されど愛しきお妻様 の商品レビュー
知識として理解していることと、当事者となり本質的に理解したことに大きな違いがある。発達障害や脳の不自由を理解することはとても難しい。頑張ってできるようになることに価値を置きすぎてはいけない。 人によって頑張る時の脳の消費エネルギーは違う。1分の頑張りで寝込む人、頑張ってもできない...
知識として理解していることと、当事者となり本質的に理解したことに大きな違いがある。発達障害や脳の不自由を理解することはとても難しい。頑張ってできるようになることに価値を置きすぎてはいけない。 人によって頑張る時の脳の消費エネルギーは違う。1分の頑張りで寝込む人、頑張ってもできない人、、、その人に合った対策を見つけられる人が必要。
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※このレビューにはネタバレを含みます
愛ある一冊ですねぇ。 著者の本は「最貧困女子」を読みましたがなかなか壮絶なルポでした。その後「脳が壊れた」というのを何かの記事で見ましたがその本は読んでいません。で、この本。 大変稀有な人生、のように思えるしお妻様との出会いはお互いにとってこれぞ運命、というしかない邂逅だったと言えるように思います。 あえて露悪的な表現ぶりで書かれているように思いますがそのように書くことで夫婦の関係性や空気感を伝えたり、あるいは状態や状況の重さや深刻さを和らげたりする意図があるのかなと感じます。(違うかもだけど、「最貧困女子」は読んだのが物凄く以前なのであまり覚えてないけれど、確かこのような文体ではなかったはず) お妻様は発達障害だからそうなのか障害がなくてもそういう人なのか分からないけれど、かなりぶっとんだキャラな人であるのは間違いないですが、著者の表現の仕方にあふれる愛があるおかげでか、すごくチャーミングに感じられます。 悪性脳腫瘍の中でも最悪と言われている膠芽腫を患いながら本書のように暮らせるのは身内を脳腫瘍で亡くした自分からすると奇跡としか言えないです。 それにしても、腫瘍取ったところに「読売新聞入ってるのかな?」って(笑) 銘柄まで指定されてるところに思わず吹き出してしまいました。でもこの章は、妻が倒れ夫も倒れ、さすがに読んでいて胸が詰まりました。 雑誌でお二人が取材を受けてる記事も拝見しましたが、鈴木さんの眼差しの優しいこと。いや、すごい人だなと思います。なかなか一般の夫たちなら妻に対してここまで出来ないんじゃないかなぁ。 自分の人生を振り返ってもケッコン生活四半世紀超えてますが、オットにパンツ洗ってもらったのなんか…むにゃむにゃ(本書に関係ないですね) p155「まだありがとうが足りねえ。もっと毎日ありがとうを言え」可愛くねえ奴だな。ありがとう。 この夫婦のやりとり、最高だなと。 そして最終章の「お父ちゃんのちゃぶ台返し」には考えさせられました。 発達障害当事者は日常において被害者であることが多いけれども一方で加害者の側面もある、という指摘。 本当にそのとおりだなと思いました。これは案外持てない視点だと思います。 これは当事者との関わりという経験がないと実はなかなか理解できないことだと思います。頭でわかったつもりでも実感として理解してもらうのは難しいように思います。 そういう発達障害当事者による加害者的側面という状況を支える側が体験していないと、発達障害当事者と関わりのない人にどう説明して良いのか分からないし、そういう人にそもそも伝える事自体大変に難しいと思います。 例えが「お父ちゃんのちゃぶ台返し」なので読者に誤解されないだろうかとちょっと心配でした。(きちんと暴力にでた時点でその加害者像はアウトで肯定したくないと書いてはいるんですが) でもここに書かれている指摘は結構重要だと思います。 このことを公的支援者の立場の人に理解してもらえず、苦しんでいる当事者の家族はきっとかなりいるだろうと私は思うからです。(少なくとも自分はそういう時がありました)よく書いてくれたなと思いました。 本書は2018年刊行。著者とお妻様の現在を知らないのですが、お元気でいてくださったら良いなぁ、お二人の続編が出てたら良いなぁと思います。
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妻への愛にあふれていました 著者の方が発達障害に理解のある方ですが、その対応たるや頭が下がるばかりでした。 人を愛するということは、欠点を受け入れて共に助け合い生きていくことだと改めて思いました。 読みやすかったです、著者の他の本も読みたくなりました。
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他の方も言われる通り、タイトルに反して、文体がカジュアルかつ、優しさに溢れたドタバタ夫婦エッセイだった。読む前は「暗いエッセイなのかもしれない」と覚悟して読み進めたが、期待に反して、優しい気持ちになれてとても良かった。 自分の家族にも「大人の発達障害」を抱えた者がおり、作者が病気...
他の方も言われる通り、タイトルに反して、文体がカジュアルかつ、優しさに溢れたドタバタ夫婦エッセイだった。読む前は「暗いエッセイなのかもしれない」と覚悟して読み進めたが、期待に反して、優しい気持ちになれてとても良かった。 自分の家族にも「大人の発達障害」を抱えた者がおり、作者が病気になる前に、お妻様に抱いていたようなドロドロとした感情を、現在進行中で抱えたままだったが、 この本を読むことで、身の回りにいるお妻様のような方を、【先ずは理解しようとする】という《人生のコマンド》が自分の中にできた。 環境や時代、文化などの様々な要因が入り組んで障害だと判断されているだけだと気付かされた。家族にも勧めたいと思う。
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サブタイトルに堅苦しいものを感じましたが中身は結構カジュアル、それでいて的を得た感じで読みやすいです。あとがきも頷ける内容です。よくある発達障害にはこうしましょう、のような教科書みたいな本とは違うわかりやすさがあると思いました。是非。
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当事者ではないとわからないことって沢山あるけれど、そういったこととか、今の社会についての問題提起、とてもわかりやすい こういったわかりやすさはエッセイならではだと思います ただ、当事者になってもその人本人ではないから完全に理解できるということは無理だろうとも思います。それはきっ...
当事者ではないとわからないことって沢山あるけれど、そういったこととか、今の社会についての問題提起、とてもわかりやすい こういったわかりやすさはエッセイならではだと思います ただ、当事者になってもその人本人ではないから完全に理解できるということは無理だろうとも思います。それはきっと、著者もわかっている気がします 自身の病気を通してとてもうまくいったケース。こんなケースが一つでも増えて欲しいと思います。 と、同時に 発達障害を通して 今の社会はどうあるべきなのかを考えさせられる本です 環境が不自由を障害にする
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「障害化させない社会づくり」は、一人一人の意識が大切。色んなパーソナリティがあって当たり前の世界。もうすぐだよね。
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筆者の、障害は環境がつくるという言葉にすごい共感した。もし誰もが字を読めなくても暮らしてた昔なら、識字障害は障害者でないし、多動性が問題しされるけどそれは教室に座ってじっとしないといけないから。 筆者の述べるように、なんでできないの?ではなく、どうしてできないのかどうしたらできる...
筆者の、障害は環境がつくるという言葉にすごい共感した。もし誰もが字を読めなくても暮らしてた昔なら、識字障害は障害者でないし、多動性が問題しされるけどそれは教室に座ってじっとしないといけないから。 筆者の述べるように、なんでできないの?ではなく、どうしてできないのかどうしたらできるのか考える社会になれば多くの人が生きやすくなる。 やればできるは傲慢
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これはいい本。 全編を通じて軽妙なタッチで読みやすいが、内容は「自分や相方との向き合い方」という点において、重く、かつ、本質的。特に、著者のように脳梗塞を発症しなくても、誰しも加齢でだんだん心も体も劣化することが避けられない中、遅かれ早かれ直面する困難さに対する心構えを教えてくれ...
これはいい本。 全編を通じて軽妙なタッチで読みやすいが、内容は「自分や相方との向き合い方」という点において、重く、かつ、本質的。特に、著者のように脳梗塞を発症しなくても、誰しも加齢でだんだん心も体も劣化することが避けられない中、遅かれ早かれ直面する困難さに対する心構えを教えてくれる。 「何事も経験しなければ分からない/分かり合えない」と書いてしまうとネガティブだが、逆に「経験により分かり合える」なら歳を重ねることも悪くないかもしれない。
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高次機能障害になった夫が自分の困り事を通して発達障害の妻を理解し、支え会える関係になるまでを書いたノンフィクション。 発達障害の特徴は人によって様々なので全てが当てはまるわけではないけれど、自分の気持ちや考えをうまく言葉にできない当事者(うちの息子もASDで知的障害はないけれど気...
高次機能障害になった夫が自分の困り事を通して発達障害の妻を理解し、支え会える関係になるまでを書いたノンフィクション。 発達障害の特徴は人によって様々なので全てが当てはまるわけではないけれど、自分の気持ちや考えをうまく言葉にできない当事者(うちの息子もASDで知的障害はないけれど気持ちを表現するのは不得意)の苦しさを推察する手がかりになる。 支援級に在席していても「やればできる」と言われがちで困っている息子。だからといってやること全部をとりあげてしまうのも本人のやる気や自信を失わせるそうなので見極めが大事だなと思った。
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