維新の肖像 の商品レビュー
戊辰戦争の認識が変わった。我々の歴史観は、薩長土肥出身者によりつくられたものであったということだ。第二次世界大戦後の正義が戦勝国によりつくられたのと同じように。 明治維新後の危うさが、そのままに近代日本の暴走の芽になっていたのか
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語り手の朝河貫一という人物は知らない。 歴史小説を読むたびに自分の不勉強を呪う。 戊辰戦争を生き延びた元二本松藩士の息子である貫一氏は、後にイェール大学の教授になる人物である。 戊辰戦争だけでなく明治維新を語るときに、薩長側からの視点なのか、旧幕府側からの視点で語られるのかで、全く逆の物語になる。 新政府軍の手段を選ばない姿勢が、満州事変や上海事変を起こし、そこには義がないと見る歴史学者の貫一。 手段を選ばず、勝てば何をしてもかまわない、と言う考え方は、現在における大国の覇権主義とかわらず、唾棄すべき思想であるが、その正義を声に出さない日本がある。 と、現状のわが国を憂うような内容である。 フィクションなので、史実の真偽を問う声はあるだろうが、戊辰戦争で会津鶴ヶ城の惨劇がなんのためだったのだろうか。 改めて色々と考えさせられる小説だった。
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朝河貫一の作中作。明治維新から繋がる第二次世界大戦の日本の暗部を炙り出す。伊藤博文亡き後の日露戦争以後の日本の迷走から日中戦争へと軍部の暴走と国民の無関心に対して切り込んでいる点が素晴らしい。現代まで生き残る長州閥の暴走を改めて思い起こさせた。
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誰もが無意識のうちに明治維新を近代化への第一歩と捉えてきた中、その意義を改めて問い直した作品。 主人公は、二本松出身の歴史学者にして実在の人物。父は戊辰戦争に参戦し、敗北した経験を持つ。 主人公は明治以降の教育を受けたため、戊辰戦争に敗北した父をはじめ故郷の人たちを見下し反発す...
誰もが無意識のうちに明治維新を近代化への第一歩と捉えてきた中、その意義を改めて問い直した作品。 主人公は、二本松出身の歴史学者にして実在の人物。父は戊辰戦争に参戦し、敗北した経験を持つ。 主人公は明治以降の教育を受けたため、戊辰戦争に敗北した父をはじめ故郷の人たちを見下し反発する。そして、アメリカに渡り大学教授となる。 しかし、時代は日露戦争後の混乱期。 日本は満州事変に上海事変、首相暗殺、と軍部の暴走がエスカレートする。 そんな時代にあって、主人公は父の書付をもとに明治維新を再検討する。 そして、軍部の暴走の根源は明治維新にあると発見する。 「勝てさえすればどんな不正を働いても構わない」という明治維新・薩長の価値観が今日の混乱をもたらした。 薩摩の御用盗に、明治天皇の暗殺、大義のない会津攻め。 薩長はやりたい放題をやって、政権を奪取した。 日本が太平洋戦争に至った原因も敗北した原因も、全て明治維新及び薩長にあると言っても過言ではない。 そして、その体制から未だ脱却できていない政権の時代を私達は生きている。
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幕末パートだけで良かったのではないか。S&Bのメンバーに歴代CIA長官が、という話が出てくるが、CIAないしその前身の設立は第二次大戦中ではないか。
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#読了 明治維新を否定的に描いた小説になるのかな。個人的に、明治維新は概ね成功だったのでは?と知識がないなりに思っていて、新鮮な視点だった。 昭和の第二次世界大戦前の貫一と、その貫一が執筆する小説の中の父正澄の二本柱の展開になっている。そのどちらもが苦境に立たされていてハラハラす...
#読了 明治維新を否定的に描いた小説になるのかな。個人的に、明治維新は概ね成功だったのでは?と知識がないなりに思っていて、新鮮な視点だった。 昭和の第二次世界大戦前の貫一と、その貫一が執筆する小説の中の父正澄の二本柱の展開になっている。そのどちらもが苦境に立たされていてハラハラするやら気の毒やらでどうにか希望のある終わりをと願わずにはいられなかった。
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一昨年の、明治維新から150年を記念したイベントが目白押しだったころから、「本当に江戸時代は暗黒時代だったのか。明治維新で世の中はよくなったのか」に疑問を呈するような本がずいぶんと出版されるようになったと思う。 この本も、その一冊。 第二次大戦直前の、反日感情渦巻くアメリカで、イェール大学の歴史学教授として勤める朝河貫一は、数々の嫌がらせを受けながらも、その地に踏みとどまるのだった。 日本が批判を受ける、手段を選ばない軍国主義、帝国主義については、かねてから論文を通して批判をしてきたところだが、学問の場である大学で、いわれのない差別や嫌がらせを受けるのは間違っていると、こちらについても断固として主張する。 しかし、彼を取り巻く環境は日に日に悪化し…。 朝河貫一ー日本人初のイェール大学教授だそうですが、寡聞にして知りませんでした。 父親が戊辰戦争を戦った二本松藩士であるということも含めて、ほぼ史実に則った小説というのに驚きました。 歴史学者として、軍国主義へと舵を切った転換点を明治維新と見るのは、ありだと思います。 勝てば官軍、力が正義。 勝つためには手段を選ばない。 薩長を筆頭とした明治政府軍は、そういう戦い方をした軍隊で、戊辰戦争に勝ってしまったことが、それを「正しいこと」に塗り替えてしまったのだと思います。 長州がなぜ、あれほどまでに会津を目の敵にしたのか。 それは京都で多くの長州藩士が、京都守護職である松平容保率いる会津藩士たちに誅殺されたから。 だけではない、というのも、この小説の一つの肝。 長州藩が官軍を名乗るためには、絶対に会津藩をつぶさねばならなかった。 なぜなら、朝敵であるはずの松平容保こそが孝明天皇に信頼されていたのだから。 その信頼の証と共に会津を倒さないことには、長州の立場こそが危うくなってしまう。 あり得ることだと思いました。 この辺のことについて書き始めると、読書感想を通り越してしまうのでやめますが、私にとっては非常に納得のいく理由でした。 ”「もともと武士は領民を守るために戦の矢面に立った。逃げる時にも常に殿(しんがり)をつとめた。それゆえ領民から信頼され尊敬され、殿(との)と称されるようになった」” 降伏した敵兵を人間の盾として使い、さっさと自分達だけ戦線離脱するような薩長とは違う、と死んでいく二本松藩士。 民間人を盾にしてさっさと日本に帰国した日本陸軍の姿が浮かんでしまう。
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明治維新により、失ったものも大きいという事が良く理解できた。いつの時代も勝った者の世の中。しかし、多くの人を犠牲にした戦争へと進んだ罪は重いと思う。
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小説に歴史観などと言うつもりはないけど、維新否定史観は読んでみたかったのでしっくり来るが、それだけにそういう観点に立つと物足りない感じはする。
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時代は昭和初期と明治維新の時を行き来する珍しいタイプの歴史小説。 アメリカのイエール大学で日本史を教える60歳の准教授が戦争に突き進む日本に警鐘を鳴らしていたが、効はならず歯がゆい想いをしていた。 そんなときになぜ、日本はこのように心なく無茶を押し付けるような国になったのだろうと...
時代は昭和初期と明治維新の時を行き来する珍しいタイプの歴史小説。 アメリカのイエール大学で日本史を教える60歳の准教授が戦争に突き進む日本に警鐘を鳴らしていたが、効はならず歯がゆい想いをしていた。 そんなときになぜ、日本はこのように心なく無茶を押し付けるような国になったのだろうと思案した時に明治維新そのものに原型があったのではないかと思うようになる。 それをテーマにした書籍を書こうとするが、内容は学術書でなくて、小説とした。そしてテーマは青年期に対立した父の若き日々について。 彼の父は二本松藩の若き侍であり、江戸幕府側として戊辰戦争に参加していた。 その若き父が見たのは、薩長が旗を振る新政府軍の横暴で、勝てば官軍を地でいくような人道を無視したやり方であった。 絶望的な戦いに身を置くことになったが、最後、人としての義を貫かんとした藩の侍達の最後と、昭和初期の政治的暴走を相互に描いている。 今まで、勝った側の視点しかしらなかったが、世の中には勝った側がひた隠したい、不都合な事柄というのはあるのかもしれないと思った。 更にもしかすると、それが現在の問題の原型になっているかも。。 なにかを考えるときに、片方だけの視点に終始する危険性を感じた。
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