モモコとうさぎ の商品レビュー
就職に失敗したモモコが引きこもりになって縫い物ばかりする.「ちくちくちく」という音がとても効果的に使われる.そして,やたらと開発費のかかったといううさぎをリュックに入れて家を出る.友達,兄,亡くなった父のお墓,桃源郷などを転々としながら自分探しの旅は続く.最後までウサギの存在が謎...
就職に失敗したモモコが引きこもりになって縫い物ばかりする.「ちくちくちく」という音がとても効果的に使われる.そして,やたらと開発費のかかったといううさぎをリュックに入れて家を出る.友達,兄,亡くなった父のお墓,桃源郷などを転々としながら自分探しの旅は続く.最後までウサギの存在が謎だった.
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就活に失敗し、バイトも首になってチクチク縫い物をするモモコ。ひょんな事から家出してあっちこっち友達のところや兄を頼りに行くが兄の職業の怪しさや本当の兄弟ではないことを知らされる。シビアな現状の中、人との繋がることで気づきモモコが好きなことを見つけ一歩前に進む事ができて良かったと思...
就活に失敗し、バイトも首になってチクチク縫い物をするモモコ。ひょんな事から家出してあっちこっち友達のところや兄を頼りに行くが兄の職業の怪しさや本当の兄弟ではないことを知らされる。シビアな現状の中、人との繋がることで気づきモモコが好きなことを見つけ一歩前に進む事ができて良かったと思う。
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就活に失敗し引き籠って縫い物をしていたモモコが、現在の父親との会話をきっかけに家出し、不思議な雰囲気を持つうさぎのぬいぐるみと一緒に放浪を繰り返す物語。 現実に「地方には仕事がない」と言われているけれども、それは求人がないという限られた意味合いかもしれないということに気づかせて...
就活に失敗し引き籠って縫い物をしていたモモコが、現在の父親との会話をきっかけに家出し、不思議な雰囲気を持つうさぎのぬいぐるみと一緒に放浪を繰り返す物語。 現実に「地方には仕事がない」と言われているけれども、それは求人がないという限られた意味合いかもしれないということに気づかせてもらった。モモコが色々な「仕事」を経験していったように、地方にも人手が必要な場面はいくらでもあって、給料という生きる手段の代わりに生きることそのものが得られる可能性は多くあるのだろうと思った。 常にモモコと行動をともにするうさぎが要所で存在感を示しつつ、一歩引いたところで物語と馴染んでいるのも示唆的だと思った。
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30年前の20代は「モラトリアム世代」と言われ、今の20代は自分探し世代を呼ばれる。 自分には何の仕事が向いているのか、自分は何をやりたいのか、そもそも自分とは何者か? いつになっても社会に出ていくその一歩は20代そこそこの者にとってはひとつの大きなハードルで。そのハードルをなん...
30年前の20代は「モラトリアム世代」と言われ、今の20代は自分探し世代を呼ばれる。 自分には何の仕事が向いているのか、自分は何をやりたいのか、そもそも自分とは何者か? いつになっても社会に出ていくその一歩は20代そこそこの者にとってはひとつの大きなハードルで。そのハードルをなんなくするっと超えていく人と、そこで躓いて立ち止まって前に進めなくなったり後戻りしてしまったりする人がいる。 自分のそのころを振り返ってみると、ハードルがあったことさえ気づかずに通り過ぎてしまったみたいでモラトリアム世代失格だな、もっと悩んでおくべきだったな、とつくづく思う。 モモコは就職に失敗して、ハードルの前からじわじわとコースを外れて行ってしまったわけだけど、そもそもモモコにとってはそのハードル自体がみんなとは違っていたんじゃないかと思ったりもする。考えが甘い、というのはあるとしてもいろんな意味で「今いる場所」から「外」に出るべき時であったのだろう、と。巣からの旅立ち。まぁ誰にとってもそうであるのかもしれないけど。 モモコがその特異な半生を特異だと思わないまま22歳まで来られたのはある意味幸せだったのだろうけどその幸せのリミットが22歳だったのだろうね。そのリミットをしかけたのがうさぎなんじゃないか、と思ったりもして。 うさぎネットワークでつながったうさぎたち。これは物語の中ではすこし後ろに隠れているけど、ものすごく広くて大きな何かを含んでいるんじゃないか。だってネットワークですよ。天才的な研究者によって莫大な資金を投じて開発されたネットワークですよ。もしかするとコレは壮大なSFなんじゃないでしょうか。日本国中にばらまかれたうさぎたち。彼らがパワースポットを通じていろんな人の動向を共有している。 この人とこの人を会わせると何か面白いことが起こるかも、とか、この人にはこの時まで自由に動いていてもらおう、そしてビッグバンを起こしてもらおう、とか。そんなことをうさぎたちのネットワークで計画立てあっている。モモコにとってはそれが22歳の1年間。 うさぎによって導かれた出会いと動き出した人生は、日本中のモモコに今後もたらされるべきテストケースだったのかもしれない。あるいはモモコが感じたパラレルワールドにその都度入り込ませていたのか。別の人生を歩んでいるはずのモモコと入れ替わらせていたのか。 モモコが出会っていく人たちも、なんだかとっても変わっている人ばかりでそれもいつもの大島さんらしくてうれしい。なんでこんな変な人ばかりと出会うのか。呼び寄せているのか、モモコが。いや、やはりこれもうさぎだ。うさぎが呼び寄せているんだ。 あぁ、でももしも他の誰かがみね婆やメリーやりるさんと出会っていてもこんな風にはいかなかったかも。ただ出会ってすれ違って別れていくだけの関係だったかも。そこにはやはりモモコと引き合い影響し合い別の道へと押し出してくれる何かがあったから。磁石の+と-の関係のように。もしくはブロックの凹凸のように。だからやはりこれはあのときうさぎをもらったモモコにしか起こりえない物語で、ひとつのモモコの人生の物語ということなんだよね。 物語の中にいくつもの大きな問題が描かれている。就活、ブラック企業、過疎の村…誰もがいつかどこかでかかわることになるそんな問題たち。もしそのときにこのモモコの物語を思い出せたら、多分きっと少し心が軽くなるんじゃないか。そんな気がする。
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