忘れられた巨人 の商品レビュー
船頭の質問。 一番大切な記憶は何か。 事前の復讐。救出には遅すぎたとしても、復讐には十分に間に合う。 この言葉に行き着く思考過程。
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記憶が、過去が、誰しもの頭の中から消えてゆく。 当たり前のように。もやもやしながらも。 霧という言葉がたくさん出てくるけれど、まさにこの物語全体のトーンを言い表してるよう。 話は個人や過去に収まらない。けれどその両方をとても大切に描かれてると思った。 記憶をなくすというのは、こ...
記憶が、過去が、誰しもの頭の中から消えてゆく。 当たり前のように。もやもやしながらも。 霧という言葉がたくさん出てくるけれど、まさにこの物語全体のトーンを言い表してるよう。 話は個人や過去に収まらない。けれどその両方をとても大切に描かれてると思った。 記憶をなくすというのは、こういう感じなのかもしれないなあ。 老騎士がどこか滑稽でだけどシビアで。噛めば噛むほど…といわれるスルメのようで味わい深かった。
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序盤すごい勢いでのめり込んだが、村についてファンタジー感が出てきたあたりでなんか違うとなってしまった、そもそもイギリスの歴史を全然知らなくてブリトン人とサクソン人の違いも分からないまま混乱して読み進めていたので…ラストは良し◎
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夫婦・親子・民族・・・どんなレベルでも人と人の間には諍いがあり、不実がある。 それでも、忘却という霧が諍いを緩和したり、ごまかしを生んだりしている。忘却もまた方便なのだ。 しかし忘却の霧が晴れたとき、「忘れられた巨人」が起き出し、ふたたび諍いと憎悪の世界へ。 日本とアジアの国々...
夫婦・親子・民族・・・どんなレベルでも人と人の間には諍いがあり、不実がある。 それでも、忘却という霧が諍いを緩和したり、ごまかしを生んだりしている。忘却もまた方便なのだ。 しかし忘却の霧が晴れたとき、「忘れられた巨人」が起き出し、ふたたび諍いと憎悪の世界へ。 日本とアジアの国々との間、ルワンダ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ。 一時は現在生活を確立するための方便に忘却のポーズをとっていても、 いつか必ず、忘却の霧が晴れて憎悪が広がるときがくるのか・・・。 愛にあふれているように見えた老夫婦も最後に記憶がよみがえり・・・と余韻をもたせて小説は終わる。
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アーサー王が亡くなった後のブリテン島に住む老夫婦。アクセルとベアトリスはブリトン人である。丘に横穴を掘った自宅で長年暮らしていたが、思い切って息子の住む村まで旅をしようと決心した。このころは霧が出てきてから昔の記憶を忘れてしまうことが多い。ほんの数日前の出来事でも村人は忘れている...
アーサー王が亡くなった後のブリテン島に住む老夫婦。アクセルとベアトリスはブリトン人である。丘に横穴を掘った自宅で長年暮らしていたが、思い切って息子の住む村まで旅をしようと決心した。このころは霧が出てきてから昔の記憶を忘れてしまうことが多い。ほんの数日前の出来事でも村人は忘れていることを目にする。旅に出れば息子の村への道も思い出すだろうと夫婦は話をした。そしてベアトリスが覚えている道をゆっくりと二人は進んでいく。行く手にどのような出来事が待っているのか。
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覚えてた方がいいのか、忘れていた方がいいのか? この作品もまた現在の幸せと記憶との関係を問うている。今回は何かの原因で記憶がすぐ無くなってしまうアーサー王亡き後すぐのイギリスの村々が舞台で、鬼や龍や霧というファンタジーの要素をからませた。 昔の記憶を思い出せない老夫婦や、戦...
覚えてた方がいいのか、忘れていた方がいいのか? この作品もまた現在の幸せと記憶との関係を問うている。今回は何かの原因で記憶がすぐ無くなってしまうアーサー王亡き後すぐのイギリスの村々が舞台で、鬼や龍や霧というファンタジーの要素をからませた。 昔の記憶を思い出せない老夫婦や、戦士、少年などの今の心の持ちように、いい思い出、悪い思い出、都合の悪い思い出、その記憶があった方がいいのか、忘れたままの方がいいのか、そのための舞台設定だ。それぞれの独白は哲学的だ。 主人公は老夫婦で、遠くの村に住む息子に会いに行く所から始まる。なにしろ記憶をすぐ忘れてしまう村なので、なぜ息子が離れているのかよく分からない。が、旅を続けるうちに、原因の龍が退治され最後は記憶が戻ってくる。するととても仲の良い老夫婦に見えた二人が実は過去にはそうでなかった時期もあり、息子の失踪の原因も明かされる。夫は「二人で分かち合ってきた年月の積み重ね」で自分の頑なな心が変化したと言う。途中と最後に出てくる、船頭によって渡る、心の通じ合った夫婦が渡れる島が出てくるが、なにか三途の川みたいだった。 途中に出会う若い戦士、少年、アーサー王の甥だという老兵士は、元からいたブリトン人、やってきたサクソン人だが、サクソン人の戦士は永久にブリトン人への憎悪を忘れないと言う。 老夫婦、兵士、夫婦の問題、民族の問題と舞台設定はイギリス古代ながら、現代にも通じる舞台劇のようだった。
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GG recommended; British novelist Kazuo Ishiguro won the Nobel Prize for literature in 2015, the same year he published The Buried Giant. Ac...
GG recommended; British novelist Kazuo Ishiguro won the Nobel Prize for literature in 2015, the same year he published The Buried Giant. According to Kazuo, his wife Lorna MacDougal read the first draft of the novel in 2005 and told him, “This will not do.” He put it away, and then, years later, he started over. That’s fitting, because his book is very much a story about marriage—and also of memory. An elderly couple, Axl and Beatrice, journey to find their son in a Medieval Britain beset by a magical, memory-destroying mist. Along the way, they help each other to remember their life together—a sometimes fearsome process. Like all couples who have been together for a long time, they have wronged each other, and their challenge is to remember the bad with the good. The ending manages to be simultaneously melancholy and uplifting, as Axl and Beatrice are finally whole again. “God will know the slow tread of an old couple’s love for each other,” says Axl, “and understand how black shadows make part of its whole.”
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舞台は5~6世紀、場所はブリテン島、主人公は老夫婦、遠く離れた息子に会いに長い旅に出る、道中は道、草原、街、沼、修道院、山に川、、、険しく長い。そして人間にも出会う。そのなかで互い互いのかき消されていた「記憶」がほんのすこしずつよみがえり、つながる。。。 描写1つ1つを読者個人...
舞台は5~6世紀、場所はブリテン島、主人公は老夫婦、遠く離れた息子に会いに長い旅に出る、道中は道、草原、街、沼、修道院、山に川、、、険しく長い。そして人間にも出会う。そのなかで互い互いのかき消されていた「記憶」がほんのすこしずつよみがえり、つながる。。。 描写1つ1つを読者個人(自身)の想像で頭の中にいろいろ描いて読み進めていけるよう絶妙に表現されていて、毎々自身の想像を重ねながら最後まで読んでいきました。こういった小説を読むのは本当に久しぶりで、読んでよかったなと思える一冊でした。また主人公の老夫婦が最後まで本当に温かく、とても素敵でした。
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イシグロさんの小説は、そのジャンルが様々なのですが、この小説はファンタジーです。日本の昔話の語りで言えば、あるところに仲の良いおじいさんとおばあさんが住んでいたのですが、ふとしたことから、旅に出るのでした…という出だしでしょうか。思い出せない忘れてしまった大事な記憶。彼らの住んで...
イシグロさんの小説は、そのジャンルが様々なのですが、この小説はファンタジーです。日本の昔話の語りで言えば、あるところに仲の良いおじいさんとおばあさんが住んでいたのですが、ふとしたことから、旅に出るのでした…という出だしでしょうか。思い出せない忘れてしまった大事な記憶。彼らの住んでいた村では、過去のことについてあれこれ語り合うことはなく、濃い霧がこの村を覆い尽くしています。 訳者のあとがきには、2016年の英国国民投票で決まったEU離脱をイシグロが怒っていた…と書いてあります。民族の対立を物語の要素として取り入れている彼は、移民の流入に反対する民意が勝ってしまった投票に納得出来なかったようです。 グレードブリテン島の先住民であるブリテン人と、ヨーロッパ大陸から移り住んだアングロ・サクソン人の民族の確執という物語の核心部分ですが、老夫婦の旅の途中で出会った竜退治に絡む人々によって語られていきます。イシグロさんの小説特有の細部の描写を紡いで、最後に全体の絵が見えてくるスタイルは、今回は残念ながらファンタジックな雰囲気を楽しむというところまでいかず、終わってしまいました。この辺りのことは単一民族で長らく生活している私のような日本人には感じにくいのか?と思ってしまいます。唯、アクセルとベアトリスの老夫婦間の愛情の形は、心に染み入るものでした。
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記憶の功罪。 忘れることは、悪いことか。 忘れることで平和が維持されうることもある。 個人にとって、記憶は大切だ。 コミュニティにとって、時にそれは火花にもなる。 記憶を巡る冒険は、人間のアイデンティティを巡る旅である。 公的な記憶と私的な記憶。
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