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「明治」という国家 新装版 の商品レビュー

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2025/01/11

封建国家から近代国家・国民国家に変わっていった日本を論じる本。 ・小栗上野介、勝海舟、坂本龍馬、大久保利通、西郷隆盛といった近代日本を作り上げた人物に着目し、彼らが何に影響を受け、何を考え、行動したのかを論じており、彼らの足跡を辿ってみたいという思いを起こさせる。 ・廃藩置県(=...

封建国家から近代国家・国民国家に変わっていった日本を論じる本。 ・小栗上野介、勝海舟、坂本龍馬、大久保利通、西郷隆盛といった近代日本を作り上げた人物に着目し、彼らが何に影響を受け、何を考え、行動したのかを論じており、彼らの足跡を辿ってみたいという思いを起こさせる。 ・廃藩置県(=藩や身分制の廃止)がいかに大きな革命であったのかということ、それをやってのけた背景として、日本人の中で共有されていた「危機意識」(攘夷感情はその即物的反発)があったことは、我々が生きている近代日本の国家の根幹にあった出来事として記憶しておきたい。 ・侍の精神性、武士道を、西南戦争において賊としたことへの福沢諭吉の憤りが取り上げられている。こういった武士の精神の名残が明治国家を支えたことは興味深い。 ・幕末までの支配的な思想であった朱子学(及びそれに基づく攘夷思想)の存在、初期の明治政府すらカトリック・キリスト教への警戒意識はぬぐえなかったこと、プロテスタンティズムと江戸時代における日本人の歴史的な勤勉さ・質実剛健さの近似など、人々の行動・志向に影響を及ぼしてきた思想的・宗教的背景について厚く論じられているのもまた面白い。

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2024/04/30

司馬史観の集大成として、明治国家を概観する。 歴史が横でつながる。 ◯三人の国家設計者 ・改造:小栗豊後守忠順(上野介) ・解体:勝海舟 ・文明という普遍性:福沢諭吉 ・小栗上野介による横須賀ドックで、江戸幕府は土蔵付の売家に。 ◯藩の多様性 ・薩摩:物事の本質をおさえてお...

司馬史観の集大成として、明治国家を概観する。 歴史が横でつながる。 ◯三人の国家設計者 ・改造:小栗豊後守忠順(上野介) ・解体:勝海舟 ・文明という普遍性:福沢諭吉 ・小栗上野介による横須賀ドックで、江戸幕府は土蔵付の売家に。 ◯藩の多様性 ・薩摩:物事の本質をおさえておおづかみに事を行う政治家や総司令官 ・長州:権力操作に長け、官僚機構をつくり動かす ・土佐:野にくだり、自由民権運動(長曾我部家から続く一領具足の郷士) ・佐賀:実直で有能な事務官(鍋島家の長崎警備かたの軍洋式化、学問・科学技術発達) ◯廃藩置県 ・津田出による和歌山でのミニ明治国家 ・廃藩置県の鎮魂としての荒城の月 ・倒幕の中の保守家・島津久光 ・植民地支配の恐怖が廃藩置県を円滑に進めた ・明治政府とプロテスタントの親和性

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2021/05/24

「明治」というのは、特に司馬遼太郎のように敗戦、戦後の高度成長を知る人にとっては、顧みるべき時代なのだろう。 ただ、それは、今も何も変わらず、日本人としてのアイデンティティを考える際には、この時代を振り返り、何が起こり、誰がいて、その精神はどのようなものだったのか考える必要がある...

「明治」というのは、特に司馬遼太郎のように敗戦、戦後の高度成長を知る人にとっては、顧みるべき時代なのだろう。 ただ、それは、今も何も変わらず、日本人としてのアイデンティティを考える際には、この時代を振り返り、何が起こり、誰がいて、その精神はどのようなものだったのか考える必要がある。 「明治人」から思い浮かべるものとは、 ・無私 ・理想を追い求めるエネルギー ・謙虚さ、学ぶ姿勢 ・柔軟な発想、先入観、固定観念に囚われない ・自らを律する精神 ・根拠のない自信 以下抜粋 ・1920年代のはじめぐらいまでの日本の官界、学界といった学歴社会は、ほとんど士族出身者で占めていました。 その理由は、士族には学問をするという、家中や個々の家々の文化があったこと、廃藩置県によって、勉強をして学校へゆく以外に自分を窮状からすくいだす道がないとされたことからくるエネルギーだったのでしょう。

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2020/10/25

司馬遼太郎の明治国家論なのであるが、明治国家そのものというよりも江戸時代からの継承について冒頭の多くを割いて述べており、実はその部分が面白かった。江戸の知識階級とそれ以外の二極分化、補佐政治、江戸時代に培われた多様性と薩長土肥のお国柄、慶喜と勝の精神構造、維新後の西郷の虚無など。...

司馬遼太郎の明治国家論なのであるが、明治国家そのものというよりも江戸時代からの継承について冒頭の多くを割いて述べており、実はその部分が面白かった。江戸の知識階級とそれ以外の二極分化、補佐政治、江戸時代に培われた多様性と薩長土肥のお国柄、慶喜と勝の精神構造、維新後の西郷の虚無など。その後の国造りの話はそこまで真新しくも面白い訳でもない。 なお、講義調であるため、全般に脱線が多くやや論旨を見失いがちになるきらいあり。細かい点で、ドイツが第一次大戦に入った理由をドイツの憲法制度に置いているのは浅薄かなとも思う。

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2020/06/08

作家の想像力で好き勝手な事を言ってるに過ぎないのだが(なんて言い方したら怒られそうだが)、確かに読み物としては面白くて、妙に説得力があるのでついつい惹きこまれてしまうところがある。多くの日本人がそうだろうし、この司馬史観が真実味を伴い流布し、そして支持される事により、強固な説とし...

作家の想像力で好き勝手な事を言ってるに過ぎないのだが(なんて言い方したら怒られそうだが)、確かに読み物としては面白くて、妙に説得力があるのでついつい惹きこまれてしまうところがある。多くの日本人がそうだろうし、この司馬史観が真実味を伴い流布し、そして支持される事により、強固な説として君臨しているのかもしれない。ただし、これはあくまでも1人の作家が想像(創造?)した明治国家の姿である事には留意する必要があるだろう。 内容的に気になるのは江戸→明治への繋ぎの部分であり、司馬はこの連続性(非連続性?)をどう評価しているのかがいまひとつわからない。「(徳川・江戸の)遺産」という言い方はしているのだが、作家の場合はフォーカスするのが制度や仕組みといった構造ではなく、基本的に人物(orせいぜい精神文化)になるため、結局は司馬の好き嫌いに依存してしまってるような印象を受ける。

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2019/06/29

「明治」という国家を、あくまで現在の日本とは切り離して、著者の歴史観をもとに論じている。著者は多くの人の死を好まない。そういった観点から勝海舟による無血開城が高く評価されている、等。 ひょうひょうとした語り口と熱い語り口のテンポ感が好き。読ませる文章。

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2018/05/06

NHKの吉田直哉氏が退職の制作のためにと、司馬遼太郎に持ち込んだ「モンゴロイド家の人々」という企画が発展して「太郎の国の物語」というタイトルになって、NHKでの「幻の放映」と言われる司馬遼太郎が出演した貴重な作品となった。 それが出版され、タイトルも「明治という国家(上下)」にな...

NHKの吉田直哉氏が退職の制作のためにと、司馬遼太郎に持ち込んだ「モンゴロイド家の人々」という企画が発展して「太郎の国の物語」というタイトルになって、NHKでの「幻の放映」と言われる司馬遼太郎が出演した貴重な作品となった。 それが出版され、タイトルも「明治という国家(上下)」になった。 司馬遼太郎は「いまさら、テレビという人前に出るなどは、自分の節制のゆるみ―老化である―としかおもえないが、しかし少年(*吉田直哉氏のこと)には抗しがたかった」と恥じて(実際は照れ?)いる。 内容は明治という時代を、「江戸時代からの遺産」「青写真なしの新国家」「廃藩置県―第2の革命」「勝海舟」「サムライの終焉あるいは武士の反乱」「自由と憲法」等々、多方面から分析しているので、一概には纏めにくいが、明治維新というのは、本当に想像を絶するというか、めちゃくちゃな革命と思われるが、世界史的にも流血の少ない形で成功したのは、何故だろうかと改めて考えさせられる。 常に手元に置いて読み返したい一冊である。 余談ではあるが、放送されたものはDVDになっていて、今や3万円というプレミアムが付いている。一度見たいと思っているが、二の足を踏んでいる状態が続いている。

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2020/06/16

司馬遼太郎の書く明治の小説はいくつか読んだことがあったが、明治という時代全体に対して論じているのを読むのは初めてだった。たびたび話が脇道にそれるものの、それらが全て興味深くこぼれ話満載な一冊だった。

Posted byブクログ