死神刑事 の商品レビュー
刑事事件で無罪判決が出ると、どこからともなく現れ再捜査を行う儀藤警部補。彼はその際必ずその事件に関わった捜査官を一人相棒に選ぶ。その指名には絶対に逆らえない。同時に無罪判決という警察の敗北に関わる再捜査を行うことは警察組織での死をも意味する。そのため儀藤はいつしか死神と呼ばれるよ...
刑事事件で無罪判決が出ると、どこからともなく現れ再捜査を行う儀藤警部補。彼はその際必ずその事件に関わった捜査官を一人相棒に選ぶ。その指名には絶対に逆らえない。同時に無罪判決という警察の敗北に関わる再捜査を行うことは警察組織での死をも意味する。そのため儀藤はいつしか死神と呼ばれるようになり…。 「逃げ得は許さない」という儀藤の言葉と裏腹に情熱の感じられない、どこか飄々とした空気の儀藤が行う再捜査は、当時の事件関係者たちへの再度の聞き取り。当時は見逃されていた違和感や小さな手掛かりを元に、グイグイとマイペースで相棒を引っ張り回し新しい証言を得ていく。 一度解決したはずの、だが無罪判決という名のどんでん返しにより振り出しに戻った事件の掘り起こしという面白い設定。さらに当事者たちの証言から真実に迫るという手法。 死神に見いられた相棒たちのその後が前向きなのも嬉しい。どのような魔法で死神が相棒たちを新たな一歩へ向かわせるのかはお楽しみ。 決して爽やかではないが、大倉さんらしい切り口とドラマが楽しめる。
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背が低く足も短い、小太りで頭髪は薄く、今時見ない黒縁の丸眼鏡、シワのよったスーツで風采の上がらない50がらみの男。「警視庁の方から来ました」という挨拶をしながら取り出す名刺には部署もなく”警部補 儀藤堅忍!と書かれているのみ。警視庁内にある謎の部署でひとり、無罪確定した事件の再調査を進める男。組織からは疎まれ、「死神」と渾名される男が真犯人を暴いていく。その決め台詞は、「逃げ得は許さない」。 福家警部補シリーズや、警視庁いきもの係シリーズを描いた作者の新しいシリーズになりそうなこの作品。冤罪事件を描きながら、軽妙さを失わず、冤罪の別の側面である真犯人の逃げ得を許さないところにこの作品の痛快さがある。 とはいえ、主人公がどうみてもカッコいい~っていうタイプではないところが難点。どうせなら、イケメン死神にしてほしかったわ~
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表紙のような怖い刑事ではなく、裁判で無罪判決が出た事件の再捜査をする得たいのしれない人物。再捜査をすると同僚から疎まれて刑事生命が終わるっていう感覚がよくわからないが警察社会はそういうことなのね。
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読む前は、嫌ミスなのかと思いながら、読み始めたが、 大倉さんらしい、ちょっとほっこりするミステリー集。 死神刑事を中心に各ストーリーで相棒となる警察官が変わっていく。昔の武田鉄矢さんの刑事物語を思い出すストーリー構成は斬新。 死神と関係した人はその後人生が変わる。 確かに相棒とな...
読む前は、嫌ミスなのかと思いながら、読み始めたが、 大倉さんらしい、ちょっとほっこりするミステリー集。 死神刑事を中心に各ストーリーで相棒となる警察官が変わっていく。昔の武田鉄矢さんの刑事物語を思い出すストーリー構成は斬新。 死神と関係した人はその後人生が変わる。 確かに相棒となる警察官のその後の人生はポジティブに変わっていく。嫌ミスでは無い、どこかほっこりする終わり方に好感。
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異色の刑事がまた一人誕生した。 この作家さんが生み出した人気キャラの福家警部補とは、 別次元のキャラというか…。 似ているとすれば、 それは「何もかもお見通し」というところだ。 福家警部補にロックオンされたら、 どんな犯人も逃げ切ることは不可能。 ...
異色の刑事がまた一人誕生した。 この作家さんが生み出した人気キャラの福家警部補とは、 別次元のキャラというか…。 似ているとすれば、 それは「何もかもお見通し」というところだ。 福家警部補にロックオンされたら、 どんな犯人も逃げ切ることは不可能。 そしてまた、「警視庁のほうから」やってくる 儀藤堅忍警部補も、粘り強く真実を追求していく。 ただ、福家警部補が捜査するのは、起きたてホヤホヤの事件だが、 こちらは、犯人を捕らえ起訴するも、裁判で無罪判決が出てしまう事件。 それは、警察にとっては敗北を意味する。 再捜査を行うということは、傷を抉り出すということだ。 儀藤は、再捜査を始めるにあたって、その事件に関わった捜査員を 一人相棒に選ぶ。 儀藤はいうまでもなく、選ばれた相棒も、組織から白い目で見られ、 出世の道は閉ざされる。 ゆえに、儀藤についた呼び名は「死神」。 自己紹介の際に必ず、「警視庁のほうからやって来ました」と 所属先も連絡先も書かれていない名刺を差し出すのだ。 強盗殺人、偽装殺人、痴漢冤罪、誘拐事件と 4つの物語が描かれる。 それぞれの事件で指名された相棒たちは、 噂の「死神」に選ばれたことで、 嫌悪感を抱き、絶望するのだが、 儀藤について捜査を進めるうち、 あるのは者はふっきれ、ある者は救われた思いになる。 それは、事件のちょっとした関係者の心を救ったり、 多少の影響を与える、福家警部補の存在と似通っているのかもしれない。 いずれにしても、まだ、あいまいな部分が多い 儀藤のキャラだから、きっと、シリーズになり、 この先、肉付けされ豊かになっていくことだろう。
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死神さんのキャラが好き。 いいなぁ、ナイスすぎるでしょ。 彼が相棒に選ぶ警官たちも好きだ。 今回は相棒たちの目線で語られたけど、シリーズ化してほしいし、死神さん目線のエピソードも読んでみたい。
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一度無罪になった事件を再調査する専門の刑事儀藤。組織から疎まれる彼についたあだ名は「死神」。そして彼の相棒となった人物は出世の道もとざされることになる。。 福家警部補の作者による新シリーズ・・・なんだろうか?一本一本が軽めの読み切りになってるのでシリーズっぽい感じではある。こち...
一度無罪になった事件を再調査する専門の刑事儀藤。組織から疎まれる彼についたあだ名は「死神」。そして彼の相棒となった人物は出世の道もとざされることになる。。 福家警部補の作者による新シリーズ・・・なんだろうか?一本一本が軽めの読み切りになってるのでシリーズっぽい感じではある。こちらもさらっと軽く読める感じの短編集です。 話としては無罪事件を洗い出して真犯人を見つけて・・・という流れ。ただ仰々しい煽り文句の割には「死神」感はこれといってなく、むしろユーモラスですらある。相棒に指名されて嘆くストーリーテラーとなる人物も別段不幸になることもないですし。装丁や帯とかと内容の乖離がすごかったです。たしかに煽り文句とか「死神」みたいな過激な呼称がなかったら・・面白くはあるけど読み終わったらすぐに忘れられちゃう感じではあるのかもな。。
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企画・構想が素晴らしい小説でした。大倉崇裕 著「死神刑事」、2018.9発行、死神の目、死神の手、死神の顔、死神の背中 の連作短編4話です。無罪判決が出た事件の再捜査、真犯人の逃げ得は許さない、死神の呼称を持つ儀藤堅忍(ぎどうけんにん)警部補が事件当時の担当警察官と二人で過去の事...
企画・構想が素晴らしい小説でした。大倉崇裕 著「死神刑事」、2018.9発行、死神の目、死神の手、死神の顔、死神の背中 の連作短編4話です。無罪判決が出た事件の再捜査、真犯人の逃げ得は許さない、死神の呼称を持つ儀藤堅忍(ぎどうけんにん)警部補が事件当時の担当警察官と二人で過去の事件を再捜査します。「目」と「手」、再捜査のプロセスは面白いけど、オチといいますか、事件の解決(犯人の特定)はイマイチ。「顔」はグッドでしたw。「背中」は、すっきりしない感じ、読後感はイマイチです。
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この人はやはり短編集が秀逸。これシリーズ化してほしいなぁ。福家シリーズがドラマ化したから有名だけど、個人的には落語のシリーズの続きが読みたいなぁ。
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タイトルと表紙からサスペンスホラーな内容かと思いましたが、全然違いました(ここでちょっとガッカリ) 小太りで頭髪は薄く黒縁丸メガネの捜査員=「死神」が無罪が確定した事件を再捜査する。 「死神」と言われるのは、「死神」に相棒と指名された警察官は警察組織の中で裏切り者とされ、生きて行...
タイトルと表紙からサスペンスホラーな内容かと思いましたが、全然違いました(ここでちょっとガッカリ) 小太りで頭髪は薄く黒縁丸メガネの捜査員=「死神」が無罪が確定した事件を再捜査する。 「死神」と言われるのは、「死神」に相棒と指名された警察官は警察組織の中で裏切り者とされ、生きて行けなくなるから(ありそうな話だなとここでまたガッカリ) でも、短編4つが収録されていますが読み進むにつれて、「死神」もとい儀藤刑事のキャラクターがどんどん魅力的に。 飄々として得体が知れないものの、「逃げ得は許さない」という言葉に儀藤刑事の決意というか本質がある気がします。 「警視庁の方から来ました」というセリフも悪質商法みたいで笑えました。 儀藤刑事がなぜ死神になったのか、過去が知りたいです。 続編、期待です! ★3.5で。
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