知の越境法 の商品レビュー
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知の越境法~「質問力」を磨く~ (光文社新書) 2018/6/20 知らないことを知って、停滞を破る 2018年12月14日記述 池上彰氏による著作。 2018年6月20日初版1刷発行。 帯に左遷云々と書かれている。 しかし池上氏の経歴を見る限り左遷とは思えないが・・・ その辺りは方便のように感じた。 組織人である以上、何らかの人事異動は誰にとっても 発生するものに違いない。 はじめにに書かれているのだが、 「自分にとって異なる文化と接すること。 自分が所属している組織に異質な存在を送り込むこと。 それによって多様性を生み出すこと。 自分を、そして組織を活性化するには、それが必要なのではないでしょうか。 越境の意味はそこにあると考えます。」 本書の大半は池上氏の半生、職業人生の棚卸しとも言える。 内容的に「記者になりたい」と一部かぶる。 印象に残った部分を紹介してみたい 専門家と渡り合えるところまで来たなと自分で思えるのはどういうときか? →専門用語を使って説明する専門家の言葉を瞬時に小学生にも分かる言葉に翻訳して説明できることです。 他人に説明できるまでに理解できたと言えるようになる為には自分が学んだり見聞きしたりした内容をどう相手に伝えるかを常に意識することが重要です。 そうだったのか現代史の参考図書は131冊に及んだ。 そうだったのかアメリカの主要参考文献は146冊。 (今、自称通史として売り出している百田尚樹氏の日本国紀には参考文献の記載がまるで無い。Wikipediaからの引用も多いと判明。百田尚樹氏には池上彰氏の姿勢を見習って欲しいものだ) 質問をする為には何が分からないか分かっていないと駄目なのです。 越境の醍醐味 1知らないということを知る。 「無知の知」(こどもの視点) 2知らないことを知って、停滞を破る (未知の人や土地に越境する) 3離れているものどうしに共通点を見出す (イランの聖者廟(びょう) 4知らないことを知ることで多数の視点を持つ。自分を相対化する こういう多角的な視点を持つことは、本来は非常に大事なことなのですが、いまは多くの人が、その面倒くさい作業に耐えられなくなりつつあります。 自分のいままでの意見は変えたくない。世界が複雑化し、物事の白黒が簡単にはつけられなくなってきているだけに、人は複雑なことを考えたくなくなっています。 フェイクニュースに惑わさらないためには、面倒臭く、地味で、長い時間がかかっても、意見を突き合わせ、つまり越境して自分の視点を鍛えるしかありません。 そのときに役立つのは、信頼性のある新聞などのメディアだろうと思います。 個人がやっている、聞いたこともないようなウェブサイトは、注意が必要です。 裏を取る、つまり確認をとることを知らない人たちが、大勢ネットに関わっているからです。 もう一つ、記事以外にアーカイブがしっかりしているかどうか、というのもサイトを判断する基準になります。 そのサイトに、過去の記事が検証できる形で掲載されているか、ということです。 過去の記事を検索すれば、とんでもないことを主張していたりしないか、見通しを間違えていたりしなかったか検証できます。 検証できなければ、検証に耐えられない文章ばかりを書いてきたのではないかと疑ってかかることです。 過去の予測が外れたことを率直に認める記事を掲載していた場合は、信頼度が高まります。 予測が外れた記事をこっそり削除する。 こういう態度を取っていては、信頼できません。 ↑の池上氏の指摘は大変重要だと思う。 本書で一番重要な点だと思う。 今でも、いや昔以上にネット上で胡散臭いニュースが増加したように思う。 皮肉にも大手メディアがなぜ大切なのかを示していると思う。 自分もNHKオンラインをまず確認するし。
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いろいろなジャンルを幅広く学び、そこから、新しい物が生まれる。挫折も学びの場として前向きに捉える逞しさがいいですね。
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請求記号 S002-コウ-853(新書) 資料番号 300705068 新潟医療福祉大学図書館 蔵書検索(OPAC) https://library.nuhw.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&...
請求記号 S002-コウ-853(新書) 資料番号 300705068 新潟医療福祉大学図書館 蔵書検索(OPAC) https://library.nuhw.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000130067&opkey=B158834923628971&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=50&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0
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なんとなくタイトルに惹かれて購入。 池上さんの本はいくつか読んだことがあるので、 同じような内容も散見された。 が、 最後にきて、びっくり。 不本意な仕事を任された時の心構え。 「越境」したと思って、がんばる。 まさに、今の私の状況ではありませんか。 そうか、読むべくして読...
なんとなくタイトルに惹かれて購入。 池上さんの本はいくつか読んだことがあるので、 同じような内容も散見された。 が、 最後にきて、びっくり。 不本意な仕事を任された時の心構え。 「越境」したと思って、がんばる。 まさに、今の私の状況ではありませんか。 そうか、読むべくして読んだ本だったのか。 きっと、この先も「越境」は続く。 その時に、人間の真価が現れる。 頑張れ、私。
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時事問題をまとめた本ではなく、池上氏の仕事論 人生論を語った本です。 ここで言う「越境」とは、人生においては何が 役に立つかわからない。「こんなことをしても ムダでは?」と思わず、目の前の課題をこなして 行きなさい。そうすればそれが役立つ日が必ず くる。 スティーブジョブスも...
時事問題をまとめた本ではなく、池上氏の仕事論 人生論を語った本です。 ここで言う「越境」とは、人生においては何が 役に立つかわからない。「こんなことをしても ムダでは?」と思わず、目の前の課題をこなして 行きなさい。そうすればそれが役立つ日が必ず くる。 スティーブジョブスも似たようなことを言って いましたね。 それから、一つの場所に止まるな、力を蓄えた のなら現状から飛び出して挑戦しろ、という 意味も込められています。 この時期、意にそぐわない人事異動を受けた人が 読むべき一冊です。
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TVなどでおなじみの池上さんの1冊。 冒頭に「年齢を重ねれば越境の機会が減る。 無理にでもその機会を作る必要がある。」 「進歩が止まった、どうも沈みがちだ、すっきしない。 そう思ったときにちょっといつもの道を外れ、 隣の道を進んでみる。角度が違っただけで風景が 違って見えます。」...
TVなどでおなじみの池上さんの1冊。 冒頭に「年齢を重ねれば越境の機会が減る。 無理にでもその機会を作る必要がある。」 「進歩が止まった、どうも沈みがちだ、すっきしない。 そう思ったときにちょっといつもの道を外れ、 隣の道を進んでみる。角度が違っただけで風景が 違って見えます。」と書かれていたのがすごく印象的だった。
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左遷など、自らが望まない境遇に置かれても、前向きに取り組む姿勢には脱帽する。それによって、ジェネラリストとしての経験を積んだという。 著者は、NHK入社後、地方勤務を経て、東京の社会部で10年勤務した後、「首都圏ニュース」をキャスターとして5年、「週刊こどもニュース」を11年担...
左遷など、自らが望まない境遇に置かれても、前向きに取り組む姿勢には脱帽する。それによって、ジェネラリストとしての経験を積んだという。 著者は、NHK入社後、地方勤務を経て、東京の社会部で10年勤務した後、「首都圏ニュース」をキャスターとして5年、「週刊こどもニュース」を11年担当した。解説委員になることを希望したが叶わず、専門性がない反面、幅広く何でも知っているおり、基本からわかりやすく解説することが自分の強みと気づいた。本を書く仕事が少しずつ来るようになったことから、54歳でNHKを退職した。
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質問力を磨く、というより自分の関心の枠を広げるあるいは自分の関心と事物を結びつけてしまう能力を磨く本。 内容はかなり池上さんのキャリアを改めて振り返るものになっていて、ノウハウ的なものではない。でも、それがいい。体験性は良い本の条件だと思う。 しばしば政権に対する皮肉があるの...
質問力を磨く、というより自分の関心の枠を広げるあるいは自分の関心と事物を結びつけてしまう能力を磨く本。 内容はかなり池上さんのキャリアを改めて振り返るものになっていて、ノウハウ的なものではない。でも、それがいい。体験性は良い本の条件だと思う。 しばしば政権に対する皮肉があるのもいい。自分は、おもねる言説も、叩くのが目的化した言説も入ってこない。けど、意味がある文脈で、何気なく皮肉が書いてるとスッと受け入れられる。 心に残ったのは、複雑なものを簡単にするのでは意味がなくて、複雑なものを複雑なままでわかりやすくする、といった記述。あと、本を読むのは「いつか」役に立つという記述。もどかしいけど、真理なんかな。
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新聞、TVをはじめとして、インターネットが生活に欠かせないものとなったいま、メディアの重要性が問われていると思う。扇動的なtwitter、ポピュリズムが動かす直感的な体制批判、格差が原動力となる隣の芝は青く見える的な不満。その中で、池上さんは頑張られていると思う。本来はメディア...
新聞、TVをはじめとして、インターネットが生活に欠かせないものとなったいま、メディアの重要性が問われていると思う。扇動的なtwitter、ポピュリズムが動かす直感的な体制批判、格差が原動力となる隣の芝は青く見える的な不満。その中で、池上さんは頑張られていると思う。本来はメディアが担わなければいけない役割を池上さんが担っていると思う。 池上さんはもともと新聞記者になりたかったそうだ。ただ、時代のいたずらもあってNHKに入社。NHKでは記者やディレクター業をこなしながらニュースキャスターを担当するようになる。これが池上さんにとっての大きな越境の一つになる。週刊こどもニュースを担当することで、広く他局にも知られるようになったようだ。その後、NHKを退社してフリーランスになるが、このときの経験が、いろいろな人に声をかけてもらう縁になっているようだ。 池上さんの人生は越境の人生だったという。その池上さんが、「日本はいろいろな意味で越境のしにくい国だと思う」という。学生、社会人、そして定年後。それぞれのステージの生き方に「幅」がないように思うそうだ。多様性がないともいえるかもしれない。そのため、池上さんはリベラルアーツを大切にしようという。日本のリベラルアーツ教育は、何度か恣意的な波に洗われたという。このままではいけないという危機感も、池上さんの世界の様子を伝える姿勢の原動力になっているのだろう。 今の時代は、世界が複雑化し、物事の白黒が簡単には付けられなくなってきているだけに、人は複雑なことを考えたくなってきている時代だろう。世界紛争、貿易問題、格差社会、そして国家の覇権。複雑な課題群ばかりだ。だからこそ、自分の頭で考えて意見を持つことが大切になる。越境することで多様な視点を持つこと、そして越境することで自分を相対化すること。これが停滞を破る突破口となる。そんなメッセージが伝わってくる。
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池上さんが、いかに学んできたのか、自伝的な内容を中心とした本。 これはこれで読み応えがあって面白いのだけど、「質問力」は全体の1/6もないかな。質問の考え方について解説があるわけでもないので注意。 異分野に身をおく時に、学び、糧にするポイント4つ ・無知の知。知らないということ...
池上さんが、いかに学んできたのか、自伝的な内容を中心とした本。 これはこれで読み応えがあって面白いのだけど、「質問力」は全体の1/6もないかな。質問の考え方について解説があるわけでもないので注意。 異分野に身をおく時に、学び、糧にするポイント4つ ・無知の知。知らないということを知る ・知らないことを知って、停滞を破る(行動する) ・既知のものとの共通点を見出す ・自分を相対化する。多数の視点を持つ。 「愚かな質問はない、あるのは愚かな答えだけだ」(だから積極的に質問を)との言葉が紹介されていたけど、出所はどこだろう。 良い質問ができなければならない、という価値観の意見や本ばかりみてきたので新鮮だった。 質問力として紹介されてる事例は、相当に相手との距離感を読む力を要求されるもののような気がする。 ・遠慮しない。ぬけぬけとした質問 ・臨機応変に。事前の準備に固執せず、深掘りできそうな時はつっこむ ・アイスブレイク大事。相手との距離感を詰めるには45度の位置に座る ・馬鹿な質問、初歩の質問をする。 相手の反応で、相手の程度が分かる。 ・人をダシに使う。「視聴者に分かるように〜」、「うちのカミさんが〜」みたいな。 ・相手への尊敬 ・想定外の質問をする。警戒心を解いたり、アイスブレイク的に。
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