クローゼット の商品レビュー
子どもの頃に他人から受けた傷って その後の人格形成に大きく影響を及ぼすよなあ 自分にとっての普通が誰かにとっては受け入れ難くって、拒絶される経験をすると 拒絶されるのを回避する生き方をとってしまう そのために、自分よりも服を大切に出来ていない販売員を、見下したり 男性に寄りかか...
子どもの頃に他人から受けた傷って その後の人格形成に大きく影響を及ぼすよなあ 自分にとっての普通が誰かにとっては受け入れ難くって、拒絶される経験をすると 拒絶されるのを回避する生き方をとってしまう そのために、自分よりも服を大切に出来ていない販売員を、見下したり 男性に寄りかかって生きている人を揶揄したり 自分が見下せる人がいる環境で安全に自分の立ち位置を確かめるように生きている 心をどうしょうもなく焦がすような何かと出会ったとき 人は大きく変わるなあと感じた 同じ傷を抱えた人のこと 服を通して誰かの痛みをわかろうとする優しい気持ちが、その人のことを強くしていってくれている 何か自分にはこれがある!と思えるものを持っていることがとても強いことだなと思った 服に纏わる小説で、具体的なブランド名が出てくるものは、嶽本野ばらを超える人はいないと思いつつ読み始めたけど 野ばらちゃんは、ファッションに救われた私のことを守ってくれるのに対して 千早茜は繊細な心をレースの繊細さと重ね合わせて、服を通して普遍的な人の心を描いているように感じた 特異な経験が無くても、誰もがこの繊細な心の深いところにある傷には共感出来るんじゃないかな
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一般人には非公開の、古今東西の一万点を所蔵する服飾美術館が舞台。物語は、長身で凄い美人のキュレーター・晶、若くして腕利きだが精神的に不安定な洋服補修士・纏子(まきこ)、そして美しい服であれば男女用を問わず愛するデパート店員の男性・芳(かおる)、この三人を軸に展開します。 『透明な...
一般人には非公開の、古今東西の一万点を所蔵する服飾美術館が舞台。物語は、長身で凄い美人のキュレーター・晶、若くして腕利きだが精神的に不安定な洋服補修士・纏子(まきこ)、そして美しい服であれば男女用を問わず愛するデパート店員の男性・芳(かおる)、この三人を軸に展開します。 『透明な夜の香り』の調香師を描いたときもそうでしたが、千早さんが扱う「お仕事小説」は、その範疇を遥かに超え、無茶ディープな世界。ファッションには全く興味がないために、専門用語を聞いても、デザイナー名を言われても、全くついて行けない私でさえ、その世界観に引き込まれ、読み進めるのが楽しいのです。 物語の最終的な焦点は、男性恐怖症を抱える纏子の「再生」にありますが、それ以上に、世俗から隔絶されたような、どこか浮世離れした世界そのものが大きな魅力となっています。 ただ、一つだけ気になったのは、亀の男の再登場です。せっかくの御伽噺的な雰囲気が、それによって俗っぽくなってしまったように感じます。個人的には、むしろ職場で唯一の「悪役」として描かれていた高木さんを救ってあげたかった気がします。
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あぁ、とてもよかった。纏子と晶と芳ちゃんの関係がとても好き。 纏子が晶のことを心の底から信頼しているのも、晶が纏子の才能に惚れ込んで大切に守っているのも、不思議で素敵な関係。 亀のタトゥーの正体は本当に残酷でドキッとした。辛い現実。晶には黙って笑い合えたらもっと強くなれる気がする...
あぁ、とてもよかった。纏子と晶と芳ちゃんの関係がとても好き。 纏子が晶のことを心の底から信頼しているのも、晶が纏子の才能に惚れ込んで大切に守っているのも、不思議で素敵な関係。 亀のタトゥーの正体は本当に残酷でドキッとした。辛い現実。晶には黙って笑い合えたらもっと強くなれる気がするって言葉で、もう纏子が強くなってることがわかった。 クローゼットに3人で閉じ込められた青く光る夜のシーンが好き。
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ドレスなどの可愛い服が好きな男性と、昔の服を修繕する仕事に就いている男性恐怖症の女性の話、かな? 服の話はわかるようでわからないけど面白かった。知識があるとなお楽しかっただろうな。 千早茜さんはやはり地の文が落ち着いていて綺麗だな。しっとりしてる。すごく辛い展開とかもなくて、でも...
ドレスなどの可愛い服が好きな男性と、昔の服を修繕する仕事に就いている男性恐怖症の女性の話、かな? 服の話はわかるようでわからないけど面白かった。知識があるとなお楽しかっただろうな。 千早茜さんはやはり地の文が落ち着いていて綺麗だな。しっとりしてる。すごく辛い展開とかもなくて、でも綺麗事ばかりじゃないところが良い塩梅だと思う。 最後はかなり出来すぎてる展開だったけど……というか、ここから変わるところがメインに据えられていてもおかしくない感じだったな。他の作家さんとかなら長編の中盤あたりになってるんじゃないかっていうところで終わってしまった。解決もしてないからなぁ……。まぁしすぎてもか……。 何故かずっと恋愛小説だと思って読んでたけど別に恋愛とかじゃなかった。面白かったけど。面白かったよ。
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P121 「直しても、直しても、崩れていく、傷んだままでいたい服が」 わたしのことみたいだ。口に出してしまいそうになって、唇を噛む。 雛倉さんが手を動かしながら「無理するんじゃないよ」と言う。 「できる範囲でいい。迷いながら針を刺すくらいなら、そのままでいいんだから。」 やはり自分のことを言われているように思えた。変わりたい。でも、変われないわたし。 胸が痛む。 でも、 服を通して、身近にこんな素敵な声をかけてくれる人がいることにも安堵する。 責めなくていいのに。 でも 自分を責めてしまうのを自分でコントロール出来ないのは痛々しい。 本当に痛いふりをしている人は 悩んだり後悔したりするふりしてる なんて言わないと思う。 晶がいて本当に良かった。 P190 好きな場所に存在を認められる喜びは祝福のようだ。 P205 「私は生きます。大好きな仕事もあります。でも、周りに気を使われているうちは人生に勝っていない。過去に囚われている。わたし、ちゃんと勝ちたいんです。もう憐れまれたくなんてない。あの人よりずっとずっと長く生きて、仕事をして、あんなことなかったことにして笑っていたいです」
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服の補修。それは繊細な作業。膨大な時間をかけて丁寧に施してもけして元のまっさらな状態に戻すことは不可能である。それでも当時の持ち主の煌めきと人生を蘇らすことができる。 ほつれも綻びも汚れも傷も、何かの意味があって……というより意味づけを行うことで、服がより輝く理由になるんだろう...
服の補修。それは繊細な作業。膨大な時間をかけて丁寧に施してもけして元のまっさらな状態に戻すことは不可能である。それでも当時の持ち主の煌めきと人生を蘇らすことができる。 ほつれも綻びも汚れも傷も、何かの意味があって……というより意味づけを行うことで、服がより輝く理由になるんだろう。それは人間も同じことが言える。 誰もが大小程度の差こそあれど何かしらの傷をかかえていて、それから目を逸らすことも覆い隠すこともその人の自由だけれど、見つめ直して知って弱さも受け入れることで、その傷もまた意味のあるものになってよりその人を輝かせる。古い服飾を手間ひまかけて生き返らせるように。無理に傷つく前の姿に元に戻すわけでなく。服飾の補修作業を通じた自己受容の物語だった。
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細やかな洋服の表現や空気感がとても感じられる作品。 芳と纏子のその後の話ももう少し読めたらなぁと思った。とても読みやすく、あっという間に読んでしまいました。
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人もお洋服も描写が繊細かつきめ細やか!とっても丁寧に取材され、言葉にされたのがよくわかる作品。目の前にその時代のお洋服があるかのようだった。千早さんの愛情がよく見える!
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3.5 P146 あなたの身体に触れていいのは、あなたが選んだものだけ。 P238 泡みたいに儚い笑い声だと思った。 P253 前に芳さんに言われた言葉を胸のうちで唱える。男も女も目は一緒。目を、目だけを見て話そう。
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Diorやシャネル、年代のドレスなどの洋服が好きならぜひ読んで欲しい。 女の子はスカートもズボンも履けるのに、男の子はスカートを履いたら変態扱いされる。そんな言葉がグサッと刺さりました。服は自己表現でもあり、自分を守る鎧でもあり、自分を楽しませてくれるものであるのになぜ制限を付け...
Diorやシャネル、年代のドレスなどの洋服が好きならぜひ読んで欲しい。 女の子はスカートもズボンも履けるのに、男の子はスカートを履いたら変態扱いされる。そんな言葉がグサッと刺さりました。服は自己表現でもあり、自分を守る鎧でもあり、自分を楽しませてくれるものであるのになぜ制限を付けられなくちゃいけないのか。今は多様性なんて言葉が広がって自由度が増したかもしれないけど当たり前の意識に根付いていた価値観を見つめ直す話にもなりました。 洋服についての歴史や用語、きめ細かさなど知識も得られる話だけど、物を大切にする気持ちや、その人らしさってなんだろうという人間味が洋服を通して流れてくる不思議な気持ちになります。 人を守ることと、時代を駆け抜けた服を修復して守っていくことが対比されていて、大事な一張羅もたまには思い切って着てやらないとという言葉が、人の背中も押してくれる言葉に感じます。 生きずらさを解放してくれるって言うんですね。
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