1,800円以上の注文で送料無料

リトル・バイ・リトル の商品レビュー

3.6

24件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    7

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/09/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ただ淡々と過ぎていく日々と、時折見せる暗い過去。 作品全体が明るいかと言われればそうではないけれど、穏やかで癒される青春小説。 物語序盤で異父妹の世話をしていたふみは、実年齢よりも大人びているように感じたけれど、物語が進むにつれて歳相応の女の子の一面が見えてきたり。周囲の人々の温かさに触れていく過程で、ゆっくりと自分の過去と向き合ったり。読み終わって振り返ると、「リトル・バイ・リトル」というタイトルがぴったりな作品だと思った。 年齢によって感想も違ってきそう。また歳を重ねたときに読み直したい。

Posted byブクログ

2024/06/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ふみの、今は穏やかだけれど決して恵まれているとは言えない環境。そんな環境・状況がゆるやかに過ぎていく空気感が伝わってきた小説だった。小説の終わり方からもそんな雰囲気を感じとった。書道教室での柳さんとのやりとり、そしてなにより、周との出会い。「すこしずつ」あたたかな方向へ変化していく様子が、まさにタイトルを体現していた一本でした。

Posted byブクログ

2024/04/08

この小説と出会ってもう十数年経っていることに驚きます。何度も繰り返し読んでは、初めて読んだ頃に少しだけ戻れる気がしてしまいます。この物語をずっと大事だと感じられるように生きていきたい。

Posted byブクログ

2023/02/27

島本理生さんが20歳の頃に書いた作品。 昨今の小説と比べると幼さを感じるのは否めないが、それでも島本さんの優しさが滲み出ている本だった。 ✏どんな言葉にも言ってしまうと魂が宿るんだよ。言霊っていうのは嘘じゃない。書道だって同じことで、書いた瞬間から言葉の力は紙の上で生きてくる。...

島本理生さんが20歳の頃に書いた作品。 昨今の小説と比べると幼さを感じるのは否めないが、それでも島本さんの優しさが滲み出ている本だった。 ✏どんな言葉にも言ってしまうと魂が宿るんだよ。言霊っていうのは嘘じゃない。書道だって同じことで、書いた瞬間から言葉の力は紙の上で生きてくる。そして、書いた本人にもちゃんと影響するんだよ。

Posted byブクログ

2023/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「今ここで死んじゃうのもいいなんて、ちょっと思った」 人生で初めて読んだ小説。主人公ふみの抱える闇に、柔らかな光を灯してくれるキックボクサー・周の純粋さが心地よい。少しやんちゃなお母さんや、変わり者の周のお姉ちゃんもいいキャラ。柳先生の優しい語り口も好きだった。島本理生さんの語り口含め、エモさの塊のような作品。 以下、セリフメモ。 ≪店のシャッターが閉まってコンビニだけが強い明かりを放つ夜の道を、彼は無言で自転車をこいだ。その背中に自分の体をつけると鼓動が二重に響いて二つの心臓を抱いた気がした。気の遠くなるような音だった。≫ ≪ ひまな時間にはたいがい周のことを考えた。二人で出かけた少ない思い出を何度も頭の中で再生しすぎてすり切れてしまうと、今度は知っている曲をかたっぱしから小声で歌い、最後には電柱の数をかぞえた。そんなふうに過ごしているうちに、日は暮れていくのだった。≫ 「でも、他人には言わなきゃずっと分からないままですよ」 「他人って」 「たとえば俺とか」 周は強い口調でそう言うと、すぐに表情を緩めて、いつものおっとりとした調子で続けた。 「毎回怖いって思うたびに、そう言えばいいじゃないですか」 「そうかな」 「そうですよ」 ≪ 橋を渡ってから公園の奥まで歩いていた途中で急に腕をひかれて、背の高いしげみの中に入った。まるで野犬が飛びかかってきたようだと思いながら木の枝や落ち葉や虫を飲み込んだ土の上に横たわると、じっとりと湿った柔らかさに吸い込まれそうだった。覆いかぶさった周の肩の向こうに色の濃い葉をつけた枝が何本も伸びていて、隙間からは小さな夜空が見えた。私たちはそこで寝た。長いような短いような、伸縮自在の時間の中で。≫

Posted byブクログ

2022/12/16

野間文芸新人賞受賞作品。 直木賞を受賞した「ファーストラヴ」よりも自分は面白く読めた。慈しむように出てくる言葉に、こちらまで癒されてしまった。

Posted byブクログ

2022/09/01

少しずつ、徐々に、小刻みに、 直木賞受賞作家の芥川賞候補作。19歳の時書かれたものだという。とてもみずみずしい作品で、清々しい気持ちで読み終わる。 主人公ふみは母と腹違いの妹と3人で暮らす。 島本さん自身、母子家庭を経験していて、そのことが反映されているらしい。 でも、島本...

少しずつ、徐々に、小刻みに、 直木賞受賞作家の芥川賞候補作。19歳の時書かれたものだという。とてもみずみずしい作品で、清々しい気持ちで読み終わる。 主人公ふみは母と腹違いの妹と3人で暮らす。 島本さん自身、母子家庭を経験していて、そのことが反映されているらしい。 でも、島本さんの作品はこの作品もそうだけど、あまり現実感が薄い。 どこかお行儀が良い。 もっとドロドロした展開を期待するのだけど、落ちる一歩前で踏みとどまってしまうという感じ。 芥川賞選考の際の村上龍さんのコメント「好感を持った。だが受賞作に推すためには好感だけでは足りない」には深く同意。 最後、ふみと周が井の頭公園で結ばれたところは、なぜかすごくリアルに感じたけど。 でも、いろいろ書きましたが、好きな作品です。 故石原慎太郎氏は「可憐な青春小説の域を出ない」と評してますが、この作品はそれが魅力なんだと思った。

Posted byブクログ

2022/08/02

現代的と言うのか、新感覚というべきなのか、今までと違った切り口の青春小説。 手近にあり、ふと読んでみたのだが、当然ながら50代のおじさんが共感しながら読むには、ちょっと無理のある内容だった…(^-^;

Posted byブクログ

2022/06/11

高校卒業したてのふみは、お母さん、小学2年の父親違いのユウちゃんと3人で暮らしている。 家族3人で過ごすお家の時間、アルバイトしたり、習字教室に通ったり、お母さんの勤め始めた整骨院に通う周と出会い、ゆっくりデートをしたり。 もうすっかり会わなくなってしまった父親のことや、習字...

高校卒業したてのふみは、お母さん、小学2年の父親違いのユウちゃんと3人で暮らしている。 家族3人で過ごすお家の時間、アルバイトしたり、習字教室に通ったり、お母さんの勤め始めた整骨院に通う周と出会い、ゆっくりデートをしたり。 もうすっかり会わなくなってしまった父親のことや、習字教室の先生の奥さんの突然の死。 切ない描写はあるものの、基本的には何気なく過ごす日常が描かれていて、ロマンティックさはない。ただ、家族との会話の場面はとても愛情を感じるし、物語に流れる時間は心地良さがある。 薄いので、サクッと読めます。

Posted byブクログ

2022/04/18

島本さんの本は少なくとも5冊以上読んでいるが、この本はとてもさらっと読めました。 主人公のふみは、母子家庭で、父親が2人います。家の都合で大学に行けず、アルバイトをしながら、家計を助け、妹の面倒もみながら忙しく過ごしています。そんな中、母親の勤務先のマッサージ店で出会った、周と...

島本さんの本は少なくとも5冊以上読んでいるが、この本はとてもさらっと読めました。 主人公のふみは、母子家庭で、父親が2人います。家の都合で大学に行けず、アルバイトをしながら、家計を助け、妹の面倒もみながら忙しく過ごしています。そんな中、母親の勤務先のマッサージ店で出会った、周という男の子と知り合い… 周くんとお姉さんのやり取り好きだなぁ。 ふみが抱えていた悩みは普通よりももっと複雑で理解しがたいけれど、1人の女の子の物語としては、ふみの感情について共感できるところもあり、楽しく読めました。 やっぱり島本さんの文章好きだなぁ、ただの恋愛小説だけで終わらないところがいい。

Posted byブクログ