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戦う操縦士 の商品レビュー

4.3

17件のお客様レビュー

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2023/07/08

著者の実体験に基づく小説。フランス軍の偵察機パイロットとして戦争に参加する。海外文学の翻訳本としては読みやすいと思います。「光文社新訳文庫」。 「人が死ぬことができるのは唯一、それなしでは自分が生きられないもののためにだけだ」 印象に残った言葉です。 「ちいさな王子」が表の名作な...

著者の実体験に基づく小説。フランス軍の偵察機パイロットとして戦争に参加する。海外文学の翻訳本としては読みやすいと思います。「光文社新訳文庫」。 「人が死ぬことができるのは唯一、それなしでは自分が生きられないもののためにだけだ」 印象に残った言葉です。 「ちいさな王子」が表の名作ならこちらは影の名作といったところでしょうか。

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2023/06/13

いつかの『新潮』で山内志朗が面白いって言ってたから読んだ。 第二次世界大戦下で敗北が決定的なフランス。そのなかで敵地での偵察非行に向かう主人公。負けがわかっている(何も守るべきものがない)中で「何のために死ぬのか」という命題を問い続けた筆者の葛藤を自伝的に描き出した小説。 自...

いつかの『新潮』で山内志朗が面白いって言ってたから読んだ。 第二次世界大戦下で敗北が決定的なフランス。そのなかで敵地での偵察非行に向かう主人公。負けがわかっている(何も守るべきものがない)中で「何のために死ぬのか」という命題を問い続けた筆者の葛藤を自伝的に描き出した小説。 自分には内容が少し難しかったけれど、「人間は関係の結び目である」とか身体ではなく行為の中にその人が宿るみたいな印象に残るフレーズが多くて面白かった。

Posted byブクログ

2023/05/13

第二次大戦における作者の操縦士としての体験に基づきながら、自由な精神性が失われる「戦争」に対する強烈な批判と理不尽さに対して行動=戦う情熱を示している。「したがって、私が戦うのは、それが誰であれ、… 他の思想に対してある個別の思想だけを押しつけるものだ」(P296)のくだりが響...

第二次大戦における作者の操縦士としての体験に基づきながら、自由な精神性が失われる「戦争」に対する強烈な批判と理不尽さに対して行動=戦う情熱を示している。「したがって、私が戦うのは、それが誰であれ、… 他の思想に対してある個別の思想だけを押しつけるものだ」(P296)のくだりが響く。

Posted byブクログ

2023/02/07

メモ→ https://twitter.com/nobushiromasaki/status/1622795577468788736?s=46&t=tTGmNYAwZTJEVIRTMG8NmQ

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2022/10/30

敗北感漂うWWIIの戦禍を掻い潜り 「なぜ自分が死ななければならないのか」と問い続ける自伝的小説 目的を意識して行動する昨今の私達とは違い、志願して上記の命題に辿り着き、戦線でその問題の解答を得た作者の知見に胸を打たれました

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2022/07/13

ヒトラー『我が闘争』に対する「民主主義からの返答」として高く評価される。という書評が気になってしょうがなかったので、「ちいさな王子」に続いて読んでみた。 1940/5/23の、電撃戦直後のフランス軍偵察飛行1日のお話。 両世界大戦とも早々に降伏しておきながら、戦勝国然としたフ...

ヒトラー『我が闘争』に対する「民主主義からの返答」として高く評価される。という書評が気になってしょうがなかったので、「ちいさな王子」に続いて読んでみた。 1940/5/23の、電撃戦直後のフランス軍偵察飛行1日のお話。 両世界大戦とも早々に降伏しておきながら、戦勝国然としたフランスには、決していい感情は持ってなかったが、負け戦ながら、懸命に抵抗する姿勢に感銘を受けた。また、「民主主義陣営の中でも最強のやつ」としてアメリカの参戦を待ち望む雰囲気が、よく分かった。 P302 最後の一文 明日も、われわれはなにも言わないだろう。明日も、傍観者たちにとっては、われわれは敗者だろう。敗者は沈黙すべきだ。種子のように。 P296 私は信じる。《人間》の優越こそが唯一意味ある《平等》を、唯一意味ある《自由》を築きあげるものだと。私は《人間》の権利が各個人を通じて平等であると信じる。《自由》とは《人間》の上昇にほかならないと信じる。《平等》とは《同一性》ではない。《自由》とは個人を《人間》よりも賞揚することではない。したがって私が戦うのは、それが誰であれ、《人間》の自由をある個人にーあるいは個人からなる群れにー隷従させようとする者だ。 P67 ある女性を美しいと思うとき、私には言うべきことはなにもない。ただその女がほほえむのを見るだけだ。インテリ連中はその顔を説明しようとして、分解してからそれぞれの断片を分析するが。もはやほほえみそのものは見ていない。

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2022/05/24

偵察機パイロットの話。作者の小説の中で総合的にいちばん好きです。昨今の情勢を見るに、この本の平和の定義が染みます。ラストの締め方には賛否あるみたいですが、個人的には秀逸だと思います。

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2021/07/03

戦争への怒りを表しながらも、 祖国のために行動することが重要と説く。 そして、行動を起こすためには、 人としてどうあるべきかを、 自身の戦闘経験を踏まえて表現した作品。 先に「最終飛行」を読んでいたので、 時代背景が理解しやすかった。 最終部で「神」についての言及が増えるのは、...

戦争への怒りを表しながらも、 祖国のために行動することが重要と説く。 そして、行動を起こすためには、 人としてどうあるべきかを、 自身の戦闘経験を踏まえて表現した作品。 先に「最終飛行」を読んでいたので、 時代背景が理解しやすかった。 最終部で「神」についての言及が増えるのは、 キリスト教を文化とするアメリカに 参戦を呼びかけるためと思われる。

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2021/01/16

星の王子さまで有名な著者の体験をもとにした戦記。舞台はWW2、フランス。敗色が濃厚なフランス軍の偵察機に乗り込み、敵国ナチスドイツ陣地を偵察する決死のミッション。飛行機乗りならではの俯瞰視点、空戦、地上戦などの戦闘シーン。高度を下げて危険な偵察で砲撃されるシーンは迫力もあるけど、...

星の王子さまで有名な著者の体験をもとにした戦記。舞台はWW2、フランス。敗色が濃厚なフランス軍の偵察機に乗り込み、敵国ナチスドイツ陣地を偵察する決死のミッション。飛行機乗りならではの俯瞰視点、空戦、地上戦などの戦闘シーン。高度を下げて危険な偵察で砲撃されるシーンは迫力もあるけど、なんともファンタジックな表現が印象的。 FPSゲームのバトルフィールド5のキャンペーンが短かかったから欲求不満だったけど、この本で臨場感ある戦場の爆音、爆風などを追体験。 実際の戦場を見た著者の死生観、戦争観なども興味深い。 いっそゲーム化してもイイぐらいのボリューム。

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2020/11/14

サンテグジュペリの最後の作品。 出された当初は戦争真只中といふこともあり、民主主義からの返答と呼ばれてゐたやうだが、本人はそうした思想やらイデオロギーやらをもつてものを書いてゐたとは到底思へぬ。 ただひたすらに空を求め、彼にできること、さうせずにはゐられぬことを粛々とこなしてゐた...

サンテグジュペリの最後の作品。 出された当初は戦争真只中といふこともあり、民主主義からの返答と呼ばれてゐたやうだが、本人はそうした思想やらイデオロギーやらをもつてものを書いてゐたとは到底思へぬ。 ただひたすらに空を求め、彼にできること、さうせずにはゐられぬことを粛々とこなしてゐたにすぎない。それがばかげた作戦であらうと、とち狂つた戦争であつたとしても、彼は空を飛び、作戦をこなす。最後まで、空を目指し、そして考へ続けた。 軍人である以上、命令は絶対であり、ただ従ふより他ない。そして、相手を殺すといふことは自分も殺されるといふこと。無条件に死を受けれいることだ。しかし思想とは常に行動だ。考へることそのものが行動だ。彼にとつてそうせずにはゐられないもの、存在に対する慈しみだ。 この世に産み落とされてしまつた以上、誰かと関係せずにはゐられない。生まれ落ちた場所で、たくさんの人間と出会ひ、取り返しのつかない、体験と記憶を積み重ねていく。それが愛となり、犠牲となり、絆となる。存在とはさうしたものの積み重ね、結び目でしかない。その結び目は目に見えず、いとも簡単にほどけて消えてしまふ。しかし確かに存在する。 どんな人間であつても、その絆をもつといふ点では共通する。この名においてより集団として存在することはできない。 彼はさう信じてそして自らそのために死んでいつた。マルローが敗北のわかつてゐた戦争の中で《希望》と呼んでゐたもの、彼はそれはどんな時でも飛ぶことだつた。

Posted byブクログ