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日本の同時代小説 の商品レビュー

4.1

27件のお客様レビュー

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2020/03/05

さらっと書いてるけど、これすごい本なんじゃないか? 1960年代〜2010年代の小説を、純文学・エンタメ小説問わず数行で紹介しつつ、その潮流と背景となる出来事を解説している。必ず読んだこと(聞いたこと)がある作品が含まれている。 最初の方はまだ文学史という気分で読めたけど、自分の...

さらっと書いてるけど、これすごい本なんじゃないか? 1960年代〜2010年代の小説を、純文学・エンタメ小説問わず数行で紹介しつつ、その潮流と背景となる出来事を解説している。必ず読んだこと(聞いたこと)がある作品が含まれている。 最初の方はまだ文学史という気分で読めたけど、自分の読書生活と重なる90年代以降は時代の暗さや作品の痛々しさが辛かったが、解説が的確で未来の展望まで示しているのに救われた。 これを同時代でやってのけるの、やっぱりすごくない?

Posted byブクログ

2020/02/22

それが書かれた時代に読む、ということの意味を深く考えさせられた。 何はともあれ、読みたい、読まねば、と思う本がぞろぞろ出てきて、ああ、これから忙しくなるなあ。

Posted byブクログ

2019/10/19

さながら近々の歴史をざっくりと見ながら、同時代の文学史をひも解いてくれるとてもわかりやすく面白い文学案内でした。確かにこういうのを待っていました! わたしの読書人生は1950年代の後半から始まっています。その頃は桑原武夫や伊藤整の読書入門や、もう少し詳しいのだと中村光夫の『日本...

さながら近々の歴史をざっくりと見ながら、同時代の文学史をひも解いてくれるとてもわかりやすく面白い文学案内でした。確かにこういうのを待っていました! わたしの読書人生は1950年代の後半から始まっています。その頃は桑原武夫や伊藤整の読書入門や、もう少し詳しいのだと中村光夫の『日本の近代小説』、1960年代後半に出た同じく『日本の現代小説』が参考書でした。まさに斎藤美奈子さんが「まえがき」にそうお書きになってます。 でも、そういう案内は1960年代までで終わっています。このようなわかりやすい案内は今現在2010年代までなぜか空白でした。もちろん専門書的なものはあったでしょうが。 世界が多様性にばらけている今、文学のジャンルも増え、しかも、堺がわからなくなり渾然の様相、まるっと見渡してまとめるのは大変な作業でしょう。 わたしとて情報に限りがあり、何をどう読めばいいのか?何か足りないようなもどかしさがありました。 近代、現代、そして「同時代」とはうまいネーミングであります。 斎藤美奈子さんもおしゃってますが、この新書を足掛かりにして、まだまだ埋もれている作家・作品を発掘しながら、読書人生を歩みたいと思いました。

Posted byブクログ

2020/12/05

60年代から2010年代までの小説を斎藤節で網羅的に解説。あらためて80年代は百花繚乱だったなあというのと、2004年代の金原ひとみと綿谷りさは衝撃だったなあということが確認できた。村上春樹に厳しい。「テロの肯定に無自覚だ」など。この作家もあの作家もまだ読んでいないということに気...

60年代から2010年代までの小説を斎藤節で網羅的に解説。あらためて80年代は百花繚乱だったなあというのと、2004年代の金原ひとみと綿谷りさは衝撃だったなあということが確認できた。村上春樹に厳しい。「テロの肯定に無自覚だ」など。この作家もあの作家もまだ読んでいないということに気づかされ役に立つ

Posted byブクログ

2019/06/12

最近50年の日本の小説の流れを時代・作家・作品とともに語る。60年代・知識人の凋落、70年代・記録文学、80年代・遊園地化、90年代・女性作家の台頭、00年代・戦争と格差社会、10年代・ディストピアを越えて。 あの小説をそんな風にまとめるなんて、そんな表現してよかったなんて。評...

最近50年の日本の小説の流れを時代・作家・作品とともに語る。60年代・知識人の凋落、70年代・記録文学、80年代・遊園地化、90年代・女性作家の台頭、00年代・戦争と格差社会、10年代・ディストピアを越えて。 あの小説をそんな風にまとめるなんて、そんな表現してよかったなんて。評論家ってすごい。こうして概観すると、流れがあったのだと見えてきます。

Posted byブクログ

2019/05/29

世に出ている近世(明治)以降の文学の解説本の多くは、60年代の横光利一・石原慎太郎・開高健らで終わっている。著者はその後の文芸の歴史をきちんと解説した書が見当たらないとことに奮起し、筆を執る。カバーする範囲は1960年代〜2010年代までの約60年。我々が生きてきた“同時代”の「...

世に出ている近世(明治)以降の文学の解説本の多くは、60年代の横光利一・石原慎太郎・開高健らで終わっている。著者はその後の文芸の歴史をきちんと解説した書が見当たらないとことに奮起し、筆を執る。カバーする範囲は1960年代〜2010年代までの約60年。我々が生きてきた“同時代”の「性格」を文学で探っていく。 印象深かったのは、文芸評論家の蓮實重彦の考察。70年代半ば〜80年代を代表する小説の「羊をめぐる冒険」「コインロッカーベイビーズ」「枯木灘」「吉里吉里人」「裏声で歌え君が代」「同時代ゲーム」は全て同じプロットの物語である。「依頼」→「代行」→「出発」→「発見」という経過を辿る構成であると喝破。 それを受けて著者は、近代文学と現代文学の差異を絵画を例に挙げ分析する。近代文学が、ミレーやコローのような写実画とすれば、現代文学はピカソやカンディンスキーのような抽象画に当たる。ピカソのデッサンを非難するが、それは旧来の写実的画法では描けないとピカソが考えたからにほかならない。 かつて文芸界で飛び交った「人間が描けてない」という批判は80年代以降には効力を失った。現代文学はそもそもそれまでの小説の意味や技法に疑問を抱いたところから出発している。その代表格が、高橋源一郎・島田雅彦・田中康夫らである。確かに各氏の処女作は物議を醸した。 この様に小説は時代を斬り、時代が小説を産んだと言える。本書には、約300篇もの小説を10年単位で区切り、当時の時代の空気をすくい取りながら、簡潔な解説の中に時に容赦のない筆誅を下す。 すっかり廃れたと思っていたプロレタリア文学や私小説がその形を時代の器に合わせ変容し生き延びていたり…同時代の文学を鳥の眼と虫の眼のデュアルレンズでもって、昭和~平成の世相史が学べる副産物もある労作。

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2019/05/09

60年代以降の日本文学史ということで、私はまあまあリアルタイムで読んできているものが多く、臨場感モリモリだった。 しかしこれだけ多岐多彩に渡る作品群を、まずはもちろん読み、明解に解析し、グルーピングする手腕はさすが。 こうしてみると、私小説や不倫小説のめった斬りは爽快だし、フェ...

60年代以降の日本文学史ということで、私はまあまあリアルタイムで読んできているものが多く、臨場感モリモリだった。 しかしこれだけ多岐多彩に渡る作品群を、まずはもちろん読み、明解に解析し、グルーピングする手腕はさすが。 こうしてみると、私小説や不倫小説のめった斬りは爽快だし、フェミニズム文学もうまく網羅しているし、偽史が意外と多いというのも納得。

Posted byブクログ

2019/02/02

1960年代から2010年代の小説がどうであったから、そして、今後日本文学はどのように向かうのかが示唆される。 帯に、「きっとある!あのとき、あなたが読んだ本」の位置付けが良くわかり、現代の小説を全体的に理解できる著書である。

Posted byブクログ

2019/01/22

さすが美奈子オネエサマ、ズッパリ切り込みつつも読者を小説の世界に誘い込む仕掛けがふんだんに盛り込まれている。読みたくなった本が多数、困った。

Posted byブクログ

2019/01/17

秋の新刊ですぐ買ったのに積読のまま年を越してしまい、新年の読書はじめの一冊に。 年末の読書欄近況によるとこの書き下ろしのために一年かかりきりだったという渾身の同時代文学史。作品の本質や値打ちを見抜く目は当代随一かつおもしろく読ませる筆力も天下一品の著者だけに、よく整理されており読...

秋の新刊ですぐ買ったのに積読のまま年を越してしまい、新年の読書はじめの一冊に。 年末の読書欄近況によるとこの書き下ろしのために一年かかりきりだったという渾身の同時代文学史。作品の本質や値打ちを見抜く目は当代随一かつおもしろく読ませる筆力も天下一品の著者だけに、よく整理されており読みやすく、1960年代からの50年の小説作品を通してその時代の空気を知り、また時代ごとの社会状況から文学を知ることができる。 この本をとっかかりに読んでみようと思える作品がぞろぞろ出てきてしまう危険な読書案内ともいえる。

Posted byブクログ