みちづれはいても、ひとり の商品レビュー
主人公の弓子と楓はタイプはちがうものの、隣の部屋に住んでいるという事だけではない心やすさを感じています。 夫が失踪したがそこまで執着がない弓子。周りから見ると男女関係が派手にしか見えない楓。40歳前後の彼女たちは、周囲からの干渉に疲れています。 遠く離れてまでずっと付き合っている...
主人公の弓子と楓はタイプはちがうものの、隣の部屋に住んでいるという事だけではない心やすさを感じています。 夫が失踪したがそこまで執着がない弓子。周りから見ると男女関係が派手にしか見えない楓。40歳前後の彼女たちは、周囲からの干渉に疲れています。 遠く離れてまでずっと付き合っている関係ではないけれど、妙に気が合うし一生会わない事になったとしてもなんとなく心に残る関係ってありますよね。まさにそういう感じです。 夫に逃げられたと思われる事も、男出入りが激しいと思われる事もイメージだけで、その人の本質とは違います。シチュエーションだけで人を判断する事ってあるし、自分でも勝手なイメージで人を仕分けしてしまう事沢山あります。特に女性は「こうあるべき」」論にさらされる事がいつまで経っても根強いです。 題名はネガティブな内容なのかなと思いましたが、一緒に移動して支えあう瞬間があっても、一人一人各々の考えで生きて行動していくべきという意味なんですね。いつでも本当にそうありたいと思います。 寺地さんの本を何冊か読んで感じたのはどれも構成が似ている気がします。全然嫌ではないのだけれど新鮮味はちょっと薄れて来たかなあ。
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幸せではなかった子供時代を経て、弓子はお料理をしたり、刺繍教室に通ったり、でも、時に衝動的に歩くことで、自分の中の孤独や不安を押し込んでいるのかも。 元妻と娘に振り回される夫が嫌になり、別居し、引っ越した安アパートで知り合った奔放な楓。弓子と楓の場面がランダムに物語は進む。 刺繍...
幸せではなかった子供時代を経て、弓子はお料理をしたり、刺繍教室に通ったり、でも、時に衝動的に歩くことで、自分の中の孤独や不安を押し込んでいるのかも。 元妻と娘に振り回される夫が嫌になり、別居し、引っ越した安アパートで知り合った奔放な楓。弓子と楓の場面がランダムに物語は進む。 刺繍教室の先生で夫の母である光恵さんとの不思議な関係。 旅の道連れ、人生の道連れ、ひとりじゃないけど、ひとり。 弓子が歩き続けることに強さを感じた。
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「みちづれはいても、ひとり」、どことなく演歌の世界を感じさせるような、それでいて一見では意味を読み取れない、座りの悪い不思議な書名です。 母親からの虐待、母親の自殺、失業、結婚と流産、そして別居、失業、極貧の生活を送る弓子、自堕落という言葉を象徴するかのような存在の楓。考えられ...
「みちづれはいても、ひとり」、どことなく演歌の世界を感じさせるような、それでいて一見では意味を読み取れない、座りの悪い不思議な書名です。 母親からの虐待、母親の自殺、失業、結婚と流産、そして別居、失業、極貧の生活を送る弓子、自堕落という言葉を象徴するかのような存在の楓。考えられる限りの負の設定を前提に物語は始まります。2名の主人公による23編に渡っての第一人称入れ替えで展開するストーリー。順番ではなくリズムを刻むようにタンタン トン タンタンタンという感じで変化をつけて第一人称が入れ替わっていくところが面白いです。そんなリズム感がゆっくりと物語を進めていきますが、こんな暗い設定なのに頭に浮かぶ世界は何だかほんわかしていてパッと見には闇を感じさせないのがとても不思議です。でもその裏側に流れるものは…。 辞書によると『みちづれ』という言葉には『二人で同じ道を歩む』という意味と『相手との関係が深く、死ぬ時は一緒という状況にある』という意味があるようですが、この作品での意味合いは前者だと思います。なのに前者から受ける前向きな力強さ、楽しさ、愛おしさといったものは全く感じられません。この言葉を覆い隠してしまう『ひとり』という言葉の影、ここに引っ張られるのだと思いました。人は結局はひとり、最後はひとり寂しく死んでいくしかない生き物。 登場人物があまりに心荒んだ、救いようのない人々ばかりだったということもあって、読後感も暗さが付き纏います。『もう負の感情のゴミ箱になるのは嫌だ』と叫ぶ弓子。 『歩け、という声がする。頭の中で。』 この世に生を受けた以上は、それでも前を向いて歩いていくしかありません。思った以上に深いところを突く作品でした。
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アラフォーの弓子と楓。 弓子のいなくなった夫を探しに 夫の育った島へ2人で旅をする。 誰だって色々あるさ、 昨日今日大人になったわけでなし・・・ どんな時もどんな立場でもどこにいても 夫でも妻でも女でも男でも 自分は自分。 自分は一人。 その時、傍にいる人がいると嬉しい。 寄りかからないし、支えることなんてできないけれど 「いる」というこ気配は大事。 しんどい時に存在を感じれる場所にいてくれた友に感謝。
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みちづれはいても、ひとり タイトルの意味はどういう意味なんだろう…とずっと気になっていた。 友人、隣人、恋人、夫婦、家族…様々な共同体?があると思う。 私は弓子の性格、好きだなと思った。 マイペースにひたすら歩いていく。その姿は凛々しくて好き。
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二人の年齢が自分に近いからかすごく面白い小説。若い子はちょっとピンとこないかもしれない。 清濁飲み込んでって自分で納得しててもなかなか全部は難しい。それをちゃんとそういうもんだと理解して歩いていく。そう思うと二人はよい旅をしたのだなと。 あと弓子と楓は真逆なようで似てる。 自分の生き方や考え方が全部正解だと思う人はどれくらいいるんだろう。ということを考えた。 タイトルがとても良い。
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深い。タイトルの意味が、読み終わった頃にはすっと胸に落ちてきた。 これは、きっと私が20代の頃に読んでもわからなかっただろうなー。 結婚してても、独身でも、子供がいてもいなくても、親友がいても、家族がいても… 結局のところ、人はひとりなのだ。 こういう風に描いてしまうと、少...
深い。タイトルの意味が、読み終わった頃にはすっと胸に落ちてきた。 これは、きっと私が20代の頃に読んでもわからなかっただろうなー。 結婚してても、独身でも、子供がいてもいなくても、親友がいても、家族がいても… 結局のところ、人はひとりなのだ。 こういう風に描いてしまうと、少し寂しすぎる気はするけれど。 周りにはどうしようもなくイヤな人もいるのが現実だけれど、年齢や境遇がたとえちがっても、繋がり合える人もいる。 みちづれになってくれる人が、きっといる。 人はひとり、だからこそ、そういう人たちの存在に気付けるのかなーと思ったりもした。
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途中飛ばした。何か、夫が失踪した女と、その隣人の女目線の話。 結局夫はシズという別の女の所にいって、そこからも逃げようとしてたっぽい。あんまり好きじゃないな。
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やっぱり好きだなぁ。 今回もすごく「気持ち悪い人」が出てくるのですが(わたしにとってはそれはシズさんと横地)、これがもうほんとうにリアルな気持ち悪さで最高なんですよ。 こういう捻じ曲がった気持ち悪い考え方の気持ち悪い人間いるよなぁと、読めば読むほどほんとにこの二人が不快で(笑)...
やっぱり好きだなぁ。 今回もすごく「気持ち悪い人」が出てくるのですが(わたしにとってはそれはシズさんと横地)、これがもうほんとうにリアルな気持ち悪さで最高なんですよ。 こういう捻じ曲がった気持ち悪い考え方の気持ち悪い人間いるよなぁと、読めば読むほどほんとにこの二人が不快で(笑)ここまでこういう気持ち悪い人を気持ち悪く書くのってすごいなーと。 それから、弓が「女は、じゃない。私は、なの」と主張したところで個人的にいったん本を置いて拍手喝采しました。そうなんだよ。勝手に一括りにするなバーカ!と言ってやりたいもの。 弓にも楓にも共感できるところとそうじゃないところがあって、気持ち悪い人間に振り回されて傷つけられて、助けて助けられて。 でも、そう、結局のところは、 みちづれはいても、ひとり なんだよね。
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アラフォーの女性2人のお話。 2人のどこに居ても孤独を感じてる辛い思い。 それが犇々と感じられた。 気分が落ち込んでる時に読むとより、感情移入して読めると思います。
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