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異類婚姻譚 の商品レビュー

3.2

73件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

    35

  4. 2つ

    11

  5. 1つ

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2022/10/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

結婚や家庭に関する寓話4作。根底には人と関わりたくない思いがある気がした。 結婚すると互いに似てくるとはよく言うけれど、それを溶解していく妖怪のように描いたのは風刺がきいてて面白い。粗相をするからという理由で山に捨てられる猫のサンショと、主人公のサンちゃんは名前が似ているし、夫婦は互いに尻尾から食べ合って頭だけが残る蛇ボールだという話を聞く時サンちゃんは鰻の食べ比べ弁当に山椒を振って食べている。最後に山芍薬になった夫を、サンショを捨てた山に植えに行く。隣に咲くよく似た竜胆はサンショであってサンちゃんなのだと思う。 キタヱさん夫婦や弟カップルの様に似ない夫婦もいて、それは間に「何かを挟んでいる」ということなのだろうが、意識的にそうしない限り飲み込まれていくのが結婚なのかもしれないし、そうして似た者同士になった2人だけで人間であることをやめて山でひっそり生きるのもいいなと私は思う。人間社会で夫婦として生きていくのはストレスフルなのかもしれない。 「藁の夫」は解説を読んで、たしかに口うるさいだけの夫をどろどろに溶けた楽器ばかり吐き出して後には家畜の飼料のような藁しか残らない人間に見立てているとしたら相当面白いなと思った。

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2022/09/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一番初めの夫婦が顔が似てくる、と言う話が興味深かった。溶けて混ざり合って、一緒になることを拒否することもできるし同化を望むこともできると言うのは単なる比喩表現ではないと感じた。でも、猫を山に〜のところは理解できなかった。

Posted byブクログ

2022/09/09

本谷有希子4冊目くらい 古本で購入 短編集「異類婚姻譚」「トモ子のバームクーヘン」「犬たち」「藁の夫」 文体がとても読みやすい、以前読んだ短編集の猫殺しと殺人ハウスが怖すぎてもう読まない!と思ったけどやはりちょっと気になってしまう棘が、この本はそこまで恐怖でないまでも存在している...

本谷有希子4冊目くらい 古本で購入 短編集「異類婚姻譚」「トモ子のバームクーヘン」「犬たち」「藁の夫」 文体がとても読みやすい、以前読んだ短編集の猫殺しと殺人ハウスが怖すぎてもう読まない!と思ったけどやはりちょっと気になってしまう棘が、この本はそこまで恐怖でないまでも存在している〜 解説の通り家庭に閉じ込められそうな女性は「主婦」一括りではなくその中の恐怖安寧驚きの機微を映し出しているところが愛おしいなと思った。まだ描かれていない感情を全部描く。

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2022/07/26

文藝春秋で読む。旦那と混ざり合う、私サンちゃん。夫婦が似てくるとはよく言うが、蛇ボールのように、食わせ合う図はゾッとする。夫婦とは、そこまで密な関係になることなのだろうか。自分がなくなり、相手を取り込むこと。 なんとか人のカタチを維持しようとする旦那。あなたは一体、、、摩訶不思議...

文藝春秋で読む。旦那と混ざり合う、私サンちゃん。夫婦が似てくるとはよく言うが、蛇ボールのように、食わせ合う図はゾッとする。夫婦とは、そこまで密な関係になることなのだろうか。自分がなくなり、相手を取り込むこと。 なんとか人のカタチを維持しようとする旦那。あなたは一体、、、摩訶不思議な話ではあるが、おとぎ話じゃなくて、もっと現実味を帯びた、、、ここまではいかずとも、似た現象は起きているのではないかと思ったりする。結婚してないけど。笑

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2022/05/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

言い知れぬ不気味さと不快さがあった。 唾や揚げ物の表現はねっとりと絡み付く感じで読んでいて気持ちの良いものではなく、でもそれは夫婦間や男女感の例えなのかな。 好んで選んだビュッフェをたくさん残す、猫を飼い始めたときは考えもしなかったが山に捨てにいく。 依存し合う関係を見直し新しい道を選ぶ作品だと思った。

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2022/04/09

異類婚姻譚は、結婚のリアル?を描いているのかなと思った。 他の三篇は私には難しくあまり理解できなかった。藁人間とは、本当に藁人間が存在する世界線なのか、それとも人間の夫が藁人間のように見えてしまう妻の目線なのか謎が多い、、、

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2022/03/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【あらすじ】 専業主婦のサンちゃんは、ある日自分の顔が夫とそっくりになっていることに気づく。二匹の蛇が、互いの尻尾に食いつき、やがて頭だけの蛇ボールになるように、夫婦の境界がなくなっていく。夫と同化することに恐怖を覚えたサンちゃんは、夫に「好きな形になりなさい」と告げ、夫は山芍薬になる。 ほか、短編3篇。 【感想】 自分の夫婦関係になぞらえて、興味深く読んだが、他の短編も含めて、ホラーのようで少し怖かった。若干情景の表現が薄いような気がした。

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2022/02/25

結婚であり家庭であり。書かれている中身は大人びている。 でも読んだあとは何故か懐かしい、子供の頃に読んだ日本昔ばなしを思い出させる。

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2022/01/14

結婚すると夫婦は似る、と言う。 面倒くさがりな夫の顔が気を抜くと適当な配置になっているのを見て「私はいつ人間じゃないひとと結婚したんだろう」と思う。 それを寓話的に描いている本作。愛猫の粗相に悩むキタヱさんの話と相俟って、まさに異類婚姻譚と姥捨て山を現代風に語り直したような、不思...

結婚すると夫婦は似る、と言う。 面倒くさがりな夫の顔が気を抜くと適当な配置になっているのを見て「私はいつ人間じゃないひとと結婚したんだろう」と思う。 それを寓話的に描いている本作。愛猫の粗相に悩むキタヱさんの話と相俟って、まさに異類婚姻譚と姥捨て山を現代風に語り直したような、不思議だけど示唆的な話だった。 他3編も面白い。

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2023/03/05

専業主婦の私は自分の顔が夫とそっくりになっていることに気付く。 第154回芥川賞受賞した表題作ほか、短編4篇。 怪異とまではいかないけど奇妙な感覚の残る話。 そっくりの夫婦、飼い主と犬はいるよね。なぜか。 あの不快感を抱かせる夫が綺麗なものになるのは、ちょっと納得いかないけど

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