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奪われた家/天国の扉 動物寓話集 の商品レビュー

3.9

10件のお客様レビュー

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2025/10/31

なんかね すごいんですよ!びっくりした。 アルゼンチンの小説なんてなかなか見かけないから読んでみようと思ったんですけど、、、 喉の奥に小ウサギ???! 色々、度肝を抜かれます。 ひとつひとつリアリティがあって 文章は読みやすく面白い、でも全体の意味は理解できない、何が起きてるの...

なんかね すごいんですよ!びっくりした。 アルゼンチンの小説なんてなかなか見かけないから読んでみようと思ったんですけど、、、 喉の奥に小ウサギ???! 色々、度肝を抜かれます。 ひとつひとつリアリティがあって 文章は読みやすく面白い、でも全体の意味は理解できない、何が起きてるの?っていう 決してセンセーショナルな物語ではなく、どちらかというと淡々と、不思議な明るさと温かみを持って、日常生活が描かれています。流れもスムーズだし文章も落ち着いてなめらか。でも、総合的に俯瞰したとき、いつの間にか尋常でない空間にいることに、気づきます。 よく見たら幻想文学っていうものらしい。 日常のなかにこそ幻想があるのかもしれないし、日常なんてそもそも幻想なのかもしれない。 不思議な、という感想で合ってるのだろうけど、ここ数年で一番の衝撃かも。ロシア文学もキャラクターの心理がさっぱり理解できないと思ったけど、あれは共感できない、というジャンルで、意味そのものは理解できてたってことなんだと気が付きました。 ほんとにわかんない! という意味でめちゃくちゃ面白いけど、ほんとによくわかんないので びっくり体験したいという人以外にはおすすめはしない。びっくり満点 という体験ができたことを評価しての4です

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2025/04/10

奪われた家:ボルヘスに認められた作品。兄妹の家が正体不明の何者かに占拠されていく。不気味。 パリに発った婦人宛ての手紙:子兎が喉からこみあげてくる話が可怪しい。

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2020/10/28

コルタサルはいつか「石蹴り遊び」を読みたいと思っている作家なのだが、長編にはなかなか食指が動かず、まずは短編集から。 『奪われた家』だけバベルの図書館ラテンアメリカ編で既読だったが、その他の作品もラテンアメリカ文学の雰囲気をたっぷりと湛えた秀作揃いで、マジックリアリズムと称され...

コルタサルはいつか「石蹴り遊び」を読みたいと思っている作家なのだが、長編にはなかなか食指が動かず、まずは短編集から。 『奪われた家』だけバベルの図書館ラテンアメリカ編で既読だったが、その他の作品もラテンアメリカ文学の雰囲気をたっぷりと湛えた秀作揃いで、マジックリアリズムと称される雰囲気に加えて、独特なスリラーがある。中でも「キルケ」の恐しさは群を抜く。『パリへ発った婦人宛の手紙』もラストが衝撃的で秀逸。

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2019/08/28

古い大きな家にひっそりと住む兄妹をある日何者かが襲い、二人の生活が侵食されていく「奪われた家」。盛り場のキャバレーで、死んだ恋人の幻を追う「天国の扉」。ボルヘスと並びアルゼンチン幻想文学を代表する作家コルタサルの「真の処女作」である『動物寓話集』。表題作を含む全8篇を収録。(裏表...

古い大きな家にひっそりと住む兄妹をある日何者かが襲い、二人の生活が侵食されていく「奪われた家」。盛り場のキャバレーで、死んだ恋人の幻を追う「天国の扉」。ボルヘスと並びアルゼンチン幻想文学を代表する作家コルタサルの「真の処女作」である『動物寓話集』。表題作を含む全8篇を収録。(裏表紙) 最初は、ぜんっぜん文章が頭に入ってこなくてびっくり。原文ゆえか翻訳ゆえか…。 話としても、一読してはっきりするものが少なく、読んでて疲れてしまった。 『バス』の不気味さや『キルケ』のホラータッチは良いんだけどなぁ。

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2019/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

出版後すぐにツイッターで、訳者の「今までコルタサルはアンソロジーなどでつまみ食いされてきた」というあとがきに対し、先人の偉業に対しなんと失礼な、という嫌悪感が表明されたのを見たが、まあ確かに寺尾さんの書き方はいまひとつだよなー。 しかし鬼の首を取ったように抗議するというほどの書き方でもないし、実際に実質的処女作を発表当時の形式で訳すという意義は深いと思うし。 まあ喧嘩両成敗ということで個人的には落ち着けたい。まあまあ棒を持ってこようか。 なんでも動物寓話集というのは、伝統的な物語ジャンルらしい。 ただしヨーロッパのジャンルを完全踏襲するのではなく、なんとなく動物が出てくる作品群を、そういう名前のもとに編んでみました、というくらい。 想像するに、当時のコルタサルは泉のように短編小説を書いており、そういう枠を設定しなければまとめきらなかったのではないか。羨ましい。 内容に踏み込んで考えてみる。 何が起きているのか判りづらい、しかし背中にじわりと伝わってくる「厭さ」の確かさによって、眼とページを捲る手は止められない。 さて起きていることが判りかけた、と思いきやラストで解釈がくるっと裏返される。この巧みさがまずよい。 幻想とも恐怖とも謎とも言えるが、しかしその「厭さ」を牽引する力は、語りの手法の巧妙さだ。 仄めかし、人称の移動、視点人物の置き方と話者の割り込み、などなど。 ざっくりいえばノイローゼとか強迫神経症を短編化したという印象で、筒井康隆的といえるかもしれない。 ■奪われた家  ※閉じ込め、引き籠り、近親相姦。 ■パリへ発った婦人宛ての手紙  ※出産と死? ■遥かな女――アリーナ・レエスの日記  ※遥かな地の自分を夢想し入れ替わる変身譚。 ■バス  ※同調圧力に入れない男女の出逢いと別れ。「奪われた家」と似ている。 ■片頭痛  ※得体の知れない動物の飼育を生業にする「私たち」。健康を害しホメオパシーを信奉するが。 ■キルケ  ※男を動物に変えた女、というギリシア神話(オデュッセウスの)がモチーフ。(あれ。泉鏡花「高野聖」って。と思いきや中国の三娘子らしい。 ■天国の扉  ※死んだ妻が、結婚中は押さえていたダンスクラブへの愛慕から、蘇って狂乱の中へと去っていく、という幻影。を、夫の友人が語り手として見る。 ■動物寓話集  ※少女視点でぎくしゃくした家を観察する。筋は読み切れないが、雰囲気はわかる。

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2019/02/20

コルタサルの読みやすい?傑作短編集 『偏頭痛』を読みながら、私の頭痛はMS由来なのか?精神疾患の方なのか??と迷い道くねくねくねくねに…

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2018/10/24

原書名:Bestiario 奪われた家 パリへ発った婦人宛ての手紙 遥かな女 バス 偏頭痛 キルケ 天国の扉 動物寓話集 著者:フリオ・コルタサル(Cortázar, Julio, 1914-1984、ベルギー・ブリュッセル、作家) 訳者:寺尾隆吉(1971-、名古屋市、ラテ...

原書名:Bestiario 奪われた家 パリへ発った婦人宛ての手紙 遥かな女 バス 偏頭痛 キルケ 天国の扉 動物寓話集 著者:フリオ・コルタサル(Cortázar, Julio, 1914-1984、ベルギー・ブリュッセル、作家) 訳者:寺尾隆吉(1971-、名古屋市、ラテンアメリカ文学)

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2018/10/05

今まで読んでいたのは木村栄一さん訳で、町工場の機械の部品のような、冷たい鉱物のゴツゴツした雰囲気を文章から感じていた。 今回のは寺尾隆吉さんで、しっとりナイーブな雪見大福のような感じがした。 今までは読み返しても自分には理解できない作品があった。 あとがきという答えを見ても...

今まで読んでいたのは木村栄一さん訳で、町工場の機械の部品のような、冷たい鉱物のゴツゴツした雰囲気を文章から感じていた。 今回のは寺尾隆吉さんで、しっとりナイーブな雪見大福のような感じがした。 今までは読み返しても自分には理解できない作品があった。 あとがきという答えを見ても、ピンと来ないのもあった。 今回は敷居が低くなったというよりは、バリアフリーで段差は感じないものの、クオリティとしては低くなっていない、自分にはそう感じました。

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2018/07/21

著者の出発点と言われる短編集『動物寓話集』新訳、 全8編。 作風は 日常にあるものを日常にないものと融合させる表現技法、 マジックリアリズムにカテゴライズされると思うが、 ボルヘスが描くマチスモ(machismo)の横溢する ならず者の世界に比べると 女性に優しく、洗練された印象...

著者の出発点と言われる短編集『動物寓話集』新訳、 全8編。 作風は 日常にあるものを日常にないものと融合させる表現技法、 マジックリアリズムにカテゴライズされると思うが、 ボルヘスが描くマチスモ(machismo)の横溢する ならず者の世界に比べると 女性に優しく、洗練された印象を与え、 翻訳の文体の効果か、 クールにしてエレガントな雰囲気が漂う。 以下、特に印象的な作品について。 「奪われた家」  古い大きな家を守り続ける中年兄妹の  静かな二人暮らしにある晩、侵入者が罅を入れる。  不審な気配を察した兄は  生活エリアを区切るドアに鍵を掛けて事なきを得たが、  屋敷の半分は――調度や思い出の品を含めて――  奪われてしまった。  声も立てず姿も見えない「敵」と対決もせず、  「何も考えなくても生きてゆけるものだ」という  感懐のままに無条件降伏した兄妹にとって、  守るべきものとは一体何だったのか。  憐れだが滑稽にも映る淡々とした兄妹は  正常性バイアスに囚われていたのだろうか。 「パリへ経った婦人宛ての手紙」  パリへ行った友人の部屋に住むことになった「私」は、  重大な心配事を抱えていた。  「私」はストレスを感じると  口から仔ウサギを吐き出してしまう(!)のだ。  一部始終は不気味だが、  生真面目な口調が却ってユーモラスに響く。 「キルケ」  マリオ青年は  二度も結婚前に婚約者を不可解な形で失った女性  デリアに惹かれ、交際する。  二人は婚約したが、  マリオの許に「身の危険を顧みよ」といったニュアンスの  怪文書が届く……。  キルケはギリシャ神話に登場する  アイアイエー島に棲む女神もしくは魔女で、  辿り着いたオデュッセウスらに酒を飲ませて  彼の部下を豚に変えてしまったとされる。  現代のキルケと呼べそうなデリアは  サイコパスの一種なのか。  いずれにせよ、すべての経緯を知っていながら  惚けているらしい彼女の両親が怖いが、  生臭い事件が、静かで  ひんやりした感触の文体で綴られているのが好ましい。

Posted byブクログ

2018/06/19

●カップを一つ動かすだけで、部屋全体の調和、物と物の絆が崩れ、物たちの刻々と移ろう心が家全体の心、遠く離れた家主の心から離れてしまう、そんな感じがするのです。

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