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忘れられた巨人 の商品レビュー

4

137件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    68

  3. 3つ

    17

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

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2021/07/06

難しかった。 カズオ・イシグロらしく3m先が見えない濃い霧の中を歩いている様に感じる作品。 だけど、「私を離さないで」の時のような、最後に霧がぱっと引いていく感覚は得られなかった。そのせいか、どうにも腑に落ちぬ後味が残っている。

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2021/06/30

色々と分からないまま話が進んでいく。基本、アーサー王物語はチラッとしか分からないし、サクソン人とブリトン人、知識が少ないので?がいっぱい。ストーリーはなかなかに読み応えあり。 カズオイシグロ氏の作品、三編目だがやはりずっと暗い流れが底流にあり、人々はそれぞれ良い人達なので幸せにな...

色々と分からないまま話が進んでいく。基本、アーサー王物語はチラッとしか分からないし、サクソン人とブリトン人、知識が少ないので?がいっぱい。ストーリーはなかなかに読み応えあり。 カズオイシグロ氏の作品、三編目だがやはりずっと暗い流れが底流にあり、人々はそれぞれ良い人達なので幸せになって欲しいと思うが‥

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2021/04/24

ただのファンタジーではないですよね。むしろ記憶という題材を遠くまで、より多くの人に届けるため、ファンタジーの体裁が使われていると感じました。実際、竜との闘いは意外にもさらりと描かれています。竜がいなくなった世界、つまり良い記憶も悪い記憶も戻ってきた世界の話が、この本で最も重要な部...

ただのファンタジーではないですよね。むしろ記憶という題材を遠くまで、より多くの人に届けるため、ファンタジーの体裁が使われていると感じました。実際、竜との闘いは意外にもさらりと描かれています。竜がいなくなった世界、つまり良い記憶も悪い記憶も戻ってきた世界の話が、この本で最も重要な部分なのではないでしょうか。 それまでもじっくり、ゆっくりと読み進めてはいましたが、先に記したように記憶を手にしたベアトリスとアクセルのやりとりに深く注目し、それに加えて船の船頭との会話、駆け引きも一言一句を注意深く読み進める必要がありました。そこから得られた感動が、そこまで読んできた物語の上に成り立つことは間違いないのですが、本当に、なんて言えばいいんだろうか……心に柔らかくて、でも硬質な何かが残ったと感じられたのです。

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2021/04/22

ブックレビューなどで、おとぎ話のような語り口だというのをちらちらと目にしていたけれど、 ただの昔話、ファンタジーではなく、たっぷりとメタファーを含んだ、記憶についての物語だった。 時は、アーサー王亡き後のブリテン島。 とある村に暮らすブリトン人の老夫婦、アクセルとベアトリス。...

ブックレビューなどで、おとぎ話のような語り口だというのをちらちらと目にしていたけれど、 ただの昔話、ファンタジーではなく、たっぷりとメタファーを含んだ、記憶についての物語だった。 時は、アーサー王亡き後のブリテン島。 とある村に暮らすブリトン人の老夫婦、アクセルとベアトリス。 この時代は、村中で農作業をしたりして助け合って暮している。 しかし、老夫婦は、次第に必要とされず、夜のあかりも許されず、いちばん寒い家に住まわされたりしている。 しかしこの老夫婦は、若者よりもよく働き、頭も冴え、善良に愛し合う素晴らしい夫婦でもある。 そしてこの村には不穏な空気があり、みな、過去の記憶を無くしているようなのだ。 老夫婦自身も、何かとても大切なことを忘れていることを知っている。 彼らの息子は村から出て行ってしまっている。その時のことを上手く思い出せない。 ある日、村に不思議な旅の女が訪れた。 ベアトリスは、彼女を気の毒に思い、そ待つな食べ物などを与え、話を聴いた。 どうやら、この辺りを覆う霧のせいで、人々は記憶を無くしているようなのだ。 そして2人は、大切な息子に会いに、西への旅を決意した。 その旅の道中、島を渡す船の船頭や、旅の人たちから、この不穏な霧の正体は、雌竜クエリグがもたらしていると知らされる。島を出る前に、ベアトリスの体を見てもらおうと、山の上の修道院のジョナス神父を訪ねる。こここがとても、奇妙な場所だったのだ。 サクソン人の戦士ウィステルと胸の傷のせいで命を脅かされる不思議な少年エドウィン。 そしてアーサー王の甥、老騎士ガウェイン卿。なんとも奇妙な3人と道連れに、雌竜クエリグを殺し、霧を消し去り記憶を取り戻す旅をいく、アクセルとベアトリス。 これは、ブリトン人とサクソン人の歴史をも覆してしまうような、謎に包まれた旅だった。。 私としてはガウェイン卿がかっこよく、最後まで肩入れしてしまった。だって、あのアーサー王の甥なのだ。 アーサー王といえば、サクソン人はじめヨーロッパ人全土を制覇したような騎士だけども、 女こどもには、決して手を出さないような、本物の騎士だった。ただ、彼に仕えた戦士たちは、サクソン人の女こどもも殺し、奪っている。そういう者はアーサー王によって罰せられたはずなんだけど… サクソン人のウィステルは、その辺りをどうも誤解していたんじゃないかしら。。 ガウェイン卿の言う通りにしていたら、この物語は…つまらないおとぎ話で終わっただろうけども… とにかく、ラストの老夫婦の在り方が、なんとも、なんとも! カズオ・イシグロ、なんというか… 伊達じゃない←何様w

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2021/03/17

オーディブルにて。 老夫婦が修道院に行くまではなんとかおもしかったが、怪獣がでてきた時点でもうだめだなと。物語の中からリアル世界への示唆や学びを求める私としては、その先に読み進めず、断念しました。 読み進めれば、何らかの示唆はあったのかもしれないけど。だれか結末だけ教えてくだ...

オーディブルにて。 老夫婦が修道院に行くまではなんとかおもしかったが、怪獣がでてきた時点でもうだめだなと。物語の中からリアル世界への示唆や学びを求める私としては、その先に読み進めず、断念しました。 読み進めれば、何らかの示唆はあったのかもしれないけど。だれか結末だけ教えてください。 ・なぜ人々は忘れてしまうようになったのか ・エドウィンはどうなったのか ・夫婦は息子に会えたのか

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2021/02/23

「お姫様」の連発が序盤から気になってしまった....。途中で読むのを止めようと思ったけれど、何とか完読。内容自体は良かったけど、やはり意味が通じる場面での「お姫様」はいらないかなぁ。ちょっとクドイ印象で残念。過去の記憶との向き合い方を静謐に語られた本作。思い出さなくていい記憶は、...

「お姫様」の連発が序盤から気になってしまった....。途中で読むのを止めようと思ったけれど、何とか完読。内容自体は良かったけど、やはり意味が通じる場面での「お姫様」はいらないかなぁ。ちょっとクドイ印象で残念。過去の記憶との向き合い方を静謐に語られた本作。思い出さなくていい記憶は、そっとしておいて吉。

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2021/01/21

遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村をあとにした老夫婦。一夜の宿を求めた村で少年を託されたふたりは、若い戦士を加えた四人で旅路を行く。竜退治を唱える老騎士、高徳の修道僧…様々な人に出会い、時には命の危機にさらされながらも、老夫婦は互いを気づかい進んでいく。アーサー王亡きあ...

遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村をあとにした老夫婦。一夜の宿を求めた村で少年を託されたふたりは、若い戦士を加えた四人で旅路を行く。竜退治を唱える老騎士、高徳の修道僧…様々な人に出会い、時には命の危機にさらされながらも、老夫婦は互いを気づかい進んでいく。アーサー王亡きあとのブリテン島を舞台に、記憶や愛、戦いと復讐のこだまを静謐に描く、ブッカー賞作家の傑作長篇。

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2020/12/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

長編ではあるが、視点が主人公である老夫婦だけでなく、他の人物にも切り替わることによって、意外と読みやすい。 また、アーサー王亡き後のブリテン島、そこで記憶をなくす霧に覆われた幻想的な世界観。何ともワクワクする。 さて、この忘れられた巨人と言うのは誰のことか。 私は、記憶のことではないかと思った… クエリグと言う雌竜の吐く息が、人々の記憶を失わせる霧となって、いいことも悪いことも忘れさせていく… 確かに忘れていた方がいいこともあるし、忘れたいこともある。 だけど、全てをわすれてしまうのは…何とも寂しいことである。 それが、霧で覆われた島の風景と被り、何とも物寂しく感じた。

Posted byブクログ

2020/11/23

まるでドラクエのよう。記憶を取り戻すための旅。息子に会いに行く旅。 不思議な世界観で、淡々と進んでいく。主人公が老夫婦であるからだろうか。 過去の記憶とどう向き合い対処するのか、と考えさせられる。人が生きていく上では自分に都合の良い記憶が残れば幸せに生きていけそう。しかし、国家に...

まるでドラクエのよう。記憶を取り戻すための旅。息子に会いに行く旅。 不思議な世界観で、淡々と進んでいく。主人公が老夫婦であるからだろうか。 過去の記憶とどう向き合い対処するのか、と考えさせられる。人が生きていく上では自分に都合の良い記憶が残れば幸せに生きていけそう。しかし、国家にとっては歴史は消せない。都合が悪いことも良いことも。だから為政者は評価や修正を試みる。そこで新たな対立が生まれる。 個人レベルと国家(集団)レベルでは、向き合い方が変わるのだ。

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2020/11/22

2015年発刊。「わたしを離さないで」以来、著者10年ぶりの長編小説。 カズオ・イシグロさんの小説ははじめて。 ノーベル文学賞のレベルの高さに畏れ入る。 オーディブルで聴いたのだが、なかなか頭に情景が浮かんでこない。もやっとしたままファンタジーの世界が続く。 健忘の霧に包ま...

2015年発刊。「わたしを離さないで」以来、著者10年ぶりの長編小説。 カズオ・イシグロさんの小説ははじめて。 ノーベル文学賞のレベルの高さに畏れ入る。 オーディブルで聴いたのだが、なかなか頭に情景が浮かんでこない。もやっとしたままファンタジーの世界が続く。 健忘の霧に包まれた世界で失われた記憶を取り戻そうとする物語。 失われた記憶を取り戻した後、世界はどう見えるのか? ブリトン人とサクソン人の関係は、某国と某国の関係によく似ていると思った。 世界には残念な直視できない歴史がある。 そして、それは愛する人との間にも。 考えさせられるなー。 静かだが残酷なラストシーンが圧倒的な余韻を残す。 ああ、ベアトリス!

Posted byブクログ