14歳、明日の時間割 の商品レビュー
中学生で小説家デビューした鈴木るりかさんの2作目。 「国語」「数学」「道徳」などの教科の名前がついている短編集だ。 舞台は中学校。登場人物は中学生とその家族、教師。 最初の「国語」の主人公が三木明日香という中学生で小説家デビューした女の子だったので、この後の話もこの子が主人公で...
中学生で小説家デビューした鈴木るりかさんの2作目。 「国語」「数学」「道徳」などの教科の名前がついている短編集だ。 舞台は中学校。登場人物は中学生とその家族、教師。 最初の「国語」の主人公が三木明日香という中学生で小説家デビューした女の子だったので、この後の話もこの子が主人公で話が進むものと思っていた。 あまり主人公が名前呼びされないこともあり、2作目(家庭科。家庭科が得意な女子が主人公)の主人公も三木明日香だと思って読んでいた・・・。 「あれ?家庭科の先生になるの?小説家は辞めるのか?」とか思いながら読んでしまったよ。 「体育」の、主人公とおじいさんとの交流が良かったなぁ。 おじいさんが孫に言う言葉、私もすごくよく分かるよ。私、もう40だからなぁ。 若い子はみんな健康的で美しい、みんなきれいで格好いいってことも。 渦中にいる10代の子たちが、そういう言葉を求めているんじゃないっていうのもわかるんだよ。私もかつてそういうことを気にしていたから。美形かどうか、異性を惹きつけるかどうか、そういうことが大事なときだからね、思春期は。 でも、その時期を過ぎて、若いって素晴らしかったな、と心から思うんだよね。 私の中に、もっと素直に、あのときの言葉を受け入れられる心があれば良かったのにな。 おじいさんが語った、おじいさんの父親は戦争で子供の顔を見ることもなく亡くなり、自分は十分長生きしたから思い残しはないということも、なんかわかるよ。 身近に若くして亡くなった人がいるが、私はきっとその人のことをずっと忘れないと思う。逆にいうと、年を取って亡くなった祖父のことは、「思い出す」ことがある(つまり、普段は忘れていられる)のだ。 死んでから、忘れてもらえるくらいがちょうどいい。と言うのは、生をまっとうした人だからこそだと思った。 だから、「どんな姿になっても、命の砂時計の最後のひと粒が落ちきる瞬間までは生きている」。こんな染みる言葉を孫に話して聞かせることができて、おじいさん、良かったよね。 「放課後」の主人公である先生は、ほぼ私と同じ年の大人(ただし男性)だ。 「国語」にも登場した、妙に拗ねてる先生。 でも、大人だからこそ、素直な気持ちを思い出すとか、初心にかえれることってあるのかも。 小説家は、人の作品を批評したり分析するより、読んでくれる人を思って書くことが大切なんだろう。 この先生の未来も、ちょっと明るい気がしてきた(まぁ、現実的には難しいんだろうけど、賞とか関係なく書きたいものを書くというのは良いことだと思う!)。 それにしても、この物語のすべてに登場する「中原くん」。彼はいいね。 私の中学生時代にも、スーパーマンがいた。彼を思い出したよ。 勉強とスポーツができるのはもちろん、人が照れてしまうようなことも素直にすっと言える、彼がいうと嫌味にならないし、大人・こどもどちらの懐にもすっと入っていくような。そんな男子がいたなぁ。 こう書いてて「そんな完璧な同級生は本当に存在したのか?幻では?」なんて思い出すくらい。中原くんも、幻感があったなぁ。 でも、きっと誰の心の中にも中原くんはいるのではないだろうか。 「中学生」って、誰でも通る道だから、この本を読んで多くの人が懐かしいセンチメンタルな気持ちになったり、登場人物の誰かに心を寄せたりすることができると思う。 いい本だった。
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凄く読みやすい文章だった。 自分も体育に授業が心の底から嫌いだったので、凄く共感した。 チャプターが時間割で区切られてて面白いなと思った。
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アマゾンの読了リストから発掘。 読後じんわり涙がにじんで、なんだかやられたなあという気持ちになったのを覚えている。 著者が当時12~14歳くらいだったはずなのでそれが念頭にある上で読んだものだから、やられたな、と思ったのだ。 今の自分がこんな風に書けるかと言われたら書けないので文...
アマゾンの読了リストから発掘。 読後じんわり涙がにじんで、なんだかやられたなあという気持ちになったのを覚えている。 著者が当時12~14歳くらいだったはずなのでそれが念頭にある上で読んだものだから、やられたな、と思ったのだ。 今の自分がこんな風に書けるかと言われたら書けないので文才というのはあるのだろうな。 著者の情報は同年代にはどう映るのだろう。その情報が邪魔をするかもしれないので是非フラットな気持ちで読んでほしい。中学生にすすめたい一冊ではあった。
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前作に引き続き読んだので、文章の上達ぶりがよく分かった(上から目線でごめん!)。物事を理解する力って、年齢じゃないんだとつくづく思った。それこそ、何才になっても分からない人には分からない。作者の鋭さに脱帽するばかり。最後の章は中原くんかなと期待したが、違った。中原くん目線もいつか...
前作に引き続き読んだので、文章の上達ぶりがよく分かった(上から目線でごめん!)。物事を理解する力って、年齢じゃないんだとつくづく思った。それこそ、何才になっても分からない人には分からない。作者の鋭さに脱帽するばかり。最後の章は中原くんかなと期待したが、違った。中原くん目線もいつか読んでみたい。
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中学生の日々の生活を時間割形式で描いた七編が収められた連作短編集。学校生活が生き生きと描かれているのは、著書自身が中学三年生だからだろうか。本書全編に登場するスーパーヒーロー(←死語?)"中原君"の事情が解明される『五・六時間目 体育』の章は感動物の一編。前...
中学生の日々の生活を時間割形式で描いた七編が収められた連作短編集。学校生活が生き生きと描かれているのは、著書自身が中学三年生だからだろうか。本書全編に登場するスーパーヒーロー(←死語?)"中原君"の事情が解明される『五・六時間目 体育』の章は感動物の一編。前作「さよなら、田中さん」と合わせて読むと、この著者の凄さがよく分かる。一年後の出版で、全編書き下ろしだそう、、、。
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面白かった!中学生がこれを書いただなんてびっくり。全てのチャプターに登場する中原くんがとてもいいです。鈴木るりかさんのデビュー作、「さよなら、田中さん」も是非読みたい。
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これを中学生が書いたなんて!とある中学校の生徒がかわるがわる主人公になる短編集です。グランドホテル形式っていうのかな?こんな物語が書ける中学生って、どんな経験をしてきた人なんだろう。
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長男が借りていて、ぱらっと読んだら予想以上におもしろかった マラソンを走る話が、特にこどもにはうけていたし、私もこの部分をこどもに読ませたかったのでよかった
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この本は田中さんシリーズではないですが、面白く読めます。短編をつなぐキーはどのお話の主人公でもない人物、というのも面白い。
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母が娘(中3)にプレゼントしたいと教えてくれた作家さん。私が先に読了。この言葉を使いたかったのかなと感じてしまう文体もあるが、途中中学生が作者ということを忘れてしまうくらい引き込まれる箇所もあり。なんだか、自分と似てるなとも感じたり。娘もこんなこと考えてるのかなとも。ぼろぼろ泣け...
母が娘(中3)にプレゼントしたいと教えてくれた作家さん。私が先に読了。この言葉を使いたかったのかなと感じてしまう文体もあるが、途中中学生が作者ということを忘れてしまうくらい引き込まれる箇所もあり。なんだか、自分と似てるなとも感じたり。娘もこんなこと考えてるのかなとも。ぼろぼろ泣けて笑いのツボにもはまった内容。親の立場でちょっと作者が心配になったりして。
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