語り継ぐこの国のかたち の商品レビュー
半藤氏の書籍から読みやすそうなものをとチョイスしました。が、やはり歴年の編集者であり、作家である著者の話に引っ張り込まれました。これからの日本を考えた優れた書であると思います。
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半藤さんは1930年〈昭和5年〉5月21日 生まれで、 2021年〈令和3年〉1月12日に亡くなられている。 江戸時代の終わりから現代まで、日本で起きた戦争で、何が誤りだったのかを、平和主義者の半藤さんの眼で説いていく。 特に日露戦争から太平洋戦争までの流れの中で、日本軍の誰が...
半藤さんは1930年〈昭和5年〉5月21日 生まれで、 2021年〈令和3年〉1月12日に亡くなられている。 江戸時代の終わりから現代まで、日本で起きた戦争で、何が誤りだったのかを、平和主義者の半藤さんの眼で説いていく。 特に日露戦争から太平洋戦争までの流れの中で、日本軍の誰がどういう行動をしていたかは非常に参考になった。 太平洋戦争では、特に帝国陸軍の司令官や参謀の暴走が、結果的に300万人以上の人の命と、とてつもない財産を奪うことになる。陸海軍人の死者は約240万人だったが、7割は広義の餓死で、食糧の補給がされず島々に見捨てられた無念の死だと言う。 昭和53年 靖国神社にA級戦犯が合祀され、これによって政治的な施設となる。その為天皇陛下は参拝には行っていない。 第二部の「この国の未来に伝えたいこと」では、半藤さんが思う「歴史から学ぶ」ことが語られていると思う。 必要なのは、より長期的な観点での日本の明日をどうしたらいいかを踏まえた、より大きな社会構想だと言われる。 特定秘密保護法の成立等、戦前を思い出させるような流れを感じさせる中、我々が出来ることは、歴史から学び平和を考え、共感できる政治家を選ぶこと。また誤った方向に進みそうな場合は、きちんと声をあげることなんだろうな。
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日本の過去に起こった戦争。 それをただ単に 過去の事象として見ていくのではなく それらを きちんと教訓としていくべきであると 著者は語っている。 戦争中は 戦果が悪いのにも関わらず 不都合な事実は上に伝えない。 他国の武器の向上を知りつつも 改善しなかった。 敵が自動式銃を使っていたのに 日本は旧式の銃だった。 それは 三八式銃の玉が沢山作ってしまっていたから。 (そんな理由で?!) 戦車など 敵は厚い鉄板だけど日本はぺらぺら。 当時の偉い人達は そういう他国の情報など 知らなかったというのではなく 知っていたのに 無視して今までの事に固辞していった。 更に 底知れぬ 無責任さ。 精神論で勝てるだろうと 思っていた上層部。 そして計画が失敗しても 責任を取らされず 忘れたころに また 参謀に戻るという状況。 こういうのを読んでいくと 今と変わらないじゃないですか。。 本書の中に ジャーナリストの 石橋湛山(いしばしたんざん)さんの事が書かれていました。私は知らない人でしたけど 東洋経済新報社の方で 正しい事をキチンという 凄い人だったようです。 昭和の前の 大正10年ころに書いた論文では 植民地を手放そうというものだったそうです。もし日本がそういう事をすれば ヨーロッパ諸国は驚くだろうし 弱小国は喜ぶ事だったし 自由主義国家 日本という 立場が確立できたでしょう。 日清戦争後 皆がもろ手をあげて 喜んでいた時に こういう風に将来を見据えた事を言えた人は 凄いですね。 現在にもいて欲しい人ですね。 作家の小泉信三さんの事も書かれていました。 この方も私は知りませんでしたが 凄い人のようですね。 フェアプレーについて 公明正大に勝つために全力を尽くし 勝った時には奢らず負けた時は粛々と負ける。そういう事を 若い人に伝えていた人だったようです。 著者が ボート選手だったから 特に伝えたのかもしれませんが。 最後に この本のタイトルである 語り継ぐこの国のかたちについて 司馬遼太郎さんの言葉などを混ぜて書かれていました。 戦争が始まったのは 憲法の解釈を変えて軍が突っ走ってしまった。 そして今この日本も危ない方向へ進んでいるのではと お二人は憂いています。 昔ながらの良い日本にと。。。 美しい日本の風景をもうこれ以上壊さない。 トトロの時代を懐かしく思うだけではなく 自然を大切にして 家族を大切にしていた あの時代に・・・・ 半藤さんのような方が どんどん 亡くなってしまって 私たちは 誰の背中を見て行けばよいのでしょうか? 将来 こういう書籍が読めなくなうような 世の中にならない事を願います。
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第二次世界大戦へといたる日本人の「過ち」の半藤一利なりの捉え方。 15歳のときに8月15日の終戦をむかえた半藤にとっては、いろいろな命題がある。 ・薩長がつくり薩長が滅ぼした ・統帥権の問題は、帝国憲法制定の前から埋め込まれていた ・日本人固有の心性として、根拠なき自己過信、驕慢な無知、そして底知れぬ無責任という3つがあった ・海大、陸大の軍人の育て方に問題 ・もともともっていた指揮官のイメージと参謀の関係が問題だった ・明治天皇は、対外的な問題をよく理解していた。昭和天皇には、情報がよく入らなかった ・第二次大戦で死んだ軍人のほとんどは餓死だった 後半は、陸奥宗光を通じて、外交上の取り組みがどのように厳しいものだったか、また、石橋湛山を通じて、小日本主義といった当時のおかしな日本の精神のあり方に対する反発心の例も示している。メディアや知識人のありかたとしては、小泉信三の名前も上がっている。ある種の「気概」や「気骨」といったものだが、日本人の弱さというのは、とどのつまり、自らを相対化できないということではないか。 そして、まさに題名にもなっている「この国のかたち」。これが「国体」に対応した概念であることは指摘されて初めて気がついた。天皇を中心とする政治秩序を国のありかたと同一視するのはやや無理があるというのが率直な印象だが、それくらい第二次大戦当時の考え方として「国体」というのが何にも増して重視されていたというのは驚くべきことだ。 司馬遼太郎が晩年に希望をもつとすれば国民が自然をこれ以上破壊しないという一点だと述べていたようだが、そのあたりは、確かに期待してよいのではないか。
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若い人向けということでトピックを選んで編集されているもので、分かりやすく為になることが沢山書かれていた
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タイトルを見て違和感を感じたのだが、やはり司馬遼太郎著「この国のかたち」を引き継ぐという意味が込められていた。 本書を読むことで、なぜ著者が昭和史にこだわってこられたのかを理解することができた。そして、今の政治に対するメディアの在り方が非常に悪く、信念を通すメディアの登場を切に期待する。また、今の時代はSNSを通して誰でも発信することができる時代であるため、自分でも知識を高めて、この国が将来どうあるべきかを真剣に考えて発信していきたいと思う。 さて本書であるが、エッセイ風に明治、大正、昭和と歴史とともに語り継がれている。前半では明治天皇の和歌を通して日露戦争を振り返る。その後の太平洋戦争までは参謀本部を通してなぜ暴走してしまったのかが記されている。 そして第二部では陸奥宗光による信念を貫くために死を賭した外交、軍部が力をつけていく中でもメディアとして真実を伝えるために戦い続けた石橋湛山、小泉信三を取り上げ、現在のメディアの不甲斐なさを嘆かれている。 最後には、子供や孫たちに日本の原風景である自然を残すことの重要性を宮崎駿氏「となりのトトロ」を取り上げて主張されている。 また、私は多くの司馬遼太郎ファンと同様に彼の歴史小説は全て読破したが、今の日本のベースとなった昭和史の作品がないことに非常に不思議でもあり残念でもあったが、その謎がやっと解けた。司馬遼太郎氏が昭和史を書くために参謀本部、その中でもノモンハン事件に注目して、様々な調査をしていたにも関わらず、最後まで小説を書かなかったという事実が記されている。 そして昭和史をより理解するために、半藤一利氏の小説をこれから読んでみたいと思う。
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久し振りに読んだ半藤もの。司馬遼太郎さんにノモンハンを書いた本は無い。なぜノモンハン事件を書かなかった、書けなかったが、これを読んでよくわかった。
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半藤一利氏の歴史書であるが、何時もの冷静な筆致とは異なる印象を受けた 遺言のような熱い思い入れが感じられた 現在の日本の有り様に強い警鐘を鳴らす それは、昭和の日本に似た取り返しのつかない誤りを犯しつつあるのでは、という問題提起である 歴史に関わる者として、この現状に不甲斐なさを...
半藤一利氏の歴史書であるが、何時もの冷静な筆致とは異なる印象を受けた 遺言のような熱い思い入れが感じられた 現在の日本の有り様に強い警鐘を鳴らす それは、昭和の日本に似た取り返しのつかない誤りを犯しつつあるのでは、という問題提起である 歴史に関わる者として、この現状に不甲斐なさを感じている、悲憤慷慨の書である 恩師の司馬遼太郎氏が存命なら、手を携えて世間に訴え、インパクトをなしえたのではという忸怩たる思いも窺える 日露戦争を大勝利として大盤振る舞いし、リアリズムに蓋をしたツケが大敗戦 国民も軍人もイケイケあるのみ 謙虚さを忘れ、傲岸さは、アジアの人びとを見下した 欧米の力を侮り、精神力で凌駕できると非科学的な信念に国がまとまった怖さ この性向は現代の日本にも通じるものがある 国家ビジョンの喪失が「理念無き国家」をもたらした 私としては、半藤一利氏最高の一書と思う 記録・歴史書とはひと味違う世界も面白いし、世に必要だ。 10年後、再読してみたい
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半藤さんの本のなかで、この本が一番メッセージ性の ある内容だったような気がします。 他の本がそうではないといったことではないですが。 この国のかたちって何か気になっていたのですが 司馬さんのタイトルだったです。
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