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翻訳地獄へようこそ の商品レビュー

3.8

18件のお客様レビュー

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2026/02/15

 翻訳家の著者による、語学雑誌に連載した「英語翻訳ミヤワキ研究室」という記事をまとめたもの。単語や文法が分かった(つもりだった)としても誤訳してしまうという箇所について、誤訳例と原文を見比べつつ、場面を踏まえてどういう日本語にしていくかという話を、文化的な話も混ぜながら軽快な感じ...

 翻訳家の著者による、語学雑誌に連載した「英語翻訳ミヤワキ研究室」という記事をまとめたもの。単語や文法が分かった(つもりだった)としても誤訳してしまうという箇所について、誤訳例と原文を見比べつつ、場面を踏まえてどういう日本語にしていくかという話を、文化的な話も混ぜながら軽快な感じで語られたエッセイ風のもの。  やっぱり英語の教員なので、英語が出されたら正しく解釈しなきゃ、って思うし、ここの日本語は変だ、と言われたらどこだろうと思って読むので、チャレンジングではあった。けど、結論として、そもそも「この訳文はおかしい」と思えるだけの鋭さがおれにはないな、ということに改めて気付かされる。あと上でも書いたけど、単語も文法も分かっているつもりなのに読めないしよく分からない、という英文を見せられて、じっくり考えるきっかけになった。大学の時に文学の授業で、本当に英語が分からなくて、全然おれ英語できないよなって悩んだのは思い出した。今なら焦りというより冷静に受け止められるんだけど。例えば、この本の最後に出てくる例で、「19世紀ビクトリア時代の歴史ミステリ」(p.198)としてIt was not the best position on the bus, but it was preferable to the knifeboard upstairs. Common courtesy threatened to deprive him of his seat before long; there was sure to be some shopgirl late for work waving the driver down in Kew or Turnham Green. But he had privately resolved to see the small boy sitting on his mother's lap first.(pp.198-9)というのが紹介されていて、おれが分からないのはknifeboardだけで、「背合わせの屋根席」だと調べて分かったとして(イマイチ「屋根席」って何?って感じで、今画像検索して分かった)、あと訳せと言われても最後の文とか、恥ずかしいけどトンチンカンな訳をして、この本で答え合わせをして、そうだったのか、って感じになる。問題はおれはseeの意味を取り違えたことが原因だったけれど、こういうのがちょっとあるだけで読めなくなるんだよな、と思った。  あと個々の英語のことは色々あるけど、もっと一般的なこととして役に立ったところは「直喩は原文の順序(事実→比喩)を守って訳すこと。比喩のほうから先に訳すと、目の前にその人物がいる現場感、空気感がなくなり、前の晩に握っておいた寿司を出されたような『作り置き感』が目立つようになる」(p.162)とか、受験英語の世界では聞いたことないけど、訳文の「答え」はともかく、解説の時とかにこういう風に日本語言った方が生徒にも分かりやすいし想像しやすいんだろうな、とか思った。あとは「描出話法」の説明で、「間接話法において二つ以上の文を伝達するとき、伝達動詞は省くことができる」(p.193)という説明が書かれている文法書があるらしく、そういう説明もあるのか、と思った。最後に全く関係のない話で、著者は「電車で移動するとき、手もとに本がないと、不安に駆られる。車中で必ず読書をするとは限らないが、それでもなお、あっ本がない、と気がついたときには必ず心細くなる。軽い神経症の一種だろう。」(p.177)っておれと一緒だなと思った。ちなみにこの文章、英訳しなさいって一昔前の大学入試問題だったらありそうだな、とか思った。基本的には各章でミステリー小説や短編集とか1つ以上紹介されているので、短編集とかこれを参考に選んでみるといいかな、と思った。(26/02/15)

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2025/11/17

読みにくい翻訳の本はあるけど、なんとなく把握できるので、あまり気にしてこなかった。 翻訳の趣味を始めて、この本を手に取り、面白かった。 誤訳の指摘も痛快。 全く逆の意味になってるものとか、原文のニュアンスを台無しにしているものとか。 その人の知識と力量が出てしまいますね。

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2025/01/26

本の紹介を交えながら翻訳のことを書いているエッセイ集。 「翻訳本は読みにくい」と思ったことが過去にある。誤訳だったり訳す順番だったりを工夫すると随分と読みやすくなるんだなと感心した。 「ミステリーを訳すなら原文で最低でも何十冊、できれば百冊読んでる必要がある」といった趣旨のことが...

本の紹介を交えながら翻訳のことを書いているエッセイ集。 「翻訳本は読みにくい」と思ったことが過去にある。誤訳だったり訳す順番だったりを工夫すると随分と読みやすくなるんだなと感心した。 「ミステリーを訳すなら原文で最低でも何十冊、できれば百冊読んでる必要がある」といった趣旨のことが書いてあり翻訳ってスタートに立つまでも大変なんだなと思った。 あとはイギリスに関する話が面白かった。イギリスではセーターのことをジャンパーという、とか。 この著者が訳した本読んでみたい。

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2024/11/16

「作家が選んだ文体の特徴を日本語に訳すのが翻訳者の仕事」 英語が苦手な私は集中力続かなくて流し読み。それでも気になるトピックはいくつかあった。 ユーモアやウイットを訳すのが難しいのはなんとなく知ってるよ。説明されないとわからないけど、知ると面白いね。 そして、ドアの開け方はミ...

「作家が選んだ文体の特徴を日本語に訳すのが翻訳者の仕事」 英語が苦手な私は集中力続かなくて流し読み。それでも気になるトピックはいくつかあった。 ユーモアやウイットを訳すのが難しいのはなんとなく知ってるよ。説明されないとわからないけど、知ると面白いね。 そして、ドアの開け方はミステリ翻訳の重要なポイントらしい。 そういえば、翻訳できない言葉を集めた本があったな。そちらも読んでみたい。 いずれにせよ、翻訳者の皆様、たくさんの作品を日本語で届けていただきありがとうございますm(_ _)m

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2024/08/24

翻訳ミステリー好きの人や、日常で英語と関わる機会が多い人にはとても面白い一冊。翻訳者の頭の中が覗けて、どんな本を読んでいるかも紹介してあって興味深い。英語が出来るだけでは訳せない翻訳の奥深さが面白かった。

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2024/08/04

具体例がめちゃくちゃたくさん出てきてとても勉強になった。 わたしは多少意味のわからない文章でも大意をつかんだつもりになって読み進めてしまうことが多いけど、かすかに引っかかりにも妥協せずに、調べ、より良い翻訳を探していくのに職人芸を感じた。 また、絶対に翻訳では伝えきれないものがあ...

具体例がめちゃくちゃたくさん出てきてとても勉強になった。 わたしは多少意味のわからない文章でも大意をつかんだつもりになって読み進めてしまうことが多いけど、かすかに引っかかりにも妥協せずに、調べ、より良い翻訳を探していくのに職人芸を感じた。 また、絶対に翻訳では伝えきれないものがある、ということを改めて認識できた。 というかここまでくると日本語の文章も正しく咀嚼できている自信がない

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2023/06/16

出版翻訳者による翻訳にまつわるエッセイ。 誤訳を例に出しているので、翻訳者を目指す人にとってのアドバイスにもなっている。 普通に出版されている翻訳本でも、結構誤訳が多いのだなと思った。 いかに原文のエッセンスを一語一句でもなく、意訳しすぎないように時代背景なども考慮すべきかな...

出版翻訳者による翻訳にまつわるエッセイ。 誤訳を例に出しているので、翻訳者を目指す人にとってのアドバイスにもなっている。 普通に出版されている翻訳本でも、結構誤訳が多いのだなと思った。 いかに原文のエッセンスを一語一句でもなく、意訳しすぎないように時代背景なども考慮すべきかなど、翻訳の奥深さを知ることができ、また、おすすめの本なども、テーマごとに紹介されているので、面白かった。

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2023/05/02

翻訳ものが大好きなので、このタイプの本も大好きです。 個人的には誤訳も何のその、気にならないタイプですが、確かに時々読みにくい翻訳があるなあ、と思っていたことに対して、回答を得たように思います。スッキリ。 翻訳から、いろんな雑学に発展する感じで、とてもおもしろいです。 残念なの...

翻訳ものが大好きなので、このタイプの本も大好きです。 個人的には誤訳も何のその、気にならないタイプですが、確かに時々読みにくい翻訳があるなあ、と思っていたことに対して、回答を得たように思います。スッキリ。 翻訳から、いろんな雑学に発展する感じで、とてもおもしろいです。 残念なのは、引き合いに出されている本がどの本なのか、全部はわからないこと。繰り返します。ザンネン。 ですが、アベラールとエロイーズとグレアムグリーンの評伝は読んでみようと思いました(笑) そしてまた死ぬまでに読みきれないほど、読みたい本ができてしまいました…

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2022/09/26

著者は良い意味で重度の言語オタクのようだ(笑)。 この本で紹介されている作品をほとんど知っている上で、翻訳"地獄"に沼っている人や、本格的に翻訳をするにあたって参考図書を探している人におすすめ。 翻訳とは究極の精読である、とは聞くが、すでに訳書が出版されて...

著者は良い意味で重度の言語オタクのようだ(笑)。 この本で紹介されている作品をほとんど知っている上で、翻訳"地獄"に沼っている人や、本格的に翻訳をするにあたって参考図書を探している人におすすめ。 翻訳とは究極の精読である、とは聞くが、すでに訳書が出版されて"正解"が示されているような書物でさえも、これだけ言葉にこだわりを持った人に改めて読み解かれるのかと思うと、本というのは出版されてからがスタートなのだなと感じた。これは外国語→母国語への翻訳に限らず、作者の解釈→自分の解釈という意味でも同じなのかもしれない。 翻訳が、ただ言葉を外国語から変換するだけの仕事ではないというのはなんとなく知っていたが、その言葉をきいてその国の人が何を連想するのかまで調べ上げることも仕事の内に入る(116p)という考えには納得した。そう考えると、一冊の本を訳すときにその国の歴史ごと知ることになるかもしれないわけで、やはり歴史というのはどの分野にも関わってくるのだなあ。

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2020/08/18

面白かった! 今まで読んだ小説で見つけた誤訳を解説していて、訂正された文章と比べると一目瞭然。すっきり分かりやすくなる。 イギリスのcityは町に与えられる称号だとは知らなかった。 知ってる単語だと思ってそのまま流しそう。 紹介されている本も面白そうで欲しくなる。 翻訳小説をよ...

面白かった! 今まで読んだ小説で見つけた誤訳を解説していて、訂正された文章と比べると一目瞭然。すっきり分かりやすくなる。 イギリスのcityは町に与えられる称号だとは知らなかった。 知ってる単語だと思ってそのまま流しそう。 紹介されている本も面白そうで欲しくなる。 翻訳小説をよく読む人にもおすすめ。

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