角の生えた帽子 の商品レビュー
短編のホラー。 淡々と書かれる物語の、隙間というか狭間から漏れ出していくものが恐怖だと気づいてから速度がついていく印象。 ただ物語を読み終えると、怖さよりも納得が残っている。説得や洗脳とは違う、上手くまとめ上げられ後に残らないといった印象。 夏休みのケイカクと緑の吐息が好き。前者...
短編のホラー。 淡々と書かれる物語の、隙間というか狭間から漏れ出していくものが恐怖だと気づいてから速度がついていく印象。 ただ物語を読み終えると、怖さよりも納得が残っている。説得や洗脳とは違う、上手くまとめ上げられ後に残らないといった印象。 夏休みのケイカクと緑の吐息が好き。前者は司書と少女の絵本の落書きによる殺人のケイカク、後者は山の民の話。ああやっぱりねとにまとめてその先があるのが好き?
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宇佐美まことさん、単著 初。 どの短編も読み応えがあった。 図書室に纏わる怪異が2作もあって嬉。 『夏休みのケイカク』が一番好き 本気で相手を殺したいほどの恨みが芽生えたならば、その実現を後押ししてくれる怪異が、存在しても許されるのではないか そう思うストーリーが多かった。 母に殺された三つ子の三男 父の不倫相手 尽くした自分を裏切った教授=上司 母代わりの女を捨てた男 性加害者(『犬嫌い』胸糞) うだつの上がらない夫 夫の不倫相手(子を誘拐) そして「あ、こいつか」「あ、主人公自身がそもそも不幸だったんか」のオチというか結末のどんでん返し的なものがどの話にもあってやはり秀逸(この構成がストーリーテリングの王道なんだろうな) 周囲の人間のことはよく見えるが自分自身のことは見えてないってやつかな 哀惜、憐憫といった灰色の気体が各話を覆っているような感覚 最終話、バイク事故は自分が望んだ(弟が先天性の下肢欠損)ことを幽霊になった女が叶えてくれた結果だった。それで事故の原因ともいえる後ろから走ってきていた男とも友人になれたのか
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心の隙間にある暗闇を描き出す怪奇な短編9話。どれもひっそりとしたホラー感が出ていて面白く読んだ。切なさもあり苦しさもある。「悪魔の帽子」「左利きの鬼」「湿原の女神」が好みですが、特に「湿原の女神」はジーンと心に響きました。
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なんとも読み応えのある短編集だった。全編仄暗い雰囲気が漂う、ゾクっとするようなホラーでした。一つ一つが濃すぎてちょっと読み進める毎に頭の中がその話でいっぱいになってしまう。他の話に比べると印象の薄い話もいくつかあったけど大満足の読み応え。 幽霊や神や得体の知れないものがわんさか...
なんとも読み応えのある短編集だった。全編仄暗い雰囲気が漂う、ゾクっとするようなホラーでした。一つ一つが濃すぎてちょっと読み進める毎に頭の中がその話でいっぱいになってしまう。他の話に比べると印象の薄い話もいくつかあったけど大満足の読み応え。 幽霊や神や得体の知れないものがわんさか出てくるけど、怖いのはきっとそこじゃない。どこか少しだけ狂ってる人間たちが醸し出す不穏な空気が怖い。完全に狂ってはいない、だけど違和感が拭い切れないあの雰囲気。見てはいけないんだけど目が離せないものを見ているような感覚でした。 女神だけ少しだけ明るくて最後に救われます。
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短編9話 ホラーというほど怖くはない。 薄気味悪さと意外なラストにゾワッとくる。 リアルに映像が浮かぶ描写、登場人物の少なさ 静かに追い詰められる気味悪さ… 「世にも奇妙な物語」にでも良さげな一冊かな? 宇佐美さんのホラーなかなか良い(〃ω〃)
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宇佐美まことさん 初読みです。 9話収録の短編集 どの物語も淡々と進んで行くが、じわじわと背中に恐怖が近づいて来て 心がざわざわするような感覚に陥ります。 「あなたの望み通りのものを」は「世にも奇妙な物語」の原作になりそうな予感。 印象に残ったのは「悪魔の帽子」「夏休みのケ...
宇佐美まことさん 初読みです。 9話収録の短編集 どの物語も淡々と進んで行くが、じわじわと背中に恐怖が近づいて来て 心がざわざわするような感覚に陥ります。 「あなたの望み通りのものを」は「世にも奇妙な物語」の原作になりそうな予感。 印象に残ったのは「悪魔の帽子」「夏休みのケイカク」「左利きの鬼」 おどろおどろしいホラーではなく、不穏な空気感の中に訪れる静かな恐怖を感じました。 1957年生まれの女性作家さんと言う事で、今後の作品も追ってみたいです。
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ホラー短編集。どの物語にもじわじわとした不安と違和感、そして恐怖が感じられます。でも怖いばかりでもなく、和まされるようなものも中にはありました。 お気に入りは「城山界隈奇譚」。これは怖いというよりもとにかく、楽しそうだと思ってしまいました。私も塩貝さんとお友達になれそうです(笑)...
ホラー短編集。どの物語にもじわじわとした不安と違和感、そして恐怖が感じられます。でも怖いばかりでもなく、和まされるようなものも中にはありました。 お気に入りは「城山界隈奇譚」。これは怖いというよりもとにかく、楽しそうだと思ってしまいました。私も塩貝さんとお友達になれそうです(笑)。というよりぜひなりたい。 「左利きの鬼」も怖く感じられる部分はあったものの、優しさがあってどこかしらほっとさせられる素敵な物語。謎の正体が明かされる展開にも驚かされました。 一番怖いと思ったのは「あなたの望み通りのものを」。これ、嫌だなあ。嫌なんだけれど……当事者たちにとっては幸せなのでしょうか。それを突き詰めて考えるとさらに怖くなります。
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少し不思議で少し怖い短編集。でもホラーや怪談という名称でひとくくりにはしたくない、読み応えともの悲しさ、時には闇を運んできます。一編目の表題作の思いがけないラストにググっとつかまれ、あとは夢中になってそれぞれ違った世界に浸りました。一番の好みはその後の気になる「夏休みのケイカク」...
少し不思議で少し怖い短編集。でもホラーや怪談という名称でひとくくりにはしたくない、読み応えともの悲しさ、時には闇を運んできます。一編目の表題作の思いがけないラストにググっとつかまれ、あとは夢中になってそれぞれ違った世界に浸りました。一番の好みはその後の気になる「夏休みのケイカク」と、妙な納得と悲しさの「左利きの鬼」。インパクトが強かったのは背筋に冷たいものが走った「あなたの望み通りのものを」。「城山界隈奇譚」「みどりの吐息」「湿原の女神」も印象深かったです。日本らしい怖さと雰囲気の美しい短編集でした。
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この作者の短編を読むのは初。 不思議で怖い、9編からなる短編集。 他の作品とは少し印象が異なる。 楽しめはしたのだけれど、正直どの話も余り記憶には残らなそうだ…。 この作家の作品は断然長編の方が好み。
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宇佐美まこと氏2冊目。9編からなる短編集。 前回読んだ短編集『るんびにの子供』ほど惹かれることもなく読了した。 この作品はSF風なものもあればファンタジー的なお話もありで、 人間の持つ厭らしさの描き方が薄くなった。 その中で『犬嫌い』という話が、 ごく普通に暮らしている人間の弱さ...
宇佐美まこと氏2冊目。9編からなる短編集。 前回読んだ短編集『るんびにの子供』ほど惹かれることもなく読了した。 この作品はSF風なものもあればファンタジー的なお話もありで、 人間の持つ厭らしさの描き方が薄くなった。 その中で『犬嫌い』という話が、 ごく普通に暮らしている人間の弱さや汚らしさを描いている。 これが宇佐美まこと氏作品の醍醐味なのでは。 ただ、図書館好き本好きの私にとって、『城山界隈奇譚』は、 なんだか郷愁を覚え、好きな短編。 松山を舞台にした新作を読むのが楽しみ。 松山に行きたくなる。
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