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地下鉄道 の商品レビュー

4.3

35件のお客様レビュー

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2024/10/11

アメリカ合衆国建国期から南北戦争前までの奴隷制に焦点をあて、過去の記録や証言をもとに書き上げられたフィクション。三角貿易と綿花のプランテーションが最盛期を迎えた時代。アフリカ奥地から無理やり連れてこられ、奴隷船にぎゅうぎゅう詰めにされてる図は教科書でも習うが、南部のプランテーショ...

アメリカ合衆国建国期から南北戦争前までの奴隷制に焦点をあて、過去の記録や証言をもとに書き上げられたフィクション。三角貿易と綿花のプランテーションが最盛期を迎えた時代。アフリカ奥地から無理やり連れてこられ、奴隷船にぎゅうぎゅう詰めにされてる図は教科書でも習うが、南部のプランテーションでは後期ローマ時代よりも残酷な私刑や処刑が横行していたとは、その野蛮さに驚かされる。アメリカの黒歴史、恐ろしい物語だった。

Posted byブクログ

2021/12/13

久々に胸の奥にずしんと来る本を読んだ。 アメリカの奴隷貿易は 人類史上最悪の罪悪だと私は考えているが その思いが一層確かになった。 自由を求めて逃げ続け 自由を保障されてもなお いつか必ず鎖につながれて引き戻される恐怖を 当事者以外の誰が理解できるだろうか。 アメリカの黒人差...

久々に胸の奥にずしんと来る本を読んだ。 アメリカの奴隷貿易は 人類史上最悪の罪悪だと私は考えているが その思いが一層確かになった。 自由を求めて逃げ続け 自由を保障されてもなお いつか必ず鎖につながれて引き戻される恐怖を 当事者以外の誰が理解できるだろうか。 アメリカの黒人差別問題は 私たちには想像できないぐらい根深い。 そんな社会に生きる彼らの力強さに胸が震える。 「アメリカこそがもっともおおきな幻想である。  ~この国は存在するべきではなかった。~  なぜならこの国の土台は殺人、強奪、残虐さで  できているから。  それでもなお、われらはここにいる」 終盤の章「インディアナ」で 自由黒人のランダーが語る言葉には実に説得力がある。 アメリカという「実験国家」はこれから どこに向かっていくのだろうか。 リアリティに満ちた上質のフィクション。 すべての人が読むべき本だと思う。

Posted byブクログ

2020/12/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

19世紀前半、ジョージアのプランテーションに住む15歳の少女コーラは奴隷だ。 同じく奴隷の青年下に、ある時=持ち掛けられる。当時のアメリカは、古くからの大農園が多い南部は奴隷を使役する州で、北部はそれに反対する自由州だった。 この奴隷をめぐる対立が大きな原因の1つとなり、1860年に南北戦争が勃発、北軍が勝利を収め、65年には奴隷制が廃止されることになるのだが、物語の舞台とされている時代からはまだ30年ほど先のことである。 **** 蔦屋書店店員がお勧めする一札に本書があり、興味を持ったため図書館にて借りて読了。 最初は登場人物の多さなどから全くページが進まず、読破断念するかと思いきやどんどん物語に吸い込まれていくようだった。 今年大きく話題となったblack lives matterによっても人種差別に対し世界中が注目をしたが、そもそもいけないこととされる人種差別がなぜ今なお行われているのか、その歴史的背景を垣間見る非常に良い一冊であったように思う。 主人公のコーラは何度絶望したことだろう。 同一民族で国家が成り立つ日本の中でのほほんと暮らしている私にも、直視すべき歴史があると言う事、アメリカの起源やホワイトプライドについての問題をもう少し考えていきたいと言うきっかけになった。

Posted byブクログ

2020/12/18

南部からの黒人解放の話、と読んでいくといつの間にか架空の世界の話になっている。のだけど、なにか現実的な感じが残るのが不思議。

Posted byブクログ

2020/12/06

 最終章を読みながら流れてくる涙は、何に感じ入ったからだろう。  冒頭に書かれている、奴隷としての苛烈な運命から逃げ続ける少女の物語を読んできた僕の脳裏には、何が残っていたのだろう。  史実としての地下鉄道は、比喩としての“地下”だけど、小説では実在として機関車を走らせている。...

 最終章を読みながら流れてくる涙は、何に感じ入ったからだろう。  冒頭に書かれている、奴隷としての苛烈な運命から逃げ続ける少女の物語を読んできた僕の脳裏には、何が残っていたのだろう。  史実としての地下鉄道は、比喩としての“地下”だけど、小説では実在として機関車を走らせている。機関車に乗るたびに場面が転換し、地域(各州)による奴隷に対する温度差が露に書かれている。これが百数十年前のアメリカの事実だとすれば、現在のアメリカの現実もかぶって見えてくる。思ったことが発言でき、思ったように人生が送れるなんて、人間が作った社会の歴史から見れば、ほんのわずかな瞬間なんだなということが、ひしと感じられる。

Posted byブクログ

2020/11/18

今、どうしても読んでおかなければならない物語。こういうテーマの小説を解説するのはものすごく難しい。こんなにつまらない円城塔の文章を読んだのは久しぶり 笑 でも、ありがたいことに読者は無責任だ。400年の重さを抱えたテーマを片手に抱えながらも、簡潔ながらパワフルな文体と力強い物語が...

今、どうしても読んでおかなければならない物語。こういうテーマの小説を解説するのはものすごく難しい。こんなにつまらない円城塔の文章を読んだのは久しぶり 笑 でも、ありがたいことに読者は無責任だ。400年の重さを抱えたテーマを片手に抱えながらも、簡潔ながらパワフルな文体と力強い物語がぐいぐい読ませる。めちゃくちゃ面白かった!

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2020/11/15

一気読みしてしまったけど、フィクションだからなぁ…という感は否めない。 ただ、そうは言っても、引き込まれるものはあった。

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2020/04/06

アメリカ南部の綿花農場で奴隷として働くコーラ。彼女の母親は幼いコーラを置いて、農場からの脱走に成功する。コーラも少し大きくなってから脱走する。地下鉄道は奴隷を救うネットワークで、本書では本物の鉄道として描かれる。逃亡した奴隷を捕まえる輩がしつこくコーラを追いかけ、苦しい逃亡生活を...

アメリカ南部の綿花農場で奴隷として働くコーラ。彼女の母親は幼いコーラを置いて、農場からの脱走に成功する。コーラも少し大きくなってから脱走する。地下鉄道は奴隷を救うネットワークで、本書では本物の鉄道として描かれる。逃亡した奴隷を捕まえる輩がしつこくコーラを追いかけ、苦しい逃亡生活を過ごす。人種差別の恐ろしさを描く一方で、地下鉄道を運営する人々の暖かさや覚悟に、胸を打たれた。奴隷制度が廃止されたのって、歴史上の出来事かもしれないけど、写真が残るほど最近の出来事なんだよなと、時間軸を考えると、本作品のようにきっちりと奴隷制度について伝えていくことは意義がある。日本人は奴隷になったことはないし、奴隷を所有したこともない。ただし、アジア人(黄色人種)差別をされることは、海外にいくと大小あれど経験することだ。差別からの脱出を力強く描く本作品は、白人に是非読んでほしいし、我々アジア人も読んでおくべきだ。

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2019/12/17

コーラはランドル農園の奴隷だ。 身よりはなく、仲間たちからは孤立し、主人は残虐きわまりない。 ある日、新入りの奴隷に誘われ、彼女は逃亡しようと決意する。 農園を抜け出し、暗い沼地を渡り、地下を疾走する列車に乗って、自由な北部へ…。しかし、そのあとを悪名高い奴隷狩り人リッジウェイが...

コーラはランドル農園の奴隷だ。 身よりはなく、仲間たちからは孤立し、主人は残虐きわまりない。 ある日、新入りの奴隷に誘われ、彼女は逃亡しようと決意する。 農園を抜け出し、暗い沼地を渡り、地下を疾走する列車に乗って、自由な北部へ…。しかし、そのあとを悪名高い奴隷狩り人リッジウェイが追っていた! 歴史的事実を類まれな想像力で再構成し織り上げられた長篇小説。 世界を圧倒した奴隷少女の逃亡譚。 ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞、カーネギー・メダル・フォー・フィクション、シカゴ・トリビューン・ハートランド賞、レガシー・フィクション賞、インディーズ・チョイス・ブック・アワード受賞!ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーAmazon.comが選ぶ2016年のNo.1。

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2019/11/05

これもまた奴隷制度をテーマにした小説。逃亡奴隷の少女とそれを追いかける奴隷狩り。実在はしない地下鉄道という逃亡のための鉄道を舞台にした物語。SF仕立ての本作は店舗もよく読みやすいが、ずっしり度は5にも引けを取らない。社会に対する批判を取り入れてくるあたりはこれぞアメリカという小説...

これもまた奴隷制度をテーマにした小説。逃亡奴隷の少女とそれを追いかける奴隷狩り。実在はしない地下鉄道という逃亡のための鉄道を舞台にした物語。SF仕立ての本作は店舗もよく読みやすいが、ずっしり度は5にも引けを取らない。社会に対する批判を取り入れてくるあたりはこれぞアメリカという小説でもある。 “『そしてアメリカも。アメリカこそが、もっともおおきな幻想である。白人種の者たちは信じている ― この土地を手に入れることが彼らの権利だと、心の底から信じているのだ。”に始まる演説がとても印象的でした。

Posted byブクログ