街と山のあいだ の商品レビュー
なんてキレイな感性。きっとこの人と話していたら、とんでもなく心地良いんだろうな、という雰囲気を何度も感じながら読み進めた。どことなく心地良く感じるのは、山の話を読みながら、山の空気が想像できるから、というのももちろんあるのかもしれない。でも、それだけではないと思う。 岩の上に寝...
なんてキレイな感性。きっとこの人と話していたら、とんでもなく心地良いんだろうな、という雰囲気を何度も感じながら読み進めた。どことなく心地良く感じるのは、山の話を読みながら、山の空気が想像できるから、というのももちろんあるのかもしれない。でも、それだけではないと思う。 岩の上に寝転んで、空に吸い込まれそうになる感覚のこと。月に吸い込まれそうになる感覚のこと。街の空と山の空はつながっていて、あの人もどこかで同じ夕陽を見ているんじゃないかということ。 空、かぁ。そういえば最近、見ているようで見てない。 子どもたちを保育園に迎えに行く前に、信号で引っかかってしまった。チッ、渡れなかった!と思ったけど、ふと振り返ったらキレイな夕焼け雲だった。著者が引用していた串田孫一の詩を思い出す。こんな顔をしていたら、夕陽に申し訳ない…。私もたいしたことではないけど、気づくとまぁまぁ抱えているものはある。軽く泣きそうになった。 景色だけでなく、人のこともよく見ているなぁ。山でたまたま会った人や、電車でたまたま会った人も。 「山がある人生でよかった」 私も山の近くの職場にいたときは同僚とよくハイキングに行った。スポーツジムで知り合った人に誘われて行ってた時期もあった。ただ、私にとってはいつも「誘われたら行く」程度のことで、自分から積極的に行こうとしていたわけじゃなかった。「山は一人で行っちゃいかん」と父に子どものころ言われた言葉がひっかかっているのだと思う。 父のせいにするわけではない。単純に私がのめり込めなかっただけだと思う。 何か、これがあってよかった!と思えるものを持っている人は羨ましい。 この本、なんで読もうとおもったんだっけ?登録してたっけ?と思ってブグログを開いたら、ちゃんとメモを残していた。メモ、すぐ忘れちゃう私にとってはめっちゃ大事。 母の友2023.7月号「自然と触れ合う」の特集で、公園を散策していた著者の文章を読んですっかり気に入り、図書館で取り寄せていた。そして、何度も期限内に読めずに再貸出してもらっていた。所蔵数の少ない本らしく、次に予約が入っているマークがついているのを見て、さすがに読んで返そうと手にした。気づけばちょうど1年…。 母の友の読書メモを読み返すと、「ゆるくおやつ持ってでかけたい気分になった」と書いていた。それでいいと思う。いつまでも暑い9月が続いているけど、そろそろおやつを持って出かけたい。ひとりの時間を持つことは難しい。夫や子どものリクエストで土日の行動は決まる。だけど、来月は私のリクエストでどこか緑のある公園に行きたい。 若菜さん、お会いしてみたいし、他の本も読んでみたい。
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知っている山は殆ど無いし知らない高原植物や鳥の名前が書かれているけれど、若菜さんの文体で情景や鳥の鳴き声が聞こえてきてとても読みやすく優しい本でした 部屋の中にいながら登山ができるそんな気分になれる本 やっぱり山っていいな (濃霧で登山した時の言葉) よく見えるのもいいけれども...
知っている山は殆ど無いし知らない高原植物や鳥の名前が書かれているけれど、若菜さんの文体で情景や鳥の鳴き声が聞こえてきてとても読みやすく優しい本でした 部屋の中にいながら登山ができるそんな気分になれる本 やっぱり山っていいな (濃霧で登山した時の言葉) よく見えるのもいいけれども、なにもかも見えなくてもいい。なにもかも見えることが、必ずしもよいことではない。見えないときにこそ、よく見えるものもある。
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若菜さんの山への親しみ方がゆったりしていてとても素敵だと思った。標高の高い山や難しい山に登るだけでなく、低山の魅力や楽しみ方を教えていただいた。 言葉の選び方、感性がすごく好きで、何度も読み返したいお気に入りのエッセイとなった。 3部作ということがとても嬉しい。 ガスで展望がな...
若菜さんの山への親しみ方がゆったりしていてとても素敵だと思った。標高の高い山や難しい山に登るだけでなく、低山の魅力や楽しみ方を教えていただいた。 言葉の選び方、感性がすごく好きで、何度も読み返したいお気に入りのエッセイとなった。 3部作ということがとても嬉しい。 ガスで展望がない場面 「よく見えるのもいいけれども、なにもかも見えなくてもいい。なにもかも見えることが、必ずしもいちばんよいことではない。見えない時にこそ、よく見えるものもある。」
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雑誌『山と渓谷』の編集をされていた方の、山と街を行き来する随筆集。どの話も静かな山の中でふと空を見上げるような、山登りの足を止めて風に吹かれるような、静かでやさしいお話でした。 街での忙しい生活の中、山の爽やかな風に吹かれて我に返り、自分は自然の一部だと思い出すような感覚になり、...
雑誌『山と渓谷』の編集をされていた方の、山と街を行き来する随筆集。どの話も静かな山の中でふと空を見上げるような、山登りの足を止めて風に吹かれるような、静かでやさしいお話でした。 街での忙しい生活の中、山の爽やかな風に吹かれて我に返り、自分は自然の一部だと思い出すような感覚になり、仕事の合間の昼休み、この本の話をひとつふたつ読んでは、山の風や空を感じてリフレッシュしました。 誰もがこんな風に感じるとは思わないけれど、私は相性が良かったと思います。 中では「今日の夕日」が良かったです。串田孫一さんをこのお話で知りました。早くもハマりそうな予感がします(笑)
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京都・新風館oyoyで発見シリーズ『街と山のあいだ』(若菜晃子)。 【登る山や道具の選択】、【紙地図の魅力】、【お気に入りの山の発見】、【山の中での過ごし方】では「まさにそうだわ!!!」と常に首を縦に振り……… 本書で語られる【山エピソード】にププッと笑い、「へぇ!」と驚き、時に涙。 「登った山をより記憶に残すために、【そこに生息する鳥獣や草木の観察】をしたりするのもいいなぁ」とか、 「自分が慣れ親しんできた事に関係する内容本だとすぐに読めてしまうなぁ」とか、 いろいろ思うところがあって楽しい一冊でした。 自分にとって新しい分野の本では、 【それに関する経験や知識がまだ浅いから時間がかかってしまう】という事の再確認にもなりましたし、 それはそれで、読んでいけばイイノダって事で。 知人に本を勧められて、又は「やっべコレ面白そう」と思って選んじゃって読む本残り290冊が不動の数値になりそうです。 嬉しいんだけど、未来に楽しみ残せて幸せなんだけど…… OTASUKEーーー!!!!!
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ドラマ「silent」で若菜晃子さんの著書を知り 『旅の断片』を読み、遡る形で本書を手に。 山登りはしないので、活字から裾野に広がる絶景を思い浮かべる。 人見知りな若菜さんが植物の話を書かれているときは すこしだけおしゃべりになる感じが良くて。 ご家族との関係も穏やかで お兄様...
ドラマ「silent」で若菜晃子さんの著書を知り 『旅の断片』を読み、遡る形で本書を手に。 山登りはしないので、活字から裾野に広がる絶景を思い浮かべる。 人見知りな若菜さんが植物の話を書かれているときは すこしだけおしゃべりになる感じが良くて。 ご家族との関係も穏やかで お兄様とのエピソードが好き。 「佐志岳の犬」で登場した〈ジョンという感じの犬〉 無事におじさんの元へ帰ったかな。
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山好きの知人からもらったエッセイなのだが、2日ほどで一気に読んでしまった。 平易な文章で書かれているので、サクサク読むことができる。文章の雰囲気は…本の最後の解説みたいな、その人のクセも伝わる文になっていると感じた。 著者の登った、思い出に残る山はどれも独自の感性で感じ取ったもの...
山好きの知人からもらったエッセイなのだが、2日ほどで一気に読んでしまった。 平易な文章で書かれているので、サクサク読むことができる。文章の雰囲気は…本の最後の解説みたいな、その人のクセも伝わる文になっていると感じた。 著者の登った、思い出に残る山はどれも独自の感性で感じ取ったものが鮮やかに残っている。昼寝をした時の魂が抜けてしまうような心地、月がこちらを見つめてくるような畏怖の気持ち、じっと花を見ていた時間など。繊細で感性が鋭い分、かたくなな部分も感じる、少女のような心を持った方だなと思った。 読んでいるとどんどん山に行きたくなる。それは名だたる名山でなくてもいい。遠くへの遠征から近場の山まで、自分もそこに行っているかのような気持ちになれた。山好きなら想像できると思う。
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同じ著者の「旅の断片」が良かったのでこちらも購入。 読むと、小学生の頃、毎夏のように家族で行った山の空気が立ち上がってきて懐かしい。信州の山が多く出てくるからかな。 実際の記憶で1番残ってるのは、雨の中小川のようになった山道を、普段履いてるスニーカーをズクズク言わせながら登った...
同じ著者の「旅の断片」が良かったのでこちらも購入。 読むと、小学生の頃、毎夏のように家族で行った山の空気が立ち上がってきて懐かしい。信州の山が多く出てくるからかな。 実際の記憶で1番残ってるのは、雨の中小川のようになった山道を、普段履いてるスニーカーをズクズク言わせながら登った足元の風景。どこの山かもわからない。 または夏の雪渓に、これまたスニーカーのつま先を蹴りこんで一歩一歩登っていく足元の風景。(今思うと無茶だったな) つまり頂上の記憶ではない。どう考えても修行みたいだったな、と思う。 それと違って大人になってからの登山は、体が出来てるからか登ってても余裕もあるし、あれこれ楽しむ余裕にも繋がって楽しいものだった。そのきっかけになったのは結局父と2人で行った涸沢への登山だったけど。 夜中に部屋を抜け出して外に出ると、ちょっとワクワクした顔の大人たちが同じように小屋の前のテーブルにぽつぽついた。星空とこちら側の境界に浮かび上がる、黒々した稜線が綺麗だった。 これは私の記憶だけど、この本も、そんな山にまつわるあれこれ、さらに山絡みでの人とのあれこれが語られてる。「街と山のあいだ」ではあるが、「山と人のあいだ」という感じもする。 旅の断片も良かったが、こんな風に山の話を書物で読んだのは久しぶりで嬉しい。20代の頃、椎名誠や野田知佑を読んでた時以来かも。
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登山の専門出版社を経て、編集者・文筆家として活躍する若菜晃子さんによる初の随筆集です。山にまつわる記憶や体得してきた思想を、情緒豊かにまっすぐに綴ります。四季にわたる山行記やよく登る山、道具の話など、細やかなエピソードに彩られた59篇。山が好きな人も山に憧れる人も、自然を近しく感...
登山の専門出版社を経て、編集者・文筆家として活躍する若菜晃子さんによる初の随筆集です。山にまつわる記憶や体得してきた思想を、情緒豊かにまっすぐに綴ります。四季にわたる山行記やよく登る山、道具の話など、細やかなエピソードに彩られた59篇。山が好きな人も山に憧れる人も、自然を近しく感じられる一冊です。
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自然の景色と人々の会話がそっとそばにあるような文章に惹かれて読み進めた。 しかし途中から著者のプライドの高さというか、思いのようなものが幅をきかせてきて、 「木村さん」の章でかなりマイナスな気持ちを持ってしまった。
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