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パンと野いちご の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2025/10/29

こんなにバルカン半島の地図をじっくり見たのは生まれて初めて。大国の狭間で翻弄され続けた時代。1つの多民族国家だった国が分裂し内戦が起こり、難民で溢れかえった時代。国境は入り組んでいるし、人の移動は続くし、読んでいるこちらも地図の上を右往左往。 暮らしていた場所から逃げなければな...

こんなにバルカン半島の地図をじっくり見たのは生まれて初めて。大国の狭間で翻弄され続けた時代。1つの多民族国家だった国が分裂し内戦が起こり、難民で溢れかえった時代。国境は入り組んでいるし、人の移動は続くし、読んでいるこちらも地図の上を右往左往。 暮らしていた場所から逃げなければならなかった人たち。強制的に連れ去られた人たち。それまで築き上げた生活がいとも簡単に奪われてしまう。それでも生活は続く。まだまだ手を動かすことから離れていない人たちの話が多く、料理する人の動き、素材の質感、台所の匂いなどの描写が鮮やか。苦しい状況で工夫をすることを余儀なくされているのはわかっているのだが、自然の恵みとの近さを感じた。まさにパンと野いちごだ。 269ページ ペドラの言葉 政治は、人々から教養を奪い取ります。人を愚かにします。民族のアイデンティティは、この土地では宗教によって分かれていました。これは人間の内なる世界から発せられるものではないのです。政治的な意図から発せられるものなのです。

Posted byブクログ

2024/06/29

一時期ユーゴスラビアが気になっていくつかの国を旅した。セルビア行きの航空券も取ってたけれど、行けずのまま、気になっている地域として心に燻り続けている。 セルビア人を悪とする国家的宣伝に世界中がやられたけれど、長い歴史の中で、近代史だけをとってみても、セルビア人は何故こんなにも虐...

一時期ユーゴスラビアが気になっていくつかの国を旅した。セルビア行きの航空券も取ってたけれど、行けずのまま、気になっている地域として心に燻り続けている。 セルビア人を悪とする国家的宣伝に世界中がやられたけれど、長い歴史の中で、近代史だけをとってみても、セルビア人は何故こんなにも虐殺されてきたのか、避難し、難民となり、制裁を受けてきたのか。 近所の人々に助けられた場合もあれば、密告された人達もいる。日々の暮らしの中に、小さくても光を見つけ、生き延びた人達。食べ物を巡る記憶も、悲喜交々。ただ暖かい記憶、家族との時間と同質なことが多いだろうか。 生き延びた人達の話である。 生き延びれなかった人たちは、少しだけ名前や、名前はなくとも犠牲となったことで残されている。 時折、休憩を入れながら読む本。多くの人たちの人生を見させていただいた。

Posted byブクログ

2023/01/02

日本にいるとあまり詳しく知ることのないユーゴスラビアでの内戦。知る機会があるとしても、どういう理由で戦い、どの国が勝って、地図がどう変わったのかという概要。 でも一番知らなければならないのは、地図を眺めているだけでは見えてこない、その土地に暮らす人々の暮らしだ。民族に関係なく仲良...

日本にいるとあまり詳しく知ることのないユーゴスラビアでの内戦。知る機会があるとしても、どういう理由で戦い、どの国が勝って、地図がどう変わったのかという概要。 でも一番知らなければならないのは、地図を眺めているだけでは見えてこない、その土地に暮らす人々の暮らしだ。民族に関係なく仲良く暮らしていた人たちが、ある日突然敵同士にされ、住む土地を奪われ、悲しみを背負わされる。 もし日本で同じようなことが起こったらどうする?と想像しながら読んだ。

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2021/10/02

戦時下に何を食べていたの? ユニセフの配り物? 以外に?思ったより、個性豊かな食事風景に少し安堵。国民性の違いも面白かったです。 でも、このような本は、もう無くならないと

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2021/04/10

著者はセルビアで長く暮らす日本人。現地の親しい友人や出会った人々に戦時下の体験を聞き、「食べ物」をキーワードにしてまとめている。 人種、宗教が複雑に入り交じる土地柄、父母や祖父母の時代から常に戦火と隣り合わせだったことがわかる。 旧ユーゴスラビアの内戦は90年代の話だが、自分...

著者はセルビアで長く暮らす日本人。現地の親しい友人や出会った人々に戦時下の体験を聞き、「食べ物」をキーワードにしてまとめている。 人種、宗教が複雑に入り交じる土地柄、父母や祖父母の時代から常に戦火と隣り合わせだったことがわかる。 旧ユーゴスラビアの内戦は90年代の話だが、自分にとっては90年代とは、つい最近のことである。 だからこそ、そんな身近な時代に、このような苦難が起きていたことに衝撃を受けた。 日本で50年以上平和な暮らしをし、食べ物にも困らずにいられるのは、実はすごく幸福なことであり、決して当たり前ではないことを感じる。

Posted byブクログ

2020/12/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

10年ほど続いた内戦に苦しんだバルカン半島の難民の、食べ物にまつわる思い出語りをまとめた本。飢餓に苦しむ日々あり、停電で冷凍庫の肉を次々と焼いていくパーティーあり、キロ単位で出てくる野菜と大家族で食べる特大サイズの料理ありといろいろなお話がある。みんな着の身着のまま逃げ出し、家族や大切な人たちの安否も分からず、もしくは失い…と悲惨な境遇の中でも女性たちはどこか楽しげに料理のことを話すのが印象的。 「なぜ私がこんな状況の時に、市場にいつも通っていたかというとね、それは料理をするということは、家族がみんな仲良しだという感じを生み出してくれるからなの。料理をするということは、家族を集めるということなの。こうした状況のなかで、正常な気持ちを生み出してくれる、それは異常なことが起こっていることに対する抵抗でもあるのよ。」 前に読んだ戦争などのトラウマについて書いた本でも、難民キャンプでは女性の方が精神的に強いということが書いてあった。トラウマは常識や日常からの脱落であり、日々料理をし、洗濯をし、立ち働く女性は日常とリンクし続けて精神を安定させやすいと。料理をし、食べ、それを語ることは、私は日常を捨て去りませんという抵抗なのだ。強いなあ。グーラッシュは美味しそうだし作りやすそうなので、自分でも作ってみようかと思う。

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