火星に住むつもりかい? の商品レビュー
小説に飢えていたからか、あっという間に読んでしまった。ディストピアで起こるミステリ。最初は何が起きているのか分からなくて、行きつ戻りつつ状況を確認しながら読んでいたけど、だんだん状況が飲み込めてくるとページを捲る手が止まらなくなっていた。 とりあえず読んでみるか、くらいの気持ちで...
小説に飢えていたからか、あっという間に読んでしまった。ディストピアで起こるミステリ。最初は何が起きているのか分からなくて、行きつ戻りつつ状況を確認しながら読んでいたけど、だんだん状況が飲み込めてくるとページを捲る手が止まらなくなっていた。 とりあえず読んでみるか、くらいの気持ちで読み始めた伊坂幸太郎、面白かった。 221017
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なんの予備知識もなく読み始めたので、最初はいつもの伊坂ワールドとはちょっと感じが違って、やけに胸糞の悪い話だなというのが正直な印象でした。 第二部に入り「正義の味方」が登場する辺りから物語は急展開していきますが、あとは大団円に向かって怒涛の流れ。 ワクワクしながら途中「正義の味方」の正体に、意外に小粒でこんなんで物語に収拾がつくのと思いながらも、一気読みでした。 伏線もきちっと回収されて快感でしたし、作者らしいまとめ方に、この物語の終わらせ方としては好感が持てました。 ○○さんの続編出ないかな。
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暫定3 魔女狩り、リストラ、危険人物(密告)… 名前を挙げられたら最後、罪を否定しても処刑される 辛い拷問に耐えかね、無実の罪を認め… ちょっと気持ちが疲れている時には重たいスタートでした。 ヒーロー?が出てくるようですが、1回チラッと出てきたものの、救いを見出すことができる...
暫定3 魔女狩り、リストラ、危険人物(密告)… 名前を挙げられたら最後、罪を否定しても処刑される 辛い拷問に耐えかね、無実の罪を認め… ちょっと気持ちが疲れている時には重たいスタートでした。 ヒーロー?が出てくるようですが、1回チラッと出てきたものの、救いを見出すことができる前に一旦リタイア。 また元気な時に読みたいと思います。
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『君がいいことだと思ってやっていることは、全部無駄だ』と無神経に言えちゃう人は、自分の面倒臭さを正当化する理由を考えたいだけに思えちゃうんですよ。本文より 秘密警察が席巻する現代版魔女狩りが行われる中で、正義や偽善などについて改めて考えさせられる。大衆が望んでいればそれが正義な...
『君がいいことだと思ってやっていることは、全部無駄だ』と無神経に言えちゃう人は、自分の面倒臭さを正当化する理由を考えたいだけに思えちゃうんですよ。本文より 秘密警察が席巻する現代版魔女狩りが行われる中で、正義や偽善などについて改めて考えさせられる。大衆が望んでいればそれが正義なのか。それが民意なのか。それはもはや作られた正義ではないのか。 人間が人間らしく振る舞えるのは、群れてない時だけだ。本文より 人は平和なニュースより炎上やひどい話について、余計に関心を持ってしまう。自分には関係がないと知ると、興奮気味に肩を入れて興味を示す。人は時に愚かで、ただそれも人間らしいのかもしれない。
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「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は公開処刑の対象となってしまう。 「逃げたって無駄だよ、逃げれば逃げるほど近付く、地球は丸い」 「本気で逃げるなら火星にでも行くしかない」 不条理渦巻く政界で窮地に陥った...
「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」。住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は公開処刑の対象となってしまう。 「逃げたって無駄だよ、逃げれば逃げるほど近付く、地球は丸い」 「本気で逃げるなら火星にでも行くしかない」 不条理渦巻く政界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒づくめの「正義の味方」、ただ一人。伊坂ワールドの醍醐味が余すことなく詰め込まれた、ジャンルの枠を超越する傑作。 伊坂さんらしく、宇宙にでも行くファンタジー系の本。かと思いきや、まったくもって予想を裏切られる。あまりに理不尽な世の中。監視社会の成れの果て。「正義」とは何か。とても考えさせられる。 序盤からサディスティックな世界観。展開が読めない。この物語はどういった終わり方をするんだろうってソワソワしながら読み続けていましたが、終盤を迎えたあたりからの怒涛の伏線回収。 「人間は、安心できる情報よりも、危険を煽る情報に、より反応するんですよ。」 まさしくその通り。インターネットが普及し、ちょっとしたことですぐ炎上してしまう。どこで誰に見られているか分からない。監視社会。まったくもって生きづらい世の中になったものです。いっそのこと、火星にでも住もうかしら。 総評として、伊坂さん初心者の方には入門編としては、おすすめしづらいかなあっていうのが正直な感想です。ただ、ディストピア系の小説としてみたら入門編に適していると思います。興味がある方は、ぜひ、手に取ってみてくださいね。
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明確な正義と明確な悪があるような物語は、わかりやすい。しかし、果たして誰もが正義を唱える場では何が正しいのか。 この物語は、現代版「魔女狩り」が行われる世界。 「疑わしきは罰せよ」を元に行動する、「平和」警察。そして、そうした現実に歯向かう、一部の人々。 騙し騙されが繰り返さ...
明確な正義と明確な悪があるような物語は、わかりやすい。しかし、果たして誰もが正義を唱える場では何が正しいのか。 この物語は、現代版「魔女狩り」が行われる世界。 「疑わしきは罰せよ」を元に行動する、「平和」警察。そして、そうした現実に歯向かう、一部の人々。 騙し騙されが繰り返される世界で、絶望したときに現れたのが、正義のヒーローなのかわからない、黒いフェイスマスクの男。彼は一体何者なのか。 こうした本を読んでいると、つい現実世界に当てはめてしまうのは、私の悪い癖なのだろうか。 私刑がなぜいけないのか、正しさとは何か、など、色々なテーマに変換して考えさせられる、素晴らしい小説でした。 今回も伏線だらけで、常にアンテナを張りながら一気に読み進めました。回収する場面の気持ちよさは格別です。 もはや、伊坂氏の小説は、冷めないうちに味わい尽くすのがおすすめという、持論ができつつあります。
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警察が悪で、犯人が正義の味方なのが面白かった。 最後のどんでん返しも面白かった。 火星や宇宙は関係ない、平和警察が危険人物を拷問して公開処刑する、現代の魔女狩りのようなお話。
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著者って、ある意味、星新一チルドレンなのかな?って思うことがあるけど、これなんかはまさにそんな感じ(^^ゞ エヌ氏もエス氏も出てこないけどw、ブラックで皮肉めいた展開は星新一の味わいがある。 ただ、これ、著者特有のおちゃらけが少ないんだよなぁー。 それがないから、ブラックで皮肉...
著者って、ある意味、星新一チルドレンなのかな?って思うことがあるけど、これなんかはまさにそんな感じ(^^ゞ エヌ氏もエス氏も出てこないけどw、ブラックで皮肉めいた展開は星新一の味わいがある。 ただ、これ、著者特有のおちゃらけが少ないんだよなぁー。 それがないから、ブラックで皮肉めいた展開が変にシリアスに感じられちゃう。 ダラーっとした結末は、むしろ現実めいていて良いと思う(内容が内容だけに)んだけど、前半がシリアスに感じちゃうだけに、読者としては結末に勧善懲悪的なスカっと感を期待しちゃう。 でも、例えば選挙が統一教会の票で操作されていたみたいな現実を見ればわかるように、実際の世というのは、大きな問題があったとしてもうやむやや曖昧で幕引きされてしまうわけだ。 著者はこの小説で言いたかったのは、たぶんそういった世の仕組みも含めてだと思うのだ。 なら、いつも通りにおちゃらけた会話を入れて。シリアスさをあまり感じさせないようにして読者ウケをよくした方が、(この小説の内容が内容だけに)よかったんじゃないのかな? 選挙に当選するためなら、日本人の庶民を騙しお金を集めて韓国の政治家に送り続けるシステムの隠れ蓑である統一教会の輩と平気で付き合う政党の議員たちに投票するしかないというのが今の日本の現実なわけだ(^^; そういう意味でも、このうだうだした結末はわるくない。 だって、とっても現実に即しているんだもん(爆) 結末間際、久慈羊介は言う。 「何がどう変わろうと、別に、世の中が正しい状態になるわけじゃないけどね」と。 そう、7月の初めに起こったことで、今まで隠されていた色々なことが知られるようになったり、それによって何かが変わったりしたけど、でも、それは表面的で。実際は何も変わっていない。 ま、後の世で学者がそれを「令和四年の政変」みたいに言うかどうかは知らないけれどさ(爆) ただ、江戸時代よりは明治時代の方がいろいろよくなったんだろうと思うし。 その明治から昭和の戦前までより戦後の暮らしがよくなったのは間違いない。 久慈羊介はそれを「正しい状態になったわけじゃない」と言うのかどうかは知らないけれど。 自分は、「何がどう変わろうと、別に、世の中が正しい状態になるわけじゃない」とは思わないかな(^^ゞ
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終わり50ページで怒涛の伏線回収。伊坂幸太郎らしい爽快な読了感を得ることができた。 2015年の作品だが、ウクライナ情勢やコロナ、安倍元首相の暗殺など、各々の正義と正義がぶつかり合う社会を考えさせられた。 1人の悪役が倒されるシーンに爽快感を得た自分に気づいた時は、自身が腹を立...
終わり50ページで怒涛の伏線回収。伊坂幸太郎らしい爽快な読了感を得ることができた。 2015年の作品だが、ウクライナ情勢やコロナ、安倍元首相の暗殺など、各々の正義と正義がぶつかり合う社会を考えさせられた。 1人の悪役が倒されるシーンに爽快感を得た自分に気づいた時は、自身が腹を立てていた無実の人がでっちあげられ、大衆の前で殺される処刑と同じ考えを自分が持っていることに気づいた。それがいいとか悪いではなく、人間そんなもんだよと、自分の見えている世界の情報がすべてでもなく、ただしいかもわかるないのに、その範囲内で物事を感じ、判断してしまうんだよと、諭されてる気がした。 ま、自分はそんなもんだし、これはなかなか変えられない。 だからこそ解説をしている『ぼくのりりっくのぼうよみ』がいっている積極的ニヒリズムという思想は興味があるし、この生き方ちょっと憧れるなーと感じたので、今後の自分の行動や思考パターンに影響をあたえそう。
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物騒なSFっぽいディストピアを舞台に描かれた、伏線回収が素晴らしい作品。 振り子が揺れていくように伏線に翻弄された。 ところで最近この日本で痛ましい事件が起こり、それがいろんな場所でいろんな話題に転じている。 その中で良からぬビジネスのセミナーに行った人のツイートを見かけた。 ...
物騒なSFっぽいディストピアを舞台に描かれた、伏線回収が素晴らしい作品。 振り子が揺れていくように伏線に翻弄された。 ところで最近この日本で痛ましい事件が起こり、それがいろんな場所でいろんな話題に転じている。 その中で良からぬビジネスのセミナーに行った人のツイートを見かけた。 そこでは冷房や冷えた水により、思考を奪う手法が取られているという内容があった。 まさにこの作品でも同じ思考を奪う手法をとられていた。 この作品をただのディストピア、現実とは違う、と片付けるには無理がある世界が現実となっている。 正義という曖昧で揺らぐものについて登場人物が触れていくのだけど、真壁の飄々とした接し方が熱かった。 昆虫に例えて、彼の正解を濁しているような気がした。 最後までかっこいい人物だった。 我々はまだ火星に住めないし、住める頃には火星は火星ではなくなるのだと思う。 火星に住めないからこそ出来ることがあるのではないか。 出来ないことをただ出来ないだけでなく、それについて声を上げることも大事なのだと思う。 正義を火星に持っていけるように、最近の事件にも声を上げていきたい。
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