死に山 の商品レビュー
登山をする者ならば一度は耳にしたことのある話のひとつ、それがこの事件だ。 しかしながら少し語弊が生まれてしまうのは、この山岳事故は過失や不運といった不可抗力やドラマツルギーなどが挟まれる余地のない「まったくの謎」とされ伝聞していることだった。 誇張しまくった枝葉は山岳的な謎という...
登山をする者ならば一度は耳にしたことのある話のひとつ、それがこの事件だ。 しかしながら少し語弊が生まれてしまうのは、この山岳事故は過失や不運といった不可抗力やドラマツルギーなどが挟まれる余地のない「まったくの謎」とされ伝聞していることだった。 誇張しまくった枝葉は山岳的な謎というよりもオカルトやミステリーといった、学研ムー的な方向へ肥大してしまった。 筆者は丹念なのかどうかは正直図れないが、現地の取材旅行を行い一つの仮説に向かって調査探求を進める。並行して若くしてその命を失ってしまった若者たちにも感情移入出来る作りになっている。 「数多ある一つの説」として片づけられていきそうな気もするが僕にはひとつのカタルシスを与えてくれた。 いずれにしても今後も陰謀説やUMA的な仕業、まあ人知を超えた物見遊山に胸躍らす人々は尽きないのだろうな。
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一部で話題になっていたので読んでみた。パラパラとページをめくってみて嫌な予感。カタカナの人名や地名が沢山出てくる。経験上、そういう本は読んでいてうまく情景を頭に思い描くことが難しい。よくわからない外国語のカタカナのせいで想像力が働かないからだ。途中で放り出した本もある。ダメかもな...
一部で話題になっていたので読んでみた。パラパラとページをめくってみて嫌な予感。カタカナの人名や地名が沢山出てくる。経験上、そういう本は読んでいてうまく情景を頭に思い描くことが難しい。よくわからない外国語のカタカナのせいで想像力が働かないからだ。途中で放り出した本もある。ダメかもな・・・と思いながらページを手繰っていくと、アラ不思議。サクサクと読み進めることができた。これは意外。 現在の著者の時間軸と探検・捜索当時の時間軸を交互に描く試みが功を奏している。それにしても、憎らしいくらいにジワジワと話が進んでいく。読者をジラしながら、しかし飽きさせない。外堀だけは確実に埋められてゆく。しかし核心は手付かずのままだ。こういうときに、何が原因と思うかで人間性の一面が現れると思う。私は軍事(核)実験絡みではないか?と思いながら読んでいた。4/5ほど読み進んでも、未だ事故原因の糸口すら掴めない。「今も真相は闇の中なのだ・・・」みたいな結論だったらやだなー、と思いきや、そこからが急転直下!読む前に余計なこと調べなくてよかったよ。この本はネタバレ厳禁だ。それにしても、本当にそんなことあるのかな?いや確かに、現時点で最も可能性が高い推論だとは思う。人は思い込みや先入観から逃れることは難しい。だからこの推論に達することができたのは幸運なことだろう。 しかし、そんなことが起きる場所なら、当地に何か伝承として残っているのではないか?他のメンバーの線量はどうだったのか?夜間に強風の氷点下三十度の外へテントの中から着の身着のままで飛び出したくなるような、正常な判断力を奪う、そこまで精神を蝕むものなのか?ここまで推論できたなら実証実験や再度の現地調査までして欲しかった。おまえがやれよ、と言われても断るけどさ。ロシアは近々、この事件の再調査をするそうだ。 https://www.afpbb.com/articles/-/3209372 果たしてこの本の推測通りになるのか、大変気になるところだ。 巻末には解説が収められており、この事件がなぜ21世紀の今になって人々の興味を引くのか?という時代性を簡潔に読み解いていて見事だった。現代は地図上の空白がなくなり、昔のような単純かつ純粋な冒険が難しい時代だ。しかし、この本で著者が試みたことは、時空を超えた謎に挑もうとする、現代に於ける新しい冒険なのかもしれない。
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1952年ウラル山脈での不気味な遭難事故。隕石かソ連か宇宙人か?米国人ジャーナリストがその真相に挑む!奇界遺産の佐藤健寿推薦(アマゾン紹介文) 不穏な紹介文とは裏腹に、地に足の着いた視点で淡々と、けれど各方面に敬意が込められた文章が読みやすく、また事件の真相が気になり、ぐんぐん...
1952年ウラル山脈での不気味な遭難事故。隕石かソ連か宇宙人か?米国人ジャーナリストがその真相に挑む!奇界遺産の佐藤健寿推薦(アマゾン紹介文) 不穏な紹介文とは裏腹に、地に足の着いた視点で淡々と、けれど各方面に敬意が込められた文章が読みやすく、また事件の真相が気になり、ぐんぐんと読み進んでしまった。 至る結末、そして題名、と実に心震わせられる一冊だ。
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50年前のディアトロフ事件の真相:円蓋のような山頂を越えてくる風による轟音・超低周波音の影響で思考能力が奪われた。
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1959年、冷戦下のソ連・ウラル山脈で起きた遭難事故。 登山チーム9人はテントから1km半程も離れた場所でこの世のものとは思えない凄惨な死に様で発見された。 氷点下(−30℃)の中で衣服をろくに着ておらず、全員が靴を履いていない。 3人は頭蓋骨折などの重症、女性メンバーの1人は舌...
1959年、冷戦下のソ連・ウラル山脈で起きた遭難事故。 登山チーム9人はテントから1km半程も離れた場所でこの世のものとは思えない凄惨な死に様で発見された。 氷点下(−30℃)の中で衣服をろくに着ておらず、全員が靴を履いていない。 3人は頭蓋骨折などの重症、女性メンバーの1人は舌を喪失。 遺体の衣服からは異常な濃度の放射線が検出された。 最終報告書は「未知の不可抗力により死亡」と語るのみ。 地元住民から「死に山」と名づけられ、事件から50年を経た今もなおインターネットを席巻、我々を翻弄し続けるこの事件に、アメリカ人ドキュメンタリー映画作家が挑む。 彼が到達した驚くべき結末とは…! (あらすじより) ずっと気になっていたタイトルが、ようやく読めました。 ディアトロフ峠事件として知られるこの遭難事故。 トレッキングに訪れた大学生男女9人はテントを切り裂き、ろくな防寒もせずに極寒の山へ逃げ出した。 経験豊富な登山家が靴も履かずに蜘蛛の子を散らすように逃げ出した原因は何か? この不可解な状況から、脱走した囚人に襲われた、熊が出た、原住民の襲撃、軍の秘密を知ってしまって消された、果てはエイリアン襲撃説などなど、憶測が飛び交う。 当時の政府がやや強引に捜査を打ち切ったり、情報公開された当時の資料が一部紛失していたり陰謀論愛好家にはたまらない事件です。 この本ではその不可解な事件に、科学的なアプローチで当時の状況を推理する試みがなされています。 最後にはシャーロック・ホームズも納得な名推理が提示されています。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
何がすごいかって、この事件に取り憑かれたアメリカ人が、ロシアまでいって極寒の雪山にトレッキングに行き、ディアトロフ隊の軌跡をたどるという。 持病の為引き返し唯一生き残ったメンバーや、遺族他、関係者らに丁寧に取材して、その証言や日誌、写真を分析して、分かりやすくディアトロフ隊の軌跡を描いている。 著作がたどり着いた結論は、事件は稀に起こるカルマン渦と、それが生み出す超低周波音による自然現象によるもの。超低周波音はヒトラーの時代から悪用されるなど、科学的には知られている現象だそうだ。目に見えず、耳にも聞こえない周波数の音波によって、嘔吐や偏頭痛を起こすという現象だという。それによりテントから飛び出し、起こった竜巻に飛ばされ、肋骨や頭蓋骨を折り低体温症で亡くなったりしている。 この事件はオカルト的に有名で興味があったので、なんだか科学的に結論づけられて少しガッカリ…
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旧ソ連の時代にディアトロフ峠で起こった、大学生トレッカーたちが亡くなった原因不明の謎を解明するノンフィクション。 内容がすごく気になったので読んでみたが、すごく面白い内容だった。ラストはシャーロック・ホームズの消去法『全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙な事であっ...
旧ソ連の時代にディアトロフ峠で起こった、大学生トレッカーたちが亡くなった原因不明の謎を解明するノンフィクション。 内容がすごく気になったので読んでみたが、すごく面白い内容だった。ラストはシャーロック・ホームズの消去法『全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙な事であっても、それが真実となる』を用いて、見事真実を導き出す。最後の関係者が存命の時に判明してよかった。アメリカ人がなぜ旧ソ連での謎について調べるのか、著者はかなりの人数の人に質問されて、明快な解答は述べられなかったようだが、解説に『アメリカにはもう新しい謎がない』と書かれていたのが納得。
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どうせ低体温症でしょーと思って読んだけれど、予想外の原因が判明して、期待以上だった。 当時には知られていなかった自然現象が、あとでわかるとは…当時テントの中で聞こえていただろう音を再現してほしい。聞いてみたい、
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1959年ソ連のウラル山脈で9名の登山チームが遭難。捜索の結果、9名はテントから離れたバラバラの位置で遺体となって発見される。しかも、全員が靴を履いておらず、テントは刃物で切り裂かれていた。チームのリーダーの名前をとって「ディアトロフ峠事件」と名付けられたこの事件は真相がわからな...
1959年ソ連のウラル山脈で9名の登山チームが遭難。捜索の結果、9名はテントから離れたバラバラの位置で遺体となって発見される。しかも、全員が靴を履いておらず、テントは刃物で切り裂かれていた。チームのリーダーの名前をとって「ディアトロフ峠事件」と名付けられたこの事件は真相がわからないまま、ソ連崩壊を経て、現在に至る。 本書はこの事件に興味を持ったアメリカ人放送作家が解決に挑んだ記録。著者は登山チームの出発から事故までの足取りを綿密に再現することからはじめる。登山メンバーだったが、体調不良のため途中で引き返し、今も存命する男性とも接触し、さらには遭難現場の雪山も訪れる。 こうした丹念で長期間の取材と行動の末、これまでに考えられていたいくつかの事故原因、突風や雪崩、隕石、巨大動物、地元民族、ソ連の軍事秘密兵器などを候補から抹消。そして、最後に著者の考える衝撃の結論。 真相への到達は実にドラマチックで、これ以外考えられない。著者のすばらしい着眼点に拍手。「死に山」と名付けられた現場との因縁に、遭難者9名の不運を嘆かずにはいられない。
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オカルト界へ足を踏み入れたものなら一度は聞いたことがあるだろうディアトロフ峠事件の真相を解明するというノンフィクション。 初めてこの事件を知ったのはいつだったか・・・。オカルト・クロニクルとかニコニコ動画だったか。自分自身もこの奇妙な事件を知ったときには大変興味を引かれた。筆者...
オカルト界へ足を踏み入れたものなら一度は聞いたことがあるだろうディアトロフ峠事件の真相を解明するというノンフィクション。 初めてこの事件を知ったのはいつだったか・・・。オカルト・クロニクルとかニコニコ動画だったか。自分自身もこの奇妙な事件を知ったときには大変興味を引かれた。筆者のすごいところは、「ネットで見つけた興味深い記事」を実際に私財を投じて真相を探ってしまう行動力。その行動力によって導かれた真実は、納得のいくものだったと思う。 世の中で謎とか呼ばれているものでも、科学知見の発達や実地調査によって解明すること。確実なものではなくとも、ある程度のレベルの解を得られるということを示した好例だと思う。 過酷な実地調査まで行って真相を追い求めた筆者に敬意を。真実を知りたいという怖いほどの執念が伝わった。
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