世界一孤独な日本のオジサン の商品レビュー
『男はなぜ孤独死するのか』と共通するトピックが多くあった。 現役で働いているあいだは仕事関係や会社内での付き合いが自然と生じるから孤独を意識することはない。顕在化するのは定年後だ。 ・中年男性はおしゃべりや世間話が苦手。 ・威張る、文句を言う、キレるなどの「暴走老人」の根底には...
『男はなぜ孤独死するのか』と共通するトピックが多くあった。 現役で働いているあいだは仕事関係や会社内での付き合いが自然と生じるから孤独を意識することはない。顕在化するのは定年後だ。 ・中年男性はおしゃべりや世間話が苦手。 ・威張る、文句を言う、キレるなどの「暴走老人」の根底には人から構ってもらえない寂しさがある。 ・高齢になると前頭葉が収縮して感情の抑制ができなくなるからキレやすくなると言われるが、人間は年を取るほど気が長くなり穏やかになる、という別の調査結果もある。 ・「孤独を楽しむ」等、日本では孤独は美化されがち。また言葉にしなくても伝わることを良しとする文化的土壌があり男性はそれに甘えている。 ・「男性の友人関係は表面的。お互いのことをそれほど知りたいとも思っていない。話すのは自分のパワーを示すため」 ・男性は女性に比べて人を褒めるのが下手なくせに人一倍褒められたがっている。 ・女性と比較して男性は人の感情や仕草から感情を読み取るのが苦手。 ・一説によると女性が一日平均2万語を話すのに対して男性は7千語。 ・女性は面と向かっておしゃべりを楽しむが、男性は横並びに肩を並べて(手作業やスポーツなど何かをしながら)でないとコミュニケーションができない。 ・「男らしくあれ」というマッチョ信仰やプライドが、男性が弱音を吐いたり人に助けを求めるのを躊躇させている。 「「孤独を楽しめ」だの「終活」だのと言い、じたばたせずに早々と人間関係を整理し、「人生の店じまいの準備」を勧める声があるが、人生100年時代に、30年も40年も「終活」を続けたり、家で読書ばかりしてはいられないだろう。定年後の長〜い時間に必要なのは「終わるための活動」ではなく、やはり「元気はつらつと生きていくための活動」、例えば、集い、縁を結ぶための「集活」や「縁活」ではないだろうか」
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孤独は何よりも重たい病。 自分も将来孤独になるリスクがあることを理解しつつ、コネとネタを仕込みコミュニティに参加する行動力を備えたい。 あとは老害と呼ばれる素養をすべて捨ててイケオジになる。 参考文献は映画「マイ・インターン」だ
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『世界一孤独な日本のオジサン』 著者 岡本純子 角川新書 2018年 「病気になる人々を観察し続けてきて分かったが、その共通した病理(病気の原因)は心臓病でも、糖尿病でもなかった。それは孤独だった」 これはオバマ大統領のもとでアメリカ連邦政府の公衆衛生長官を務めたビベック・マー...
『世界一孤独な日本のオジサン』 著者 岡本純子 角川新書 2018年 「病気になる人々を観察し続けてきて分かったが、その共通した病理(病気の原因)は心臓病でも、糖尿病でもなかった。それは孤独だった」 これはオバマ大統領のもとでアメリカ連邦政府の公衆衛生長官を務めたビベック・マーシー氏がいった言葉である。 孤独というものがいかに恐ろしいかを端的に表した言葉である。 この本はそんな孤独に関する実態をまとめたものである。 なぜ孤独はこんなにも忌み嫌われるのだろうか?それは人間が「社会的動物」であるからだ。古来より人間は繋がることにより、生命を生き延びさせ、孤立することは死を意味するようなそんな環境で生き抜いてきた。現代では、孤立してもすぐに死ぬことはないし、なんなら、表面上は快適さえ感じる人もいるが、しかし、我々の脳はそうは思ってくれない。 社会性を持った動物は身体的な痛みと孤立どちらを選ぶかという選択が迫られた時、身体的な痛みを選ぶ傾向にあるそうだ。痛みを選んでもなお、孤立になりたくないという社会的動物の宿命とも言える。 これに関して、補足で引用する カシオッポ教授によれば、「孤独は敵の襲来にたった1人で立ち向かわなければいけないことを意味し、脳を『サバイバル(自己保身)モード』に変える。人間は『サバイバルモード』においては、ウイルスと戦うのではなく、バクテリアと戦うように、プログラミングされているため、ウイルス耐性が下がり、がんなどへの免疫力が落ちる」という なぜ日本のオジサンは孤独と隣り合わせなのだろうか?それには2つの要因があると筆者は書いている。それはコミュニティとコミュニケーションである。 まずコミュニティつまり外的要因では日本特有の企業的な問題が絡んでくる。日本では職場を転々と移動するという発想がまだ希薄であり、正規労働者の転職比率は5%にも満たない。同じ会社で長く働き続けることによって、その一つの場所に頼るしかなくなり、そこにはその場所に依存することによって働き続けてきたおじさんが横たわっているのみである。そしてそれは知らず知らずのうちにプライドを熟成させていることになる。カリフォルニア大学バークレー校のダッチャー・ケルトナー教授は行動学の研究の末にこのようなことを発見している 「自分に力があると感じたり、特権的な立場を享受するなど、権力を持った人はそうでない人々より無礼で、身勝手、そして非倫理的な行動を取りやすい」 そしてコミュニケーションの問題ではこれも日本特有のハイコンテクスト文化である所謂言わなくても伝わるというコミュニケーションの態度が問題となる。 これについては、本書のある箇所を引用する このように「以心伝心「無口上等」という文化のもとで、日本人男性が「言葉にして話し、伝える」力を鍛える機会はそれほどなかったし、その必要もなかった。しかし、村や地域という同質性の高いコミュニティが失われ、異質性の高いグローバル社会へと移行していく中で、他者と繋がっていくためには「コミュ力」という道具がますます必要になっている。 最後に、男の友情を維持する方法が書いてある箇所を引用する イギリスオックスフォード大学のダンバー教授は、高校から大学に進んだ学生を追跡調査し、「女性は、電話で話すことなどを通じて、長距離の友情関係を維持することができるがが、男性は一緒に何かすることがなければ、関係を継続することが難しい」と結論づけた。
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孤独と、人に必要とされていないという感覚は、究極の貧困である(マザー・テレサ) 肥満、大気汚染、環境ホルモン、食品添加物、酒よりも健康を蝕み、寿命を縮めるものは「孤独」。とりわけ、この孤独の犠牲者になりやすいのが中高年の男性。コミュニケーションに不器用で、特に退職後は要注意。コミュニケーションは、人間の体で言うと血流のようなもの。それが滞ると・・・。 岡本純子「世界一孤独な日本のオジサン」、2018.2発行。 孤独にならないためには、コミュニケーション能力を高めて、コミュニティに入り活動すること。
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身の回りに友人はほとんどおらず、どこかコミュニティにでも所属しないと孤立するかもしれないな、と考えていたときにこの本のタイトル『世界一孤独な日本のオジサン』を見かけた。まるで自分のことじゃないか! と、読むべきタイミングを感じた。 読んでみると自分とリンクする部分はそこまで多く...
身の回りに友人はほとんどおらず、どこかコミュニティにでも所属しないと孤立するかもしれないな、と考えていたときにこの本のタイトル『世界一孤独な日本のオジサン』を見かけた。まるで自分のことじゃないか! と、読むべきタイミングを感じた。 読んでみると自分とリンクする部分はそこまで多くなかったが、でも孤独は個人の問題ではなくて国民病、いや社会によって押し付けられたジェンダーの問題であるということがわかった。 以前何かで読んだ本に”女性は小学生の頃から複雑なコミュニケーションを学び、逆に男性はシンプルなコミュニケーションのまま大人になる”と目にした。それは大人になってから男性のコミュニケーションのハードルを高くなる理由の一つである、と知って納得したが、本著でも同じようなことが書かれていた。 趣味や仕事、共通点といったことがないとコミュニケーションできない男性が多いのは、このシンプルなコミュニケーションを求めるからだ。そして女性のコミュニケーションに対して女は面倒臭いと口にするが、その先に待ち構えているのは孤独なのだ。 自分も比較的、好きなことや趣味がないと話すことが億劫になってしまうタイプなのだが、そこは改めないといけない。 またコミュニケーション力はコミュニケーションしないと衰えていくのだ、というところも当たり前のことなのだが、改めてちゃんと考え直そう。 そして碌でもない”オジサン”にならないようにしないといけない。 当たり前のことだとは言え、改めて考え直す必要があるな、と。
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孤独が健康に与える悪影響・リスクは欧米を中心に多くの研究がなされている。 それによれば、孤独のリスク・健康に与える悪影響は、例えば以下の通りである。 ■1日たばこ15本を吸うことに匹敵 ■アルコール依存症であることに匹敵 ■運動をしないことよりもリスクは高い ■肥満の2倍リスクは...
孤独が健康に与える悪影響・リスクは欧米を中心に多くの研究がなされている。 それによれば、孤独のリスク・健康に与える悪影響は、例えば以下の通りである。 ■1日たばこ15本を吸うことに匹敵 ■アルコール依存症であることに匹敵 ■運動をしないことよりもリスクは高い ■肥満の2倍リスクは高い ■孤独度が高い人がアルツハイマーになるリスクは孤独度が低い人の2.1倍 ■孤独は冠動脈性の心疾患リスクを29%上げ、心臓発作リスクを32%上げる ■孤独な人はそうでない人より、20%速いペースで認知機能が衰える こうなると、孤独は「病である」と言っても過言ではないかも知れない。 困ったことに、各種国際比較によれば、日本は「孤独大国」と呼んでも差し支えないほど、人々の孤独度が高い国であるらしい。その中でも、筆者によれば、リスクの高いのが、中高年の「オジサン」である。題名の通り、「世界一孤独な日本のオジサン」であり、ということは、孤独によるリスクが、世界で最も高い集団と言えるのかも知れない。しかも、日本のオジサンはプライドが高く、「自分は孤独である」ということを、他人にばかりではなく、自分自身に対しても認めたがらない、あるいは、進んで孤独になろうとする傾向もある。 上記の通り、孤独に関する研究は欧米で進んでおり、従って、孤独がもたらすリスクに対しての認識は高い。それは個人にとってのリスクであるばかりではなく、不健康な人が増えて、例えば、医療費が上がる、介護コストが上がるという社会的な負担の問題としても認識されており、特にイギリスでは、「孤独担当相」が置かれる等、対策が進んでいる。 日本では、孤独が社会的なリスク要因であるという認識はこれまで進んでいなかったのであるが、最近になって一転、政府も積極的に対策に取り組むようになっている。2021年4月1日には、イギリスに次いで世界で2番目に「孤独・孤立担当大臣」が任命された。また、内閣官房に「孤独・孤立対策担当室」が設置され、2022年12月には、「孤独・孤立対策の重点計画」の改定版が発表されている。 人間は、進化の過程で助け合い協力し合いながら生き延びて来た動物であり、他人と関わり合いながら生きていくことが、DNAレベルに組み込まれている、従って、人と関われない「孤独」の状態では、逆に生きる力を削がれるべく、プログラミングされている。それが、孤独が人間にとってリスクである理由ではないだろうか、ということが言われているようである。私自身は、幸いなことに現在は孤独な状態ではない。ただ、信頼できる家族や仲間が全くいないとか、ほとんど誰とも口をきかないで生活するとか、といった孤独の状態は、それを想像するだけでも、何だか健康を害しそうな気分になる。
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著者、岡本純子さん、どのような方かというと、次のようはプロファイル記事を見つけました。 1967年、神奈川県生まれ。コミュニケーション・ストラテジスト、「オジサン」(の孤独)研究家。読売新聞経済部記者などを経て、グローコム代表取締役社長。人材育成・研修、企業PRのコンサルティン...
著者、岡本純子さん、どのような方かというと、次のようはプロファイル記事を見つけました。 1967年、神奈川県生まれ。コミュニケーション・ストラテジスト、「オジサン」(の孤独)研究家。読売新聞経済部記者などを経て、グローコム代表取締役社長。人材育成・研修、企業PRのコンサルティングなどを手がける。 で、本作の内容は、次のとおり。(コピペです) 日本のオジサンは世界で一番孤独――。人々の精神や肉体を蝕む「孤独」はこの国の最も深刻な病の一つとなった。現状やその背景を探りつつ、大きな原因である「コミュ力の“貧困”」への対策を紹介する。 私、61歳。 納得できる内容でした。(-_-;)
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さて、コロナ前でこれだと今どうなってるのだろう。オジサンパワーで在宅をまた出社にしたりしてるのかな。オジサンは会社に来たらハッピーなんだろうか。
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読後、独自の視点で興味深かったポイントや新たな発見を動画にまとめました。 https://youtu.be/ZXre0QL_FpI
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どんな病気よりも孤独な状態が最も危ないとされていることが初耳でとてもびっくりした。統計学がそう表しているんだから間違いないんだろうな。 もっと驚いているのは、その孤独をきちんと認知して孤独対策を行なっている国がとても多いこと。日本はその孤独をあまり重要視していないらしいけれど、ここまで長寿な国なのに孤独で悩むというのはとてももったいない気がする
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