モモコとうさぎ の商品レビュー

大島真寿美(著者)

2024/09/03

大学卒業間際に家出した主人公(モモコ)が、1年近く放浪する物語だった。

モモコの放浪まとめ
モモコは、 大学在学中、3つのバイトを掛け持ちしていた。バイトの休みの申し出をした途端に、クビになり無職なってしまった。(大学の卒業間際)

母の3度目の結婚で父となった人から嫌味や圧力をかけられ、23歳で家出をする。

大学のすぐ近くで1人暮らしをしている、モモコの友達の西尾さんの家に転がり込んだ。西尾さんは、就職先のきつい研修を毎日受けに行っている半月ぐらいたった時、西尾さんから、光熱費など払わずに、ぐうたらしてイライラすると言われ、追い出された。

次の日、大学の卒業式で再会した、そこそこ知り合いの、うたちゃんの家に誘われた。
うたちゃんが家にいないと分かっている上で、うたちゃん家に来て、モモコに手を出そうとする
うたちゃんの彼氏。その現場を偶然見てしまった、うたちゃんが勘違いし(2人が説明しなかったのも悪い)ヒステリーになりモモコが出ていった。
(たった数日の滞在だった。)

4月になり、2年ぶりに会う兄に連絡し、兄の職場のゲストハウスに滞在した。衣食住しっかりしていたが、会社の方針で兄の仕事内容は、家族の誰にも喋ってはいけないし、ゲストハウスは監視カメラだらけ。行動範囲も限られ、兄に会うこともできない。限られた行動範囲ギリギリまで行動していたら、その行動がカメラを通して、上司から兄へ伝わった。兄が自分の評価が下がるから出ていくようモモコに言った。そしてモモコは出ていった。

夏の終わりまで、海辺の街で住み込みで汚れの仕事だけ(吐物や血液で汚れた部屋の掃除など。)を引き受ける会社で働いた。ビザが切れている外国人やDVから逃げてきた人など訳ありの人が勤務していた。貴重品の盗難が当たり前に行われているが、会社は責任など持たない。 ある日、人員整理のため他の従業員より訳あり度が低い、モモコがクビになった。

ある日、実の父の墓参りがしたいと1日数本のバスに乗って、山間の村へ。そこのお局おばあさんのところで、同居しながら自給自足の生活をした。 村の空き寺の掃除などもした。
12月、村に帰省してくる人がたくさん来ると知り居づらくなって、世話になっていたコンビニカーの人に頼んで乗せてもらって出ていった。

コンビニカーの人の仕事場で数日間過ごしているうちに、モモコが家出当初からずっと持ち歩いているウサギのぬいぐるみがたくさんあり、しかもうさぎ同士が話をするという不思議な話を桃源郷という地区で聞いた覚えがあるとコンビニーカーの人に言われ、興味が湧いたため桃源郷に連れて行ってもらった。

桃源郷にあるゲストハウスに住み込みで、掃除や家事の手伝いスタッフとして働いた。桃源郷で過ごすうちに、桃源郷にすむ若者と仲良しになった。
ゲストハウスのオーナーのおばあさんの衣装をミシンを使って縫っていくうちに、自分が裁縫が好きだと気づく。できた衣装を渡し、裁縫学校へ行こうかなと考えるが、それを職業にしたいとは思わない。今後のことは、またぼちぼち考えようと、モモコは思った。

色んなところをフラフラとさまよって、今後モモコはどうなるのだろうと思った。
桃源郷で、モモコが持っているうさぎについて話がところどころ載っていたが、結局うさぎの正体が分からず、モヤモヤした気持ちになった。

2024/05/30

ウサギの謎が明かされないまま終わってしまいモヤモヤ…不遇な家出少女(23歳)が行き当たりばったりで転々としながら生活していくのだが、この子大丈夫だろうかと不安になる物語だった。

2023/07/04

結局、うさぎはなんだったの？
複雑な家庭で育った主人公が、就活に失敗。流れるままに友人たちの元で居候し、将来を考えていく…んだけど、こういう半分人任せのだらだしたタイプが苦手なので、半分嫌悪感混じりに読んだ。
最後もなんとなくたどり着いた感があり、まるで消去法で選んだかのような覇気のなさ。世紀の大発見！なうさぎも回収されることなく。不完全燃焼系の話。

2023/05/19

図書館より拝借の初作家さん。素敵な放浪記。思い立ったが吉日、と動いているつもりなのに、この作品を読んでいると、常日頃、ちょっと先を見越して枠を設けて行動してるんだと思い知らされた。先を考えずに出来ることを丁寧に。久しぶりにちくちくしたくなった。そして、読みたい作家リストに加わった♪

2022/12/24

義父親の無言の無職に対する圧力に家出をする。最初の頃は内気プラス自己中だったモモコが流れに任せて行く先々で世話になりながら、しかも仕事とは、お金とは、世間の稼ぎ方ではない報酬、物々交換、そして問題となっている過疎化の村や過疎化を防いで活気ある町にした場所へと流れていく。年寄りばかりの村では皆が諦観していて死にゆくまでは誰の世話にもならないように頑張っている姿、活気ある町では若い人が集まるよう宿を安くする代わりに必要な時は助けてもらう桃源郷にピッタリ。そこで自分が打ち込めると分かった裁縫を極めようとこれまた人に頼りながらモモコは裁縫の学校に通う事にする。人に恵まれてモモコは自己を確立していく。焦りも不安もなく、冷静に自分を見つめるモモコが羨ましい。

2021/11/06

就活に失敗した女子大生モモコがうさぎと一緒に家出するお話し。
ずっと私の中のモモコのイメージは、大好きな大園桃子だった。不器用だし頭も決していいわけでもないし自信もないけど不思議な魅力がある子。
初めは友達の家を転々としては追い出されてばかりだったモモコが、少しずつ自分の役割を見つけて居場所を作っていく。
ストーリーの終盤でやっと見つけた「好きなこと」が縫い物であり、その道へと進む新しいスタートで幕を閉じるところも、大園桃子と何となく重なるのだった。

2019/08/06

直木賞取ったからなんか読んでみるかと思ったら、すでにて目覚めない朝が来る」「ピエタ」の2冊読んでいました。てっきり初めて読む作家さんだと思っていました。最近誰の本読んでいるか気にしていないのでこういう事は良くあります。
可愛い系の本かなと思いきや、ホームレス女子の彷徨といった趣きで読み応えありました。
流されるままに流されていく自己主張のない主人公が、次々に住みかを変えながら色々な人に寄生して生活するのですが、主人公なのに読んでいて超イライラします。主体性が無くてとりあえず今何とかなれば後は目と耳を塞いで眠っていたいという、絶対に出会いたくないタイプです。
しかし、色々な人に出会うごとに自分の出来る事と向き合う事になり、彼女が考えていた「仕事」というものの考え方が変わっていく所が胸熱です。
掃除と縫い物という特殊能力が有れども、就職という事から考えると無きに等しいというこの現代の就職事情。何を「仕事」と考えるかで見えてくる風景が変わるというのは、まさに先日読んだ本の「しょぼい起業」に通じる話だなと思いました。
いい本です、お勧めです。

2019/04/23

就活に失敗して家にこもって縫い物ばかりしているモモコ。

家に居づらくなり家出をしたモモコが出会う数々のいろんな仕事をする人たち。
モモコが家出に連れてきたうさぎのこと。

友達の家、兄の下宿先、幼少期にいた亡き父の故郷、コンビニカーに連れて行ってもらった桃源郷。

もっとうさぎが前面に出てくるのかと思ったけど、そうでもなく。

2018/10/04

読んでるその場、その場は決してつまらなくない。
でも、飽きる。
少しずつモモコがモモコを見つけていく、その成長も見つつ、でも、飽きる。
つまらなくないけど、全編通して見るとおもしろくない。

2018/07/08

就活に失敗し、家に引きこもってちくちく縫いものをするモモコ。小さな部屋は自分の作った作品、不思議なうさぎの人形と、ファンタジーな世界を期待して読んだ。
が、引きこもっていた部屋からモモコが突然飛び出したところから話しは大きく展開していく。

これからの事、自分に何ができるか、何が向いているのか。自分探しの旅のようで、しかしモモコからは焦りは感じられず、流れるように彷徨っている。
読んでいる方はモモコの得意な分野を見つけられるので、「そこを伸ばせばいいよ！」と声をかけたくなる。が、当然声は届かない。このもどかしさがある意味リアリティがあるのかもしれない。
モモコが流れていくように、文章と会話の区切りがなくダラダラと流れていくようだ。読むのにちょっと苦戦する。
ずっと待っていたうさぎの謎も最後までよく分からずちょっと残念。