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野の春 の商品レビュー

4.7

37件のお客様レビュー

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2023/05/08

著者、宮本輝さんの作品、ブクログ登録は10冊目になります。 宮本輝さん、どのような方か、ウィキペディアで再確認しておきます。 宮本 輝(みやもと てる、1947年(昭和22年)3月6日 - )は、日本の小説家。本名は宮本正仁。兵庫県神戸市に生まれる。後、愛媛県、大阪府、富山県...

著者、宮本輝さんの作品、ブクログ登録は10冊目になります。 宮本輝さん、どのような方か、ウィキペディアで再確認しておきます。 宮本 輝(みやもと てる、1947年(昭和22年)3月6日 - )は、日本の小説家。本名は宮本正仁。兵庫県神戸市に生まれる。後、愛媛県、大阪府、富山県に転居。関西大倉中学校・高等学校、追手門学院大学文学部卒業。 1947年(昭和22年)、自動車部品を扱う事業を手掛けていた宮本熊市の長男として生まれる。 今回手にしたのは、著者の実父を主人公にした、自伝的な小説になります。 全9巻という、著者のライフワーク的な作品と言われています。 ようやく、本日、最終第9巻のレビューを投稿します。 第1巻のレビュー投稿が2018年6月9日なので、最終巻に至るまで、4年以上かかってしまいました。 で、本作(流転の海 第九部)の内容は、次のとおり。(コピペです) 執筆37年、シリーズ累計230万部の大作「流転の海」、第九部でついに完結。自らの父をモデルにした松坂熊吾の波瀾の人生を、戦後日本を背景に描く自伝的大河小説「流転の海」。昭和四十二年、熊吾が五十歳で授かった息子・伸仁は二十歳の誕生日を迎える。しかし熊吾の人生の最期には、何が待ち受けていたのか。妻の房江は、伸仁はどう生きていくのか。幸せとは、宿命とは何だろうか――。感動の最終幕へ。 ●2023年5月8日、追記。 昨日の聖教新聞に、著者のインタビュー記事が載っていた。 本作の登場人物は、全9巻を通じて、1200人を超えるそうです。

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2021/05/24

20代の頃、夫におススメされて読み始めた本作。ついに最終巻を迎えました。 本巻では私自身が松坂熊吾の最期を看取ったような気持ちになり、20年以上読み続けてきた物語が完結したんだなあ、と今は感無量です。 読み終えるのがもったいなくて、感慨深過ぎて、かなりゆっくり読んでしまった...

20代の頃、夫におススメされて読み始めた本作。ついに最終巻を迎えました。 本巻では私自身が松坂熊吾の最期を看取ったような気持ちになり、20年以上読み続けてきた物語が完結したんだなあ、と今は感無量です。 読み終えるのがもったいなくて、感慨深過ぎて、かなりゆっくり読んでしまった(笑)。 主人公の熊吾は、戦中も、戦後の混乱の中も逞しく生き抜き、その過程で得たと思われる自身の哲学を柱にして多くの人と接していきます。 周辺からの評価は人徳者で情が厚く、商才もあってエネルギッシュ。 こんなに素晴らしい人間でありながら、一方で脇が甘く、何度も使いこみをされ、何度も会社を倒産させ、何度も浮気をし、自分の健康管理も疎か。 妻の房江にはDVを繰り返し、最愛の息子には人生最大の失言をする・・・ 羽振りがよく大金持ちだった頃の面影はなく、最後は事業を縮小し借金をかかえ、たいして好きでもない愛人宅の借家で暮らし、持病が悪化していく。 そして最期は精神病院で迎えなければならず、ひっそりとあっけなく旅立ってゆく・・・ たくさんの人に慕われながら、本当に親しい人たちに見送ってもらえたことで清々しい気持ちになったとはいえ、今までの経歴を考えるとこの最期はなんだかさみしかったです。 人の一生って何なんだろうなと、思わずにはいられません。 一方で、妻の房江の変貌ぶりには驚愕さえ覚えます。 あんなに儚げだった彼女が、苦労を乗り越え、自ら仕事を取り仕切りながら生き生きと働く姿は1巻では想像できませんでしたね。 やっぱり人の一生ってわからないー 願わくはノブちゃんが幸せな人生を・・・と思ったけど、ノブちゃんは著者自身でしたね。 宮本輝さん、お父様からのコトバを上手に昇華して、私を揺さぶる素晴らしい作品をありがとうございました! これからも応援しています。

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2022/11/28

芥川賞作家、宮本輝が37年を費やした全9部の自伝的大河作品。 自分も約25年かけて、たった今読み終わった。 読み始めたきっかけは、同氏原作のテレビドラマ『青が散る』のテーマソングを、お気に入りの松田聖子が歌っていたからだと思う。たぶんそれで小説を読んで面白かったので、連続して宮本...

芥川賞作家、宮本輝が37年を費やした全9部の自伝的大河作品。 自分も約25年かけて、たった今読み終わった。 読み始めたきっかけは、同氏原作のテレビドラマ『青が散る』のテーマソングを、お気に入りの松田聖子が歌っていたからだと思う。たぶんそれで小説を読んで面白かったので、連続して宮本作品を読み漁った中の1冊だった。 以来、豪快でスケールの大きい漢、松坂熊吾に憧れてその人生の続きを楽しみにしていた。 そして今回終った……。 あまりに長い道のりだったので、この場で感想をまとめることはできない。そもそも1部から8部の内容をたぶん1割くらいしか覚えていない。 でも、はっきり言えることが1つだけある。それは豪快でスケールの大きい主人公の最期が意外にあっさりしていたということ。 第二次世界大戦の激戦地でも生き抜き、自らの才能で大きな商売をしていた漢が、最期は家族にもそれほど構われずに、しかも精神病院の片隅で静かに死ぬ……。 ちょっとみじめじゃないか? 最後から3ページくらいまでそう思っていたが、よく考えると自分の両親も含めて人の死、特に高齢者の死というのは熊吾のようにあっさりしているケースが多いのかもしれない。作者はその現実をリアルに描いただけだろう。 その部分も含めて「人生ってなんだろう」を深く深く考えさせられる作品だった。 宮本輝さん、25年間楽しませていただきありがとうございました。そして37年間お疲れさまでした!

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2021/04/23

■光の当たる場所に出ては、またすぐに影になる。それでも懲りずに、動くお天道様を追いかけ続けた主人公とそれを取り巻く人々の人生。いよいよ結末へ。■ 全九巻、書き終えるまでに37年かかった大作ということで、読み始めるのにしり込みしそうだが、人生、生き様、人の世についてこれほど面白く...

■光の当たる場所に出ては、またすぐに影になる。それでも懲りずに、動くお天道様を追いかけ続けた主人公とそれを取り巻く人々の人生。いよいよ結末へ。■ 全九巻、書き終えるまでに37年かかった大作ということで、読み始めるのにしり込みしそうだが、人生、生き様、人の世についてこれほど面白く、深く、リアルに描かれた物語は本当に稀有だと思う。 第九部ではいよいよ高齢の域に差し掛かった熊吾が、徐々に人生の最期に向かっていく期間を描いている。 妻房江は自身の家系の宿命と夫の家系の宿命を冷静に見ていた。房江は馬場家の短命という宿命を、思わぬことで断ち切ることになった。一方の熊後は、息子が二十歳になるまでは生きるという誓いは達成したが、己の宿命らしきものにはあらがえなかったようだ。 人間はみな宿命という荷物を背負って生まれ、神(魔物と言うべきか)の手のひらで踊らされているだけなのだろうか。 そうではないと思った。 良き人生だったか否かという尺度や考え方は、持って生まれた宿命に左右されるものではない。淡く温かい春の空気に包まれるような物語の最後は、宿命という足かせに捕らわれつつも、腐ることなく、その人なりにまっすぐ生きた者に天から与えられる祝福のようなものを感じさせる。 波乱万丈の人生、海千山千の栄枯盛衰から想像される感情とは対照的なさわやかな読後感が残った。

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2020/12/16

まだ認めたくない。 私はまだ熊吾さんを認めたくない。 悪い人じゃないし、人のためにできることをやってあげようと言う性分なんだろう。 でも、やりたい放題やって、それが人にたまたま愛されたかもしれないって事ではないのか? とひねくれている私は思ってしまう。 私がまだ読むにはま...

まだ認めたくない。 私はまだ熊吾さんを認めたくない。 悪い人じゃないし、人のためにできることをやってあげようと言う性分なんだろう。 でも、やりたい放題やって、それが人にたまたま愛されたかもしれないって事ではないのか? とひねくれている私は思ってしまう。 私がまだ読むにはまだ早すぎたのかなぁ。 まだまだ私もヒヨッコだわ。

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2020/11/03

最高に面白い。 主人公の生き様が心地いい。 登場人物もそれぞれに個性があって良い。 ただ、「あの人はどうなった?」と気になる登場人物も多く、 (昔の部下とか、富山時代人とか) それらの人物に、もっと触れてほしかった面もある。 でも文句なく面白い。

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2020/10/23

全9巻。読み終わるのにかなり時間がかった。 読み切った感想。読んで良かった。 松坂熊吾の仕事への生き様、女性関係など、男の自分としては羨ましいところがあった。 1人の男の人生でここまで色んなことが起こるのか。しかし、、、最終巻で回収された伏線は自分の想像していたものと違った...

全9巻。読み終わるのにかなり時間がかった。 読み切った感想。読んで良かった。 松坂熊吾の仕事への生き様、女性関係など、男の自分としては羨ましいところがあった。 1人の男の人生でここまで色んなことが起こるのか。しかし、、、最終巻で回収された伏線は自分の想像していたものと違った。 宿命ーーー「ああ、これが私の宿命やと気づいて、自分の意志でそれを乗り越えようとせえへんかぎり、宿命には勝たれへん。」 人の宿命に少し呆然とした。ゾクッとした。 学ぶべきことの多い作品だった。自分に今小さい子どもがいてるため、尚さら、今読んだことに意味があったと思う。子どもが大きくなったらまた読みたい。また、自分の子どもとの思い出もこれぐらい語れるようにこれから生きたい。

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2020/09/26

大人になってずっと読んできた長編、途中やめようかと思った刊もあったけれど、最終巻が良い終わり方でホッとした。

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2020/09/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最終巻なので、エンディングに向けて主人公熊吾の死にだんだんと近づいていくのは不思議な感覚。 長かった物語も、これ以上続きが読めないのは残念だが、思えば、この続きが、流転の海刊行開始前に発表された『春の夢』につながっているのが、改めて分かった。時系列を遡る連環にスターウォーズサーガのような壮大さに近いものまで感じた。当時出版直後の『春の夢』と川三部作を中心に卒論を執筆したのでなおのこと感慨深い。

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2020/07/06

戦後を生きた人々の、「ひとりひとりの無名の人間のなかの壮大な生病老死の劇」(著者あとがき)を描いた「流転の海」シリーズ最終巻。 37年に及ぶ執筆期間を、著者と共に生きてこられた読者の方々にも敬意を表したい。 ホンギの台詞「私は大将と話していると、たっとばれているという気がしま...

戦後を生きた人々の、「ひとりひとりの無名の人間のなかの壮大な生病老死の劇」(著者あとがき)を描いた「流転の海」シリーズ最終巻。 37年に及ぶ執筆期間を、著者と共に生きてこられた読者の方々にも敬意を表したい。 ホンギの台詞「私は大将と話していると、たっとばれているという気がします。」熊吾の魅力は、そこなんじゃないかと思う。 熊吾の蒔いた種があちこちで芽を出している。それなのに本人は...とラスト呆然としたが、それが熊吾らしいのかな。 改めて表紙を眺める。 房江さんの目に写る「いつもいつも春だけの野」。 たくさんの間違いと、たくさんの後悔がある。宿命という自分の中の「手強い敵」もある。 そういうものと対峙しながら、熊吾の「なにがどうなろうと、たいしたことはあらせん」という声に励まされて、読者はそれぞれの生を生きていく。 榎俊幸氏の素敵な装画。

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