三月十五日 カエサルの最期 の商品レビュー
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傑作。文章表現における空白による表現の極致。 書簡(と注釈)のみによる表現形式。登場人物の独白がストレートに、手紙の相手ごとに異なる文体(パーソナリティ)で描写されている。一つの事象を複数の視点で最も自然に語ることができる文体。小説としての表現方法としてはワイルダーの発明なのだろうか。 歴史を知り、ことの顛末を知っているからこそ、「善き女神秘儀冒涜事件」や「カエサル暗殺」の事件そのものを直接的に描写せず、だからこそ何が起きたかを読者に想起させることで、事実と書簡の陰影が鮮明になり、実際にその場に居合わせた気分にさせられた。現実で起きているニュースを見ている感覚と似ているかも。 今後何度も読み返すことになる気がする。
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評価が難しい。書簡形式で昔の戯曲風なのだろか。じつは原著はされたのは1948年で、なぜ今、翻訳が新刊として出るのか? カエサルファンとしては新しい視点でよめて楽しいのだが、結局なんの本なのか?カエサルと周辺の人、ローマ社会? 唐突なカエサルの暗殺場面と浅い伏線。タイトルほどには最...
評価が難しい。書簡形式で昔の戯曲風なのだろか。じつは原著はされたのは1948年で、なぜ今、翻訳が新刊として出るのか? カエサルファンとしては新しい視点でよめて楽しいのだが、結局なんの本なのか?カエサルと周辺の人、ローマ社会? 唐突なカエサルの暗殺場面と浅い伏線。タイトルほどには最後を描いていない。つまらなくはないが、なにか、すっぽかされたような読後感がのこる。
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この <書簡体小説> は1948年に出版されたとのことであるが、クレオパトラやキケロ等々、カエサルを取り巻く人びとの手紙で暗殺直前の半年間を描くという斬新な手法は今なお色褪せることはない。ワイルダーは本作を <ファンタジア> と呼んでいるようだが、それでも紀元前の古代ローマ絶頂...
この <書簡体小説> は1948年に出版されたとのことであるが、クレオパトラやキケロ等々、カエサルを取り巻く人びとの手紙で暗殺直前の半年間を描くという斬新な手法は今なお色褪せることはない。ワイルダーは本作を <ファンタジア> と呼んでいるようだが、それでも紀元前の古代ローマ絶頂期の空気の一端は異様な生々しさをもって読み手に伝わってくる。
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