マノン・レスコー の商品レビュー
G・プッチーニのオペラの原作。絶世の美女に一目惚れし、純愛を捧げた青年が人生を踏み外して転落していく物語。とても面白かったです。 時は18世紀前半のフランス。17歳のデ・グリューは、成績優秀で将来を有望視されていました。ある時、街で出会った修道院送りになったマノン・レスコーに一...
G・プッチーニのオペラの原作。絶世の美女に一目惚れし、純愛を捧げた青年が人生を踏み外して転落していく物語。とても面白かったです。 時は18世紀前半のフランス。17歳のデ・グリューは、成績優秀で将来を有望視されていました。ある時、街で出会った修道院送りになったマノン・レスコーに一目惚れ。二人でパリに駆け落ちをします。愛に満ちた二人と思われましたが、マノンは貧乏暮らしを良しとせず、他の金持ちの男と通じていたことが発覚。一度は、父と兄によって引き離されて恋心は下火になりますが、運命のイタズラは放っておいてくれませんでした。デ・グリューが神学部の公開審査を受けるにあたり、彼の名前を見つけたマノンが神学校に訪れて、またしても学業を投げ出して二人で田舎町のシャイヨに逃亡。しかし、自由奔放で享楽的な生き方のマノンには、田舎暮らしは退屈過ぎました……。 と、ここから先は、純愛を求めるが故にデ・グリューが転落の一途を辿っていくのですが、ことごとくマノンの裏切りにあっても一途なデ・グリューに、呆れるのを通り越して感心してしまった。独りよがりと言いますか、ここまで相手を好きになれるというのも、ある意味羨ましいですね。 それにしても、マノンの悪気の無い天然さは何なんでしょうね。お陰で次々と破滅的な事件が起きて飽きさせず、側から見ている一読者としては、共感できなくても大変おもしろかったです。二人とも幸せになれるタイミングはいくつかあったのですが、そうはならずに悲劇に向かって突き進むこのような展開だからこそ、読み継がれてきた古典ともいえるのかな(シェイクスピアも悲劇が人気ですからね)。 追記: デュマ・フィス『椿姫』(1848年刊)を読み始めたら、この『マノン・レスコー』(1731年刊)のネタバレが序盤から書かれていてビックリ。それだけ19世紀の中頃には、『マノン・レスコー』の内容が、一般的に知れ渡るほど読まれていたということでしょうね。 『マノン・レスコー』の巻末にある解説も、ネタバレが書かれているので、未読の人は注意してください。
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悪女の話だというくらいの知識しかない状態で読み始めました。 もっと高尚な感じなのかなと思いきや、語り手のデ・グリュが正しく恋に狂っていてまったく落ち着いていないので(笑)そりゃ恋に堕ちたら冷静ではいられないよね……と勝手に納得。 マノンはもっと計算高い感じなのかと思っていましたが奔放で天真爛漫で自由でなんだか憎めない魅力があります。 弄んでやろうと思ってやっているのではなくてその時の自分の気持ちに正直なだけというか。 若さもあるんでしょうね。 計算高いという点ではデ・グリュの方が悪に染まっているような…… あなたが悪いんですよとか言いながら門番を撃ち殺したり。それに良心の呵責を感じるどころかさっさと次の計画を練っていたり、人心掌握に長けていたり。全部マノンのためなんですけどね。 流刑先で平和な生活が手に入ったかと思いきや、マノンの美貌のせいでまたいざこざが起こり最終的にマノンは衰弱死。 デ・グリュは嘆き悲しみ熱も出しますがラストでは特にマノンの話も出ず、兄のところに戻ってなんだかんだ元々描いていた人生に戻るんだろうな、と思わせるどこか虚しい終わり方でした。
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女に溺れて身を滅ぼすのが夢だ。が、一度きりの人生をそうそう頻繁に棒に振るわけにもいかないので、ファム・ファタール文学で憂さを晴らすのが関の山。『マノン・レスコー』と言えば、ファム・ファタールの嚆矢にして最高峰と言われる作品だが、18世紀前半という時代制約は如何ともしがたく、まあこ...
女に溺れて身を滅ぼすのが夢だ。が、一度きりの人生をそうそう頻繁に棒に振るわけにもいかないので、ファム・ファタール文学で憂さを晴らすのが関の山。『マノン・レスコー』と言えば、ファム・ファタールの嚆矢にして最高峰と言われる作品だが、18世紀前半という時代制約は如何ともしがたく、まあこんなものか。野崎歓の解説も良い。
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読んでいて、これがフランス革命より前の時代の小説かと疑いたくなるほど臨場感があった。 スタンダールの恋愛論といい、デュマフィスの椿姫といい、フランス文学は恋の情熱がいかに幻想的で破滅的かを克明に表現している。 主人公のシュバリエがいかにマノンを愛しているかが、主人公の視点で終始...
読んでいて、これがフランス革命より前の時代の小説かと疑いたくなるほど臨場感があった。 スタンダールの恋愛論といい、デュマフィスの椿姫といい、フランス文学は恋の情熱がいかに幻想的で破滅的かを克明に表現している。 主人公のシュバリエがいかにマノンを愛しているかが、主人公の視点で終始書かれているので、いかにそれが狂気と隣り合わせかということが客観的にわかるようになっている。 世界を支配できるとしても彼女の愛さえあれば他に何もいないという境地には、恋は盲目という言葉があるとおり、多くの人が共感できるように思う。 作者は、浮気をされようともここまで友人や家族を翻弄し苦しめ、詐欺を働き、人を殺しかける主人公の愚かさを描く。挙げ句にその情熱の元となった恋人を失う顛末から、恋愛感情が麻薬的な作用をもたらすこともあるということを教訓として伝えたかったのだろうか。
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マノンレスコーは主人公の男性の名が 題名だと思っていたが、主人公が出会う 宿命なのか悪名なのか一目惚れをする 美女の名であった。 マノンとグリュの逃避行は直ぐに始まり グリュはマノンの散財や浮気を思い悩み 苦しみながらも、マノンを何とか引き留める 為に無二の親友や身分さへも捨てて...
マノンレスコーは主人公の男性の名が 題名だと思っていたが、主人公が出会う 宿命なのか悪名なのか一目惚れをする 美女の名であった。 マノンとグリュの逃避行は直ぐに始まり グリュはマノンの散財や浮気を思い悩み 苦しみながらも、マノンを何とか引き留める 為に無二の親友や身分さへも捨てて 悪徳の道へと突き進み、挙句に殺人も辞さない 暴挙に至ってしまう。 マノンはグリュにとっては神以上の存在 なのだ。 マノンの心情はグリュが語る以外には 表面的にしか分からないがマノンの様な 女性にはグリュは忠犬のさながらの存在 でしか無かっただろう。
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「1731年の小説なんて絶対面白くないだろうけど、まあここらで古典でも一冊読んどかんとなあ」程度で手に取ったのだが……衝撃をうけるほど面白い。それも圧倒的に。いやいやまんまとこのハチャメチャな物語に魅了されてしまった。訳者あとがきで「従来の常識では考えられないようなパッションのあ...
「1731年の小説なんて絶対面白くないだろうけど、まあここらで古典でも一冊読んどかんとなあ」程度で手に取ったのだが……衝撃をうけるほど面白い。それも圧倒的に。いやいやまんまとこのハチャメチャな物語に魅了されてしまった。訳者あとがきで「従来の常識では考えられないようなパッションのありさまは、読者をいまだに驚かせ、魅了し、あるいは呆れさせるだろう」とあるが、まさにこの通り。シュバリエ・デ・グリュとマノン・レスコーという300年前を生きた2人の若い愚か者のまあ魅力的なことといったらない。 ヤッバイ恋愛楽しすぎる‼これ運命だわ。でも金に困ったので友達とか親戚にたかりまーす。それでも足りないので詐欺しまーす。あ、捕まっちゃったけど脱獄しまーす。ついでに殺人もしまーす。あ、普通に浮気もしちゃうぞ。 いくらなんでも無茶苦茶すぎる。クズ過ぎる。 にもかかわらずどこまでも情熱的で、刹那的で、自分に正直で、気持ちを真っ向から他者にぶつけ、したたかさも持ち合わせて、不必要な謙遜も自虐もなく、人間味にあふれ……。 つまりとても真面目に真摯に誇り高く、自分たちの人生をとことん生きている。それって最高じゃん。一番大事なことじゃん。もう堪らないくらい2人が愛おしい。憧れる。 まああまりに男性中心主義的な展開には不満も当然あるのだけれど、そういった短所すら「では現代的にこの物語を解釈した時にどういった結末がありえたのだろうか」と考える端緒になり、いやあこの本と出会えてよかった。
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亀山先生が“モーツァルトの手法で書かれた言葉のオペラ”と帯に書いてらっしゃった。 たしかに亀山先生は、ドストエフスキー作品を訳をされてらっしゃるし、オペラ的な作品がお好きなのかな。 自分は、フランス人がずっと感情的に叫んでるのに、驚いた。 マノンちゃんが、この後の時代のファムファ...
亀山先生が“モーツァルトの手法で書かれた言葉のオペラ”と帯に書いてらっしゃった。 たしかに亀山先生は、ドストエフスキー作品を訳をされてらっしゃるし、オペラ的な作品がお好きなのかな。 自分は、フランス人がずっと感情的に叫んでるのに、驚いた。 マノンちゃんが、この後の時代のファムファタルのモデルになってるらしいので、世の中にあふれてるいろいろな女性キャラのボスの物語を読めてよかった。
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1731年刊。ファム・ファタール像を示したフランス文学の古典。駆け落ちから破滅に至る悲劇的恋愛を描く。 もともとは真面目っぽい性格で、才能もあり将来に期待のもてる貴族の青少年だったのに、ひとたび恋の力に囚われると、駆け落ちから無心、犯罪、逃亡、と無茶をやらかしまくるデ・グリュ。...
1731年刊。ファム・ファタール像を示したフランス文学の古典。駆け落ちから破滅に至る悲劇的恋愛を描く。 もともとは真面目っぽい性格で、才能もあり将来に期待のもてる貴族の青少年だったのに、ひとたび恋の力に囚われると、駆け落ちから無心、犯罪、逃亡、と無茶をやらかしまくるデ・グリュ。どうしようもないなこの主人公……と呆れながらも、二転三転する展開の面白さと、恋のためにすべてを投げ出す情熱に引き込まれていく。終盤に至るころにはその純粋で激烈な愛情に感動すら覚えていた。しかし主人公の言動がわかりやすいのに対して、マノンの魅力には妖しさがつきまとう。彼女の本心に謎を感じさせるあたりも多くの読者を惹きつけ続ける要因なのだろう。そしていつも変わらぬ友情を示すティベルジュの存在も地味に大きい。感情を揺さぶる名作。
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ただの愛の空回りと馬鹿騒ぎ、と捉える人間は浅はかだと感じる。フランスの恋愛文学の古典。名著。 結局2人は望みあって、最後を迎える。 デグリュよりもマノンの方が彼を愛していただけ、
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ひで~~笑 バカダナーー でもこの小説が世界を変えたから、このような感想を平民で女の私も抱けるようになったのでしょう。解説がフラットでよかった
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