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幸福について の商品レビュー

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21件のお客様レビュー

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2021/04/17

直接的に幸福にするのは、因果を逆に捉えがちだが「心根が明るいこと」である。「この特性は何にも代えがたい」とショーペンハウアーは語る(5%辺り)。陽気さにとって富や名声ほど役に立たないものはなく、健康ほど役立つものはない。健康第一というわけだ。 置かれた環境下で幸福感が左右されて...

直接的に幸福にするのは、因果を逆に捉えがちだが「心根が明るいこと」である。「この特性は何にも代えがたい」とショーペンハウアーは語る(5%辺り)。陽気さにとって富や名声ほど役に立たないものはなく、健康ほど役立つものはない。健康第一というわけだ。 置かれた環境下で幸福感が左右されてしまう外的要因に心惑わされることなく、内的要因に心の平和を見出そうとする考えは成熟社会の日本では一般的と言っていい(常にこれに立ち戻るのは難しいが)。「健康な身体」もそういう意味では状態に左右されてしまうので不健康であっても維持できる強固な心の平和、サンクチュアリを創造したい。 著者によると、幸福の基礎をなすのは動物的本性であり、最も大切なのは前述の通り「健康」次いで「生活手段」すなわち「心配無用の暮らし」という。これに気づいて整えれば自信に満ちた態度になり、屈託のない自然な振る舞いができるようになる。 また「孤独を愛す」ことも重要と説く。孤独の中にこそ、真の自由がある、自分の心の声に耳を傾けよ、と。情報化社会において刺激過多な現代人とは間逆な世界観ではあるが、一方でマインドフルネスや禅、ヨガ、ジョギングなどのブームは無関係ではないと思う。瞑想によって解脱の平和が得られるインド哲学にも詳しかったそうな。 彼は「生の哲学」の祖とも呼ばれるが、後にフロイトが「エス」や「リビドー」「トゥリープ」という概念に再構築した「生への意志」というコンセプトを打ち出している。巻末の解説によると、「人間が望みうる唯一のことは、できる限り自分の中の意思を否定することにある。そしてこの否定は『瞑想』において達成される。欲望の隷属状態から開放され、無常さを超えて安らぎと平和を得る」と説いているらしい。 「本能と理性」という二元論はよく聞くが、彼によると「意志・本能」と「知性」と呼んでその関係は「暴れ馬」と「手綱」。強い意志・本能があってこそ、知性を豊かに開花させられ、また巧みな手綱さばきがなければ馬は暴走する。

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2020/10/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

考え方が圧倒的に古い。あまりに偉そうなおじいちゃんで最後まで読めなかった。 「あらゆる人間の中で最も群れたがるのは黒人だと言われるが、かれらは知的な面で断然、劣っている。〜黒人はお互いのだんご鼻の黒い顔をいくら眺めても見飽きない…」 「食事は空腹な人にのみ、ワインは丈夫な人にのみ、〜、女は若者にのみ役立つ」 いやいやいやいや…

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2020/04/03

こんな物事の表面しか見えない頭の悪い人の書いた本を読む気が全然しなくなって、途中で読むのをやめちゃった。

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2019/09/22

昔の哲学者が書いた、幸福についてのエッセイ。 なかなか為になる人生訓が述べられている。 文章が面白く、説得力があった。 読んだら幸福について考え方が変わる、かも。

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2019/05/23

150年近く前からこんなに鋭く人間の本質を捉えている人がいることに驚いた。 何度か読み込みたいと思う。

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2019/02/21

・意識の中に現れた物事の形状よりも、意識の性状そのもののほうがもっと重要である。 ・私たちが何を幸福とし、何を享受するのかということにとって、主観は、客観とは比べ物にならないほど重要である。 ・特に健康は、ありとあらゆる外的財宝にまさるもので、本当に健康な乞食はやめる国王よりも...

・意識の中に現れた物事の形状よりも、意識の性状そのもののほうがもっと重要である。 ・私たちが何を幸福とし、何を享受するのかということにとって、主観は、客観とは比べ物にならないほど重要である。 ・特に健康は、ありとあらゆる外的財宝にまさるもので、本当に健康な乞食はやめる国王よりも幸福である。 ・人生の幸福にとって「自分は何者なのか」、すなわち、その人のみに自ずからそなわるものこそ、一貫して第一の、最も重要なものである。〜価値は絶対的なものであるといえる。 ・ ・「その人はなんであるか」ということ、すなわち、最も広義における人品、人柄、個性、人間性こそが鍵を握る。 ・「私が何者なのか」すなわち「本来我が身に具えているもの」の大切さ ・生まれながらの資質ばかりでなく、自分自身をよく知り、自分を磨き、自分を育てる能力が含まれる。 ・

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2018/11/13

ロシアの大文豪トルストイに、 多くの人間たちの中でももっとも天才的な人物だと確信すると言わせたドイツの哲学者ショウペンハウエル。 今から150年ほど前、当時の一般的な常識であった、人生とは幸せになるためのものという前提を根底から覆し、人生とは困苦であり退屈であるのだから、いか...

ロシアの大文豪トルストイに、 多くの人間たちの中でももっとも天才的な人物だと確信すると言わせたドイツの哲学者ショウペンハウエル。 今から150年ほど前、当時の一般的な常識であった、人生とは幸せになるためのものという前提を根底から覆し、人生とは困苦であり退屈であるのだから、いかにその災難から逃れられるかが、幸福を握ると喝破した。 アリストテレスの「賢者は快楽を求めず、苦痛なきを求める」という文言こそが生きる知恵の最高原則だと講ずる。 引用される人物 ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ホメロス、セネカ、キケロ、シェイクスピア、ゲーテ、スピノザ等 古代ギリシャ、古代ローマ、中世ヨーロッパの過去の賢者から多くを学んでいることがうかがえる。

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2018/06/26

ショーペンハウアーならではのシニカルな幸福論。だが芯を食っている感じもする。何より自分の価値観を後押ししてもらえるのが良い。

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2018/03/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 私たちが何を幸福とし、何を享受するのかということにとって、主観は、客観とは比べものにならないほど重要である。これは、空腹のときは何を食べても美味しいとか、若者が女神のごとく崇める美女が眼前にいても、老人は何とも思わないとかいうことから、天才や聖者の生き方にいたるまで、事々に確証される。(p.19)  才知あふれる人物はまったく独りぼっちでも、みずからの施策や想像ですばらしく楽しめるが、鈍物は車高や芝居、遠出やダンスパーティーと絶え間なく気分転換しても、地獄の責め苦のごとき退屈をはねのけることができない。(p.20)  幸福と享楽のあらゆる外的源泉は、その性質上、きわめて不確かであてにならず、はかなく、偶然に左右され、どんなに有利な状況にあっても、たちまち滞ることがある。それどころか、これらの外的資源が常に手元にあるのでないかぎり、こうした事態は避けがたい。(p.48)  そもそも人間が他者の思惑に価値を置くということ自体、実に不適切かつむ分別である。だから「どんな心の喜びも朗らかさも、自分自身を高く評価できるような比較の相手がいることを基盤にしている」(『市民論』1の5)というホッブズの言葉は、たしかに痛烈ではあるが、適切かもしれない。(p.176)  孤独は、知的水準の高い人にとって二重の利点がある。第一の利点は、自分自身の身を相手にしていること、第二の利点は、他人と一緒にいないことだ。およそ交際というものがどれほど多くの義務や苦労、危険までも伴うのかを考慮すれば、この第二の利点は高く評価されることだろう。(p.230)  文体や世帯における新手の愚行を非難するどころか称賛する者は、それを真似する。だからドイツではどんな愚行もたちまち広まる。ドイツ人はたいそう寛容で、これには定評がある。「これくらいの勝手は許してもらって、同じく他人にも許してあげよう」がドイツ人のモットーだ。(p.302)  知性の優越という特性は、その人物をたいそう孤立させる。知性の優越は嫌われ、憎まれる。その人物にさまざまな血tんをなすりつけ、その口実にする。女性の間では美貌がこれと同じ作用をもたらす。(p.311)  人生は青少年の立場からすると、果てしなく長い未来に思えるが、老人の立場からすると、たちまち過ぎ去ったように思える。そのため人生とは、最初のオペラグラスの対物レンズを目に当てたときの事物のように見えるが、最後には接眼レンズを目に当てたときのように見える。年をとり、長生きしてようやく、人生がいかに短いかを悟る。ー若いことは、時そのものがたいそうゆっくりと歩むので、人生のはじめの4分の1は、もっとも幸福であるばかりでなく、もっともゆったりと時間の流れる時期でもある。そのために、たくさんの思い出が残る。思い出話をするとなれば、だれもがこの時期について、次の第二・第三の時期を合わせた分よりも多くを語ることができるだろう。そのうえさらに、1年の春と同じように人生の春も、日が長く、ついには手持ち無沙汰となほどだ。1年の秋、人生の秋には、日が短くなるが、澄んだ穏やかな日になる。(pp.359-360)  年をとればとるほど、それだけ自覚なく生きる。物事は何の印象も残さず、足早に過ぎ去る。ちょうど千回も見た芸術作品が何の感銘も与えないように。しなければならないことはしても、それをしたかどうか、後になると覚えていない。こうして完全に自覚なき状態へと突き進むにつれて、生きるということは、ますます意識にのぼらなくなるため、時の歩みも速度を増す。幼年期にはどんな対象、どんな出来事も目新しくて、何もかも意識にのぼるため、1日がはてしなく長い。これと同じことは旅行中も生じる。だから旅行中の一ヶ月は自宅で過ごす四ヶ月よりも長く思われる。(p.367) 10歳:水星が支配。抜け目なく雄弁な髪の支配下で多くのことを楽々と学ぶ。 20歳:金星、すなわち恋の女神ヴィーナスが支配。恋と女性のとりこになる。 30歳:火星、すなわち軍神マルスが支配。人間は激しく強く大胆で戦闘的で反抗的。 40歳:4つの小惑星が支配。人間の生き方に幅が出る。 50歳:木製、すなわち主神ジュピターが支配。若い世代よりも自分の方が優れていると感じている。自分の能力を十分に享受でき、経験や知識も豊かだ。 60歳:土星が支配。鉛独特の重さ、遅さ、しぶとさが現れる。 最後:天皇制、すなわち天空の神ウラノスがくる。その名の通り、このとき人は天にいる。 (pp.384-386)

Posted byブクログ

2018/03/03

初めてのショーペンハウアー。思ったほど厭世的じゃないなと思っていたら、解説にも彼の「生の否定者」というような一般的なイメージは誤解の色が強いということが書かれていた。それどころか「生の哲学」の系譜の始祖であるらしい。驚いた。まあでも、あくまで思ったほど厭世的でないというだけで、か...

初めてのショーペンハウアー。思ったほど厭世的じゃないなと思っていたら、解説にも彼の「生の否定者」というような一般的なイメージは誤解の色が強いということが書かれていた。それどころか「生の哲学」の系譜の始祖であるらしい。驚いた。まあでも、あくまで思ったほど厭世的でないというだけで、かなりのひねくれ者という印象は免れ得なかったが。 中身は概ね同意したい内容であったけれど、無能な人に対する当たり方が天分は生まれで決まると言いながら異常にキツイのは気になった。もう少し詳しい論拠が知りたいと思う箇所も結構あった。「意志と表象としての世界」がさらに読みたくなったが、、読み切れる自信なし。

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