渇きと偽り の商品レビュー
欧米の小説は、どうもとっかかりのところが苦手。 背景描写が多すぎて、入り込むのに時間を要する。 この作品もそうだったが、入り込むと、そこからは二転三転する展開に興奮し、一気に読み進めた。 読後には満足感が残り、次作もすぐに手に取った。 最初の読みづらさが災いして、個人的には3.5...
欧米の小説は、どうもとっかかりのところが苦手。 背景描写が多すぎて、入り込むのに時間を要する。 この作品もそうだったが、入り込むと、そこからは二転三転する展開に興奮し、一気に読み進めた。 読後には満足感が残り、次作もすぐに手に取った。 最初の読みづらさが災いして、個人的には3.5くらいの評価。
Posted by
オーストラリアが舞台。描写で印象に残るのは、地平線が見える広い農場、隣の農家ははるか遠く、そして小さな中心部の街では噂がたちどころに広まるという、この土地の広さと人間関係の閉塞感だ。そして原題の「THE DRY」、街は2年続きの旱魃で疲弊している。 そこに起きた、ある農場主ルー...
オーストラリアが舞台。描写で印象に残るのは、地平線が見える広い農場、隣の農家ははるか遠く、そして小さな中心部の街では噂がたちどころに広まるという、この土地の広さと人間関係の閉塞感だ。そして原題の「THE DRY」、街は2年続きの旱魃で疲弊している。 そこに起きた、ある農場主ルークの死。妻子を家で殺した後自身は自殺か?と思われた。20年前街を出たルークの旧友フォークは、ルークの父から息子の死の真相を突き止めてくれ、と頼まれる。 この今の事件と、フォークが街を出ることになった20年前の事件が交互に語られ、並行的に真相が明かされてゆく。20年前の事件の真相がずっと明かされなかったことで、当事者も街もその闇に絡められてしまっていたのか? という気がした。 メルボルンから500km離れた架空の街キエワラが舞台。主人公フォークは高校途中までこの街に暮らしたが、旧友ルークが妻と子供を殺し自殺したらしい、との連絡を受け葬儀に戻る。フォークとルークとエリーの農場は続いていて幼いころはよく遊んだ。だが高校生になりエリーが川で溺死しているのが見つかり、エリーの残したメモにフォークという名があったことから、フォーク一家は街にいられなくなり街の出たのだった。 エリーが水死体で見つかった街を流れるキエワラ川は昔は水量豊かな川だったが、今は川床が見える。 フォークの家は母がフォークの出生時に死亡し父子二人暮らし。エリーの父は飲んだくれで母は家出。フォークの家だけは父母とも健在。典型的な家族構成を登場させている。 2016発表 2017.4.15発行(ハヤカワポヶットミステリブック1918) 図書館 ポケミス版はもう絶版? 表紙は電子版と同じ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
地味に公開されてひっそり終映になった感のある映画ですが、とても気に入ったので原作を購入。良い感じに歳を取っているエリック・バナに見惚れ、そのイメージで原作も読む。 自殺を装って銃殺してバレないものなのかというのは映画版を観たときにも引っかかったことですが、それが瑣末なことに思えるぐらい面白かった。ただ、映画版を観ていなければ、読むのにもっと時間がかかったことでしょう。この分厚さならやはり先に映画版を観たい。 あっと驚く真相。こんな職業の人が犯人であるはずがないと頭のどこかで思っているのかもしれません。余韻大。 映画の感想はこちら→https://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/593c229b9d9469e00f28d17a206f24f4
Posted by
オーストラリアの田舎や村人。想像でしかないが想像しやすく、分かりやすいし、ミステリーとしても好き。映画みたいと思います!
Posted by
初読。映画化されたけど、結論「読んでから見る」で正解だった。簡潔な文章で綴られ、訳もすっきりしていて、映像の助けを借りなくてもすんなりと入ってくる。これなら、訳文が苦手で海外ミステリはなぁ…という諸兄にもお薦めできる。ディテールの描写を最低限に留めているところも、個人的には有難い...
初読。映画化されたけど、結論「読んでから見る」で正解だった。簡潔な文章で綴られ、訳もすっきりしていて、映像の助けを借りなくてもすんなりと入ってくる。これなら、訳文が苦手で海外ミステリはなぁ…という諸兄にもお薦めできる。ディテールの描写を最低限に留めているところも、個人的には有難い。 舞台はオーストラリアの辺鄙な田舎町。旱魃で困窮する農業地帯、突然の家族無理心中、葬式に現れた招かれざる客、20年前の事件の残響、魅力的な女友達との再会、家庭内の問題、地域社会のパワーバランス…こういった要素が絡み合い、滅びを待つかの様な田舎町に複雑な人間模様が描かれる。 しかし複雑ではあれど、丁寧な記述のおかげか話を見失うことは一度もなかった。プロットは冒頭から最後まで淀むことなく、引き締まった話運びでページをめくらせる。加えて、描写は簡潔ながら、人物の心情や場所場所の雰囲気を的確に伝えていて、すんなりと没入、感情移入できた。新奇性こそないものの、これだけの筆力を見せられると他の作品も読みたくなる。しかもこれが作者の第一長編というから、また…。 最後に、「犯人探し」の推理小説としての出来はどうか。それは他の方のご意見を参照されたし。個人的にそこに拘りはないので。自分の意見としては、再読も初読と同じくらい楽しめそうだ、と云うに留めておく。
Posted by
田舎の狭いコミュニティの中では、常識のない人ほど粗暴な力で周りを従わせて、まともな人は辟易してどんどん逃げ出す、という構図は洋の東西を問わないのか…。水害が多い日本とまるで正反対の環境なのに、物語に漂う田舎ゆえの閉塞感と頼る産業のない心許なさが、まるで自分の住む町の日常を映し出し...
田舎の狭いコミュニティの中では、常識のない人ほど粗暴な力で周りを従わせて、まともな人は辟易してどんどん逃げ出す、という構図は洋の東西を問わないのか…。水害が多い日本とまるで正反対の環境なのに、物語に漂う田舎ゆえの閉塞感と頼る産業のない心許なさが、まるで自分の住む町の日常を映し出しているようだった。
Posted by
犯人のクズっぷりにはヘドが出てくるが、エリーの最期を読みながら、現在公判中の両親に虐待され衰弱死した船戸結愛ちゃんのことを思った。こんな鬼畜のような人間にはヘドではなく殺意を感じてしまうが、本書の結末には不満が残った。認知症としてしまったために何もできなくなってしまったのが惜しま...
犯人のクズっぷりにはヘドが出てくるが、エリーの最期を読みながら、現在公判中の両親に虐待され衰弱死した船戸結愛ちゃんのことを思った。こんな鬼畜のような人間にはヘドではなく殺意を感じてしまうが、本書の結末には不満が残った。認知症としてしまったために何もできなくなってしまったのが惜しまれる。謎解きものとしては楽しめた。
Posted by
「ルークは嘘をついた。きみも嘘をついた」意味深な手紙を受けとった連邦警察官フォークは二十年ぶりに故郷を訪れる。妻子を撃ち、自殺したとされる旧友ルークの葬儀に出るためだ。彼は手紙の送り主であるルークの両親から、息子の死の真相を突き止めてくれと頼まれる。生まれ育った町での捜査は、フォ...
「ルークは嘘をついた。きみも嘘をついた」意味深な手紙を受けとった連邦警察官フォークは二十年ぶりに故郷を訪れる。妻子を撃ち、自殺したとされる旧友ルークの葬儀に出るためだ。彼は手紙の送り主であるルークの両親から、息子の死の真相を突き止めてくれと頼まれる。生まれ育った町での捜査は、フォークの脳裏に苦い記憶を呼び起こしていく。かつて彼がここを離れる原因となった、ある事件の記憶を…。灼熱の太陽にあえぐ干魃の町で、人々が隠してきた過去と秘密が交錯する。オーストラリア発のフーダニット。 王道の展開ながら、オーストラリアの苛烈な環境描写で読ませます。
Posted by
2017年度ゴールド・ダガー賞受賞作品。旱魃に喘ぐオーストラリアの田舎町を舞台に、とある事情により町を追われた主人公が二十年ぶりに帰郷し、旧友の死の真相を探るというのが物語の粗筋。事件そのものがシンプルかつ、一種のクローズド・サークル的な舞台設定ゆえ、中盤を過ぎても尚盛り上がりを...
2017年度ゴールド・ダガー賞受賞作品。旱魃に喘ぐオーストラリアの田舎町を舞台に、とある事情により町を追われた主人公が二十年ぶりに帰郷し、旧友の死の真相を探るというのが物語の粗筋。事件そのものがシンプルかつ、一種のクローズド・サークル的な舞台設定ゆえ、中盤を過ぎても尚盛り上がりを欠いた展開が続くが、終盤に入った途端一気に畳み掛けてくる。事の真相を独白形式で語らせる手法は正直感心出来ないが、地道かつ実直な作風は好印象。封建的な村社会に蔓延る同調圧力の陰湿な描写もなかなかのものだった。続編も読んでみようかな。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
フォークとルーク、エリーとグレッチェンの4人は若い頃の友達。 エリーが20年前に河で水死体で発見され、持ってたメモにフォークの名前があり、それが元で父子で地元を追い出されてメルボルンに引越す。 そんな因縁の過去がある町で連邦警察官フォークが地元の警官レイコ―と捜査する。地元民のエスカレートする嫌がらせにもめげず。 読んでて犯人が早々に推測できてしまう。 むしろ20年前にエリーがなぜ死んだのか?の真相が知りたい。 最後の方はバタバタ。ああそうなのね、可哀そうに、という結末。 読んでみればあっけないが、ページをめくるのももどかしく最後まで一気に読み切ってしまった。 -------------------内容(「BOOK」データベースより) 連邦警察官フォークは二十年ぶりに生まれ育った町へ帰ってきた。旧友のルークが自殺を遂げたと聞きつけたのだ。 妻子を道連れに、なぜか赤ん坊を一人残して―。 ルークの親から心中事件の真相究明を依頼されたフォークは、干魃にあえぐ灼熱の町で、自身の秘めた過去とも向き合うことに…。 新人離れした文章力と卓越したストーリーテリングで世界中から絶賛されたオーストラリア・ミステリ。英国推理作家協会賞受賞作!
Posted by
- 1
- 2