最初の悪い男 の商品レビュー
この人の文章は短編の方が好きかもしれない。 前半は何一つ共感できなくてどうしようと思いましたが、ぐいぐい読ませる力。そして何とも予想外で、奇妙に輝く人生。
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前半読みすすめるのが苦痛だった どこまでシェリルの妄想につきあえばいいんだろう、でもあと少し、あと少し読んでみようと思ってがんばったら後半の展開はおもしろかった
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これもまた奇書。 前半は空回りが激しいイタイ中年女性のひとりコメディ。 しかし、中盤以降物語の性質が一気にかわる。 本当に同じ主人公なんだろうか、同じ物語なんだろうかと不思議な感覚になる。 中学生が一気に大人になる様を見ているようだ。 孤独、親、妊娠と出産、子育て、そして...
これもまた奇書。 前半は空回りが激しいイタイ中年女性のひとりコメディ。 しかし、中盤以降物語の性質が一気にかわる。 本当に同じ主人公なんだろうか、同じ物語なんだろうかと不思議な感覚になる。 中学生が一気に大人になる様を見ているようだ。 孤独、親、妊娠と出産、子育て、そして死の物語なんだろうとは思う。 しかしこの物語に重みはなく、どこか軽薄なところが好みが分かれるところなんだろうか。 中盤、物語の転換場面で思わず、えっ、と声が出てしまったけれど、その他の部分で面白みはあまりないかもしれない。 その他、胡散臭いセラピーやら主人公が勤務する存在意義不明の財団(税金控除対策なんだろうけど)が米国都市部在住のアッパーミドルカルチャーっぽく笑いどころのはずが笑えない。 これでお金を稼げるのが信じられないけれどそれが米国のアッパーミドルという人たちなんだろう。 日本も同じような気もするが・・。
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予備知識無しでタイトルと装丁でなんとなく借りてみたら、全く予想もしなかった内容で、戸惑いながら読み進む。43歳で独り暮らしが長いシェリルはそれほど社交的でも明るくもなく、知らず知らずのうちに独特の雰囲気をまとい自分一人だけの妄想世界に沈み込んでしまっているような感じの女性。誰でも...
予備知識無しでタイトルと装丁でなんとなく借りてみたら、全く予想もしなかった内容で、戸惑いながら読み進む。43歳で独り暮らしが長いシェリルはそれほど社交的でも明るくもなく、知らず知らずのうちに独特の雰囲気をまとい自分一人だけの妄想世界に沈み込んでしまっているような感じの女性。誰でも自分だけの妄想とか多かれ少なかれありながら、だいたいは他人や社会ともそれなりに折り合って共通のルールに従って上手くやり過ごして社交性を身に付けているものだけれど、学校を卒業し就職し同じ仕事を同じメンバーと延々と繰り返して新たな出会いも特になく独り暮らしを何年も続けていると、うっかりシェリルのように運動音痴ならぬ「社会音痴」(穂村さんの『世界音痴』のような)になるのは普通に想像できる、と自分にもその気配は有るしと、恐る恐るこわごわ読む感じでした。正直なところタイトルとエピローグはなるほどと思いつつもストーリー展開はナニソレナンデソウナルノ?!?!の連続で少し疲れました。でも変に偏ってて異様にどうでもいい細かいことを延々と綴るシェリルのモノローグ部分はとても面白かったです。不思議本。読み終わって他の方々のレビューを読んで好評価が多いのが意外でした。好き嫌いのハッキリ分かれる種類の作家さんだと思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
同年代の独女には劇薬だ。 こうも赤裸々に語られると、どうにもいたたまれない、それでも読むのを止められない。 今の変わり映えしない生活は居心地良くはあるけど、少し窮屈で退屈。 このまま老いていくのかと思うと、このままで良いのかと不安にもなってくる。 そろそろ何か新しいことを始める時なのかもしれない。
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ミランダ・ジュライの初長編小説。 映画監督、UNIQLOへの参画など幅広く活動する中で、こんな小説を書いてしまうんだから完全に天が二物以上与えてしまっている。とてもオモシロかった。40過ぎの独身女性シェリーの主人公の最適化された、変化のない日常へ20歳のギャル、クリーが突如乱入...
ミランダ・ジュライの初長編小説。 映画監督、UNIQLOへの参画など幅広く活動する中で、こんな小説を書いてしまうんだから完全に天が二物以上与えてしまっている。とてもオモシロかった。40過ぎの独身女性シェリーの主人公の最適化された、変化のない日常へ20歳のギャル、クリーが突如乱入してきて日常→非日常へと化していく。前半はよくある2人のギャップ、「育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない」描写が延々と続いて正直読み進めるのが少ししんどかった。しかしクリーとのあいだに「暴力」という名の新しい関係が成立して世界が一変する。甘噛み、相撲でいうかわいがりが立派な関係の1つとなるのが興味深い。少年漫画で喧嘩してから親友になるお約束の型ではなく、殴り合いで少しずつ関係を構築するというその設定に驚いた。とはいえこの辺は序の口で本作がオモシロいのは、ここから一気にラブストーリー/家族物語へと昇華していくところ。しかも20世紀に規定されたいわゆる「普通」の家族像から飛躍した関係性が軽やかに描かれる。性別によって分けられていた旧来の役割分担を裏切っていくところが痛快だった。それはフェミニズムの文脈が踏まえられていて男はどこまでもでくの坊で、その情けなさは読んでいて辛いところもある。タイトルとは裏腹にどこまでも男は不在なのである。(悪い意味ではいるのだけれども) とにかく後半にかけては出産、恋愛、破局などジェットコースターのように目まぐるしくストーリーが展開していくので前半の退屈が嘘かのようにページをめくる手が止まらなかった。シェリーは基本的に振り回されてばっかりなんだけど、クリーが出産した子どもを起点に主体的に自分と子どもの人生を生きようと徐々にシフトチェンジしていく過程にグッとくる。さらにそこで放たれるパンチラインの数々。壊れると分かりきっているにも関わらず、そこにすがるしかない、愛されたい、その切なさ。「てめえの安い人生にこの子が回収されてたまるかよ」という彼女の覚悟が見えた最後の決断にもグッときた。彼女のように自分の人生を選び取りたい。
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映画「君と僕の虹色の世界」「The Future」そして、短編集「いちばんここに似合う人」、ドキュメンタリー「あなたを選んでくれるもの」で、ちょっとイタイ・なんかズレてるこじらせアート女子による、抜群のセンスを見せてくれたミランダ・ジュライの待望の長編小説です。 や、もうこれ、...
映画「君と僕の虹色の世界」「The Future」そして、短編集「いちばんここに似合う人」、ドキュメンタリー「あなたを選んでくれるもの」で、ちょっとイタイ・なんかズレてるこじらせアート女子による、抜群のセンスを見せてくれたミランダ・ジュライの待望の長編小説です。 や、もうこれ、文句なしの傑作で、そのこじらせと妄想が100倍にスケールアップしていて、私は女子ではないんですが、なんかおんなじようなこと考えてる人いるのか!と感情移入しすぎてページ進まないので困りました。松岡茉優の「勝手に震えてろ」も名作でしたがこじらせと妄想はミランダが圧倒的に上です。容赦なくこじらせてます。世界の40代女子のこじらせを一人で引き受けて、まるで「地球のみんなオラに元気をわけてけろ」と孫悟空が元気玉を集めて放つ時のような超エネルギーを爆発させてます。 主人公シェリルの一人称小説で、もはやミランダ本人の私小説といっても過言ではなく、どこまでも赤裸々にそしてカオティックに散乱するディテールの集合体なのですが、内に籠りすぎたエネルギーが容量オーバーで爆破してしまい、溢れんばかりのエモーションをこちらにぶつけて来ます。 ここに書かれているのは、個人的ななにかではなく、おおきな全体のような気がしてなりません。たとえばドストエフスキーのような全体です。それは小説が根源的にもっている本質のことです。 ボリス・ヴィアンとミシェル・ウェルベックがマウンテンハウスで相談しながら女性になりきって書いたみたいな本作は、ミランダ・ジュライのミランダ・ジュライによるミランダ・ジュライとちょっと変わり者と言われる我々のための小説です。猛烈にお勧めします。タイトルについては読めばわかるんですが、センスがありすぎる。
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寂しくて孤独でストレスをためていて、他人に愛されたい。おそらく皆がそれらを抱えているのだろうが、上手に処理できる者、見て見ぬふりができる者、一切気づかないで人生を終えることができる者が、この世間では多数派だ。ただ、どうにもできずに苦しむ者は確かに存在する。彼らはいつも泣きながら、...
寂しくて孤独でストレスをためていて、他人に愛されたい。おそらく皆がそれらを抱えているのだろうが、上手に処理できる者、見て見ぬふりができる者、一切気づかないで人生を終えることができる者が、この世間では多数派だ。ただ、どうにもできずに苦しむ者は確かに存在する。彼らはいつも泣きながら、周りからみたら滑稽なやり方で不器用に生きるしかない。私はそんな彼らがどうしても好きだ。
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訳者があとがきで主人公のことを「繊細ぶってる割に他人の気持ちに鈍い」と評していて、膝を打つ手が止まらない。いるいる。わかる。
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とてもよかった。自分のルールをガン無視してくる他人と関わるのはしんどいし腹も立つけど関係性は変わっていくし考え方も広がるし自分はもっと遠くまで歩けるようになる、したいと思ってもできなかったことへの勇気も湧いてくる。少しずつ自分を愛せるようになる。
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