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青空と逃げる の商品レビュー

3.6

260件のお客様レビュー

  1. 5つ

    33

  2. 4つ

    97

  3. 3つ

    100

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    2

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2018/04/12

読みながら「青空に」ではなく「青空から」でもなく「青空と」逃げる、その意味を考えていた。 事故を起こした女優と車に同乗していた父親。詳しい事情も分からないままマスコミから逃げ続ける母と息子。なぜ無関係な母子が世間から隠れて生活しなきゃならないのだ。理不尽だ。 誰も二人を知らない土...

読みながら「青空に」ではなく「青空から」でもなく「青空と」逃げる、その意味を考えていた。 事故を起こした女優と車に同乗していた父親。詳しい事情も分からないままマスコミから逃げ続ける母と息子。なぜ無関係な母子が世間から隠れて生活しなきゃならないのだ。理不尽だ。 誰も二人を知らない土地で隠れるように過ごす毎日。束の間の平穏。その平穏がしつこい追っ手によって壊される。せっかく受け入れられてきたのに…と荷物をまとめる二人と同じ思いで心はまた逃げていく。逃げ続ける日々の中で、母親と息子の関係が大きく動いていく。息子を守るため、と必死に生きる母親。けれど本当に息子は「守られる」だけの存在だったのか。このときの二人の関係の変化が物語の変化とリンクしていて思わず「あぁ」とため息が出る。日本中をあちこち逃げていく二人。どこまでも追いかけてくる恐怖。うつむいて逃げ続けた二人の目の前に広がる空。青い空。そうか。そうなんだ。どこにいても、どこに逃げても、そこはずっと同じ青空とつながっていたんだ。二人はずっとずっと「青空と」逃げてきたのだな。ずっとつながっていた青い空、と一緒に。

Posted byブクログ

2018/04/10

自分の人生に巻き込む、なんて自覚もないまま誰かと結ばれて でも不意に何かを背負わされることがある。 見ないふりを続けた報いを受けることもある。 自分の手に余るものが無遠慮に降りかかってくれば途方にくれるし、誰かを巻き添えにすることも怖い。 でも今、ここだけじゃないと あくまで物語...

自分の人生に巻き込む、なんて自覚もないまま誰かと結ばれて でも不意に何かを背負わされることがある。 見ないふりを続けた報いを受けることもある。 自分の手に余るものが無遠慮に降りかかってくれば途方にくれるし、誰かを巻き添えにすることも怖い。 でも今、ここだけじゃないと あくまで物語であることを貫きながら辻村さんは繰り返し説く。 そして助けを求めていいと、言ってくれる人がいるとも。 自分の目では認識できないところにも当たり前に確かな暮らしがあって どんな土地にも開かれた場所がある。 二人の逃避行はただただ厳しいものとしては描かれず、あたたかい。 いろんな土地を巡りたくなる。 また来て、また来る、そんな言葉が増えていく素晴らしさよ。心強さよ。

Posted byブクログ

2018/04/07

家族というものについて考えさせらせる話。読み終わってから、これがたった一年間の話?と疑ってしまったほど濃密であり、息子の成長を感じさせる内容だった。特に後半の展開はイッキ読み必至。

Posted byブクログ

2018/04/06

昔からあるテレビ(報道)の恐さ。家族とキチンと話し合えない不安。家族といえどもお互いの事を100%知っているわけではないのは確か。巻き込まれた事件からとりあえず逃げ出した母と息子。行く先々で心が繋がる人々と出会うことで先への希望を取り戻す。力君の心がぐんと成長したのが嬉しい。いつ...

昔からあるテレビ(報道)の恐さ。家族とキチンと話し合えない不安。家族といえどもお互いの事を100%知っているわけではないのは確か。巻き込まれた事件からとりあえず逃げ出した母と息子。行く先々で心が繋がる人々と出会うことで先への希望を取り戻す。力君の心がぐんと成長したのが嬉しい。いつかお世話になった人達に会いに行くんだろうな。

Posted byブクログ

2018/04/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ある事情で母と息子が四万十川、家島、別府、仙台と逃げていくのだけれど、その過程で親への愛情、母の強さが深まり、そして、真実と結末は…。いつものように後半になると、真実が見え、バッタバッタと切り込まれ、心にくる。行く先々で出会う人々、みんな暖かいし、それがまたまた、ジーンとさせる(特に別府の人たちは印象に残るし、旅して見たい気分にさせられた)。また、親の視点と子供の視点とで交互に書かれているのが良かった。それぞれの心が映し出されて、世界の完成度が高まったし、なんといっても少年についてうまくかけていたな。親が子を思う気持ちも、成長を感じるところもね。青空ね、最後までしっかり感動です。

Posted byブクログ

2018/04/05

劇団俳優の父親が起こした事件で、東京にいられなくなり、四万十、家島、別府、仙台と逃亡生活を送ることになった母と息子。 追い詰められて逃亡する様子と、その土地土地で出会う人々との触れ合いから、成長する母子の姿も描かれる。 前半はミステリー的な要素も含まれるが、中盤からは家族の物語と...

劇団俳優の父親が起こした事件で、東京にいられなくなり、四万十、家島、別府、仙台と逃亡生活を送ることになった母と息子。 追い詰められて逃亡する様子と、その土地土地で出会う人々との触れ合いから、成長する母子の姿も描かれる。 前半はミステリー的な要素も含まれるが、中盤からは家族の物語となり、息子が母を想う気持ち、それを受けて母も成長する様子、そして父親との再会…作者の描く家族の物語は温かい。そして、それを見守る各地で出会った人々の優しさやその人々にある背景に、思わず涙が溢れる。

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2018/04/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この母親の立場になれば逃げたい気持ちも分かるが、本当に子どものことを思うのなら何の後ろ盾もなく逃げ惑うのはかなりリスキーだと思った。それにしても行く先々で出会う人々が何と優しいことか。 装丁のカバーイラストは一見、母と息子が戯れている風景に見えるが、実は折り返しの部分に父親が待っている。逃亡記に見えたこの作品も実は家族の物語でもあると気づかされる。

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2018/03/27

追跡者から逃げるという切羽詰まった雰囲気、それまでの日常に戻れないという寄る辺なさ。 追い詰められながらも互いをまもり、生きていこうとする母と子の姿、そしてラストに様々な思いが噴き出す場面は、胸に迫る。 大変な時は、逃げていい。 少し落ち着いたら、いつでもやり直せる。 成長と再生...

追跡者から逃げるという切羽詰まった雰囲気、それまでの日常に戻れないという寄る辺なさ。 追い詰められながらも互いをまもり、生きていこうとする母と子の姿、そしてラストに様々な思いが噴き出す場面は、胸に迫る。 大変な時は、逃げていい。 少し落ち着いたら、いつでもやり直せる。 成長と再生の物語。

Posted byブクログ

2018/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

心の底から困った時。 勇気を出した『助けて』の一言は、必ず誰かが応えてくれる。 黒辻村から白辻村へと変化していく過程が堪らない。前半の訳もわからず追われる恐怖心…そこから辻村さんならではの加害者側の心理もしっかりと書き出す後半からの展開が流石。 同じ家族だけど、家族だからこそ踏み込めない領域があるその距離感。 母親と言うものは子供心から『母親』というカテゴリーで、『大人の女の人』と言うカテゴリーとは別次元で捉えていたのに、ある時ふとした瞬間に子供の自分じゃ知らない顔を見てドキリとする。絶対の強さを持っていると信じていたけどそうではない一面を知っていく力の気持ちが凄く分かる。 大人になったからこそ分かるけど、母親と言う物は強い大人だと信じていたけれども、そうではないと言うことを今だから分かるが、『母』と言うものに頼らねば何も出来なかった子供の頃を思い出してそうだったな…としみじみ思った。 逆に母と言うものは護るものがあるからこそあれだけ強かったのか…と納得。 大人も子供もどちらの心理も細やかに書き出せる辻村さんがやっぱり好きだなと思った。

Posted byブクログ

2018/05/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

20180310Mリクエスト 東京から高知の四万十、別府、仙台とぐるぐる逃げる。しかも小学生のこども、力を連れて。 砂かけで、そんなにうまく見つかるか?なんて思ったり。 最後は案外、あっさり。

Posted byブクログ