息子が人を殺しました の商品レビュー
最近高齢者の交通加害事故の報道がある度に、『家族も出てきて謝れ』とか心ない反応を目にすることが多く、違和感を感じていた。家族は関係ないだろう、と。この本を手に取ったのもそんな違和感がベースにある。 予想通り加害者家族の壮絶な体験が綴られていて、日本社会の未熟さに改めて絶望的になっ...
最近高齢者の交通加害事故の報道がある度に、『家族も出てきて謝れ』とか心ない反応を目にすることが多く、違和感を感じていた。家族は関係ないだろう、と。この本を手に取ったのもそんな違和感がベースにある。 予想通り加害者家族の壮絶な体験が綴られていて、日本社会の未熟さに改めて絶望的になった。唯一の救いは、こうした正義感の強い人が支援の手を差しのべてくれていることだ。特に交通加害については全く他人事ではないから、頭が下がる。 前半は脈絡もオチもない話が淡々と語られ、それが逆に妙なリアリズムを感じさせる。後半は加害者家族支援の背景とビジョンについて著者の迷いや決意がよく伝わってきた。
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何ともショッキングなタイトルだが、書かれているのは加害者家族の実態と、なぜ彼らと向き合うのか、向き合う必要があるのか、といったこと。 家族の中から犯罪者が出るとその一家は悲惨な道を辿ることになる。 新書版なのでページ的に難しいのかも知れないが、被害者家族に対する言及がもっとあって...
何ともショッキングなタイトルだが、書かれているのは加害者家族の実態と、なぜ彼らと向き合うのか、向き合う必要があるのか、といったこと。 家族の中から犯罪者が出るとその一家は悲惨な道を辿ることになる。 新書版なのでページ的に難しいのかも知れないが、被害者家族に対する言及がもっとあっても良さそうな気もする。
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書名にギョッとされた向きもあるかもしれません。 息子さんがいる親御さんなら、「何を縁起でもない」と眉を顰められた方もいるでしょう。 ただ、犯罪者は、一般に想像されるように崩壊した家庭からのみ生まれるのではありません。 むしろ、どこにでもあるような平凡な家庭から生まれるようです。 ...
書名にギョッとされた向きもあるかもしれません。 息子さんがいる親御さんなら、「何を縁起でもない」と眉を顰められた方もいるでしょう。 ただ、犯罪者は、一般に想像されるように崩壊した家庭からのみ生まれるのではありません。 むしろ、どこにでもあるような平凡な家庭から生まれるようです。 本書は、加害者家族支援に長年携わってきた著者による問題提起の書。 書店で何の気なく手に取って読み始めたところ、知らないことばかりで読み耽りました。 本書には、加害者家族の実例がいくつも載っています。 ある日突然、警察が自宅にやって来ます。 「息子さんのことで話があります」 親はそこで初めて、息子が殺人事件の犯人であることを知らされます。 自宅を報道陣が取り囲み、それまでの平穏な生活が根こそぎ奪われます。 ようやくマスコミが退散したと思ったら、今度は近所からいわれのない誹謗中傷に晒されます。 息子にきょうだいがいれば、学校でいじめに遭う可能性が大きいです。 それどころか、校長や教頭から暗に転校するよう勧められます。 「育て方が悪い」 「もっと厳しく躾すべき」 そんな声が聞こえて来そうです。 しかし、本書によると、実は犯罪者には、厳しく躾けられた人が少なくないとのこと。 特に、「人に迷惑をかけるな」と厳しく教わり、迷惑をかけまいと自分を抑圧し、親や他人にも相談せずに生活を送った果てに、何らかの引き金を引いて犯行に及んでしまう。 そんな犯罪者が実に多いのだとか。 本書には、息子だけでなく、妻や夫、あるいは母親など、身近な家族が加害者となってしまった家族の実例が、これでもかというくらい出てきます。 そして、その多くが、加害者の家族だという理由で、社会から厳しい制裁を受けます。 特に、日本は伝統的に地縁、血縁的要素が強く、さらに治安が良いため、加害者家族にも厳しい目が向けられがちです。 では、加害者家族を追い詰めることが、果たして犯罪の抑止につながるのでしょうか。 もしつながるのなら、加害者家族に対する制裁にも意味はあるでしょう。 しかし、現実にはむしろ逆で、結果として再犯を後押しすることだってあり得るのです。 「加害者家族を追いつめ、罪を犯した人が更生するための重要な機会や更生の支え手を奪う結果となりかねない」 という本書の指摘は重要です。 より安全な社会をつくるために、広く読まれるべき本ではないでしょうか。
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わが子を殺人犯を育てようと思う親はいないはずです。 愛した配偶者や、血縁、知人を、わざわざ犯罪者にするために縁を結ぶひとも、おそらくいません。 なのに、凶悪犯の家族は、いつも、糾弾され、責められ、追いかけ回された挙げ句、忘れ去られていきます。 秋葉原事件の犯人の弟が自殺している...
わが子を殺人犯を育てようと思う親はいないはずです。 愛した配偶者や、血縁、知人を、わざわざ犯罪者にするために縁を結ぶひとも、おそらくいません。 なのに、凶悪犯の家族は、いつも、糾弾され、責められ、追いかけ回された挙げ句、忘れ去られていきます。 秋葉原事件の犯人の弟が自殺していること、それは、贖罪になるわけではない事実です。ある幸せな未来があったかもしれない若者を、死に追いやったことを、兄を持った責任というのは酷すぎると思います。 殺された人は被害者です。 身内が殺されて、怒りをぶつけるならどこかにぶつけなければ生きていけない苦しさも、想像に難くありません。 殺人事件の背景を分析ごっこしながら消費する瞬間に立ち会わないこと。 そんな映像が流れてきたらすぐテレビを消すこと。 見出しに出ていたらその新聞は買わないこと。 背を向け、糾弾の輪から距離をおくことでしかできずにいました。 支援と簡単には言えませんが、一人の人とその人の人生を気軽に壊す権利は、だれにもないことを教えてくれる一冊です。
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■加害者支援とは何か ・加害者支援を提唱するにあたって,「支援」を「応援」や「保護」と区別して,「加害者家族が抱える問題に介入すること」と定義している。
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なかなか読んだことがない。認識したことがあまりない 視点でした。 きれいごとと思われる部分はあるかと 思いますが、逆にきれいごとで何が問題なのか? 加害者の子供が夜中の誰もいない小学校で 走ってお別れを言うっていうところは単に感傷的になる だけではなく、心が痛む話でした。 自分の...
なかなか読んだことがない。認識したことがあまりない 視点でした。 きれいごとと思われる部分はあるかと 思いますが、逆にきれいごとで何が問題なのか? 加害者の子供が夜中の誰もいない小学校で 走ってお別れを言うっていうところは単に感傷的になる だけではなく、心が痛む話でした。 自分の息子が犯罪者になる。自分が犯罪者になる。 となった場合に自分がどうなるのか? 自分は大丈夫なのか?自分の家族は大丈夫なのか? ということに完全に自信を持てないところがあるのは しょうがないかもしれませんが、そういうところから 考えることが意味があるのだと思いました。
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とても考えさせられる本である。加害者が非難されるのは、当然であるが、本来、その家族は関係ないが、この本を読むと残された家族の過酷さがわかる。欧米諸国の例も取り上げてあるが、いかに日本が加害者家族に対する対応が遅れていることがわかる。社会的なレベルの低さが、現れている。
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家族が犯罪の加害者になった際に受ける差別や社会的制裁などの事例を通じて、新たな被害者となっていくことを止めていこうとする支援を行っている筆者からのメッセージ。 一方、私は被害者支援の活動を学んでいますが、この活動が身近にあったらと思うだけに、加害/被害にとらわれない支援が必要だと...
家族が犯罪の加害者になった際に受ける差別や社会的制裁などの事例を通じて、新たな被害者となっていくことを止めていこうとする支援を行っている筆者からのメッセージ。 一方、私は被害者支援の活動を学んでいますが、この活動が身近にあったらと思うだけに、加害/被害にとらわれない支援が必要だと思います。
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