口笛の上手な白雪姫 の商品レビュー
久しぶりに小川洋子、相変わらず文章は美しい。8編の短編で少年少女期のメンタリティや女性の孤独を描いており、WOWOWあたりでドラマ化してくれないかなあ、ちょっとしたファンタジーになると思うんだが。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
小川さんの世界。ちょっと外国風なキリリとした世界。短編集。吃音の少年の前に現れる老婆。少年の発する言葉を集める。老婆は嫌だからカタカナで、と言われて、「ローバ」と呼ぶ。少年にしか見えない「先回りローバ」。ローバが消えたとき、少年の吃音も消えた。
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小川洋子さん独特の世界を満喫できる短編集。どのお話も印象深くしみじみとひたひたと楽しみましたが、少女とお針子のりこさんとの交流を書いた話と、先回りローバの話が特に好きでした。それとお話の展開は心がざわざわしたものの、小説は目で読むのではなく作家が自身の声で語ってくれるのを聞いてい...
小川洋子さん独特の世界を満喫できる短編集。どのお話も印象深くしみじみとひたひたと楽しみましたが、少女とお針子のりこさんとの交流を書いた話と、先回りローバの話が特に好きでした。それとお話の展開は心がざわざわしたものの、小説は目で読むのではなく作家が自身の声で語ってくれるのを聞いているのだ、というお話にはそうだったらいいのに!と思ってわくわくしました。読み終わるのが惜しい感じでした。
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小川洋子さんの小説は、新刊が出るたびに読むのだけれど、これほどわからないまま読んでいてもいいのかなと思うことが多い。でもよくわからないから勝手にいろいろなことを自由に思い、考える。正解とか、作者の意図みたいなものがあるとしたら、全く関係のない方に飛んでいってるのかもしれないけど、...
小川洋子さんの小説は、新刊が出るたびに読むのだけれど、これほどわからないまま読んでいてもいいのかなと思うことが多い。でもよくわからないから勝手にいろいろなことを自由に思い、考える。正解とか、作者の意図みたいなものがあるとしたら、全く関係のない方に飛んでいってるのかもしれないけど、とても自由だ。心の中、頭の中は自由だ。 「先回りローバ」 黒電話の描写、初めて電話との付き合いを始める男の子の描写、117に電話する気持ち、懐かしい。こんなこと思い出すなんて、この小説読んだからだとうれしくなった。普段は忘れているけどたくさんの記憶が私の中に残っているのだ。 「亡き王女のための刺繍」 冥界に咲く花、が出て来てから、ちょっと怖くなったが、ラストでまた一段と怖くなった。「メビウスの輪」のような怖さ、と私は名付けたい。なんかタイトルまで怖くなってきた。 「かわいそうなこと」 優しさを感じた。人のかわいそうなことに気付けるのは、自分の中に同じものを見つけられるから。逆もあるかも。全く自分とは違うから、それが申し訳なくて注目する。どちらにしても自分、というものが多分基準になっている。自分が見えてないと人の悲しさにも気づけない。そんなこと今まで思ったことなかったけど。 こういう男の子がどこかにいてくれるからこそ、みんな頑張って生きていけるのかも。こういう役割をみんなそれぞれが少しずつ持っていて世の中が回っているのかも。 「1つの歌を分け合う」 普通に読んだ。普通の、いい感じの短編だった。幸せな子供時代のシーンだけでも読んで良かった。自分の子供時代を思い出した。母に感謝した。いやいやそういう小説じゃないやろ。いや、そういう小説か。母と子の。母から見た子供との幸せな生活。子供から見た母との幸福な毎日。1つの歌を分け合う毎日。いつも母と弟で大きな声で歌を歌っていた子供時代を突然思い出した。フルタイムで働きながら、それでも明るく楽しく子供と接してくれてたんだなぁと思い出した。 伯母さんは息子を思い出すし、「僕」は伯母さんを思い出す。もう帰ってこない時間。戻りたくても戻れない時間。でも、しっかり記憶には残っている。思い出すことができる。私もまた。
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短編集 先回りローバ、亡き王女のための刺繍、かわいそうなこと、一つの歌を分け合う、乳歯、仮名の作家、盲腸の秘密、口笛の上手な白雪 どの短編もあまり印象に残るものではなあかった。ちょっと残念
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自分にだけ見えるものや、自分だけに聞こえる声がある。 まだ夢と現実の境目があやふやだった子どもの頃、 私もそんな世界に生きていたのだろう。 自分だけのルールに従って生きる人たちの姿が、なんだか懐かしくて仕方がないのだ。 そして人の思惑など気にせず、自分にとって大切なものをそっと守...
自分にだけ見えるものや、自分だけに聞こえる声がある。 まだ夢と現実の境目があやふやだった子どもの頃、 私もそんな世界に生きていたのだろう。 自分だけのルールに従って生きる人たちの姿が、なんだか懐かしくて仕方がないのだ。 そして人の思惑など気にせず、自分にとって大切なものをそっと守り続ける主人公たちが 愛おしくてちょっとうらやましい。
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小川さんの言葉は、日常に呪文を掛け そこに生きる人々の呼吸は、ひそやかに。 大好きな作家さんなのに この短編集は 何故か読み進めるのを中断したくなりました。 自分の中の何かが変わったのかもしれません。 「かわいそうなこと」と「盲腸線の秘密」は中でも好きな作品でした。
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表題作を含む8編の短編からなる作品。 作品の湿度が高い…わかりづらい表現で申し訳ないけども… 基本的に全編を通して、一昔前、昭和を感じる作品だった。個人的に、改めてやっぱりこの作家さんと相性いまいちなんだよなということが分かりました…
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「先回りローバ」「亡き王女のための刺繡」「かわいそうなこと」「一つの歌を分け合う」「乳歯」「仮名の作家」「盲腸線の秘密」「口笛の上手な白雪姫」の8編。 小川さんの短編の世界は、曇天の中と言った雰囲気のものが多いのですが、この短編集は少し薄明かりが差している感じです。そしていつもよ...
「先回りローバ」「亡き王女のための刺繡」「かわいそうなこと」「一つの歌を分け合う」「乳歯」「仮名の作家」「盲腸線の秘密」「口笛の上手な白雪姫」の8編。 小川さんの短編の世界は、曇天の中と言った雰囲気のものが多いのですが、この短編集は少し薄明かりが差している感じです。そしていつもより少し暖かい。 とは言え、何を書いても小川さん。端正な文章で綴られ、不思議な静寂感を持ち、幻想的。好きな人にとってはたまらないけれど、受け入れられない人も居るでしょうね。
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小川洋子さんの言葉選びが秀逸な短編集。 「人質の朗読会」にも似てますね。 人間の心のひだをたぐるような、 そして、ただちょっとだけ後味の悪さも残しています。
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