ゴリラからの警告 の商品レビュー
ゴリラ研究の第一人者にして、京大総長の、毎日新聞に寄せたコラムをまとめた、非常に読みやすい一冊。 2012年4月から16年3月までの記事をもとにしたものだが、著者の筋の通った考え方に共感する。 ゴリラ、サルを通じていかに人間が進化してきたかを知れるともに、果たして本当に我々...
ゴリラ研究の第一人者にして、京大総長の、毎日新聞に寄せたコラムをまとめた、非常に読みやすい一冊。 2012年4月から16年3月までの記事をもとにしたものだが、著者の筋の通った考え方に共感する。 ゴリラ、サルを通じていかに人間が進化してきたかを知れるともに、果たして本当に我々は進化しているのかとも考えさせられる。 また本書では、大学総長となった著者の大学の運用に関する考え方にも触れることができる。 ゴリラに心血を注いだ著者だからこそ説得力があるのだろうが、よく日本人は、日本をよく理解してしていないとの指摘もあるが、それは日本という領域のみで考えるからで、一端世界に出てみればその特徴、特異性が容易に理解できるように、人というものも一端離れて別生物から眺めてみるのも、大きな理解の一助となるのだろう。
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◯大変面白かった。最近ゴリラがマイブームだったので、何かゴリラの本を読もうと思って手に取ったのだが、ゴリラの本というよりは、著者の魅力が溢れる本という方が正しいような気がする。 ◯新聞で掲載されていたコラムがまとめられた本であり、ゴリラに関する知識が別段増えるわけではない。著者の...
◯大変面白かった。最近ゴリラがマイブームだったので、何かゴリラの本を読もうと思って手に取ったのだが、ゴリラの本というよりは、著者の魅力が溢れる本という方が正しいような気がする。 ◯新聞で掲載されていたコラムがまとめられた本であり、ゴリラに関する知識が別段増えるわけではない。著者の世界を見るときの考え方、京都大学総長として、学生を教える側としての考え方が心を打つコラムが多い。その語りに思わずグッときて、自分の生活を改めてみようと思うこともある。なんというか徳が高い。 ◯タイトルはこれ以外は考えられないが、ゴリラに興味がない、タイトルで買ってみた、それ以外の人にも幅広く読んでほしいと思う。
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とても読みやすかった。 ゴリラの眼から世界を見つめたとき、人間たちはなぜ満たされないのか?どうすればしなかやかな人間になれるのか?どうして平和への近道を見落としてしまっているのか? 人間をいち動物として考え直すことができた。 私もゴリラのように泰然自若に生きたいものだ。
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ゴリラから見た人間とは!? とても考えさせられる一冊でした。 視点が独特で面白い! 人間が人間たる所以を少しでも知ることができたように思います。 人間らしい、とは何のだろうか!?
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著者の山極さんは、ゴリラ研究の世界的権威であり、京都大学総長でもあります。内容は「毎日新聞」の連載コラムに手を入れたもので、手頃な長さの小文集です。自ら群れの中に入って体験したゴリラの生態を「鏡」に、今の人間の考え方や行動を、それが個人としてのものもあれば、集団としてのものもあり...
著者の山極さんは、ゴリラ研究の世界的権威であり、京都大学総長でもあります。内容は「毎日新聞」の連載コラムに手を入れたもので、手頃な長さの小文集です。自ら群れの中に入って体験したゴリラの生態を「鏡」に、今の人間の考え方や行動を、それが個人としてのものもあれば、集団としてのものもありますが、省みて、分析・評価し、山極さんなりの示唆を書き連ねています。ゴリラ・チンパンジー・オランウータンといった類人猿は、やはり私たちと同類との感を強くしますね。今の人間は「無くしつつあるもの」が多すぎる気がします。
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人間の在り方を、類人猿と触れてきた先生の立場から考える本です。社会人類学的な本かと思ったのですが基本的にはコラムのようで、気楽に楽しく読めました。 人間という大くくりとゴリラを比べるのはなかなか乱暴ではありますが、ホモサピエンスの社会性と残忍さは一体どこから発生したのだろうと考え...
人間の在り方を、類人猿と触れてきた先生の立場から考える本です。社会人類学的な本かと思ったのですが基本的にはコラムのようで、気楽に楽しく読めました。 人間という大くくりとゴリラを比べるのはなかなか乱暴ではありますが、ホモサピエンスの社会性と残忍さは一体どこから発生したのだろうと考えるととても興味深い。 ゴリラの社会性はなかなか面白く、家父長のようなオスゴリラでありながら、女子供の支持が得られないと立ち行かないのがユーモラス。ゴリラは父親も子守をするようでなんとなく昨今のお父さんのようです。 比べれば比べるほど、人間はその狡さと性格の悪さで発展してきたような気がしてしまいます。ゴリラのように生きるというよりも人間自体は救いが無い生き物なので、根本的に謙虚になるしか無いような気持になりました。 同胞同士で傷つけあってきた数千年、または数万年。今では地球を覆いつくし国境を作り、一番安価な資源である人間の命を湯水のように浪費してきました。同胞にすらそうなのですから、自然環境なんて二の次三の次、どんどん絶滅に追い込んでいます。少しばかりのヒューマニズムで気まぐれ救済を施しますが、そもそもヒューマニズムってなんですかという所ですよね、ヒューマンは駄目だっていう議論からスタートしているのですから。 すっかり話は逸れましたが、ゴリラ、チンパンジー、オランウータンの方が人間より乳離れ遅いって知らなかった。オランウータンは7年位母乳を飲むようです。
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少し前の話ですが 京大の学生寮「吉田寮」のことが いっとき話題になっていましたね その時に 「学生諸君も もう少しゴリラらしく対応できれば いいのだけれど…」 というニュアンスのコメントが 山際寿一総長のお言葉として 報じられていた記事を読みました それも どちらかといえば ー...
少し前の話ですが 京大の学生寮「吉田寮」のことが いっとき話題になっていましたね その時に 「学生諸君も もう少しゴリラらしく対応できれば いいのだけれど…」 というニュアンスのコメントが 山際寿一総長のお言葉として 報じられていた記事を読みました それも どちらかといえば ーなんということを 人間ならぬ ゴリラ並みに例えるとは という非難めいた調子で 紹介されていたように覚えています むろん 山際寿一さんの真意は 気高く賢明で協調を重んじる 尊敬すべきゴリラ諸君 としておっしゃっているのですが… 改めて、思うのは 地球上で傲慢になってしまった 我々ニンゲン、 そしてニホンジン、 に対しての 傾聴すべき警告の書になっています
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ゴリラの視点からとらえた人間社会。 鋭い!!目から鱗ではっとさせられた。 高校生ぐらいのときに知ってたら京大目指してたなぁ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
久々に、目から鱗! そして、衝撃的な解釈で、涙が出てしまった。 外国で暮らし、異文化を知る。 それだけなら、自分自身にもある話だけど、 筆者は、ゴリラの住む森で、ゴリラに受け入れてもらい、ゴリラと遊び、ゴリラに「友達」として認められるまでになった。 そんなガチのフィールドワークの体験に基づき繰り広げられる洞察。 比較対象が、人間の文明同士、人類の文明数千年をはるかに凌駕し、類人猿ができた数十万年前に及ぶから、圧倒的。 まず、「父親」とは、社会に認められて初めてできるもの。動物界でオスが育児に参加する種は、ゴリラくらい。「父親」役のゴリラは、雌や子供の期待に応えるようにふるまう。 ヒトは二足歩行の上頭が重くなってしまったために未熟な状態で生まれるから、育児にオスが関わることになった。 親の役割を虚構化し、子育てを共同体ですることにした。 西洋文明は、シートンのような、動物が環境の影響によって共同体を形成したり、人間と共通の特徴を持つ、といった研究を嫌ったらしい。あくまで、人間は自然から切り離されたものであり、独立したものである。ヨーロッパには、森でさえ隅々まで人の手が入っている。 一方の日本やアフリカは、手付かずの森がたくさんある。 日本には、動物がヒトとなり、家族の一員となる昔話がたくさんある。 霊長類の行動を観察し、ヒトのコミュニティの考察に応用する霊長類学は、今西錦司が提唱し、日本でスタートした。しかし、当初は、「擬人化」といって欧米からは見向きもされなかったらしい。 人間は、言葉を手にすることにより、感情をも代々伝えることができるようになった。その結果、怨念的な感情も伝えることができるようになってしまった。 ゴリラも、昔は狂暴な動物とみなされ殺された。 芥川龍之介の「桃太郎」。鬼にしてみたら、悪いことしてないのに成敗されてしまう。 個人はみんな優しく、思いやりに満ちているのに、民族や国の間で理解不能な敵対関係が生じるのはなぜか。 つくり手側から物語を読むのではなく、多様な側面や視点に立って解釈してほしい。 大学はジャングル!いろんな生物がそれぞれの個体の繁栄のための最適化をし、出たり入ったりする。
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君たち(人間)はどう生きるか、のセンスの良さ。 内容は京大総長による現代社会批評である。気遣い、笑いの共有、広い共同体などはサルにはない人間特異な性質。ネットばかり見て個人の利益だけ考えるのではなく、せっかく人間なのだからもっと他者と関わったら?という話。サルが進化の過程でその能...
君たち(人間)はどう生きるか、のセンスの良さ。 内容は京大総長による現代社会批評である。気遣い、笑いの共有、広い共同体などはサルにはない人間特異な性質。ネットばかり見て個人の利益だけ考えるのではなく、せっかく人間なのだからもっと他者と関わったら?という話。サルが進化の過程でその能力を身につけなかった理由も、中立的な立場で論じている。どちらがいい、どちらが悪いと断定しないところが優しい。しかしその言い方だと、私はサルでもいいと思ってしまうんだよな。 ゴリラ愛が随所に溢れていて素敵。
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