変化球男子 の商品レビュー
昨今のYA文学では、ジェンダー(トランスジェンダー)をテーマとしたものも少なくありません。 私がはじめて「性同一性障害」の存在を知ったのは「3年B組金八先生」で上戸彩が「性自認が男子の女子生徒」を演じたときでした。 地震の性自認や性的志向は極めて個人的な問題ですから、それぞれ...
昨今のYA文学では、ジェンダー(トランスジェンダー)をテーマとしたものも少なくありません。 私がはじめて「性同一性障害」の存在を知ったのは「3年B組金八先生」で上戸彩が「性自認が男子の女子生徒」を演じたときでした。 地震の性自認や性的志向は極めて個人的な問題ですから、それぞれの当事者にそれぞれの苦悩と幸せがあるのだと思います。 この作品の主人公のシェーンが直面する、「周りに女子だとばれること」「その”異質”な自分の正体を知った時に親友が離れてしまうのではないかという不安」「学校や野球チームといった居場所がなくなることの恐怖」などが鮮明に描かれていますし、周囲の人々に支えられながら成長してゆく主人公の姿はYA文学の良さを感じることができます。 読者としては、シェーンの心情に共感するというよりも、彼の姿を追いながら、「周囲の人がどのように振る舞ったことで主人公が傷ついたのか」という経験を参考に他者への思いやりや優しさを身につける、ということになるのでしょうか。その人が、その人らしくあるために「周囲の承認」も「許可」も必要ありません(ドラマ「梨泰院クラス」でも似たようなメッセージが描かれていましたが)。 とはいえ、実際にはこの作品のようなエンディングを迎えることができる「幸運な」当事者は多くないでしょうし、YA小説とはいえ(だからこそ?)もう少しリアルな「人間が異質な他者を排除しようとする」姿があった方が良かったのかな、とも思います。
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トランスジェンダーの主人公が、周りの人の言葉や態度に傷つき、この世の終わりのように感じて部屋から出られなくなってしまう。しかし、そこから救い出してくれたのも、やはり人なんだ! 人は、自分とは異質なもの、よくわからないものを恐れ排除しようとするけれど、そうしないためにはまずは知るこ...
トランスジェンダーの主人公が、周りの人の言葉や態度に傷つき、この世の終わりのように感じて部屋から出られなくなってしまう。しかし、そこから救い出してくれたのも、やはり人なんだ! 人は、自分とは異質なもの、よくわからないものを恐れ排除しようとするけれど、そうしないためにはまずは知ることが大切だと強く思う。そして、主人公の親友がそうしたように、周りに流されず自分でしっかり考えて判断できるようにしたい。
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野球に夢中なシェーンの心は男。パパの再婚や友人関係、思春期のゴタゴタにも自然に立ち向かう。応援してくれる大人や友人がいるから! #中高生
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自分が自分でいられない。 自分でいることを否定される。 自分でいることを疑われる。 ここまではっきり確信できない人はさらにつらいのかもしれないな。 物語のラスト、私はそんなに納得できなかった。 それがなきゃ認められないなんて。 でも、きっかけとしては確かに大きいんだろうな。 表紙...
自分が自分でいられない。 自分でいることを否定される。 自分でいることを疑われる。 ここまではっきり確信できない人はさらにつらいのかもしれないな。 物語のラスト、私はそんなに納得できなかった。 それがなきゃ認められないなんて。 でも、きっかけとしては確かに大きいんだろうな。 表紙から内容が想像できない作品。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
明日は大切な試合だ。 チームでエースピッチャーをしている僕は気になりながらも父さんのいるサンフランシスコに行く。 親友のジョシュはぶつくさ言ってたけど、どうしても外せない用事があるんだ。 シェーンは女の子の体で生まれた男の子だ。 ロスではいい友だちと環境に恵まれて男子として過ごしていたけど、過去が追いかけてきて…。 〇シェーンが大切なんだけども、不器用な大人たちの行動がリアルだ。 〇マデリンは悪くなくてSOGI が異なっていただけなのだと思う。 〇相手のことをラベリングするのではなく、“知る”ことの大切さ。
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トランスジェンダーのシェーン。野球の投手。体は女、心は男。親友がいて、いい感じの野球チームにいて、可愛いと思う女の子もいる。 でも… すごく面白く、考えさせられる物語だった。性を捉え直すきっかけになるし、こういう「辛さ」を抱えた人たち、子供たちが世の中にたくさんいることを当た...
トランスジェンダーのシェーン。野球の投手。体は女、心は男。親友がいて、いい感じの野球チームにいて、可愛いと思う女の子もいる。 でも… すごく面白く、考えさせられる物語だった。性を捉え直すきっかけになるし、こういう「辛さ」を抱えた人たち、子供たちが世の中にたくさんいることを当たり前として心に止めないといけない。 ニコ最低や、球ぶつけんぞ。怒 爽やかな読後感だった。 人生はしんどいことといいことが手を繋いでやってくる。何を選んでどう戦うかは自分次第。読んで良かった。
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LGBTQの本棚から 第95回 「変化球男子」 12歳のシェーンはトランスジェンダーの男子……。 体に女性化するホルモンブロックを埋め込み、女性化を防いでいます。 女子、だったサンフランシスコを離れ、ロサンゼルスでは男子として暮らしています。 そうしてもうそろそろ男性ホルモンを...
LGBTQの本棚から 第95回 「変化球男子」 12歳のシェーンはトランスジェンダーの男子……。 体に女性化するホルモンブロックを埋め込み、女性化を防いでいます。 女子、だったサンフランシスコを離れ、ロサンゼルスでは男子として暮らしています。 そうしてもうそろそろ男性ホルモンをいれなくてはならない時期なのに、お父さんはいまだに“うちの娘”だと言い張って聞かず、サインしてくれません。 両親のサインがなければ男性ホルモンは打てないのです……。 というような話を読むと、アメリカと日本はかなり違うんだな、と思います。 そういう知識は必要……。 そうして、男性パートを歌いたいといったシェーンに、音楽の先生は、みんな自分の歌いたいところを歌うことにしましょう、といってくれます。 こういう対応は見事で、なるほど、こうすればいいのか、とこういえばいいのか、と思います。 大人は読んでおくべきでしょう。 子どもには、マンガでなく活字で、そのうえ外国の本はハードルが高いですが、図書館の本というのは読まれるだけが仕事ではありません。 そこに並んでいるだけで、この部屋はあなたの味方ですよ、ということを示すことになるのです。 なので、LGBTQの棚を作り、そこにはこういう本をきちんと並べておいてください。 2019年06月24日
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