武士の日本史 の商品レビュー
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最新の日本史学を踏まえ、武士の成り立ちから近代における位置づけまで、さまざまな論考をまとめた良書。 文体が硬めなので最初はやや取っつきにくいけど、とにかく幅が広いので、知的興奮度は高目。平氏と豊臣秀吉の治世も、「幕府」と呼んで差し支えないのではないかという説は興味深かった。 「武士」という言葉の定義自体は、時代によって大きく変わるので、日本においては通史的な「武士の国」という考えは成り立たないとした上で、「武」のイメージのみが独り歩きする風潮に歴史学者として警鐘を鳴らしている。
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<目次> 序 時代劇の主役たち 第1章 武士とはなんだろうか~発生史的に 第2章 中世の武士と近世の武士 第3章 武器と戦闘 第4章 「武士道」をめぐって~武士の精神史 第5章 近代日本に生まれた「武士」~増殖する虚像 終章 日本は「武国」か <内容> 前半は武士の発生とその発展を描く、通常の歴史。第3章は戦闘の歴史。刀の使用目的がだいぶ違ったことに気づく。第4章以降は、現在に対して警鐘を鳴らす。日本のメンタルが「武士」から来ているのではない。その歴史は高々150年程度で作られた虚像である(もしくは「創られた歴史」)。それを天皇制と結びつけ、「伝統」と呼ぶのはちゃんちゃら可笑しい。それを明言してくれている!
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