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中央銀行 の商品レビュー

4.6

14件のお客様レビュー

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2024/07/10

普段知ることのできない日本銀行の一端を垣間見る想い。 丁寧な文体は、著者の人柄を体現しているのだと思う。 なぜ量的緩和に慎重姿勢だったのかを理解した。

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2023/11/12

金融政策の理論や、総裁等の経験を踏まえた実際や葛藤、各種の課題などが詳細に記載されている。金融政策を決定した当時の政権や社会情勢との関係などは大変興味深い。

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2021/01/16

筆者が一般市民はもとより、エコノミスト、マクロ経済学者、政策担当者を読者として念頭に置いてると書いてあるが、まさにそれらの人にとって必読書であると思う。筆者についてはいわゆる「リフレ派」との論争が記憶にあるが、浅学菲才ながら、自分としては筆者の主張の方が論理的で納得感のあるもので...

筆者が一般市民はもとより、エコノミスト、マクロ経済学者、政策担当者を読者として念頭に置いてると書いてあるが、まさにそれらの人にとって必読書であると思う。筆者についてはいわゆる「リフレ派」との論争が記憶にあるが、浅学菲才ながら、自分としては筆者の主張の方が論理的で納得感のあるものであった。また、安倍政権のもとで発表された政府・日本銀行の共同声明について、後の日銀の金融政策に関する制約にならないよう苦心された様子が書かれていたが、その苦労が現総裁によって水泡に帰したと感じているが、筆者は現在の金融政策をどう思っているか知りたい。

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2020/07/04

著書の総裁時代の国会答弁が論理的で端正だったことに感銘を受けていたので、その考え方や行動原理を知りたくて購読した。目的は十分に達せられた。 各論については種々の立場や意見について網羅的な解説があり、その中で自分の取る立場や思いが明瞭に記されている。特に、それが誰の意見であるかを...

著書の総裁時代の国会答弁が論理的で端正だったことに感銘を受けていたので、その考え方や行動原理を知りたくて購読した。目的は十分に達せられた。 各論については種々の立場や意見について網羅的な解説があり、その中で自分の取る立場や思いが明瞭に記されている。特に、それが誰の意見であるかを明示するところが著者らしい誠実な態度だ。 何が正しいのかなどわからない、という懐疑主義がこの本の全体を貫いている。読者の中には正解を明示してくれない態度に業を煮やす向きもあるかもしれないが、私にはそれが著者の謙虚さに感じられた。学者の話が好きな人にはお勧めできると思う。

Posted byブクログ

2020/05/10

ちょうど経済学を専攻して一番中央銀行にも関心が向いていた時期の総裁の著した大著で、学生時代を懐かしく思い出した。 著者が日本銀行に入ってからのキャリアの一部、総裁となってから取り組んだ数々の課題についての二部、中央銀行の使命についての三部からなる。 デフレという立場によって意味が...

ちょうど経済学を専攻して一番中央銀行にも関心が向いていた時期の総裁の著した大著で、学生時代を懐かしく思い出した。 著者が日本銀行に入ってからのキャリアの一部、総裁となってから取り組んだ数々の課題についての二部、中央銀行の使命についての三部からなる。 デフレという立場によって意味が変わったりフレーミング効果のあるキーワードを使わないようにしていたが、このワードが国民にもたらした影響により日銀への信頼が薄くなると金融政策の土台が揺らぐために言及せざるを得なくなったりといった、中央銀行の発信が持つ大きな意義。他にもナラティブとして、失われた20年がある。人口動態の変化が存在する中で成長パフォーマンスはむしろ健闘した方だが、この言葉により根拠のない悲観論が生まれてしまう。人口動態の変化は中長期的には一人当たりGDPの成長に対して中立だが、短期的には様々な調整がスムーズにいかないことによるマイナスの影響がある。 東日本大震災時の迅速な対応はどんな組織においても不測事態への対処法として勉強になる。日本国民の円高の忌避。高橋財政が現代には参考にならない理由。公共財ではなく非排除的かつ競合的なコモンズ的財の金融システムの安定。金融政策は本質的には時間を買う政策であり、その間に社会として取り組むべきことに取り組む必要性がある。 10年を経て変わったこともあるが、変わらずに抱え続けている問題もある。今後も日本銀行には淡々と使命を果たしていってほしい。

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2019/10/12

自分が金融取引に真面目に取り組む前の総裁だったので地味なイメージしかなかったが、本当に深い洞察、信念が垣間見え、大変素晴らしい書籍だった。政治との関係など、普段われわれに見えない点がかかれていて大変興味深かった。後付け説明的なところもあるだろうけど、強い責任感は本物であったと感じ...

自分が金融取引に真面目に取り組む前の総裁だったので地味なイメージしかなかったが、本当に深い洞察、信念が垣間見え、大変素晴らしい書籍だった。政治との関係など、普段われわれに見えない点がかかれていて大変興味深かった。後付け説明的なところもあるだろうけど、強い責任感は本物であったと感じさせる。

Posted byブクログ

2019/05/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あとがきのページの最後までで738ページと、ここ最近で一番長い本だった。しかし実際、著者が日本銀行に勤めたのは39年であることを考えると、一冊の本に書ききれることも限られては来るのだろうと思う。 金融についてはとても疎いため、正直内容の半分も理解できていなかったと思うけれど、実体験に基づく金融を語っているので面白いなと思う部分も多々あった。金融の世界の構図や流れのようなものも知ることができ、同時に一人のキャリアの中でこれだけのことを経験し考え、伝えることができるのか、と個人的に感銘を受けた。 中央銀行と金融政策、そして財政がどれだけ私たちの経済に重要な役割を担っていて、私たちの暮らしに影響を与えるのもであるかが分かったので、もっときちんと勉強して、もう少し理論的な部分についても理解できるようになりたいと思った。

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2019/03/21

日本人100人のうち99人が興味のない内容だと思うが、この15年、円債投資、ALMとして金融政策に翻弄され続けている自分にとっては、本当に身近に感じる、貴重な本であった。 今の黒田緩和に対する意見は一切書かれていないが、読めば読むほど、出口のない現在の政策は間違っていると認識させ...

日本人100人のうち99人が興味のない内容だと思うが、この15年、円債投資、ALMとして金融政策に翻弄され続けている自分にとっては、本当に身近に感じる、貴重な本であった。 今の黒田緩和に対する意見は一切書かれていないが、読めば読むほど、出口のない現在の政策は間違っていると認識させられる。

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2020/12/25

2019年1月27日図書館から借り出し。全758ページ、二週間で読めるかな? 2019年2月6日読了。 読み終わったときに深いため息とともに、久しぶりに満足感と、どこかしら心地よい疲労感と高揚感を覚えた。 プロフェッショナルとして日本銀行総裁の職務に誠に真摯に向き合った姿が本当に...

2019年1月27日図書館から借り出し。全758ページ、二週間で読めるかな? 2019年2月6日読了。 読み終わったときに深いため息とともに、久しぶりに満足感と、どこかしら心地よい疲労感と高揚感を覚えた。 プロフェッショナルとして日本銀行総裁の職務に誠に真摯に向き合った姿が本当によくわかる素晴らしい本で、よくぞ書き残してくれたという感謝の思いが強く湧き上がる。 同時に、情報公開法等や守秘義務の制約もあり、書ききれていないことがあることは冒頭に断りが入れられている。 なろうことなら、死後公開という条件付きでも更に詳しい事情を書き残しておいたもらえば、この先、経済学を志す若き人々に一層貴重な財産となるに違いない。 その以前に、この丁寧に書かれた本は、経済学徒のみならず、いささかなりとも金融業界に身を置く者であれば目を通しておくべき本だと思う。 実務に支えられた論理の展開には知的な興奮を誘うものがあり、また経済学の本や論文を読みたくなってきた。 巻末に、浩瀚な参考文献表が付いているから、さしあたりこれが手がかりになりそう。 著者は、最後に「謙虚さ」を強調しているが、たまたま今日の夕方見た国会中継での総理大臣の答弁を見ていると、対極の「傲慢さ」に満ちていたなぁ。

Posted byブクログ

2019/01/21

前日銀総裁の白川さんの回顧録。ほぼ文字で埋まった730ページの大部。新年早々読了に2週間近くかかった。まずは、疲れた、というのが読了後の感想。しかしながら、改めて白川さんは大変な時期を日銀総裁として過ごしたんだなぁと気づかされます。2008年の春、衆参捩れの政争の結果として副総裁...

前日銀総裁の白川さんの回顧録。ほぼ文字で埋まった730ページの大部。新年早々読了に2週間近くかかった。まずは、疲れた、というのが読了後の感想。しかしながら、改めて白川さんは大変な時期を日銀総裁として過ごしたんだなぁと気づかされます。2008年の春、衆参捩れの政争の結果として副総裁から総裁代行を経て総裁に。さっそくリーマンショックが発生して、民主党政権の誕生。やがてギリシャを発端とした欧州債務危機が発生する中、2011年には東日本大震災と原発事故。そして在任期間終了間際の2012年末には再度の政権交代で自民党安倍政権が誕生。安倍政権の日銀一体化路線の末に本来の在任期間より少し早めに総裁を辞任。まぁ大変な五年間だったろうと思います。 前半は日銀の勤務してから総裁になるまでの部分と総裁の5年間のことについて。後半は中央銀行の役割とか、独立性とは何かとか、国際通貨制度(為替)、デフレ現象と景気のこととか、テーマ毎に考察されています。回顧録的な部分では日銀が何をしている組織なのだとか、総裁は何をしているのか、政治との関わりなどが分かってそれなりに面白いし、後半の考察もそれぞれ興味深い。ある程度のマクロ経済や金融、会計に関する知識がないと読むのは辛いでしょう。学術論文ではなく一般読書も読めるように書かれていますが、かなり専門的な内容も語られているものの、専門用語の分かりやすい解説などは一切ないので。 なるほどと思ったのは、中央銀行(日銀)に通貨発行権があることが意味することの説明。通貨とはもともと金などの資産の預り証なわけで日銀にとっては負債(借金)。しかも利子が0の借金。一方、中央銀行も利子付きの資産(例えば国債だとか民間銀行への貸し出し)を有しているので、(マイナス金利で限り)どんな状況でも必ず利ざやのために利益がでるということでした。そして、利益から人件費などの経費を引いた残金が毎年国庫に納付されているそうです。中央銀行に限らず、銀行という存在自体に広くある程度当てはまることなのかもしれないけど、得心しました。 日銀の役割は「物価の安定」と「金融システムの安定」とのことです。金融システムの安定に関しては、あまり一般に認識されてはいないけど、技術的な問題でもあり、どんどん向上しているようです。でも、グローバル経済の進行する中、物価をコントロールするのにどうすれば良いのかはまだまだ分かっていないようです。国家間の政治も絡んだ複雑系ということでしょうか。将来にわたって物価がある程度予測できないと資本主義経済では投資が冷え込んでしまうわけなので、物価の変動をなるべく小さくコントロールするの日銀の仕事。そしてコントロール可能な範囲の変動に納めることができなくなると条件が変わって未知の世界になってしまうようです。ある意味、日銀の仕事は裏方であって、資本主義経済の下で皆が安心して経済活動を行えるような環境とインフラを整備することであるようで、金融危機や不景気が起きたときには、正常な状態に戻るまでの衝撃を和らげる時間稼ぎを行うことができるに過ぎないということのようです。だから、経済活動自信の活発化とか、生産性、経済成長率の向上のようなことは、政策の問題であって、日銀がそのような政策を後押ししたり邪魔しないようにはできるかもしれないけれど、経済が成長しなくなった原因を除去して対策をしなければ、当然ながら日銀だけで実質的なことはできない。ということでしょうか。 最終章でも断られていますが、白川さんが総裁を辞任してから今まで、つまり黒田総裁の異次元緩和5年間のことについては具体的には言及されていません。直截的には何も述べられてはいませんが本書を読むと、「私が考えていたとおり、お金をじゃんじゃか市場に供給したって物価は上がらなかったね」という思いが他の章を読めば分かります。安倍政権になって円高から円安に向かったのも、どうもその前年からユーロ危機の収束によってジョジョに始まっていたようで、単にそれを少しばかり加速させたきっかけに過ぎないようです。いずれにせよ、日本経済、財政の現状は、いろんな意味で将来世代からお金を借りて時間稼ぎをしているような状態なので、労働人口も減っていく中、これからどういう国になっていくのかを本気で考え、それに向けて着実に進んでいくことが必要であると感じました。

Posted byブクログ