忘れられた巨人 の商品レビュー
人を形作る「記憶」に対して、より深く考えさせられた。 このファンタジーな世界も本当にあったんじゃないかと思うほど人間がそこに生きている。
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20190224 カズオイシグロの『忘れられた巨人』読了。前半で挫折し、1年ぶり位で再開。今回はスイスイ読み進んだ。奥が深すぎて、少年、山査子、ベアトリスが船に先に乗った意味をまだ考えてる。寝た子を起こすな?最後のアクセルの言葉に感動。でもラストはっきりさせてよ〜
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ノーベル文学賞 イギリス文学の カズオ・イシグロさんの作品 文章としては読みやすいけど やはりおもい 時々、行間をあけずに 時間軸を戻ったりすることがあるのが困った たまにはいいけど毎回これは大変
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アーサー王の足跡がまだ人々の意識に残る中世イギリス社会。 人々は未だ鬼や怪物や竜の存在に怯えながらも慎ましく自給自足の生計を立てていた。 サクソン人とブリトン人は互いの交流は少ないものの、互いを侵すことなく平和な時代が過ぎていた。 だが、そんな社会に漂う不可思議な不安。人々は記憶...
アーサー王の足跡がまだ人々の意識に残る中世イギリス社会。 人々は未だ鬼や怪物や竜の存在に怯えながらも慎ましく自給自足の生計を立てていた。 サクソン人とブリトン人は互いの交流は少ないものの、互いを侵すことなく平和な時代が過ぎていた。 だが、そんな社会に漂う不可思議な不安。人々は記憶を留めることができないのだ。 そのような不可思議な現象に不安を抱きながら、とあるブリトン人の老夫婦が息子の村を訪ねるべくいま旅に出た。果たして二人の旅にはどのような未来があるのか・・・。 ロード・オブ・ザ何とかとか、ロールプレイングゲームのようなファンタジー溢れる作品です。 主人公が老夫婦なのでファンタジーといってもひと捻りありますが(笑)、旅に出て、仲間が集い、スリリングな展開があり、怪物と対峙し、剣士と戦いがあるとなればこれは本当に視覚的に夢のような世界であったと思います。 修道院からの脱出のシーンなどは本当にハラハラドキドキものでした! ただ、ラストを考えると凄くシニカルな作品であったと言えますね。あの老夫婦は最後どうなったのか? これは意見の分かれるところがもしれませんが、やはり記憶が二人の妨げになったのでしょうか? 今回のカズオ・イシグロの作品は一段と明瞭に「記憶」にこだわった作品となっていました。 人々の社会を成り立たせるものは「記憶」が根本であり、「愛」も「憎しみ」も「記憶」を通して継続するものでありますが、その「記憶」が失われてしまったら人々の繋がりは一体どうなるのか?「記憶」はそんなに重要なものなのか?やはり人々は「記憶」を欲するのか?「記憶」からの呪縛から逃れることはできないのか? 明瞭に「記憶」にこだわるからこそ、カズオ・イシグロにはこうしたファンタジーな世界が必要だったのかもしれません。 ファンタジーな世界を見事な筆致で読者をぐいぐい引き込んでおいて、最後にみせるシニカルなラストは、拍子抜けする部分がある一方で、余韻の大きさゆえにわれわれの心に深く食い込んでくる何かがある気がします。 私の「記憶」と上手く付き合う方法は、適度に忘れることですが・・・。(笑)
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そうだよね、忘却で憎しみの連鎖をなくそうとするのは正しい解決法ではないのだろう。記憶すること、記憶しようと努力することが大事。真に平和を求めるならば。そして愛もまた…。 国家において、個人において、記憶するとは、忘れる(記憶を消す)とはどういうことなのか…考えさせられる。
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ノーベル賞作家カズオ・イシグロ作品。 伝説の英雄アーサー王に始まる古代イングランドを舞台としたファンタジー・アドベンチャー。主人公の老夫婦がことごとく記憶を失くすがそこには意外な理由があった。 思わず引き込まれる傑作です。
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ひとびとの最も大事な記憶さえも知らず知らずのうちに奪っていく霧がすっぽりと大地を覆う、アーサー王なき古代イングランド。息子の記憶を取り戻して一緒に暮らそうと旅に出た老夫婦は、途中で出会ったサクソン人の少年と騎士とともに、霧を吐き出す雌竜を退治するために山へと向かう。 無邪気なファ...
ひとびとの最も大事な記憶さえも知らず知らずのうちに奪っていく霧がすっぽりと大地を覆う、アーサー王なき古代イングランド。息子の記憶を取り戻して一緒に暮らそうと旅に出た老夫婦は、途中で出会ったサクソン人の少年と騎士とともに、霧を吐き出す雌竜を退治するために山へと向かう。 無邪気なファンタジーの形式をとりながら、この小説が私たちに投げかける問いはあまりにも身近で、苦しいほどに重たい。古い憎しみをよみがえらせるくらいなら、すべてを忘却の淵に沈めた方がよいのか、それにともなう個人の苦しみや悲しみとともに……? 恐るべき未来の到来を予告する結末は、作者がこの問いに肯定的であるかのような印象をあたえるが、しかし答えを出すのは誰にとってもそれほど簡単なことではない。なぜなら、平和という名の強いられた忘却は、陰湿な暴力によって維持されているものだからだ。 過去の暴力を忘れることは、そのための新たな暴力を必要とし、不安を生み出し続ける。ひとはそれほどに弱い存在でしかないのだろうか。記憶を抱えて苦しむくらいなら、忘却の中に、偽りの自己像の中に浸っている方がいいのだろうか。そして記憶が呼び戻す葛藤や苦しみは、また新たな暴力にしかつながらないのだろうか。 答えが出せないまま、愛すべき老夫婦の別離の予感に胸をえぐられつつ、予言が成就されない結末を想像してみる。少年が、騎士にかけられた呪いから、しなやかに逃れる未来を。記憶を取り戻すことが、強くなるということが、憎しみや暴力を意味しないという可能性はあるのではないだろうか。だって未来は非決定であり、そして少年はまだ「騎士」ではないのだから。 そう思わなければ、このラストシーンはあまりにも悲しすぎるのだ。
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息子に会うために旅に出た老夫婦。 途中、戦士と少年と一緒になる。 アーサー王亡き後のブリテンが舞台ってことで、ファンタジーっぽいです。 が、ひょいと現代視線がはいるので、なんかネットで動画見てて、たまに言葉ぐぐってみたりしてる感じになる。 ファンタジー要素は、老夫婦の...
息子に会うために旅に出た老夫婦。 途中、戦士と少年と一緒になる。 アーサー王亡き後のブリテンが舞台ってことで、ファンタジーっぽいです。 が、ひょいと現代視線がはいるので、なんかネットで動画見てて、たまに言葉ぐぐってみたりしてる感じになる。 ファンタジー要素は、老夫婦の在り方が大きいのだろう。 とにかく仲睦まじい。夫は妻のことを「お姫様」って呼ぶんだよ。お互いをいたわって、気遣ってっていうのがすごい。 もっとも、タイトルの意味がはっきりしたところで、ガクゼンとするのだけど。 で、何かよくわからないけど、色々なことをどんどん忘れていっている気がする、っていうのが全体にあって、それゆえにすべてが曖昧模糊なのだ。 旅は、戦士と少年に出会ったことで、大きく動き始める。 そして、国の歴史というか、今まで何があったかをそれぞれの立場で語る人がいて…。 色々な意味でふり幅が広い作品だと思った。 一貫して、人物たちを冷静に見ている作者が感じられるので、軸はぶれなかったけどね。 でも、相当な勢いで振り回している。 旅の終わりに…。 正義も悪も、幸せも不幸せも、表裏一体であり、個々の価値観とか思想とかで変わる。 確実なものは何もない。 そのことをどう捕らえるのか、ということを問い続けている作品だと思った。 うーーん。 切ない。
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人間のアイデンティティを形成する上で欠かせない「記憶」に焦点を当てた作品。 近代のイギリスを舞台とした恋愛小説や、近未来のSF小説など様々なジャンルを手がけてきたカズオ・イシグロが今作で描いたのは、アーサー王伝説が生まれたばかりのブリテン島。アーサー王伝説に関する知識が希薄だっ...
人間のアイデンティティを形成する上で欠かせない「記憶」に焦点を当てた作品。 近代のイギリスを舞台とした恋愛小説や、近未来のSF小説など様々なジャンルを手がけてきたカズオ・イシグロが今作で描いたのは、アーサー王伝説が生まれたばかりのブリテン島。アーサー王伝説に関する知識が希薄だったこともあり当初はハードルが高いと感じていたが、知識が無くともスラスラ読める。 島に蔓延する記憶亡失症の原因は一匹の竜が吐く息にある、とファンタジー要素が強い内容だが「記憶する」「忘れられる」という事情が歴史にどのような影響を与えるのかという観点で読むと非常に考えさせられる。
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今更ながらカズオ・イシグロ作品を初めて読みました! ファンタジーな世界観が意外でしたが、先が気になってぐんぐん読めました。登場人物などが昔ながらのイギリスファンタジー!という感じで、普段日本の小説しかほとんど読まないので新鮮でした。 最後まで読み終えて、「記憶」について考えさせら...
今更ながらカズオ・イシグロ作品を初めて読みました! ファンタジーな世界観が意外でしたが、先が気になってぐんぐん読めました。登場人物などが昔ながらのイギリスファンタジー!という感じで、普段日本の小説しかほとんど読まないので新鮮でした。 最後まで読み終えて、「記憶」について考えさせられます。日々生きていて忘れることや捻じ曲げることで救われている部分は大いにあり、すべてを明確に記憶できてしまったら生きていけないでしょう。また大人になればなるほど記憶の弊害を感じることも増えました。怒りや憎しみの感情はなかなか昇華しないのだなぁと感じます。小説内でも、そのネガティヴな感情・記憶が一個人にとどまらず、引き継がれようとする様子が描かれていました。 しかしだからといって すべてが薄れ忘れられていくことが必ずしも幸せではなく、二度と繰り返したくない歴史、記憶を伝承し繋いでいくことの必要性も感じます。(もちろん素晴らしい幸福な記憶も。)
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