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資本主義リアリズム の商品レビュー

3.7

19件のお客様レビュー

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2025/02/14

いまの自分には精神疾患の問題を政治化すること、はとりわけ響いたし、イメージが自律的な力をもつ資本主義下では形あるものがみな広報になる、のくだり、あるいは「コールセンターという正気を失うようなカフカ的迷宮」という最高の一節など、とにかく読んでいてまさにそうなのだと思わされることばか...

いまの自分には精神疾患の問題を政治化すること、はとりわけ響いたし、イメージが自律的な力をもつ資本主義下では形あるものがみな広報になる、のくだり、あるいは「コールセンターという正気を失うようなカフカ的迷宮」という最高の一節など、とにかく読んでいてまさにそうなのだと思わされることばかりだけれど、この本を読んで溜飲を下げているようでは本来は意味がないので難しい。ぼくは子どもをもちたくないと考えているが、それを反出生主義(ことさらにその名のもとになにかを唱えたいとも思わないが)の立場からのみならず、キャリアだとかコストだとかの観点からも考えることは、資本主義リアリズムへの加担となるのだろうと思った。

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2024/11/14

肝心のタイトルにもある「資本主義リアリズム」が、なかなか理解できなかった(自分の理解不足もあるだろうが)。しかし4章を中心に取り上げられている教育、大学生に関する話は、先日読んだZ世代の本とも相まって興味深かった。また、ニューロマンサーとル・グィンを取り上げているだけで、「よし、...

肝心のタイトルにもある「資本主義リアリズム」が、なかなか理解できなかった(自分の理解不足もあるだろうが)。しかし4章を中心に取り上げられている教育、大学生に関する話は、先日読んだZ世代の本とも相まって興味深かった。また、ニューロマンサーとル・グィンを取り上げているだけで、「よし、この著者は良い人」と思えた分評価をプラス1しました。

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2024/11/16

読書会課題本。タイトルは「新自由主義が所与のものとなっている」というような意味。言いたいことはわかるが、というモヤモヤしたものが残る読後感であった。

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2024/05/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

訳文の固さと前提知識不足もあり、たまらなく読みやすくはなかったが、それでも読み解ける端々を興味深く思いながら読んだ。 資本主義を「この道しかない」と諦め、それが常態化してしまっている「資本主義リアリズム」の現代。 資本主義は本当に効率的で「この道しかない」のか?組織の中でトップダウン的で形骸化した仕事はないか? そうした状況を諦め冷笑することによって、行動面ではそれらを受け入れてしまってはいないか? 存在しない中央に誰もが責任を押し付けてはいないか? 鬱病や倫理観は個人の責任ではなく構造的な問題ではないのか? .... 解決策をくれるような本ではないが、資本主義の行き詰まりの鬱屈とした状態を的確に表現し、諦めずに打開しなければならないと問題提起してくれる本。 2009年のものらしいが悲しいくらい色褪せていない。

Posted byブクログ

2022/08/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

高橋ヨシキ氏がインスタでポストしていたのを見て読んだ。2009年にリリースされた論考集なんだけど全く古びていなくて現在の社会の在り方について理解が進んだ。2022年の今でも事態が大筋では変わっていないことがとにかく辛い。2008年ごろに始まったことが悪い方向へさらにシフトしているのかとネガティブ思考に陥る一方で著者はカウンターの出し方を提示してくれていて少しは勇気ももらえた気がする。  タイトルの「資本主義リアリズム」は資本主義が完全に世界をテイクオーバーし現実的には資本主義が最強でしょ?というネオリベ的世界観のことを言っている。本著では資本主義ひいては新自由主義が躍動する世界で何が起こっているのかを丁寧に紐解きながら、当たり前に受け入れている資本主義に対する懐疑的な姿勢を示すラディカルな本。こないだの参議院選しかり最近選挙に対するモチベーションが極端に落ちていて、それはあきらめの感情が渦巻いていることが原因だと思う。著者はそれを再帰的無能感と呼んでいてしっくりきた。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- 彼らは事態がよくないとわかっているが、それ以上に、この事態に対してなす術がないということを了解してしまっているのだ。けれども、この「了解」、この再帰性とは、既成の状況に対する受け身の認識ではない。それは、自己達成的な予言なのだ。 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------  著者の特徴としては語りの中にポップカルチャーを混ぜ込んでいる点だと思う。相当硬い話なんだけど、自分が知っているカルチャーが論考に混ぜ込まれていると理解が深まる。さらに著者のポップカルチャーへのそのまなざしの鋭さにうなりまくりだった。特に「ボーン」シリーズの記憶にまつわる取り扱いを引きながら、現在の社会における一種の記憶障害的事象(日本でいえば「記憶にございません」)を語っているパートは圧巻だった。  個人的に一番辛かったのは冷笑主義に対する論考。著者は官僚主義の中で隷属している人間は冷笑主義を身につけてやり過ごしているのであると喝破していて、それがまさに自分だなと思ったから。冒頭で話したあきらめは冷笑主義に近づいている気がして、どこかで変えなきゃいけないと思っていたのだけど、そもそも人生の大半を過ごしている会社でそんな態度取ってたら政治や社会に対して建設的な対応なんてできるはずないよなと。冒頭の諦めの気持ちの由来がわかって勉強になった。  本著で語られている内容を全部理解できたかといえばそれは難しい。けれど当たり前に受け入れているものが当たり前ではない可能性を信じる。オルタナティブがあるのでは?と模索し続ける姿勢を忘れないでいたい。

Posted byブクログ

2022/04/09

現代人類の世界観、価値観、心理状況などを示した。こういった分析があるのに、今の日本での言説がどうしてこうまで視野が狭いのだろうと不思議に感じてしまう。この本を読めば、社会を考える時によく広められた話では、挙動できるといった意味合いでしかなく、テクノロジーの下部化からは何も逃れず、...

現代人類の世界観、価値観、心理状況などを示した。こういった分析があるのに、今の日本での言説がどうしてこうまで視野が狭いのだろうと不思議に感じてしまう。この本を読めば、社会を考える時によく広められた話では、挙動できるといった意味合いでしかなく、テクノロジーの下部化からは何も逃れず、かえって逆効果なものが返ってくることが理解できる。”その”気分よく納得している(させられている)ものを蹴飛ばすことが、変わっていく条件の一つだ。また、「未来」という言葉よりも「将来」と考えた方が良いのではないかと思うようになった。もう満ちた面があるのに、もっとよくなるという気でいると、社会はなにも変えられないだろうと思ったからだ。過剰なものに対して、ボトムアップもトップダウンも無効だ。理想を語り合うのもいいが、排水溝の掃除みたいな意識もなければ多分、無駄なカロリーになる。

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2022/02/12

精神疾患、環境破壊、貧困etc… 資本主義の暴力を表す「リアル」に直面してもなお、そのオルタナティブを想像することすらできない私たち。 主体性を取り戻すには、資本主義に加担している事実を認識し、その上で個人主義に陥ることなく構造に着目し、新自由主義が失敗し続けた「官僚主義の脱却...

精神疾患、環境破壊、貧困etc… 資本主義の暴力を表す「リアル」に直面してもなお、そのオルタナティブを想像することすらできない私たち。 主体性を取り戻すには、資本主義に加担している事実を認識し、その上で個人主義に陥ることなく構造に着目し、新自由主義が失敗し続けた「官僚主義の脱却」や「労働者の自立性の主張」に注力するべきなのだ。 快楽を求める以外に何もできない若者たちの描写(音楽を聴くわけではないのにヘッドホンをつけっぱなし)は身近すぎて寒気がした。

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2021/11/14

現代に生きる我々は ①資本主義リアリズムに抗うことなど想像だにせず順応できる者 ②資本主義リアリズムに抗うことを諦め順応せざるを得ない者 ③資本主義リアリズムに抗うことを諦め順応することすら諦めねばならなくなった者(ドロップアウトした者など) ④資本主義リアリズムに抗う者(失敗の...

現代に生きる我々は ①資本主義リアリズムに抗うことなど想像だにせず順応できる者 ②資本主義リアリズムに抗うことを諦め順応せざるを得ない者 ③資本主義リアリズムに抗うことを諦め順応することすら諦めねばならなくなった者(ドロップアウトした者など) ④資本主義リアリズムに抗う者(失敗の政治学に固執する快適なロマン主義者は①、②、③のどれかに属す) に振り分けられる(ような気がしている) ②や③の人々が如何に④に変わって行けるだろうか。その方法論のほんの一部が示されている点で確かに有意義な読書体験だったと言いたい。 ただ、方法論のその続きが決して見ることができないのが誠に遺憾です。特に本書だからこそ残念です。生きて抵抗して欲しかったが、逆に言えば資本主義リアリズムの暴虐性が著者の死にこそ集約されてしまったのかもしれない。 色んな意味で苦しみながら読んだが、学生のうちに読んでおいて良かったと思う。 音楽を聴かないのにヘッドフォンをかける若者が浸る「娯楽の母胎」 精神疾患を個人責任に追いやることで増幅する資本の暴力性 筆者の体験ベースで書かれているからこそ抽象的な議論にも関わらず、問題について確かなイメージを持つことが出来る。

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2021/07/18

オリンピックの失態を誰も責任が取れない体制についてモヤモヤと考えていたのでいい刺激になった。近田春夫の「調子悪くて当たり前」に続く何かを考えていく必要があると感じた。

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2021/04/24

帯に「たまらなく読みやすい」とあるのだが、たまらなく読みづらい。映画、音楽、小説など様々なサブカルにも精通していないと読めないと思う。 しかし、その主張には納得できる。それも帯にある「資本主義の終わりより、世界の終わりを想像するほうがたやすい」に集約される。(それなら読まんでい...

帯に「たまらなく読みやすい」とあるのだが、たまらなく読みづらい。映画、音楽、小説など様々なサブカルにも精通していないと読めないと思う。 しかし、その主張には納得できる。それも帯にある「資本主義の終わりより、世界の終わりを想像するほうがたやすい」に集約される。(それなら読まんでいいじゃないか!w)

Posted byブクログ