息子が人を殺しました の商品レビュー
加害者家族が犯罪に責任を背負わされるのは辛い。 しかし、「『あなたのため』という名の虐待」など、犯罪の背景に家族の病理がある例があるのも確かだろう。 探偵を雇って息子を監視していた母親の話は、ゾッとした。 第8・9章からは、加害者家族を支援する側の葛藤がうかがい知れた。
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想像してみてください。あなたの家族がある日、事件・事故に巻き込まれてしまったら?そして、それが加害者側だったとしたら? この本は加害者家族について、まとめられたものです。 2008年から凶悪犯罪、性犯罪、交通事故、いじめ事件など1000組以上の加害者家族を支援してきた著者が、今...
想像してみてください。あなたの家族がある日、事件・事故に巻き込まれてしまったら?そして、それが加害者側だったとしたら? この本は加害者家族について、まとめられたものです。 2008年から凶悪犯罪、性犯罪、交通事故、いじめ事件など1000組以上の加害者家族を支援してきた著者が、今までの体験をもとに、あまり取り上げられてこなかった加害者家族の実態について赤裸々に語っています。 家族の誰かが加害者になる、その日から家族の生活は一変します。 警察からの嫌疑・取り調べ、報道地獄、多額の損害賠償金、親族から離縁、立ち退き要求、解雇・倒産、差別・いじめ・暴力、転校・進学の断念、SNSによる個人情報の拡散、中絶、自殺。 自身は何も悪いことをしていないにも関わらず、肉体的・精神的に追い詰められていくのです。 収監され、世間や情報から隔離される加害者に対し、その家族はずっと被害者や報道関係者、世間の憎悪・関心の矛先として、さらされ続けます。しかし、周囲の人は離れていき、後ろ指をさされ、誰も助けてくれず、誰に頼ることもできない…そんな日々を送る加害者家族の苦しい現実はあまり知られていません。 無責任な非難や批判は誰も幸せにしないばかりか、負の連鎖を引き起こします。まずは一読、現状を知ることから始めてみませんか? 徳島大学附属図書館にあります。 本館2階学習室(新書) 080||Ge||472 kame
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
小説かもおもってたら、まさかのノンフィクション。 前半8割の実録集を通して、加害者家族の苦悩に触れる。後半2割が重要で、著者の生い立ち経歴が語られる。書評するのも憚られる。 読んでおいて損はないです。
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家族が突然犯人として連行され、共犯を疑われ、報道陣やネットに追い回され、記録に残る。家族病理もあるが、社会的制裁による被害甚大。家族を追いつめることは犯罪抑止どころか、連鎖にもつながる。犯罪が少ない国でこの傾向が高い。 個人ではなく、家族は一体・任として見る。家族に責任負わせす...
家族が突然犯人として連行され、共犯を疑われ、報道陣やネットに追い回され、記録に残る。家族病理もあるが、社会的制裁による被害甚大。家族を追いつめることは犯罪抑止どころか、連鎖にもつながる。犯罪が少ない国でこの傾向が高い。 個人ではなく、家族は一体・任として見る。家族に責任負わせすぎの一端ではあるのだろうけれど、それが家族離れ・少子化に至るわけで。でもそれだから犯罪率が低いと指摘されると…その組み合わせしかないのだろうか。
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本というより記録集といったイメージ。 これまた知らない世界だった。被害者家族に注目することはよくあるが、加害者家族というのは新しい見解だった。確かに自分の子どもや配偶者が罪を犯してしまうとその家族に全責任があるように考えてしまうが、実際はそう一筋縄にはいかないようである。あとから...
本というより記録集といったイメージ。 これまた知らない世界だった。被害者家族に注目することはよくあるが、加害者家族というのは新しい見解だった。確かに自分の子どもや配偶者が罪を犯してしまうとその家族に全責任があるように考えてしまうが、実際はそう一筋縄にはいかないようである。あとから見れば犯罪を予防できたかもしれないように見えるが、それが自分だったらと考えれば全ての原因追求を家族にするのは違うのではないかと思う。特に加害者の子どもについては作中にもあったが、この子が親のようになるとは限らないわけで、親が罪を犯したからといってその子どもの可能性まで潰してしまうのは一番あってはならないことだと思った。
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加害者家族を支援するための組織を主宰する著者が、その実態を紹介した本。 加害者自身に比べて、その家族は何か守られるものはない。特に大きな事件になると報道やネットによってさらされることになり、通常の生活が営めなくなり、引っ越しや転職を余儀なくされることもあるという。何かの事件が起...
加害者家族を支援するための組織を主宰する著者が、その実態を紹介した本。 加害者自身に比べて、その家族は何か守られるものはない。特に大きな事件になると報道やネットによってさらされることになり、通常の生活が営めなくなり、引っ越しや転職を余儀なくされることもあるという。何かの事件が起きたときに、同じような事件で自分が加害者家族の立場に立たされる可能性を考えたことはあるだろうか。被害者家族の方であれば心情的にも寄り添えるのかもしれないが。 著者は、日本でも例のない加害者家族に対する支援というものにとまどい、ときに焦りを感じ、悩んでいることを隠さない。そして、支援を支援してくれる人への感謝を忘れない。 そういえば、どうしてこの本を手に取ったのだろう。
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連日のように耳にする殺人事件。当然ながら犯人には家族がいる。突然地獄に突き落とされた加害者家族は、その後どのような人生を送るのか? 日本で初めて加害者家族支援のNPOを立ち上げた著者が、その実態を赤裸々に語る。 本のタイトルは煽情的だけど中身はいたって真面目。ただ語られている加...
連日のように耳にする殺人事件。当然ながら犯人には家族がいる。突然地獄に突き落とされた加害者家族は、その後どのような人生を送るのか? 日本で初めて加害者家族支援のNPOを立ち上げた著者が、その実態を赤裸々に語る。 本のタイトルは煽情的だけど中身はいたって真面目。ただ語られている加害者家族の数多のエピソードが薄味に感じるのは、やはり制約が多いためか。「愛を感じたことがない人が、大切な人を失った人間の痛みや悲しみを理解することはできない」というが、それは確かに加害者の一面かもしれない。 (Ⅽ)
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ブクログさんでちらりと見かけて興味をもち図書館より拝借。映画や小説等ではたとえ「事実に基づいた」話だったとしてもやはりそれは作品である限り事実ではないわけで、本作を読んで、実際の事件の裏側には様々な家族の真実、ケースがあるのだなと、本当にわずか一部ではあるが知ることができた。
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加害者家族の受けている苦しみと支援を知ることができました。 今のメディアは被害者や被害者家族はもちろん加害者と家族に対してもこれでもかというほど追いかけまわします。 世間は被害者とその家族には同情するのに被害者家族にはむしろ背中を押す傾向にあります。 私もそうでした。 この本...
加害者家族の受けている苦しみと支援を知ることができました。 今のメディアは被害者や被害者家族はもちろん加害者と家族に対してもこれでもかというほど追いかけまわします。 世間は被害者とその家族には同情するのに被害者家族にはむしろ背中を押す傾向にあります。 私もそうでした。 この本を読んで加害者も苦しんでいるんだということがわかりました。 確かに家族を加害者にしたかったわけでもなりたかったわけでもないんですよね・・・。 それでも私はもやもやしたものを抱えてしまいます。 犯罪者の中には親のしつけが行き過ぎていたりして家族との関係がよくない場合があります。 同情するわけではありませんがその批判を受けないでいたりすることには葛藤が生まれます。 だから被害者支援ほど素直に応援できないのかもしれません。
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加害者に人権などない。 罪を犯したものは、その罪を一生償え、死を持って償え、同じ苦しみを味わえ! 家族だって同罪だ、だってそんな奴を作り出したのだから。 そう思う人も一定数はいる。 凄惨な事件であれば、幼子が死ねば、その怒りの炎は鎮まらない。 しかし、だ。 家族、親族が同罪だ...
加害者に人権などない。 罪を犯したものは、その罪を一生償え、死を持って償え、同じ苦しみを味わえ! 家族だって同罪だ、だってそんな奴を作り出したのだから。 そう思う人も一定数はいる。 凄惨な事件であれば、幼子が死ねば、その怒りの炎は鎮まらない。 しかし、だ。 家族、親族が同罪だ、というのはあまりに行き過ぎではないか。 それらは短絡的思考に他ならない。 自分だって、いつ、その立場になるか。 そもそも連座制を持ち出すなんて現在の法体系を否定するものだ。 村八分、非国民、そうやって私たちは誤った考えで大きな過ちを犯してきたではないか。 もちろん、中には家族そのもののあり方に大きな問題があることもある。 だが、「加害者家族は一様に責められ、形式的な謝罪会見が絶えないが、全く無意味と言わざるを得ない」(60頁)のだ。 私が気になるのはとりわけ「犯罪者の子供」の立場の人々だ。 社会学のラベリング理論に当てはまる、負の再生産が行われてしまうことを私は恐れている。 ずっと疎外され、差別される立場であれば、子供に歪んだ認知を抱かせてしまうことは容易に想像がつく。 そして、社会に対し憎しみを抱き......犯罪を生み出すのは、社会、いや、私たちではないか。 その意味で、被害者家族への救済や支援は必要なものだ。 加害者家族しかできない事件への向き合い方、これができれば、今も家庭の中にある「芽」を摘めるのではないか。 そこからが犯罪を減らし、償う事の始まりであり、つまはじきにすることは結局私たちが犯罪を容認することにつながるのだ。
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