草々不一 の商品レビュー
時代小説の中でも、若い頃結ばれなかった2人が淡々と生きてきて老境で再開する…のと、 やり手で賢くて、でもどこか人間臭い武士の話がすきなんだなー!
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「紛者」助太刀を頼まれた、牢人者の信次郎。頼まれたら断れないのが、武士だが。「青雲」立身する者と、できぬ者。分かれ道を説く上司に悩まされ。「蓬莱」大身の旗本家へ婿入りしたはいいが、妻から三つの約束をさせられて。「一汁五菜」刀ではなく包丁で仕える江戸城の料理人が、裏稼ぎに精を出す。...
「紛者」助太刀を頼まれた、牢人者の信次郎。頼まれたら断れないのが、武士だが。「青雲」立身する者と、できぬ者。分かれ道を説く上司に悩まされ。「蓬莱」大身の旗本家へ婿入りしたはいいが、妻から三つの約束をさせられて。「一汁五菜」刀ではなく包丁で仕える江戸城の料理人が、裏稼ぎに精を出す。「妻の一分」大石内蔵助の妻、りくにとっての忠臣蔵を、そばで見守った者がいた。「落猿」藩の外交官である江戸留守居役が、公儀との駆け引きの最中に。「春天」剣術指南所の娘と二刀流の修行人。剣で心を通わせた二人の行末は。「草々不一」漢字を読めない隠居侍が、亡き妻の手紙を読むため手習塾に通い始める。身分としきたりに縛られた、武家の暮らし。仇討ち、就活、婿入り、剣術、罪と罰…。切なくも可笑しい、人生の諸相を描く。
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可愛い・・登場人物たち~「紛物」兄が江戸藩邸で追い込まれ婿入り先から追い出された牢人が旧藩に仕返しに行く「青雲」酒屋に奉公に出されていた御家人の三男が次男の死によって家督を継いで出勤するが、役を貰えそうにない「蓬莱」鐙で踏ん張って両手を広げて馬に乗る特技を持つ旗本の次男はいつ見初められたのか番方の養子の話が来た。妻は、朝は起きられない・何処に外出したか聞くな・夜に当日の出来事を三つ喋れと求め、順調に出世する「一汁五菜」御台様の料理人を勤める武士は料理屋でも働いているが、大奥から来た客に、年寄に毒を盛る相談を持ち掛けられ、報酬を受け取るが・・「妻の一分」大石家の飼い犬から見た内蔵助の妻りつは・・「落猿」小藩の聞役を勤める男は国許で大鉈を振るって藩財政を立て直したが上士から睨まれ、江戸で地味な仕事に邁進する「春天」剣術好きの道場の娘は佐賀から来た二刀流の剣士に惹かれていくが、妻がいることが判明し、幕末の動乱で敵方にまわり、佐賀の乱でも隊長を務めたらしい・・・「草々不一」妻が遺した文を読むために手習い塾に通い始めた御家人の隠居~朝井さんって結構いい歳なんだって・・前にも書いた気がする。新しい時代小説で、単行本で出して貰えるのは良いよね
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読み始めはどうなる事かと思いました。 武士の生き様を描いた8つの短編です。朝井さんのこういう本格的な時代小説は久しぶりのような気がします。久しぶり過ぎてちょっと腕が鈍ったかと。 ところが途中からぐっと挽回。面白いですねぇ、「蓬莱」「妻の一分」「春天」「草々不一」など、女性が主人公...
読み始めはどうなる事かと思いました。 武士の生き様を描いた8つの短編です。朝井さんのこういう本格的な時代小説は久しぶりのような気がします。久しぶり過ぎてちょっと腕が鈍ったかと。 ところが途中からぐっと挽回。面白いですねぇ、「蓬莱」「妻の一分」「春天」「草々不一」など、女性が主人公または重要な脇に廻った作品はどれも秀逸なのです。 やっぱり朝井さんは上手いですね。
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ぞっこん、千両役者、晴れ湯、莫連 あやめ、福袋、暮れ花火、後の祭り、ひってん、以上江戸人情噺9編。 ぞっこんが一番好きかな。
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短編集8編 江戸時代の様々な時代,下級武士や浪人などの精一杯の人生をユーモラスに描いているが芯の所にはずっしり重いものが詰まっている.特に妻の想いが優しく響いた「蓬莱」と「草々不一」,ミステリー仕立ての「一汁五菜」が良かった.
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初出 2015〜18年「小説現代」の8短編 文句なく面白い。さすが直木賞を予感して以来の贔屓朝井まかて。 面白かったのは、藩の情報戦略担当の留守居役奥村理兵衛の苦労を描いた「落猿」。情報を集め、落としどころを見極めて藩を背負って交渉する。現代にも当然居るのだけれど、江戸の留守...
初出 2015〜18年「小説現代」の8短編 文句なく面白い。さすが直木賞を予感して以来の贔屓朝井まかて。 面白かったのは、藩の情報戦略担当の留守居役奥村理兵衛の苦労を描いた「落猿」。情報を集め、落としどころを見極めて藩を背負って交渉する。現代にも当然居るのだけれど、江戸の留守居役の活躍が生き生きと浮かび上がる。最後の終わり方も絶妙。 道場主の娘で、ひたすら剣術修行が好きな芙希が、佐賀から来た爽やかな二刀流の修行人に恋心を抱く「春天」。幕末の動乱はみんなの運命を大きく変えてしまう。切なさがたまらない。 「蓬莱」の婿入り先の大身の旗本のわがまま娘もいい。実は見初めた馬上の男を聟に望んだなんて、すてきすぎる。 「一汁五菜」の大奥の台所人。格好いいが、暗殺が狙いだったとは意外すぎ。 出色は表題作「草々不一」。武辺一辺倒の老武士が、寺子屋に入門し、3年かけて妻の遺書を読む話。鼻の奥がツンとなってしまう。
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朝井まかてさんの新刊「草々不一」、2018.11発行、時代物の短編8話が収録されています。短くても確かな取材・調査としっかり推敲されていて、とても「草々不一」(走り書きで十分思いを尽くしていないと詫びる末尾の言葉)ではございません(^-^) 特に、本格的でとても真面目なまかてさん...
朝井まかてさんの新刊「草々不一」、2018.11発行、時代物の短編8話が収録されています。短くても確かな取材・調査としっかり推敲されていて、とても「草々不一」(走り書きで十分思いを尽くしていないと詫びる末尾の言葉)ではございません(^-^) 特に、本格的でとても真面目なまかてさんにはめずらしく、「遊び心」を感じる「蓬莱(ほうらい)」、良かったです。そして一番秀逸なのは、この本の最期を飾ってる「草々不一」、これは静かなゆっくりとした感動に襲われ、余韻に浸らざるを得ない作品です。
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山本周五郎も真っ青の傑作です。8篇いずれも駄作なし。特に「蓬莱」「春天」「草々不一」は大傑作だと思います。「草々不一」は国語の教科書に載せてほしい程の素晴らしさです。妻の遺書は泣けました。
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