの(p80) ・敵討ち(江戸時代には、届けを出して、公的な手順を踏めば公認された)は赤穂浪士の場合はそれに当てはまらまい。家来が主人の敵を討つケースは含まれないから。敵討ちとは、自分の父・兄など、あくまでも自分の尊属の敵を討つもの(p83) ・中央政府の中に「令外官」が多い、摂政・関白が律令の規定にない、内大臣・中納言・参議(中納言の下)、あるのは、太政大臣・左大臣・右大臣・大納言(p91) ・承久の乱までの朝廷であれば皆が税金を払っていたが、幕府に負けたので税金が集まらなくなった、そして後鳥羽上皇の名前で、自前の軍事力をもたない、と宣言した(p96,101) ・官人(中位貴族より下)には、4つの学問分野があった、明経道(みょうぎょうどう・儒学)、文章道(もんじょうどう・文学歴史学)、算道(さんどう・勘定)、明法道(みょうほうどう・法)である(p99) ・養和の大飢饉(1181)は、西日本(普段は気候が温暖で先進地域)を襲い、東日本はそれほどでもなかった、東国に基盤を置く源氏は遠征軍を編成できたが、京都の平家軍は難しかった(p113) ・戦国時代、1万人規模の兵隊を1か月動かすとなると、現在価値で1億円以上かかる、戦争とはまさに経済行為である(p137) ・ジャックウェルチは言っている、能力もなく目的も共有していない社員をリストラするのは当然として、能力はあるけどビジョンは共有していない社員と、能力に欠けてもビジョンを共有している社員、選ぶのは後者である(p139) ・南北朝あたりから集団戦が始まっているので武器の変化もある、この時期に薙刀(なぎなた)が使われなくなり、槍が登場してくる。集団戦において薙刀は味方を切ってしまうので(p145) ・東国国家論では、源頼朝が鎌倉につくった鎌倉政権は、天皇が治めている西国と並ぶもうひとつの国家と考える。将軍はあい並ぶ存在で二つの国家があったとする(p184)これをさらに演繹させると、北には平泉の藤原政権があったとも考えられる、馬と純度の高い金が採れた(p185) ・室町幕府は、反幕府勢力である山名一族の力を大きく削いで、商業都市京都の課税権を本格的に手に入れた、自分たちの出身である関東・東北地方を切り離して、鎌倉公方(関東管領の補佐)が面倒を見ることになる。南朝が消滅した1393年に室町幕府が誕生したと言ってもよい(p238) 2019年8月11日作成
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教科書の欄外にあるような豆知識ではなく、太字になっているようなメジャーな人物、事件の見方を変えてくれる。歴史を学ぶとはどういうことか、考えさせてくれる良書。 冷静に、分析的に、特に戦争関連について考える 「乾いた目」という表現が何回か出てくるのが印象に残った。
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いやー,わたしは面白かった。こういう切り口の本は,とても読みやすくて,ニホンの歴史を縦に眺めることが出来る。 ます,印象的だったのが,「それが史実かどうかばかり突き止めようとしての仕方がない」というような著者の姿勢である。 青砥藤綱が本当に引付衆のひとりだったのかわからな...
いやー,わたしは面白かった。こういう切り口の本は,とても読みやすくて,ニホンの歴史を縦に眺めることが出来る。 ます,印象的だったのが,「それが史実かどうかばかり突き止めようとしての仕方がない」というような著者の姿勢である。 青砥藤綱が本当に引付衆のひとりだったのかわからないし,そもそも彼が実在したのかどうかもわからないのですが,しかしこうした逸話が伝わったということは,当時の幕府に「銭の信用を維持することが大事」という意識があったことを示しています。(本文,p19) もしも鎖国がなかったと考えるなら,ペリーがやってきたときに,あれだけ日本人が驚いたり,世界情勢にいかに対応するかという問題意識を持つことはなかったでしょう。(本文,p247) まさに,歴史の見方考え方を教えてくれる本である。 あと,つけ加えておきたいのが,ヘーゲルの「自由の相互承認」についてもふれられていたことだ。それは,自分の師匠・石井進氏の歴史の見方考え方を紹介する場面でのこと。 そうした自由の相互承認を通じて,つまりお互いの権利を認め合うことによって,人が暮らす自由な空間が広がっていく。その概念と,石井先生の言う中世の拠点理論は,重なっているように感じます。(本文,p178) 細菌,苫野一徳先生の本を読んで,ちょうどこの考え方に触れていたところなので,同じ言葉が出てきてビックリした。つながっているなあ。
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まもなく刊行!新生河出新書第一弾 新たな教養新書レーベルとして、河出新書再始動!第一弾は 『アメリカ』及び『考える日本史』!
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売れっ子の中世史研究者による歴史エッセイ的な本。学術的な検証は置いておき、「考えたこと」をつらつらと記している。あえて批判する気は無いし、こういう本もあっていいかなと思う。
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新書を乱発している本郷先生の最新作。10のテーマに基づき日本史が語られます。それぞれ興味深いのですが、他と重なる話が多いのが気になるところ。そろそろ一休みのタイミングでは?
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