資本主義リアリズム の商品レビュー
悪や無知を幻影的な"他者"へと振り払うことで否認されるのは、私たち自身の、地球規模に渡る圧制のネットワークへの加担である。
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管理能力が優れているとされるマネージャーは、今日言っていたことと翌日言ったことが真逆であってもうろ覚えで気にすることはない。 この批評的反省性のなさは、夢を思い出す作業に似ている。所々矛盾する要素があっても、あたかも一貫した絵を描くのだ。過去を忘却し、ねつ造することも厭わない。 ...
管理能力が優れているとされるマネージャーは、今日言っていたことと翌日言ったことが真逆であってもうろ覚えで気にすることはない。 この批評的反省性のなさは、夢を思い出す作業に似ている。所々矛盾する要素があっても、あたかも一貫した絵を描くのだ。過去を忘却し、ねつ造することも厭わない。 本来矛盾するはずの新自由主義と新保守主義が手を組むことができるのも、この夢作業に似ている。 後期資本主義の現実を切り出した本書は、別様の社会を想像することで、資本主義とは別のあり方が実現可能だという希望的観測によって終わっている。 もうちょっと読み込む必要がありそうだ。
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今の時代の真綿で首を絞められているような不愉快な感じが実によく説明されている。 ただ、終章の展望はいかにも脆弱だ。 金融危機後の2009年に本書は上梓されたが、2018年の日本語版出版の前、2017年1月に著者は自死した。
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もっと読みやすく書いてくれれば私が常々感じていることを書いてあるのではないかとうすうす思うのだけれど。オルタナティブのない閉塞感とか、若者の諦観とか。でも表現が抽象的で私には難しすぎて途中で挫折。。。
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この本は論説ではなくエッセイです。現代社会は「新自由主義」が所与のものとしてもはや疑いのないものとなっていると指摘、そういう枠組みをどうやって変えていくのか筆者は読者一人一人に問うています。
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オルタナティヴを失い、格差の拡大や金融恐慌など様々な問題点をさらけだしながらも生きながらえる資本主義。 ここで言及されるリアリズムはまさに今を生きる中での閉塞感を捉えている。 スターリニズムが引き起こした害悪として語られていた虚構の目標という構造が、新自由主義により露骨な形で発露...
オルタナティヴを失い、格差の拡大や金融恐慌など様々な問題点をさらけだしながらも生きながらえる資本主義。 ここで言及されるリアリズムはまさに今を生きる中での閉塞感を捉えている。 スターリニズムが引き起こした害悪として語られていた虚構の目標という構造が、新自由主義により露骨な形で発露しているという考察は大変興味深い。 スーパーナニー的傾向はSNSに限らず社会に潜んでいる。我々はどうこのリアルと向き合うべきなのか。 このような鋭い論陣を張るマークフィッシャーが、すでにこの世にいないというのは残念だ。
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ラジカル(現実界)とリアリティ(現実)の区別。リアルとは、あらゆる(現実)が抑圧しなければならないものであり、まさにこの抑圧によってこそ、現実は構成される。リアルとは、目に見える現実の裂け目や、そのつじつまの合わないところにのみ垣間見ることのできる、表象不可能な X であり、トラ...
ラジカル(現実界)とリアリティ(現実)の区別。リアルとは、あらゆる(現実)が抑圧しなければならないものであり、まさにこの抑圧によってこそ、現実は構成される。リアルとは、目に見える現実の裂け目や、そのつじつまの合わないところにのみ垣間見ることのできる、表象不可能な X であり、トラウマ的な空洞だ。だから資本主義リアリズムに対抗する上で可能な戦略のひとつは、資本主義が私たちに提示する現実の下部にある、このようなリアル(たち)を暴き出すことであろう。
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ほかに道は本当にないの?---この本の副題である。もちろん最終章にほのかな希望のあかりが灯されてはいるが・・・ この現代高度資本主義での99%の人々のやるせなさ、うまくいかなさ、生きづらさ・・・ まずはそれをしっかり見つめることから始めないことには、というようなことが書かれており...
ほかに道は本当にないの?---この本の副題である。もちろん最終章にほのかな希望のあかりが灯されてはいるが・・・ この現代高度資本主義での99%の人々のやるせなさ、うまくいかなさ、生きづらさ・・・ まずはそれをしっかり見つめることから始めないことには、というようなことが書かれております。
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マーク・フィッシャーの代表作といえば本書になるのだろうか。 現代批評というのは、恐らく、その本の置かれた文脈から読み解くべきものなのだろうが、折々にポップカルチャーを引用して行く手つきは読み物として普通に面白い。造本もなかなかユニークで、気に入った。難を言うなら本文書体はもう少し...
マーク・フィッシャーの代表作といえば本書になるのだろうか。 現代批評というのは、恐らく、その本の置かれた文脈から読み解くべきものなのだろうが、折々にポップカルチャーを引用して行く手つきは読み物として普通に面白い。造本もなかなかユニークで、気に入った。難を言うなら本文書体はもう少し細いものを使って欲しかったことぐらいか(A1明朝自体は良い書体だと思うのだが、長文を読むにはやや太い。この路線で行きたいなら、リュウミンのProとStdのKOを組み合わせて、ウエイトはRかLぐらいで組んだ方が読みやすいと思う)。
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