ヤモリ、カエル、シジミチョウ の商品レビュー
真面目で物静かな奈緒、その夫の耕作はテレビ局社員で浮気性、幼稚園児の息子拓人はいきものと心を通じ合わせることができるが外の世界の音は集中しないと理解に時間がかかるため言葉の発達が遅れていると思われている。弟の拓人を溺愛する育実は小学生にしては礼儀正しくしっかりし(すぎ)ている。 ...
真面目で物静かな奈緒、その夫の耕作はテレビ局社員で浮気性、幼稚園児の息子拓人はいきものと心を通じ合わせることができるが外の世界の音は集中しないと理解に時間がかかるため言葉の発達が遅れていると思われている。弟の拓人を溺愛する育実は小学生にしては礼儀正しくしっかりし(すぎ)ている。 この4人家族の他、テレビを大音量でつけ寂しさを紛らわす隣家の老女倫子、耕作の現在の浮気相手の真雪、姉弟が通うピアノ教室の先生で婚約中の千波、その母でかつて庭師と本気の不倫をしていた志乃、姉弟が気に入っている霊園の墓守児島(かつては大企業で働き妻子があったが離婚して退職)の9人の視点で書かれたパートから成る小説。 拓人パートはひらがななので若干の読みにくさがあったけれど、世界観が好きすぎて2日で読み終わってしまった。。 色々な種類の愛、人がそれぞれ持っている世界が描かれていてとっっってもおもしろかった。 これは買い直して手元に置いておきたい1冊。
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小さな生き物と会話ができる幼稚園児の拓人。 不思議な力を持った男の子の話かと思いきや、幸せそうに見えて不穏な家族の描写がやけに生々しい。 ラストの一言が衝撃でした…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ラスト、育美が食べた……ビックリしたぁ……そして笑けてきた。 奈緒には夫と別れて欲しかったけど、絶対に別れないんだね。きっと耕作も奈緒と別れないんだね。 奈緒にとって浮気は浮気で、恋愛の一種、終わりが来ると思ってるから、長期間家を空けることがあっても、結局家に帰ってきてくれる夫と離婚することは選択肢にないんだね。苦しいのに、そこに「いる」「帰ってくる」ことが大切なのかな。 拓ちゃんの描写が一番好きだった。いろんないくみがいるけど、ぜんぶいくみなんだって思ってるとことか、雨宿りしてる時のここもあめだよ、ってセリフとか。 総じてとても面白かった。拓ちゃんのおかげでこの小説はより刺激的だった。
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小学生の姉と幼稚園の弟の優しいやりとり 弟の目線で語られるところは私にもその目線で世界が見えてくるよう 姉妹で育った私には男の子の考えや興味なんて全然理解できなくて、息子2人育てるのにわかってあげられないことばかりだったな ああ、息子たちもこんなふうに世界が見えていたのかなと思...
小学生の姉と幼稚園の弟の優しいやりとり 弟の目線で語られるところは私にもその目線で世界が見えてくるよう 姉妹で育った私には男の子の考えや興味なんて全然理解できなくて、息子2人育てるのにわかってあげられないことばかりだったな ああ、息子たちもこんなふうに世界が見えていたのかなと思いました。 大人の世界と子供の世界が同時に存在すること。 子供には子供の世界があることを思い出し、理解してあげられる大人でありたいな
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読み終わったで登録されているが実際は読書放棄 仮名だけの文にリズムが掴めずに放棄。読もうが読むまいが読者の勝手でしょと開き直りです。
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作品を購入したのは単行本として出版された年。 その時は数ページ巡っただけで、本を閉じてしまいました。 あれから何年も積読していましたが 意を決して読み始め、読み終えるのに数ヶ月を要した作品です。 まず、長編である事と 主人公の拓人の話しになると 全てひらがな表記になり、読むの...
作品を購入したのは単行本として出版された年。 その時は数ページ巡っただけで、本を閉じてしまいました。 あれから何年も積読していましたが 意を決して読み始め、読み終えるのに数ヶ月を要した作品です。 まず、長編である事と 主人公の拓人の話しになると 全てひらがな表記になり、読むのに一苦労します。 文章を区切る箇所を間違うと 全く意味が通じないからです。 これは江國さんの策略なのか?わかりませんが、その点が多くの読者にとっては ハードル高く感じてしまうかもしれません。 ただ、その点を 詩人の谷川俊太郎作品を読むような感覚で 又は幼少期にデタラメな言葉で 鼻歌を歌っていた事を思い出して 拓人の世界に没入することで 私は克服しつつ、読み進めました。 そう、この作品は読む力を養える作品かも しれません。 内容は登場人物の日常を切り取り 一見平凡だけれどもそれぞれに細やかなドラマがあるといった内容です。 登場人物が多く、それぞれが主人公として 話しを掘り下げ、広げていけるような プロローグ的だとも感じ、いつかこの作品の 登場人物を主人公とした物語が発表される事を 期待したいです。
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いい音だ、と真雪は思う。 もうじきこの人は帰ってしまうわけだけれど、 この音だけは私にくれればいいのに、と思う。 せめて音くらい、ここに残して行ってくれればいいのに、と。 そうすれば、真雪は一晩中この音を聴きながら眠ることができる。 朝、目が覚めて最初に耳に飛び込んでくるのもこの...
いい音だ、と真雪は思う。 もうじきこの人は帰ってしまうわけだけれど、 この音だけは私にくれればいいのに、と思う。 せめて音くらい、ここに残して行ってくれればいいのに、と。 そうすれば、真雪は一晩中この音を聴きながら眠ることができる。 朝、目が覚めて最初に耳に飛び込んでくるのもこの音だ。 会社から帰って、ドアを開けた真雪を迎えてくれるのも。
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初めての江國香織さんの作品 登場人物それぞれの心理描写がわかりやすく描かれている中で5才の拓人の不思議な世界観に引き込まれた。 だれの中にも幼い頃には独自の世界があり、人と関わり大人になっていくうちに忘れてしまうのか… そんな心を持ち続けて行きにくさを感じているのが児島なのかな。
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江國香織の本は、昔 「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」を読んでいて、なかなか面白い作家さんだなという記憶があったので本屋で平積みになってるのを見つけて読んでみた。 登場人物がそれぞれの目線で感じることを書かれているので共感するところもあり、へぇ~と思う所もあり。 特に、ほ...
江國香織の本は、昔 「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」を読んでいて、なかなか面白い作家さんだなという記憶があったので本屋で平積みになってるのを見つけて読んでみた。 登場人物がそれぞれの目線で感じることを書かれているので共感するところもあり、へぇ~と思う所もあり。 特に、ほぼ主人公の幼稚園児が感じる世界は人間の言葉はほぼ音としか捉えられず、ヤモリ等の生き物と会話ができる。 ほんとに会話できてるのかは怪しいものだが、小さい頃は感受性が強くて、そんな感覚に捕らわれる人も多いのではないだろうか。 ストーリーとしては、そんなに面白い内容ではないが、個人的には好きな作家さんです。 本好きでないと人には薦められないですけどね。
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めちゃくちゃ良かった。読み始めると全部ひらがなの文面に虚を突かれるが、読み進めるとそれが、それを発する拓人が愛しくてたまらない。日常の景色や植物や生き物の色鮮やかさが目の前に広がるように描かれている。しかし江國香織ワールドに必ずある、胸の苦しくなる恋愛も他方で描かれている。妻がい...
めちゃくちゃ良かった。読み始めると全部ひらがなの文面に虚を突かれるが、読み進めるとそれが、それを発する拓人が愛しくてたまらない。日常の景色や植物や生き物の色鮮やかさが目の前に広がるように描かれている。しかし江國香織ワールドに必ずある、胸の苦しくなる恋愛も他方で描かれている。妻がいるが、恋愛が好きな夫。子供がいても、罪悪感もなく自分の思うままに行動する。あまりにもリアルで、読んでいてしんどくなる。(江國さんはどんな人生を経験してきたんやろう。。ほんまにリアル。) 全体的にとっても苦しく愛しい作品です。
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