クローゼット の商品レビュー

千早茜(著者)

2021/01/20

小さくワクワクして、密かに胸がときめいた。素敵な服を見た時の「わあ！」という高揚感と、夕暮れの影のような静謐さを併せ持った物語だった。18世紀から現代までの洋服を圧巻の数で取りそろえている美術館。そこで補修士として働いている纏子、学芸員の晶、美術館に魅せられてボランティアを始めた芳。トラウマを抱えて苦しむ纏子がメインの話だが、3人が真っ直ぐに洋服を愛しているのが心地いい。ファッション系漫画の『Paradise　kiss』や『海月姫』を思い出しテンションが上がる。洋服のディテール描写や蘊蓄話も楽しめた。

2021/01/12

すごく読みやすかった。洋服の歴史、美術館と百貨店が舞台だからか、私の好きなジャンルだった。性別、洋服、意識していなくても偏見っていうものが苦しめることがある。それを受け止めて乗り越える主人公たちが素敵。守りたいものに過剰に反応してしまったり、人間の不完成さがリアルで完璧な人はいないけどそれがいいんだなと思った。

2020/12/02

18世紀から現代までの1万点以上の洋服が眠る美術館が舞台
そこを守るモデル体型美女の学芸員
確かな腕を持つ対人恐怖症の補修士
美しい洋服に興味を持つ中性的で美形なフリーター
他の人達もキャラ濃いめで面白い
読んでいるだけで美しいドレスに魅了されるよう
なんとも訪ねてみたい場所である
丁寧に扱うことの大切さを忘れたくはないと思った
ファストファッションからはなかなか抜け出せないにしても大切にしたい1着は持っていたいな
それが少しづつ増えて行くならなお嬉しい

2020/11/19

ストーリーがいまひとつ。キラキラしている言葉の並びがありはするものの表層的。

"気に入った服を長く着続けたかったらどうする？乱暴に扱うかい。靴だって服だって、自分の身体に馴染むまで手入れをしながら大切に使うだろう。人との関係だって同じさ、丁寧に扱えば長持ちする関係を築ける。まずは相手をよく見ることだよ / でも、大事にしすぎてしまい込んでいたって、あたしは駄目だと思うけどね。お気に入りの一張羅も、たまには、えいやって着てやらないと。異素材の、意外な服と合ったりするかもしれないよ"
私にとって戒めの言葉。

服飾を学んでいた時に読んでみたかったりはした。

2020/08/25

美しいものに癒されるのは性別に関係ないと思うけど、 偏見が存在するのも事実。
自分の好きなものと、理解してくれる人がいればいきていけるかな。

2020/08/10

登場人物の着ている服
似合いそうな役者さんを想像しながら読んだ。

丸襟のシャツ
サスペンダーつきのだぼっとしたチェックのパンツ
キャスケット帽
これ着こなしてたら絶対かわいい。

2020/12/29

自分の生い立ちや嗜好、幼児虐待…様々なことやトラウマをそれぞれが抱えながら生きている。

トラウマを抱えながらも、ヨーロッパなどの歴史ある洋服から現代のものまで、洋服の持ち主に寄り添いながら洋服を修復する女性とこの女性の才能に惚れ込み、守ろうとする友人女性。

また、男性女性ものに問わず、綺麗な洋服や服飾を身に付けたい、丁寧に扱いたい男性など。

皆、心に何か抱えながら生きている。
その中で、今までの自分から一歩踏み出そうとしていく。
その姿は、彼女たちの、洋服に寄り添う姿に似ている。

読了後、時間がすぎても好きだと思える印象的な作品。☆4→5に

2019/12/27

2019.12.18 読了

小さい頃のトラウマを抱え、
男性恐怖症となりながらも もがきながら
頑張る纏子が
ラストに「まわりに気を遣われているうちは人生に勝ってない」の言葉が ジーンときた！
ラストの数ページから どんどんいい感じになって、
ラストのラストは 涙が ジワーっときました。。。

服の補修士。こんな仕事があるんだなぁ。
スタッフの皆の仕事に対する真摯な態度とかも
読んでて気持ちよかった！

何にしろ 打ち込める「何か」があるって
羨ましい！

2019/11/26

読み始めてすぐ引き込まれた。
登場人物それぞれの生き方や雰囲気を
想像しながら。
そして色んな年代の洋服のことも。
思い浮かべながら読んでて楽しかった。
白峰さんが少しずつ強くなれて前に進めて良かった。

2019/04/18

読み始めは実はなんかあんま興味ないなー読むのやめようかなと思っていたのだけと、読みやすい文章でやめられなかったw
でも最後まで読んでよかった。ほんとに美しいお話。

クローゼット、コルセット、刺繍、補修のメタファーがステキに効いてる。

とりあえず私は、コルセットつけなくていい現代に生まれて良かった…