ヒトごろし の商品レビュー
京極版土方歳三物語。1100ページという久々のボリュームで読み応えありすぎ。 少年時代から殺人衝動をもつサイコパスな土方が、合法的に殺人をするために新選組を立ち上げ幕末を暗躍する。 序盤は少し冗長でダレたが、新選組結成あたりからは矢継ぎ早に事件が起き、土方視点で歴史的事件を解説す...
京極版土方歳三物語。1100ページという久々のボリュームで読み応えありすぎ。 少年時代から殺人衝動をもつサイコパスな土方が、合法的に殺人をするために新選組を立ち上げ幕末を暗躍する。 序盤は少し冗長でダレたが、新選組結成あたりからは矢継ぎ早に事件が起き、土方視点で歴史的事件を解説するような流れになって面白い。この時代について知識があった方がより楽しめるとは思うが、そこそこしか知らなかった私でも理解できないことはなかったので大丈夫。 読み進むうちに、狂っているのに周囲の誰よりも時代を読み、本質を見抜く土方が一番まともで魅力的に思えてくる。終盤の勝海舟との会話や、近代戦争論は圧巻。 読了後は、自分でも驚いたがかなり泣いた。今まで見たり読んだりした中では最高の土方歳三であった。
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とりあえず、すげーお・も・い(物理)。 土方歳三を中心に、独特な切り口で新撰組の栄枯盛衰が描かれてます。 新撰組ファンの方には怒られそうですが、土方と沖田がサイコパスっつーかシリアルキラーっつーか、いわゆる社会病質者であるという解釈なんですな。 おおうそうきたか! と、びっくり...
とりあえず、すげーお・も・い(物理)。 土方歳三を中心に、独特な切り口で新撰組の栄枯盛衰が描かれてます。 新撰組ファンの方には怒られそうですが、土方と沖田がサイコパスっつーかシリアルキラーっつーか、いわゆる社会病質者であるという解釈なんですな。 おおうそうきたか! と、びっくりはするけど、何かしっくりきたりして。 ぶっちゃけ新撰組ってめっちゃ迷走してるじゃないですか。教科書的な解釈じゃ、イマイチ理解できなかったんだよ。そのあたりも、この切り口だと納得できたり。
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周りの見えないだらだらの上り坂を登らさせられているような読書感でした。ちょっとした苦行。 それでも池田屋事件のところくらいから周りが見えてきてそれなりにサクサク読めました。 長いので人にはなかなか勧められませんが、活字を読むのが好きなマニアックな人には楽しい本だと思います。 土方...
周りの見えないだらだらの上り坂を登らさせられているような読書感でした。ちょっとした苦行。 それでも池田屋事件のところくらいから周りが見えてきてそれなりにサクサク読めました。 長いので人にはなかなか勧められませんが、活字を読むのが好きなマニアックな人には楽しい本だと思います。 土方歳三が「無学の百姓」と言いながらやたら頭が良くて洞察力が鋭いのがちょっと違和感。ヒトごろしですがやっぱり土方さんは格好良いです。格好良く描いちゃうのかな?
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久々に厚さに圧倒される。大河ドラマくらいしか新撰組の知識がないので大量の登場人物に苦労した。序盤はとにかく恐ろしかった。人殺しも怖いけど、この時代も怖い。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
幕末物が好きで、特に新選組、土方! ドンピシャの好み。 ただ、千ページを超える本はあまりに重たい。 (まさにヒトごろし用鈍器!) 普通は分冊するでしょう。 (その方が、作者も出版社も儲かるのでは?) 今まで誰も描かなかった土方&沖田像 最初は違和感有ったけどだんだん引き込まれてきました。 「涼」が本当は「お竜」だったという落ちかと思っていたのだけど、流石になかったか!!
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人を殺したくて、殺せる身分=武士になろうとする土方歳三。 その心情がうまく史実と合っていて面白い。 これまでにない、人でなしな土方歳三だけれども、読み進めていくにつれてどんどん魅かれていく。 人を殺せそうな本の分厚さもまた満足。
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佐幕だの倒幕だの、はたまた尊皇だの攘夷だのと、大層な旗印の下で戦をやらかす。忠義や正義をかざし、武士道だの維新だのと自らを正当化して命を奪い合うのだ。時代がどうあれ、世相がどうあれ、ヒトごろしに理屈なんざ要らないよ。佩刀できる身分を得て、ただ殺したいから殺すんだ。出世のためでも、...
佐幕だの倒幕だの、はたまた尊皇だの攘夷だのと、大層な旗印の下で戦をやらかす。忠義や正義をかざし、武士道だの維新だのと自らを正当化して命を奪い合うのだ。時代がどうあれ、世相がどうあれ、ヒトごろしに理屈なんざ要らないよ。佩刀できる身分を得て、ただ殺したいから殺すんだ。出世のためでも、世直しのためでも、何でもない。大義に殉じる殺しなんてあるものか。ヒトごろしは、潔く己を人外と認めりゃいい。あの屑野郎の沖田総司も、人にあらずとの自覚はあったのだろう。死は、血飛沫は美しい。殺したい。俺は「土方歳三だ」
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やっと終わった~~~ これが正直な読後の感想。 久しぶりの京極、そして1,000ページを超える大作、そしてそして、苦手な幕末もの… 最後まで読み切るのがやっとだった。 主人公は新撰組の鬼の副長・土方歳三。新撰組の有名どころでも最後まで生き残った一人。その土方の青年期から、箱館で最...
やっと終わった~~~ これが正直な読後の感想。 久しぶりの京極、そして1,000ページを超える大作、そしてそして、苦手な幕末もの… 最後まで読み切るのがやっとだった。 主人公は新撰組の鬼の副長・土方歳三。新撰組の有名どころでも最後まで生き残った一人。その土方の青年期から、箱館で最期を迎えるまでの自伝もの…なのかなぁ。土方からの目線でしか描かれていないので、どこまでの史実が正しいのか、どこからがフィクションなのか、なかなか判断が難しい。なので、パソコンで史実を確認しながら読んだ。 新撰組については、曖昧な史実が多く、自分でも新撰組の歴史の位置づけがいまいち分からないでいたので、読むのは大変だったけれど、新撰組については大分理解出来た。 坂本龍馬や勝海舟など、京極夏彦の手にかかると、こういう人物像になるんだなぁ、と変なところでも感心してしまった。こういう作品も新鮮でいいけど、やっぱり京極ファンは京極堂シリーズの新刊が読みたいっ!
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舞台は幕末。混乱した時代。その不安のせいか、熱病にうなされたか、大なり小なり大義名分があれば、個人の裁量で殺人が許されてしまう社会。 そんなものはおかしいんだ。いい人殺しなんてもんはありえない。とぶったぎるのは新選組副長・土方歳三。 ただ、彼自身は殺人衝動をもっているサイコパスな...
舞台は幕末。混乱した時代。その不安のせいか、熱病にうなされたか、大なり小なり大義名分があれば、個人の裁量で殺人が許されてしまう社会。 そんなものはおかしいんだ。いい人殺しなんてもんはありえない。とぶったぎるのは新選組副長・土方歳三。 ただ、彼自身は殺人衝動をもっているサイコパスなんです。 ぶっ飛んでいるのは、沖田の方ですけどね。快楽殺人犯。 同じ性質を持つ土方と沖田。衝動のまま殺すことに抵抗のない沖田と違って、土方は殺しのライセンスを作り上げようとします。公に殺しを行ってもいい状態。そのための新選組です。 私情が天誅と名を変えて、正当化される殺人。 戦争の中で、一人の人間としてでなく、一兵士という戦闘単位失われていく命。 どちらにも、人を殺すことは大罪だ、と断言。一刀両断です。 ただ、そういう土方自身が殺人衝動を抱え込んで、何度も殺人を実行しているという人間。 『一人殺せば殺人者。百人殺せば英雄』とはよく言ったものですが、人殺しはどれだけかっこつけても大罪人だと突きつけられてます。 古今東西の英雄譚に突きつけてますね。 しっかし、相変わらず分厚いです。
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